ダウ理論 「ダウ理論」は米国のアナリストであったチャールズ・ダウ氏が発表した分析理論です。株式相場で利用された理論ではありますが、外国為替市 […]
増え続ける世界の為替取引
金融市場のなかで外国為替市場は世界一の規模を誇るマーケットですが、その取引量は近年一段と拡大しています。その大きな要因の一つが、中国やインドなど新興国の著しい経済成長です。新興国の発展により、主要国通貨以外の通貨による取引も活発になってきました。
取引額の通貨別シェアでは、依然としてドル、ユーロ、円、ポンドが上位 4 位を示しています。また、中国の人民元は5位に順位を上げています。取引額の地域別シェアでは、英国、米国、香港、シンガポール、日本の 5 大市場の順位は変わっていないものの、日本のシェアは微減し、英国と香港のシェアが低下しています。
昨年、国際決済銀行(BIS)が公表した3年に1度の調査によると、世界の外国為替取引高は1日当たりの平均が7兆5000億ドルと過去最高に増加しました。通貨別ではドルが圧倒的なシェアを維持し、市場別で取引高トップのロンドンはシェアが低下しました。
為替市場で最強の市場参加者
為替レートは市場参加者が為替の売買をすることで変動します。為替の変動要因としては経済指標や中銀の金融政策変更などいろいろありますが、市場参加者が売買しない限り為替レートは動きません。
よって、市場参加者について理解を深めることもFX取引を行う上でメリットがあります。
外国為替市場では、さまざまな企業や人がそれぞれの目的で通貨の売買を繰り広げていますが、ビッグプレーヤーはお金の運営を専門とする「機関投資家」と言われています。「機関投資家」には銀行、生命・損害保険会社、投資信託、年金基金、ヘッジファンドなどが含まれています。
●銀行
銀行は輸出入企業や個人の為替取引を取り次ぎ、自行のお金で為替差益を狙って積極的に通貨の売買を行います。外国為替市場は世界中の銀行が収益獲得にしのぎを削る戦場でもあります。
●保険会社と年金基金
保険会社と年金基金は顧客から預かった保険料や掛金の運用を行います。一般的に扱っている商品は満期までの期間が長いので、長期で安定的な収益を目指して世界の株式や債券市場で分散投資を行いますが、扱う金額が大きく外国為替市場で一定の影響力を持っています。
●投資信託
投資信託は株式、債券、不動産などさまざまな資産を運用しており、保険会社や年金基金と並んで為替相場に大きな影響力を持っています。
●ヘッジファンド
国際金融市場でよく話題になるヘッジファンドは為替相場に大きな影響力を持っています。ヘッジファンドは投資家から資金を集めて為替や株式、商品などに積極的に投資し、莫大な利益を狙うファンドです。積極的な売買で為替相場に大きな影響を与えています。
ソロス、英中銀を破った男
1990年、欧州為替相場メカニズム(ERM)に参加したばかりの英国は大量のポンド売りを浴びせられました。ヘッジファンドを中心に銀行もこぞって売りまくり、イングランド銀行(英中銀、BOE)はポンド買いの介入や利上げで対抗しましたが、結局売り圧力は収まらず、ERMからの離脱を余儀なくされました。ヘッジファンドのなかでも目立った米国のジョージ・ソロスのファンドは話題になり、ソロスは「英中銀を破った男」と言われました。それ以来、ヘッジファンドは最強のとの認識が生まれ、多くの市場参加者がヘッジファンドの動向に注目するようになりました。
本記事は2023年3月4日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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