―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は2024年12月23 日週に1.75円と、その前の週の4.77円から縮小した。同年12月30日週は、2.05円と、2週連続で比較的小幅な値動きに。結果的に、週足では5週ぶりに反落した。12月23日週は、クリスマスを挟み値動きは限定的となり、クリスマス開けの26日に一時158.09円と2024年7月17日以来の158円に乗せた後は、上値が重くなった。年末には、米株安を受けリスクオフを迎え、一時156.02円まで下落も大台割れを回避。年明けに中国株安など受け売りが入るも下値は限定的で、米12月ISM製造業景気指数の改善もあって157円前半で週を終えた。
- 今週は米12月雇用統計を予定し、足元の雇用関連指標に従えば堅調な結果となる見通しだ。米雇用統計は12日を挟むサンプル週の結果をもとに発表されるなか、当該週の新規失業保険申請件数は前月同時期と概ね変わらず。その他、全米リアルタイム求人広告指数は12月に改善を示すため、悪化は現時点で想定しづらい。ただ、全米リアルタイム求人広告指数はインフルエンザやコロナの感染拡大を受けた医療関連がけん引しており、一時的である公算が大きい。また、米12月ISM製造業景気指数は、製造業の雇用の下振れを示唆しており、製造業が再び弱含むシナリオが想定される。以上を踏まえれば強弱ミックスで、156-158円のレンジブレークを伺いつつも完全に抜け切れるかは不透明と言えよう。
- 植田総裁は2024年12月25日の講演でハト派的な姿勢を保ったが、11月実質賃金がプラスに転じ、所定内給与も前月に続き強い伸びとなれば、1月14日の氷見野副総裁の講演と質疑応答の内容がタカ派寄りになるとの思惑が高まりうる。そうなれば、ドル円の一段高のブレーキとなりそうだ。
- 今週は1月6日に中国12月財新サービス業PMI、ユーロ圏12月サービス業PMI改定値、米12月操業PMI改定値、7日にユーロ圏12月消費者物価指数(HICP)速報値、米11月雇用動態調査(JOLTS、求人件数含む)、米12月ISM非製造業景気指数、8日に米12月ADP全国雇用者数、12月FOMC議事要旨を予定する。その他、9日には日本11月実質賃金、中国12月CPIとPPI、米新規失業保険申請件数、10日には日本11月実質個人消費、米12月雇用統計、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が控える。加えて、1月7日にリッチモンド連銀総裁、8日にウォラーFRB理事、9日にボウマンFRB理事の発言を予定する。
- ドル円は、強気地合いを維持。21日移動平均線、50日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線が上向きを続け、一目均衡表の三役好転を保つ。さらには、一目均衡表の転換線がサポートとなっており、ここも157.02円と右肩上がりだ。ただ、RSIはやはり割高の節目となる70付近になると、ドル円は上値の重さを確認しており、ここから一段高となるかは不透明だ。
- CFTCが発表した投機筋による円のネット・ポジション動向は、12月24日週時点で2,311枚のロングと、前週の5,961枚からロングが縮小。4週連続でロングとなったが、足元の円安もあって、ショートに転じる日はそう遠くないだろう。
- 以上を踏まえ、今週の上値は2024年7月中旬頃の高値が近い158.50円、下値は心理的節目の155.00円と見込む。
目次
1.為替相場の振り返り=ドル円、156円割れをトライも買い戻し優勢で高値圏を維持
【2024年12月23日~同年12月27日のドル円レンジ: 156.34~158.09円】
【2024年12月30日~2025年1月3日のドル円レンジ: 156.02~158.07円】
ドル円の変動幅は2024年12月23 日週に1.75円と、その前の週の4.77円から縮小した。同年12月30日週は、2.05円と、2週連続で比較的小幅な値動きに。結果的に、週足では5週ぶりに反落した。12月23日週は、クリスマスを挟み値動きは限定的となり、クリスマス開けの26日に一時158.09円と2024年7月17日以来の158円に乗せた後は、上値が重くなった。
2024年12月30日週は、月曜に材料薄のなかで米株安に反応し157円割れを迎えた。翌31日には、米株安によるリスクオフの流れが続き、ロンドン時間序盤に一時156.02円と約1週間半ぶりの156円割れが迫った。もっとも、NY時間には買い戻され157円台へ切り返し2024年を終えた。
2025年の取引開始を迎えた1月2日には、ドル円は再びロンドン時間にかけて一時156.44円まで下落。中国12月財新製造業PMIが市場予想と前月を下回ったほか、トランプ第2次政権を控え追加関税発動の懸念もあって、中国株指数のCSI300が2.9%安と年初めとしては2016年以来の大幅安でスタートし、上海総合も2.66%安の大幅安を迎えた動きを受け、リスクオフの展開となった。ただ、大晦日と同じくNY時間に切り返した。1月3日は、中国が超長期の特別債発行の方針を示したほか、米12月ISM製造業景気指数が市場予想を上回り、ドル円は157円前半で週を終えた。バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチール買収に向け阻止を決定したが、事前報道もあって為替への影響は限定的だった。
チャート:ドル円の2024年12月以降の日足、米10年債利回りは緑線(左軸)
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