目次原油相場の動向要因OPEC、OPECプラス世界原油取引の代表的指標原油価格とドルの相関原油と産油国通貨 原油相場の動向要因 原油価格もあ […]
<テクニカル分析判断>
●短・中期:過熱感を伴わぬまま「下げ一巡感」が出来。喪失した短期的方向性を改めて模索へ
8/26週は「寄付144.24:143.46~146.25:終値146.19(前週比+1.92円の円安」と、根強い上昇圧力を示唆する差し込み線的な陽線を形成。先週は<現在は「依然として“中期的な下落サイクルの中にある”
⇒現在のモメンタム(勢い)を考えれば7/30-8/5当時に近い「下値トライの可能性」が高まっていることには要注意>と結論づけていた。しかし、週初こそ下値トライは見られたものの、過熱感を伴わないままその日の内に反発に転じその後も「下値・上値を切り上げる典型的上昇サイクルパターン」を示現。(我々にとっては)想定外の「下落圧力は一巡」を市場に印象付けた。
なお、5週前から8.79円⇒6.21円⇒3.33円と超高水準からの縮小傾向が2週前に3.99円と再び拡大に転じたと思われた週間レンジは、先週2.79円に縮小し、上昇/下落の両圧力が再び拮抗し始めた可能性を示唆した。
◆◎◆上掲の日足チャートのポイント
1)21日・52日・200日全てのMAが下向きに転じ、21日MAは52/200MAとデッドクロスを示現
=>>>テクニカルには(依然として)「地合いは弱い(下落トレンドにある)」との示唆
=>>>ただし、21日MAは今後横ばいから上昇に転じる可能性あり
2)週初こそ下値トライは見られたものの、過熱感を伴わないまま即日反発に転じ、その後も「下値・上値を切り上げる典型的上昇サイクルパターン」を示現
=>>>「下落圧力は一巡」の可能性急浮上(以下、追加的要因)
➊強い上値抵抗線に転じたはずの21日MAを週末に「終値で上抜け」(この状況が連続して示現すれば「下落圧力は一巡⇒上昇軌道へと転化」の可能性も高まる:月曜日の終値は要注目)
➋3週前には「力強さを欠く」としたRSIやストキャスティクスの反発が再び顕現化。特に、前回「かつての支持線であった44.0の水準で反落」したRSIが再度44へ接近しており、終値でこの水準を突破できれば「下落圧力は一巡⇒上昇軌道へと転化」の可能性も高まる
◆◎◆上掲の週足チャートのポイント(現在➎は➊に類似の中期下落サイクル内にある?)
1)➊との相対比較において下落(≒上昇ではない)サイクルの持続期間に未充足感が残存
2)既に下降推移を辿る21週MAに続き52週MAも程なく緩やかに下降トレンドに入る見込み
=>>>テクニカルには(依然として)「地合いは弱い(下落トレンドにある)」との示唆
3)➊の最終盤でも見られた「差し込み線」が➎の(現時点での)底値圏で先週も観測(2回目?)
=>>> 1),2)には相反も、<RSI&ストキャスティクスの現状が➊との相対比較において底入れ反騰に転じること>や<図中の「差し込み線(下落圧力の減退/反転上昇圧力の高まりを示唆)」が本来の機能を発揮しうること>を考慮すれば、「下落圧力は一巡⇒上昇軌道へと転化」の可能性も高まろう
<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
■ここ数週指摘した通り「7/29~8/5の暴落のダメージ払拭には相応の時間を要する」と考えられ、現在は「依然として“中期的な下落サイクルの中にある”可能性が示唆される」状況
□ただし、既述の通り、僅かながらだとしても「下落圧力は一巡⇒上昇軌道へと転化」の可能性は台頭
◎引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、終値が以下の水準を上抜けできるか もしくは 維持できるかどうかに注目
<① 21週MA▲4.32%の水準=147.30円、② 21日MA=145.95円、③ 8/6,26の安値=143.55円>
>>> 上昇/下落の両圧力が再び拮抗し始めてはいるが「市場変動率は比較的高水準を維持する」と想定
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2024/08/30のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:下落一巡感が台頭。改めて短期的方向性を模索へ
〇上図は過去1年間の日足チャート。コメントは冒頭のものを併せてご参照。
□図中コメント通り「過去1年間での明確な下落局面」における「21日MA未満での経過日数」は、概ね同水準。下落一巡感が台頭したと同時に、改めて短期的方向性を模索するステージ入りか
>>> 想定レンジ=今週:144.15~148.35 、今後1ヶ月:141.60~150.15 =
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:「下落一巡感」が台頭。改めて中期的な方向性を模索へ
◇上図は冒頭のものを再掲。コメントは冒頭をご参照
=>>>テクニカルには(依然として)「地合いは弱い(下落トレンドにある)」との示唆あり
◎➊の最終盤でも見られた「差し込み線」が➎の(現時点での)底値圏で先週も2回目を観測
=>>><RSI&ストキャスティクスの現状が➊との相対比較において底入れ反騰に転じること>や<図中の「差し込み線(下落圧力の減退/反転上昇圧力の高まりを示唆)」が本来の機能を発揮しうること>を考慮すれば、「下落圧力は一巡⇒上昇軌道へと転化」の可能性もある
>>> 今後6か月間の想定レンジ = 137.40~152.40 ⇒ 138.45~153.45 =
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:8月は回避も、20ヶ月MAの下抜け/下落トレンドへ反転が迫る
■前3ヶ月分の推移を全て包み込むような長大陰線となった7月に続き、8月も陰線が継続
◇一方、長い下ヒゲが下落圧力の減退を示唆した上に、145.83まで上昇した20ヶ月MAを月末終値では何とかクリアした
◆ただし、この20ヶ月MAは9月には146.64程度に上昇してくること・RSIやストキャスティクスは下降トレンドが鮮明になりつつあることから、引き続き「20ヶ月MAを下抜け⇒下落トレンドへの反転が迫っている」状況に著変なし
>>> 今後1年間の想定レンジ = 137.40~156.90 ⇒ 138.45~159.60 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端)
◇米国:予想比良好な経済指標に「利下げ期待やや低下」⇒金利はやや上昇、株式は続伸
◇日本:目立った経済指標・当局者発言が希薄な中、金利はほぼ横這いも株式は続伸
◇USD円:予想比良好な経済指標にソフトランディング期待高まり、USD指数/USD円は上昇
◇米債利回り:予想比良好な経済指標に金利はやや上昇も、8月月間では利下げ期待の高まりから短期主導で米債利回りは大幅に低下した
> 2年債利回り:8/23 3.891% ⇒ 8/30 3.919%(前週比+0.028%上昇)
>10年債利回り:8/23 3.786% ⇒ 8/30 3.909%(前週比+0.123%上昇)
=>10年-2年の逆イールドは「▲0.010%と前週(▲0.105%)比で縮小し(下図)
:約2年続いた逆イールドはほぼ解消 ≒ ソフトランディングの蓋然性高まる
=> 景気後退の可能性ほぼ消滅?
先週、久々に欧米の友人達とグローバルな経済・金融市場に対する認識についてオンラインで意見交換しました。その場で感じたのは(上記「逆イールドの状況」でも指摘したように)米国経済は「冷え込みもなく、過熱もない所謂『ゴルディロックス』的な適度な状況」にあるのかもしれないということ。
ここ2ヶ月ほどの経済指標やFRB高官発言等によって、少なくとも「その蓋然性はかなり高まった」と彼らは半ば確信しているようでした。以下は、その際の主な意見要旨です。
◇(1年前までの)FRBの急激な利上げによって、インフレは着実に鎮静化し続けている
◇金融市場はインフレが(沈静化に向け)正しい方向に進んでいると確信している
◇利上げの副作用として景気もかなり抑圧されたが「景気後退には到らずソフトランディングの範疇に収まる蓋然性がかなり高い(その兆候が現在までのデータによって着実に示されている)」
◇かつて期待に過ぎなかった『ゴルディロックス』的な景気状況が今まさに顕現化している
□唯一軟化ペースが懸念された労働市場に対してもFRBの本格的/予防的な対応が期待される
⇒先週のweekly reportより以下一部抜粋
米)雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の年次基準改定の暫定値
=>>>当該期間のNFPの増加幅は290万人でしたが、年次基準改定を受け208.2万人に大幅な下方修正
米)FOMC議事要旨(7/30-31開催分)
=>>>「大半の参加者が次回会合での利下げが適切」との見解を寄せ、「多くの参加者は当局者が現在の金利水準は景気に対して抑制的」との認識を表明。さらに、「数人の参加者は、現水準の据え置きが続く限りディスインフレ傾向が強まり過ぎる」との懸念を表明。
>>>背景は「昨今の米国労働市場の軟化」にあると思われます。実際、<リスク評価については「インフレだけでなく二大目標のもうひとつである雇用の最大化に配慮」を打ち出すことで、インフレだけでなくあえて雇用にも留意する姿勢(=ダブルマンデートへの回帰)が強調>されました。
米)パウエルFRB議長の基調講演(@ジャクソンホール会議)
=>>>パウエルFRB議長は8/23の基調講演で「政策を調整すべき時が来た」と『次回9月のFOMCでの利下げ』をほぼ明言し、米国の金融政策が転換点を迎えたことを強調。既述の7月FOMC後の記者会見でも「9月の利下げ開始もありうる」としていましたが、次回会合まで1カ月を切ったタイミングで更に表現を強めた格好。なお、利下げは2020年3月以来4年半ぶり。
=>>>その他の発言要旨
◎物価について:「インフレ率は現在、我々の目標にかなり近づいている」との認識を示したうえで、FRBが重視する米個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比上昇率が7月に前年比+2.5%程度になるとの推計も示した(8/30発表の数値は議長の推計通りだった)。
また、「2年前に記録した7.1%から落ち着き、目標の2%が近い。先行きについても、2%に戻る持続可能な道筋をたどっているとの確信を深めている」と自信を示す。
◎雇用について:「米経済は堅調な成長を続けているが、雇用の下振れリスクは高まっている」と懸念を表明しました。「人手不足の度合いは既にコロナ禍前の2019年より緩んでいる」とした上で「労働市場のさらなる減速は歓迎しない。力強い労働市場を支えるために出来ることは全て行う」と強調。
◎金融政策について:「現在の政策金利水準は(景気減速の)リスクに対応できるだけの充分な(引き下げ)余地がある」としたほか、「方向性は明確であり、利下げのタイミングとペースは、今後発表されるデータや見通し、またリスクのバランスに依存する」としています。
⇒市場が最も関心を寄せたこの点についてだけは、いつものように『明言を避けた』恰好ですが、我々は「リスクのバランスについては『一旦鈍化し始めると加速的に悪化しがちな景気(雇用)に対してより配慮を強め、“予防的な利下げ”も辞さない姿勢』を示唆した」との認識を強めています。
■以上のポイントを踏まえた今後の注目点
◇9月に利下げがあるのは明らかだが、その幅が0.25%か0.5%かはまだ議論の余地を残す
⇒金利先物市場では、先週半ばまでは9月0.5%が過半だったが、週末には30%程度に低下
⇒「全ては来週の雇用関連データ(特に8/6の雇用統計)次第」との意見が圧倒的
⇒これに加え、以下予定されている重要経済指標によって市場変動率が高まる可能性あり
■今週発表予定の米重要経済指標(以下、安田佐和子氏のweekly reportより一部抜粋)
―米8月ISM製造業景況指数から米8月雇用統計まで、米重要指標目白押し
米国では、9月が新学期を迎える時期であるとともに、企業にとっても年度初めの意味合いが強い。何より、下半期のスタート時期でもあり、市場動向が不安定となる時期でもある。特に9月は、米株相場が荒れやすく、1928年以降、S&P500は9月のパフォーマンスは平均で1.2%安と、年間で最悪のパフォーマンスを記録する月にあたる。リスク選好度が低下するならば、ドル円の上値を押さえそうだ。
9月2日週は、2日こそ米国市場はレーバーデーで休場だが、3日の米8月ISM製造業景況指数、4日の米7月雇用動態調査(JOLTS、求人件数などを含む)、5日の米8月ADP全国雇用者数や米新規失業保険申請件数、そして6日には米8月雇用統計など、米指標の重要指標が目白押しだ。
FOMCの年内利下げ(ペース)をにらみながら、神経質な展開が予想される。
(以上、GFIT為替アンバサダー:安田佐和子氏のweekly reportよりごく一部を抜粋)
このon-line meetingについては、当初「各々の予測に関しては、夫々の予断にバイアスがかかり過ぎている」との印象が強かったのですが、現状の分析/認識においては概ね合致していました。Meetingの最後に、私から「予測においては、過度の予断は禁物。“データ次第”のスタンスが肝要ではないか」と申し上げたところ、「昨今君がweekly reportで多用してるフレーズね。ある程度予断(前提)をおかないと予測そのものが成り立たないが、最近は自分も極力そのスタンスで市場に対峙するようにしてる。特に、今回の“FRB利下げペース”の織込み具合などを見ても、結構フレが激しいからね。」との意見を多数頂きました。
さて、今週もまた一部の読者の方から『NYダウが最高値を更新中。日本株に比較して米国株の戻りがかなり順調に見えるがこのまま上昇基調は維持されるのか?』という趣旨のご質問を頂戴しましたので、これにお答えして今週のweekly reportを〆たいと思います。
□まずは先月8月月間の日米主要株価の推移を振り返ります。
日本:日経平均株価(▲1.16%)、TOPIX(▲2.90%)
米国:NYダウ(+1.76%)、S&P500(+2.28%)、NASDAQ(+0.65%)以上の通り、月初に共に急落を経た実績値としては日米の乖離が目立ちますね。
◎米国株式市場では、既述の通りNYダウが最高値を更新中ですが、あまり馴染みのない指数として“S&P500イコールウエイト指数”(各銘柄を均等構成比率として算出した株価指数)も最高値を更新しています。
●一方で、マグニフィセント7については「依然として、ひと銘柄も7月の最高値を奪回できていない状況」であり、これら7銘柄の構成比が高い、S&P500とナスダック総合は最高値更新が未達です。
■また、最高値を付けた7月半ば以降のS&P500の業種別騰落を見ると「不動産・公共・生活必需品・ヘルスケアなど金利敏感やディフェンシブ業種が相場の牽引役」となっていました。
=>>>こうした点から言えることは「株価指数全体としては戻り歩調にあるものの、『投資家は、株価のバリュエーションが高い大型成長株や景気に敏感な業種を避け、ポートフォリオの中身を保守的なものにシフトすることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑制している』こと」が推察されます。
■その背景としては『米国景気の先行きに対する警戒感が一番の理由』として挙げられます。
=>>>既述した今週予定されているISM製造業指数・雇用統計などの重要経済指標の発表がそうした懸念の払拭に繋がるかどうかが、注目されることになるでしょう。
=>>>そう考えると、既述のmeetingで一致を見た「かつて期待に過ぎなかった『ゴルディロックス』的な景気状況が今まさに顕現化している」との認識は“勇み足”になる可能性があるということですね。
<「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続すること。これをゆめゆめ忘れてはならないと改めて肝に銘じた次第です。>
お知らせ:今週も一部引用させて頂きましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、ジーフィット為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。
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