『マーケットの裏側』 人気コラム【よろずのつぶやきbyWada】で毎日語られる市場の裏側。 そんな人間臭い現場の声を、もっとわかりやすく、も […]
TRADOMの「未来を知る」ページでは、6か月後までの為替変動を予測レンジで表示する「為替未来チャート」を掲載しています。
本稿では、開発に携わった筆者が独自のチャートの特徴についてテクノロジーの観点から解説します。
為替未来チャートの最大の特徴は、将来の一定期間内のトレンド予測を複数のAIが自動で更新し、最新のトレンド予測データを提供できる点にあります。為替の変動要因は非常に複雑なために、様々な側面から網羅的に判断させるAI技術を活用しています。 どのようなプロセスを経てタイムリーなトレンド予測を実現しているのか、簡単に説明いたします。
為替未来チャートの特徴
多数決投票の実施
為替未来チャートは、それぞれユニークな専門性を持った多数のAIが独自の予測を行い、それを集約することで構成されています。
ユニークな専門性とは、例えば「為替変動をテクニカル指標を活用して読み解くことに長けている」、「米国雇用統計が為替相場に与える影響の取り扱いに長けている」、「日米金利差に基づく為替相場の長期トレンド判断を得意とする」などです。
このように多数の予測を集約してより優れた予測を構成させることを、「集合知(Cognitive Intelligence)」の活用と捉えることができます。幾つかの前提条件がありますが、集合知の活用により予測精度が上がることは数学的に証明されています。
将来期間に亘る逐次予測(マルチホライズン予測)の実施
為替未来チャートは「〇日後」や「〇ヶ月後」のような将来の一時点をピンポイントで予測するのではなく、「明日、1日後、2日後、、、〇ヶ月後」のように、一定間隔ごと多時点の将来予測を行います。
将来予測を行う際は、既にわかっている将来イベント(曜日、長期休暇や、政策金利発表等)を取り込み、予測の中で考慮することが可能です。
推理小説を解くかのように長期為替予測を構成
為替未来チャートは、2020年9月に発表された最新の「マルチホライズン予測」に対しGFIT独自の工夫を加えて開発されています。
ベースとなる技術は、「文章の翻訳や要約」に利用される技術と同様のものであり、過去の情報を継続保有しながら内容を紐解いていくことに長けています。
例えばだいぶ以前の為替相場の変動やイベントが、時間が経ってから徐々に影響し始めるような、推理小説における伏線回収のようなことも技術的に可能です。
まず、一般的な「文章の翻訳や要約」処理の仕組みをご紹介します。ここでは、一度出てきた単語を一定期間継続保有し、ある程度経ったら忘れる。Itのような代名詞が何を指すのか正しく判断する必要があり、高度な技術を必要とします。
一方、為替未来チャートのデータ処理イメージは以下の通りです。様々な情報が先行/遅行しながら為替相場に影響しますが、その要因を推理し、為替相場の長期的将来予測に活用しています。
30分ごとに予測を更新
予測は30分ごとに更新され、為替相場状況に応じたタイムリーな予測を提供し続けます。
まとめ.
● GFITが提供する「為替未来チャート」は、トレーディング収益の獲得を目的としない、適切な「為替予約」判断への応用を意識した予測です。
● 長期為替予測は非常に難しい取り組みであるため、1体のAI だけで予測を構成するのは不十分です。よって為替未来チャートは多数のAIを作成し、多数決投票の仕組みにより最終的な予測を構成させています。
● 一般的な「ある将来時点のピンポイント予測」と異なり、「明日から6か月後までの毎日の将来価格を同時に予測」します。さらに、既にわかっている将来イベント(長期休暇や、政策金利発表等)を取り込み、予測の中で考慮することが可能です。
● 「刻々と変化する為替相場」を「刻々と変化する推理小説のストーリー展開」かのように捉え、一つずつ推理(=予測)を進め、時に過去の伏線を回収しながら長期予測を構成します。
● 予測は30分ごとに更新され、為替相場状況に応じたタイムリーな予測を提供し続けます。
複雑な数学の説明無しに、為替未来チャートの仕組みを大まかに解説しました。
次回以降、「為替未来チャートに基づき、どのような為替予約を行うのが良いか」も解説予定です。
また、この予測の仕組みは、輸出入貿易事業者の販売予測等にも活用可能です。予測モデルそのものに興味があればぜひお問い合わせください。
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