<テクニカル分析判断>
●短・中期:続伸は4週止まりも、押し目買い圧力は根強く「162円トライ」は仕切り直しへ

□3/16週:「寄付159.54:157.53~159.90終値159.24、前週比▲0.48円の円高)」
◆前週比で▲0.48円の小幅な円高。 <2023年以降「5週連続上昇」は観測されておらず、5週目は「上昇が潰える」:先週のコメント> としたアノマリー(経験則)の再現となった
◇ただし、下ヒゲの長い小幅陰線で「根強い押し目買い圧力」が示唆されている上に「下値/上値の切り上がり」も依然継続。中期上昇サイクルは依然存続の可能性高い
◎週間変動幅は2.37円と、前3/9週の2.46円からごく僅かに縮小
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
●先週の「注目点」とした <過去3年半のアノマリーを踏襲し今回も「4週連続陽線で一旦収束」するのか、逆に「5週連続陽線」を形成し大幅な“レンジシフト”を伴う『本格的な上昇トレンド』へと移行するのか?> は、前者で決着
○ただし、以下の点から『中期上昇サイクルは依然として存続』の可能性が高い
①「下値/上値の切り上がりが5週連続と依然継続」している
②小幅陰線とはいえ、下ヒゲが長く『根強い押し目買い圧力』の継続を示唆
③ともに高水準領域にはあるものの、RSIやストキャスティクスにはピークアウトの兆候は未だになく、潤沢とは言えないまでも「上昇余地は残存」
④2022年以来の5連続(超)の陽線とはならなかったものの、(E:158.88)以降は最長3週に止まっていた連続陽線が、今回4週に進展し(E)以前には多発していたペース(勢い)を回復
⇒かつての「上昇の過熱」に近い状態を醸し出せる環境が整いつつある(下図もご参照)

<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
<◇2025年以降は「3週に止まっていた連続陽線」は、先週3/9週に15か月ぶりとなる「4週連続」に進展
◆他方、2022/10/17週の151.95での高値形成以降のほぼ3年半もの間「連続陽線の最大値は4週」に止まっており、5週目には大小に係らず陰線が出来。少なくとも「上昇圧力の一時収束」が顕現化
⇒このアノマリー(≒経験則)によれば3/16週の陽線(上昇)は期待しづらい>
⇒先週も指摘した上記の状況は<“一旦休止”アノマリーの再現>となった
<⇔>ただし、これは「上昇圧力が少なくとも一時収束した」ことが顕現化しただけであり、その後「トレンドが下落に転じる」かどうかは分からない(→ 一旦休止後、再上昇の展開もありうる)
⇒もちろん、先週既にピークアウトし下落サイクルが始まっている可能性も完全には排除できない

<上掲チャートのポイント(日足):短期時間軸>
〇上記週足と同様、(21日MA▲2.16%にほど近い)下降トレンドラインでダブルボトムを形成して底打ち/反発は確認
●ただし、週後半に大陰線を形成し「ピークアウト⇒下落サイクル入り」の懸念台頭も、21日MA近辺でキッチリ底入れして週末にかけ再び反発。159円台を回復して越週
=>(週足でも既述の通り)底打ち/反発から「5週目に上昇は一旦休止」が顕現化
=>これに伴い、RSIやストキャスティクスも水準を切り下げてきたため、逆に『RSIストキャスティクス共に上昇余地が拡大』
=>以上の点から、短期時間軸においても『上昇サイクルは依然として存続している』可能性が高い
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
□日足・週足・月足の全ての時間軸で、かつて強力なレジスタンスラインとなっていた『’24/7からの下降TL』を、昨秋、全時間軸の終値ベースで上方突破したことにより『長期上昇トレンドの再開』を確認済み
◇また、このTLは現在も「強力なサポートライン」として機能しており、1/26週に続き2/9週の強い下落圧力にも「このTLの水準で底打ち/反発」を示現
=>今後は、昨年4月からの上昇TLが「強力なサポートライン」として機能する
◇「連続上昇は5週目で一旦休止」のアノマリーが顕現化したことにより上昇モメンタムの減速は否めないものの、「中長期上昇トレンド」は依然として存続している可能性は高く、今後(ペースは減速してゆくかもしれないが)“仕切り直し”としての162円台へのトライも十分考えられよう
◎短期的な自律調整を経て「中長期的な円安/USD高トレンドは再びしっかりしたもの」になりつつあると認識
=>「連続上昇は5週目で一旦休止」のアノマリーが顕現化したことでひと頃に比べて上昇モメンタムの減速は否めない。ただし、今後については、折に触れて調整的展開を交えることで「上昇ペースは徐々に秩序あるものとなってゆく可能性が高い」と考える
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
- 163.30円=21週MA+4.32%
- 162.30円=21週MA+3.69%
- 161.60円=21日MA+2.16%
- ☆160.35円=21週MA+2.46%☆
- ☆158.20円=21日MA☆
- 157.60円=21週MA+0.69%
- 156.50円=21週MA
- 154.75円=21日MA
>>>上記4(上方)と5(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/3/20のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:上昇一旦休止後の仕切り直しが見られるか

〇上図は前掲(直近1年)分を直近2年分に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
◇「連続上昇は5週目で一旦休止」のアノマリーが顕現化したことでひと頃に比べて上昇モメンタムの減速は否めない。ただし、今後については、折に触れて調整的展開を交えることで「上昇ペースは徐々に秩序あるものとなってゆく可能性が高い」と考える
>>> 想定レンジ=今後1週間:156.50~162.60、今後1ヶ月:155.40~165.00=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:上昇は一旦休止も、強い地合いに著変なし

◇上図は冒頭掲載分の期間を50か月に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
○以下の諸点から『中期上昇サイクルは依然として存続』の可能性が高い
①「下値/上値の切り上がりが5週連続と依然継続」している
②小幅陰線とはいえ、下ヒゲが長く『根強い押し目買い圧力』の継続を示唆
③ともに高水準領域にはあるものの、RSIやストキャスティクスにはピークアウトの兆候は未だになく、潤沢とは言えないまでも「上昇余地は残存」
④2022年以来の5連続(超)の陽線とはならなかったものの、158.88円以降は最長3週に止まっていた連続陽線が、今回4週に進展し158.88以前には多発していたペース(勢い)を回復
⇒かつての「上昇の過熱」に近い状態を醸し出せる環境が整いつつある
>>>今後6か月間の想定レンジ = 149.70~165.75⇒ 149.70~166.65=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:モメンタムの回復で超長期上昇トレンドは着実に進展中

◇上値抵抗線として機能していた2024年夏以降の下降トレンドライン(TL)突破が示現。その後、このTLは下値支持線に転化し、直近3か月も月内での『重要な底打ち/反発水準』としての機能を継続
◆超長期上昇トレンドの鮮明化に伴い、ストキャスティクスはかなりの高水準へ差し掛かり、既にピークアウトの兆しも無いとは言えない。しかし、60ヶ月MA+30%の水準とは大きく乖離しており、この点で「上昇の過熱」は全く感じられない
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.30~168.90 ⇒ 147.30~168.90 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):イラン紛争/原油高で金融市場大荒れ
◆米国:雇用急減速もイラン紛争/原油高で週末にかけ金利上昇/株安が進む
◆日本:イラン紛争→原油暴騰でインフレ懸念が再び台頭、リスクオフが急進展
◆USD円:米金利上昇・有事のドル買いもUSD指数・USD円共に上昇が一旦停止

◎前半のテクニカル分析では、以下のポイントを結論としました。
<日足・週足・月足の全ての時間軸で、かつて強力なレジスタンスラインとなっていた『’24/7からの下降TL』を、昨秋、全時間軸の終値ベースで上方突破したことにより『長期上昇トレンドの再開』を確認済み
◇また、このTLは現在も「強力なサポートライン」として機能しており、一時的な強い下落圧力にも「このTLの水準で底打ち/反発」を示現
=>今後は、昨年4月からの上昇TLが「強力なサポートライン」として機能する
◇「連続上昇は5週目で一旦休止」というアノマリーが顕現化したことにより上昇モメンタムの減速は否めないものの、「中長期上昇トレンド」は依然として存続している可能性は高く、今後は“仕切り直し”としての162円台へのトライも十分考えられよう
近3週の当レポートでも毎回指摘している通り「米国・イスラエルvsイランの軍事衝突(以下「イラン紛争」)」の影響による原油価格の急騰などによって、金融市場のボラティリティは大きく高まりました。元々、こうしたボラティリティの高まりにリスクを感じていた我々の運用する年金資産が2月から順次現金化を進めてきたことはご案内の通りですが、国内債券を含めたリスク性資産は現在ポートフォリオに存在しないため「来年度についてもポートフォリオを構成するプロダクトのリスク、並びにそれらを組み入れてゆく時間的なリスク」については十分な分散を心掛けてリスクコントロールに努めてまいる所存です。(←この週末、基金加入者の方から頂いた質問へのお答えです)
さて、「国連憲章並びに国際法違反」が明らかな米・イスラエルによる「突然のイラン攻撃開始」から既に3週間超が経過しました。この紛争開始当初の「早期に終結」(トランプ大統領)の期待は裏切られ「(実質的な)ホルムズ海峡封鎖」による原油高に象徴されるエネルギー価格の高騰、これらに牽引されたインフレ圧力の高まりはその後もグローバルな金融資本市場に甚大な影響を与え続けています。
因みに、日米欧亜の主要株式指数はこの3週間で当然のように下落していますが、その幅は各国個別の事情によりマチマチ。ざっと俯瞰すると以下の通りです。
| 2月末(2/27) | 3/20 | 下落率 | その他 | |
| 日 本 (TOPIX) | 3,939 | 3,609 | ▲8.4% | 3週続落 |
| アメリカ(SP500) | 6,879 | 6,506 | ▲5.4% | 3週続落 |
| イギリス(FTSE) | 10,911 | 9,918 | ▲9.1% | 3週続落 |
| ドイツ(DAX) | 25,284 | 22,380 | ▲11.5% | 4週続落 |
| 香港(ハンセン) | 26,631 | 25,277 | ▲5.1% | 4週続落 |
| 中国(上海総合) | 4,163 | 3,957 | ▲5.4% | 春節含む |
エネルギー価格の影響を受けやすい欧州(ドイツ・英国)・日本の順に下落率が大きくなっていますが、まだ夫々10%前後に止まっており、昨年4月にトランプ大統領が相互関税の発動停止に動いた(最初に「TACO」った)時の下落率から考えれば、概して各国ともに当時の1/3から1/2程度の下落率に止まっているとの見方もできます。違う観点からは「更なる下落余地あり」とも言えるでしょう。
また今回のイラン紛争がもたらした原油高は世界中の国々に「インフレ懸念」のタネをまきちらしていますが、そんな中で先週当欄でも取り上げたのが「日本時間3/19を中心に金融市場の耳目を集めることとなった“中銀week”」です。
先週は、主要国の金融政策を決定する会合が相次いだ“中央銀行ウィーク”となったことは先週もお伝えしています。各会合での決定を時系列で言えば『オーストラリアが2会合連続で利上げを決定』しましたが、その他の中銀は『揃って政策金利の変更を見送り』ました。しかしながら、金利(債券)市場では、据置を決定した米国をはじめ、EU、英国、カナダ、スイスについても『利下げ期待の後退』や『利上げの織込み』が大きく進捗しています。
例えば、パウエルFRB議長やラガルドECB総裁はいずれも会合後の会見で決して「利上げに前のめりな発言」をしたわけではありませんでしたが、先物市場が示唆する2026年末の米FF金利水準は3.72%と現行の3.625%を上回っており『FRBの次の一手は“利下げ”ではなく“利上げ”となる』ことを織り込み始めていると言えます。ECBについても、現行の政策金利2.0%に対し年末には2.7%台と『年内3回弱の利上げ』を見込んでいる状況に至りました。
今回「金利据え置き」を決定したいずれの中央銀行も「現在の中東情勢・原油高の影響を判断するには不確実性があまりにも高過ぎるため、暫く様子見姿勢を取らざるを得ない」との趣旨の見解を示していました。振り返ると、2022年のロシアのウクライナ侵攻によって原油高・インフレ上昇が進んだ際に、各中銀の対応が後手に回ったことの反省から、金融市場では『今回は各中銀とも早めに動く』との見方が広がっているものとみられます。
こうした利上げ織り込みが金融市場で進んだことによって、当然ながら主要国の長期金利は週末にかけて急上昇しています。米10年国債利回りは4.38%と8ヵ月ぶりの高水準、英10年国債利回りは2008年以来の5%台、独10年国債利回りも2011年以来の3%台での終値を記録しています。
もちろん、日銀も慎重な姿勢を維持しつつも利上げに向けたプロセスを着実に踏んでいるといえます。ただし、ひところ呪文のように繰り返されていた「日銀は金融正常化(利上げ) VS 欧米はコロナ禍以降のインフレ鎮静化/景気浮揚の観点から利下げ」という『金融政策の方向性の違いを円高要因として強調』する論評も多々ありましたが、USD指数が下げ続けた昨年も円は対USDで上昇することはありませんでした。
これまでも繰り返し指摘してきた通り「為替レートは当該2国間の“相対評価”で決まるもの」です。昨年弱いUSDに対して上昇できなかった円には「金融政策の方向性の違い」という優位性ではカバーできない『よりプリミティブな弱点(例えば主要国間で突出して低い:マイナスの:実質金利)』があったと考えるのが妥当なのではないでしょうか。その観点から申し上げれば、現在大幅に方向転換した主要国中銀の金融政策スタンスは『既に円高要因とはなりえない』し“2通貨ペア間の相対評価”を重視すればバイアスが180度転換した『外貨高要因』と受け止める方が自然なのかもしれません。
さて、既述の通り、昨年4月にトランプ大統領が相互関税の発動停止に動いた(最初に「TACO」った)時に重要な進言をしたのは、米長期金利の急上昇を憂慮したベッセント財務長官だと言われています。
既掲の一覧表でもご覧頂いたように、我々が常に注目している米S&P500指数は直近高値からまだ▲6%弱の調整にとどまっています。この段階でトランプ氏が「TACOる」かどうかは不透明ですが、低下を続ける支持率を懸念するトランプ氏が金融市場の安定に動く蓋然性は相応に高まってきていると言えるでしょう。仮に現時点でTACOったとすれば(一時的にせよ)原油高に歯止めがかかり、これまでの反動がある程度期待できるかもしれません。
ただし、現時点でイランが米国とイスラエルに提示している停戦条件を素直に受諾するとは到底思えません。また、仮に『米国が一方的に停戦を宣言』したとしても、米国とイスラエルが勝手に始めた戦争であるため「イランの反応」や現在最大の市場変動要因となっている「原油価格動向」が、米長期債利回りを直ちに低下させることができるかどうかも不透明です。
したがって『原油高・インフレ高進』を前提とした「有事のUSD高」・「インフレへの耐性が極めて脆弱な円(安)」の可能性についても、あらかじめ想定に入れておく必要は相応にあると思われます。
いずれにせよ、金融市場が混乱して米国株が大きく下落すれば、何等かのアクションを取らざるを得ないとみられます。現在の先行き不透明極まりない事態が急速に変化する展開は予め想定しておく必要があると思われます。
11月に米中間選挙を控え、低下傾向が続く支持率の回復を狙う米トランプ政権。しかし、年明け以降の「力による安定」をアピールしたい政権の政策に対する透明性や評価は決して高いとは言えないと思われます。これに伴って、足元における金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況です。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
お知らせ:今週は我々の都合によりご案内できませんでしたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
2026/3/23
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