<テクニカル分析判断>
●短・中期:「上昇圧力の増勢」によって2022年以来の「5週連続陽線」の達成なるか

□3/9週:「寄付158.07:157.29~159.75終値159.72、前週比+1.92円の円安)」
◇前週比で+1.92円の円安となり2024年12月以来の4週続伸。また、終値の159.72円は2024/7/1週以来の高水準であり、当時「34年ぶりの高値」とされた161.94円も指呼の間に迫った
◇また、想定よりも早いタイミングで「21週MA+2.16%」の水準を上回っており、地合いは更に強調度合いが増幅している模様
◆一方で、2023年以降「5週連続上昇」は観測されておらず、5週目に当たる今週は「上昇が潰える」可能性には要注意
◎週間変動幅は2.46円と、前3/2週の2.19円から4週ぶりに小幅に拡大
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
◎先週の「注目点」とした、2024/4/8週(図中★&赤い太丸)と同様に「前回高値(158.88)を終値で超えられるか」は顕現化
⇒上昇が加速し、終値で(E:158.88)や直近高値のG:159.45をもあっさり超えてきたため、「2024/7/3の高値(C:161.94)」へのトライも間近に迫ってきた(図中右端の2つの★&赤い太丸)
○昨年の高値(E:158.88)並びに今年の高値(G:159.45)を終値で上回ったことで「2025/4/22(139.89円)以降の緩やかな上昇トレンド」は更に堅固なものとなった
〇既に反発に転じているものの『63.0と依然上昇余地を残すRSI』や、先週『上昇が急加速したストキャスティクス』が上昇モメンタムを増幅
=>ならば、このまま上昇が加速し「一気呵成に2024/7/3の高値(C:161.94)へのトライとなるか?」については、以下の留意点あり(下掲チャートご参照)

<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
◇2025年以降は「3週に止まっていた連続陽線」は、先週3/9週に15か月ぶりとなる「4週連続」に進展
◆他方、2022/10/17週の151.95での高値形成以降のほぼ3年半もの間「連続陽線の最大値は4週」に止まっており、5週目には大小に係らず陰線が出来。少なくとも「上昇圧力の一時収束」が顕現化
⇒このアノマリー(≒経験則)によれば今週の陽線(上昇)は期待しづらい
<⇔>ただし、「上昇圧力が少なくとも一時収束した」ことが顕現化しただけであり、その後「トレンドが下落に転じる」かどうかは不明(→休止後再上昇の展開もありうる)
=>仮に、上昇が続き「5連続陽線が示現した場合の含意」は何か?
□「5週連続陽線」の出現は「9か月で113.45→151.95(38.5円:+33.9%)の急上昇を見た2022年1月~10月」に遡り、内訳は<9週連続×2、7週連続×1>という『超』上昇相場
⇒過去3年半のアノマリーを覆し「5週連続陽線」が形成された場合、これまで11か月続いた『緩やかな(秩序ある)上昇トレンド』から(3割以上の?) 大幅な“レンジシフト”を伴う『本格的な上昇トレンド』へと移行する可能性がある
→その場合、RSIやストキャスティクスは「上昇の過熱」を警戒すべき水準へ上昇していると思われるが、2022年のデータが示している通り「時の(上昇)トレンドが強烈に反映されている場合は『過熱状態が長期間維持される』こともある」点は要認識
=>過去3年半のアノマリーを踏襲し「上昇は一旦収束(or反落)するのか」、あるいは5連続陽線が示現して9ヶ月で30%超の急上昇を見た2022年に類似する「本格的上昇トレンドにシフトチェンジしてゆくのか」?
→今週の展開は、今後の相場の方向性に多大な影響を与えうる極めて重要な意味を持つことになる

<上掲チャートのポイント(日足):短期時間軸>
〇既述の週足と同様、(21日MA▲2.16%にほど近い)下降トレンドラインでダブルボトムを形成して底打ち/反発。その後も順調に上昇軌道を辿り、現在は想定レンジ上限(21日MA+2.16%)に近い水準にある
◎先週の「注目点」とした、2025/1/10の高値(158.88)を「終値・2日以上連続で超えられるか」は週末にかけて顕現化
⇒上昇が加速し、終値で(158.88)や直近高値の(159.45)をもあっさり超えてきたため「2024/7/3の高値(161.94)」へのトライも間近に迫ってきた
⇒これにより「2025/4/22(139.89円)以降の緩やかな上昇トレンド」は更に堅固なものとなった
<⇔>
●一方、RSIは69.2と過熱領域となる70に急接近。また、ストキャスティクスは既に反落を警戒すべき水準に上昇/高止まりしている点には留意が必要か
→ただし、(既述の週足でも言及したように)2022年のデータが示す通り「時の(上昇)トレンドが強烈に反映されている場合は『過熱状態が長期間維持される』こともある」点は要認識
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
□日足・週足・月足の全ての時間軸で、かつて強力な上値抵抗線となっていた『’24/7からの下降TL』は、昨秋、全時間軸の終値ベースで上方突破したことにより「強力な下値支持線」に転化/機能しており、1月末から2月上旬にかけての強い下落圧力にも「このTLの水準で底打ち/反発」を示現
=>全時間軸において『’24/7からの下降TL』でのボトムアウト(上昇モメンタムの高まり)が再確認されたことで、当面は2024/7月の161.94方向への上値模索が先行する展開となりやすい
◇他方、2025年以降は「3週に止まっていた連続陽線」は、先週3/9週に15か月ぶりとなる「4週連続」に進展
◆しかし、2022/10/17週の151.95での高値形成以降のほぼ3年半もの間「連続陽線の最大値は4週」に止まっており、5週目には大小に係らず陰線が出来。少なくとも「上昇圧力の一時収束」が顕現化
⇒このアノマリー(≒経験則)によれば今3/16週の陽線(上昇)は期待しづらい
<⇔>ただし、「上昇圧力が少なくとも一時収束した」ことが顕現化しただけであり、その後「トレンドが下落に転じる」かどうかは不明(→休止後再上昇の展開もありうる)
=>仮に、上昇が続き「5連続陽線が示現した場合の含意」は何か?
□「5週連続陽線」の出現は「9か月で113.45→151.95(38.5円:+33.9%)の急上昇を見た2022年1月~10月」に遡り、内訳は<9週連続×2、7週連続×1>という『超』上昇相場
⇒過去3年半のアノマリーを覆し「5週連続陽線」が形成された場合、これまで11か月続いた『緩やかな(秩序ある)上昇トレンド』から(3割以上の?) 大幅な“レンジシフト”を伴う『本格的な上昇トレンド』へと移行する可能性がある
→その場合、RSIやストキャスティクスは「上昇の過熱」を警戒すべき水準へ上昇していると思われるが、2022年のデータが示している通り「時の(上昇)トレンドが強烈に反映されている場合は『過熱状態が長期間維持される』こともある」点は要認識
=>過去3年半のアノマリーを踏襲し「上昇は一旦収束(or反落)するのか」、あるいは5連続陽線が示現して9ヶ月で30%超の急上昇を見た2022年に類似する「本格的上昇トレンドにシフトチェンジしてゆくのか」が、今週最大の注目点
→今週の展開は、今後の相場の方向性に多大な影響を与えうる極めて重要な意味を持つことになる
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
- 163.05円=21週MA+4.32%
- 162.75円=21日MA+3.69%
- 161.85円=21日MA+3.09%
- ☆160.85円=21日MA+2.46%☆
- 158.90円=21日MA+1.23%
- ☆158.20円=21週MA+1.23%☆
- 157.00円=21日MA
- 156.30円=21週MA
>>>上記4(上方)と6(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/3/13のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:やや過熱感台頭の中161.94突破なるか

〇上図は前掲(直近1年)分を直近2年分に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
◇全時間軸でボトムアウト(上昇モメンタムの高まり)を確認したことで、当面は2024年7月高値(161.94)方向への上値模索が先行する展開となりやすい
●一方、RSIは69.2と過熱領域となる70に急接近。また、ストキャスティクスは既に反落を警戒すべき水準に上昇/高止まりしている点には留意が必要か
→ただし、(既述の週足でも言及したように)2022年のデータが示す通り「時の(上昇)トレンドが強烈に反映されている場合は『過熱状態が長期間維持される』こともある」点は要認識
>>> 想定レンジ=今後1週間:156.30~163.05、今後1ヶ月:152.70~164.70=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:今週も陽線の場合は本格的上昇へシフトか?

◇上図は既掲2枚目を再掲。解説コメントについては既掲をご参照下さい
=>過去3年半のアノマリーを踏襲し「上昇は一旦収束(or反落)するのか」、あるいは5連続陽線が示現して9ヶ月で30%超の急上昇を見た2022年に類似する「本格的上昇トレンドにシフトチェンジしてゆくのか」が、今週最大の注目点
→今週の展開は、今後の相場の方向性に多大な影響を与えうる極めて重要な意味を持つことになる
>>>今後6か月間の想定レンジ = 149.70~165.75⇒ 149.70~166.50=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:勢い回復で超長期上昇トレンドは着実に進展中

◇上値抵抗線として機能していた2024年夏以降の下降トレンドライン(TL)突破が示現。その後、このTLは下値支持線に転化し、『重要な底打ち/反発水準』として機能を継続
◆超長期上昇トレンドの鮮明化に伴い、ストキャスティクスはかなりの高水準へ差し掛かり、既にピークアウトの兆しも無いとは言えない。しかし、週足でも指摘の通り2024/7月の161.94を終値で超えれば、2021-22年同様、9-18ヶ月もの期間RSIやストキャスティクスが高止まりする『上昇の過熱』も起こり得る
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.30~168.90 ⇒ 147.30~168.90 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):イラン紛争長期化懸念でリスクオフ続く
◆米国:スタグフレーションやイラン紛争の長期化懸念でリスクオフ展開が継続
◆日本:イラン紛争→原油高騰でスタグフレーション懸念が急浮上、トリプル安進展
◆USD円:米金利上昇・有事のドル買いでUSD指数は上昇継続・USD円は4週続伸

◎前半のテクニカル分析では、以下のポイントを結論としました。
<全時間軸において『’24/7からの下降TL』でのボトムアウト(上昇モメンタムの高まり)が再確認されたことで、当面は2024/7月の161.94方向への上値模索が先行する展開となりやすい>
<◇他方、2025年以降は「3週に止まっていた連続陽線」が、先週3/9週に15か月ぶりとなる「4週連続」に進展
◆しかし、2022/10/17週の151.95での高値形成以降のほぼ3年半もの間「連続陽線の最大値は4週」に止まっており、5週目には大小に係らず陰線が出来。少なくとも「上昇圧力の一時収束」が顕現化
⇒このアノマリー(≒経験則)によれば今3/16週の陽線(上昇)は期待しづらい>
<□上昇が続き「5連続陽線が示現した場合の含意」
〇「5週連続陽線」の出現は「9か月で113.45→151.95(38.5円:+33.9%)の急上昇を見た2022年1月~10月」に遡り、内訳は[ 9週連続×2、7週連続×1 ]という『超』上昇相場
⇒過去3年半のアノマリーを覆し「5週連続陽線」が形成された場合、これまで11か月続いた『緩やかな(秩序ある)上昇トレンド』から(少なくとも2割以上の?) 大幅な“レンジシフト”を伴う『本格的な上昇トレンド』へと移行する可能性がある
→その場合、RSIやストキャスティクスは「上昇の過熱」を警戒すべき水準へ上昇していると思われるが、2022年のデータが示している通り「時の(上昇)トレンドが強烈に反映されている場合は『過熱状態が長期間維持される』こともある」点は要認識>
<過去3年半のアノマリーを踏襲し「上昇は一旦収束(or反落)するのか」、あるいは5連続陽線が示現して9ヶ月で30%超の急上昇を見た2022年に類似する「本格的上昇トレンドにシフトチェンジしてゆくのか」が、今週最大の注目点
→今週の展開は、今後の相場の方向性に多大な影響を与えうる極めて重要な意味を持つことになる>
さて、既述の通り「テクニカルには“今週、5連続陽線が形成されるかどうか”が最大の注目点」としました。一方で、ファンダメンタルズにおいても今週は比較的重要なイベントが国際的に重複する日も少なくありません。
そこで今号では「我々が気になっている(重要視している)イベントやキーワードをピックアップ」して夫々に簡単な所感を付記させて頂きます。
まず、今週は主要国中央銀行の政策発表が集中する「中銀ウィーク」となります。日本時間3/17の豪準備銀行(RBA)を皮切りに、同3/19未明の加中央銀行(BOC)・米連邦公開市場委員会(FOMC)、3/19日中の日本銀行(BOJ)、同夜の欧州中央銀行(ECB)・イングランド銀行(BOE)・スイス中央銀行(SNB)と政策金利の発表が相次ぐ予定です。
市場の事前予想では「RBAが原油高を受け『利上げ』の見通し」。ECBやBOEについては『今回は据え置き』ながらも年内利上げが織り込まれつつあるようです。
一方、スタグフレーションへの懸念も取りざたされる米国では『今回は据え置き緩やかに』が確実視されていますが、今回の市場の最大の注目点は「経済・金利の見通し」に集中していると思われます。先日の米2月雇用統計では、非農業部門就労者数が減少した一方、米1月コアPCEとスーパーコアが約2年ぶりの加速を示しました。足元では原油高も重なってスタグフレーション懸念が強まる状況下、今年の成長率の下方修正やインフレと失業率の上方修正が見込まれています。こうした流れの中でトランプ大統領が執拗に求めている『(年内)追加利下げ』の予想回数は皮肉にも漸減傾向にあるといえるでしょう。
昨年まではインフレの落ち着きを受けて欧米主要国が政策金利を引き下げる一方、一周遅れの日銀が「金融政策の正常化」を進める過程で『利上げ』を継続中?です。この金融政策の方向性のミスマッチから今年度は「円高」を予想する市場参加者が多かったわけですが、実際は主要通貨の中で「USD安と円安」が進んだ年度だったと言えるでしょう。
当欄では繰り返し指摘してきましたが「為替レートは金融政策の方向性や名目金利差だけでは決まらず、実質金利(差)や対内外の資本フローなどを総合的に勘案する必要がある」との見方は決して的外れではなかったようです。
この流れで申し上げれば、160円が目前に迫った状況下「円買い市場介入で円安を止める/円反発へ流れを変える」との見方も根強いようです。しかしながら、(これも当欄では繰り返し主張してきましたが)「介入はスムージングオペに過ぎず、根本的なトレンドを変えるほどの力はない」と考えています。
USD円で申し上げれば、基軸通貨であるUSD(USD指数)が上昇トレンドにある局面でUSD売り介入を行っても効果は限定的だし、ひとたびUSDが下降トレンドに入れば介入を行わなくても円の価値は相対的に回復(向上)するということです。
さて、リスクオフ展開が進む中で「日本株の下値メドは?」などのご質問も頂戴しておりますので、株式相場にも少し触れたいと思います。
正直に申し上げますと、私は日本株だけを専門的に見ているわけではなく、あくまでもグローバル株式投資の一つの対象として捉え、分析しています。その意味で、グローバル株式全体の方向性を正しく捉えるためには米国株式市場の分析は不可欠です。
我々が米国株の主要インデックスとしているS&P500の先週末終値は6632ポイントで、本年1/27に記録した最高値から約▲5%の下落となっていました。市場参加者の多くが下値抵抗線として注目している同指数の200日移動平均線(MA)は6600ポイント近辺で推移しており、当面、この水準を維持できるかどうかがポイントとされているようです。仮に、この200日MAを下回った場合、トランプ関税の発表が相次いだ昨年3月以来となり、米国株の調整色が一段と鮮明になってくるでしょう。
米国株が持続的に反発する為には、現在金融市場最大の変動要因となっている原油価格の落ち着きが前提となります。その原油価格の動きに大きな影響を与えるのは、トランプ大統領の意向だと考えられますが、毎度申し上げているように彼の言動を予測することは私には不可能です。
ただ、今回の紛争は彼らが勝手に始めたことですので、仮に米国株の下落が続いた場合は「トランプ大統領が突然軍事行動の停止を一方的に宣言する」可能性は十分あるのではないかと考えています。
米国株式市場への影響という意味では「FRBによる利下げ期待の後退」も、足元での米国株の調整をもたらしている理由の一つだと言えるでしょう。既述の通り、原油高・ガソリン高でインフレが進んでいるために、雇用市場が悪化してもFRBが利下げ出来ないとの懸念(いわゆるスタグフレーション懸念)が広まっています。しかしながら、FRBが金融政策(利下げ)判断で最も重視する指標は、長期の期待インフレ率だと思われますし、先週末の債券市場での期待インフレ率は2.16%と比較的落ち着いた動きが続いているようです。こうした長期期待インフレ率がこの先も低位で落ち着いていれば、仮に原油価格が高止まりの状態にあっても、雇用市場の動向次第では「利下げが検討される」可能性は排除できないでしょう。実際、1990年8月に勃発した湾岸戦争時には、原油価格が高止まりしている中で、FRBは雇用市場の悪化に対応して利下げに踏み切っていました。
ただ、為替相場にせよ株式相場にせよ、市場変動要因として今週以降も最も注視すべきは「原油価格」だと思われます。
各種報道でもご案内の通り、米国とイスラエルによる対イラン攻撃を発端とした中東情勢の緊迫度は一向に落ち着く気配はなく、紛争は 3 週目に入った現時点でも収束の兆しが見られません。
イランはホルムズ海峡の「(事実上の)閉鎖」を継続している模様で、船舶の航行に対する緊張は高まったままとなっています。
また、世界の海上原油輸送の 20%を担うホルムズ海峡が実質的に機能不全に陥っている上に、足もとの供給不安も急速に高まっており、日本時間3/16午前には、米国 WTI 原油先物価格が1 バレル 100 ドルを回復するなど、2022 年 7 月以来の水準まで急騰する場面もありました。
このように、グローバルに見た金融市場において、現在最も敏感なリアクションが見られるのはイラン紛争に端を発した『原油価格の変動』だと思われます。
本件については、先週も一部ご案内しましたが当事国3国の戦略は読みにくく、特にトランプ大統領の荒唐無稽な政策/戦略は(個人的には)「考えるだけ時間の無駄」との感想を持っています。それでも、加入者の方々からお預かりしたご資金を運用する責任を負っている以上、分析を避けては通れない問題です。
このような状況下、このトピックについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏が3/16付けのWeekly Reportに詳細な解説をされていますので、WRの一部を抜粋してご案内します。
<以下、安田佐和子氏の3/16付けWeekly Reportより>
――長期化の様相を呈するイラン戦争、1970年代の石油危機から見た政策的示唆
米国とトランプ大統領は3月9日にイランによる軍事作戦の「終結が近い」と発言した。同氏はイランの無条件降伏を要請する一方で、ペゼシュキアン大統領は3月11日、停戦の条件に①イランの正当性を認めること、②賠償金の支払い、③将来の侵略に対する確固たる国際的保証――を提示。最高指導者に選出されたモジタバ師は、3月12日に声明で「敵に圧力をかけるための手段として継続すべき」、「中東にある米軍基地はすべて直ちに閉鎖されるべきであり、閉鎖されなければ攻撃対象になる」と表明しており、長期化の様相を呈している。イランの弾道ミサイルの減少が指摘される一方で、JPモルガンは米国が紛争を継続する上で3つのM、すなわち「弾薬(Munition)」、「マーケット(Market)」、そして「中間選挙(Midterm)」――がカギを握ると分析。このうち、マーケットは原油高と金利上昇、株安に直面し、「弾薬」については米国の迎撃ミサイル(PAC‑3、THAAD、SM‑3)は生産が追いつかない状況とされる。また、イランにはミサイルが減少しても、安価で軍需工場以外で簡易に製造できる無人機シャヘドがホルムズ海峡を通航するタンカーを含め、脅威となりかねない。
既に日本経済への影響が懸念されるが、1970年代の二度にわたるオイルショックの経験を振り返ってみよう。第一次ショック(1973年10月–1974年3月)では、原油価格の急騰が国内の過剰流動性と結びつき、消費者物価指数(CPI)は1974年2月に前年同月比24.9%を記録する「狂乱物価」へと発展した。背景には、列島改造論に伴う投機熱、ニクソン・ショック後の金融緩和、そして供給ショックが重なった構造的要因がある。
チャート:石油危機時のWTI原油現物価格の推移

金融政策は急転換を迫られた。日銀は1973年春まで緩和基調を維持していたが、石油危機発生後は公定歩合を4.25%から年末には9%へと急速に引き上げ、貸出規制や窓口指導を通じて総需要の抑制を図った。この「総需要抑制策」は、短期的には企業倒産と景気後退を招いたが、暴走するインフレ心理を抑え込むためには不可避の措置だったと言えよう。
金融政策と並行して、財政政策も引き締め色を強めた。大型公共事業の凍結、歳出削減、物価安定緊急措置法や国民生活安定緊急措置法による直接介入が実施され、物価統制と生活物資の安定供給が優先された。補助金は供給確保・省エネ投資・産業再編を支える方向に重点が置かれ、エネルギー多消費型産業から省エネ型産業への構造転換が加速した。
チャート:石油危機発生時、公定歩合と全国CPIの推移

こうした政策対応は、①金融引き締め、②財政引き締め、③賃金抑制、④省エネ・備蓄を中心とする供給サイド強化――という複数の政策を一体で運用する「総合パッケージ」として機能した点に特徴がある。第一次ショックでは後手に回ったが、第二次ショックでは第一次の失敗が深く記憶され、政策当局・企業・労働者が同じ方向を向く総力戦体制が構築された。とりわけ、賃金・物価スパイラルを回避するための労使協調、省エネ投資の加速、石油依存度の低下は、欧米諸国と比べて日本の物価上昇率を大幅に抑える決定的要因となった。
株式市場は急落した。1973年末から1974年にかけて日経平均は大幅に下落し、戦後初のマイナス成長と企業収益の悪化を反映した。しかし、政策対応が浸透し、物価上昇率が1975年以降に沈静化すると、株式市場も徐々に安定を取り戻した。第二次オイルショック(1979–81年)では、第一次の教訓が生かされた。日銀は早期に利上げを実施し、賃金・物価スパイラルを回避するため、労使は賃上げ抑制に協調した。企業は省エネ投資を積極化し、国民も節約行動を強めた結果、CPI上昇率は欧米諸国に比べて低く抑えられ、日本は「物価の優等生」と称されるに至った。
チャート:石油危機発生時の日経平均

1970年代の石油危機を踏まえれば、利上げと需要抑制策が成功例と言える。もっとも、当時の成功モデルを現代にそのまま適用することは難しい。まず、決定的な違いは、足元でホルムズ海峡が事実上封鎖状態にある一方、第一次・第二次の石油危機ではホルムズ海峡は閉鎖されておらず、危機の震源はあくまで供給国側の政治的意思、すなわちOPECによる禁輸決定とイラン革命による生産停止にあった。今回は海上輸送路そのものが遮断されるという、近代史上初の事態であり、備蓄放出や代替調達といった従来の政策ツールの有効性が根本から問われる局面にある。
日本についても、当時と大きな違いが横たわる。日銀は利上げ局面にあるとはいえ、GDP比236%(国際通貨基金、2024年)に達する政府総債務を抱える下では、金利上昇が即座に国債利払い費の拡大へと直結する。財政制約が金融政策の自由度を実質的に縛る「財政ドミナンス」の懸念がある以上、1970年代のように公定歩合を数倍に引き上げて総需要を抑制するような政策対応は、現実的ではない。加えて、高市政権はガソリン価格を170円程度に抑える措置を講じるなど、供給ショックの家計への波及を抑える姿勢を明確にしている。「責任ある積極財政」を掲げる同政権の政策スタンスを踏まえれば、需要抑制策が本格的に発動される可能性は低い。その場合、中東への原油依存度95%、エネルギー自給率12.6%という構造に加え、原油高と財政刺激によるインフレ加速観測が円売りにつながるリスクがある。
日銀は3月18–19日に金融政策決定会合を予定し、金利を据え置く見通しだ。しかし、植田総裁は4月利上げの選択肢を確保するだろう。ただ、日銀が4月利上げで対応しても、その後の利上げペースに疑問符がつけば、円売りにブレーキを掛けることができるかは不透明だ。
円の一段安を回避する上では介入も選択肢だが、投機筋の円先物ネット・ショートは4万1,387枚と、2022~24年に介入を実施した水準を下回る。円安圧力を和らげるには、イラン情勢悪化前の水準である65ドル付近まで原油先物が下落するような停戦合意の成立が望まれる。
3月19日には高市首相がホワイトハウスでトランプ大統領と会談を予定する。トランプ氏は既にホルムズ海峡の機雷除去で日本を含む各国に協力を求めており、会談では自衛隊派遣と日本のエネルギー確保を巡る協議が焦点となりうる。
<以上、安田佐和子氏の3/16付けWeekly Reportより抜粋>
11月に米中間選挙を控え、低下傾向が続く支持率の回復を狙う米トランプ政権。しかし、年明け以降の「力による安定」をアピールしたい政権の政策に対する透明性や評価は決して高いとは言えないと思われます。これに伴って、金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況です。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
お知らせ:今週も一部ご案内しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
2026/3/16
ようこそ、トレーダムコミュニティへ!





