―2023年Q4の純金利収入はJPMが好調、2024年の増加も見込む 2023年10~12月(Q4)の決算発表シーズンが、今回も米銀で幕開 […]
Weekly Report(3/11):「ドル円、来週の日銀金融政策決定会合とFOMC控えポジション調整も」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は3月4日週に4.09円と、その前の週の1.64円から大幅に拡大した。ドル円は3月4日に150.57円と週の高値をつけた後、3月18~19日開催の日銀金融政策決定会合を控え、マイナス金利解除の思惑を強める要人発言や報道が相次ぎ、下値を探る展開に入った。米経済指標の弱含みも、売り要因に。3月8日には米2月雇用統計を受けて約1カ月ぶりに147円を割り込み、146.48円まで下げ幅を広げた。
- 今週は3月12日に米2月消費者物価指数(CPI)、13日に米2月生産者物価指数(PPI)や米2月小売売上高、15日に米3月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値などを予定する。また、日本では13日、春季労使交渉で多くの大手企業が労働組合に回答を示す集中回答日を迎え、15日には連合が賃上げ率について第1回の回答集計結果を発表する。
- 米2月雇用統計は、非農業部門就労者数(NFP)が市場予想を上回る伸びだった一方で、過去2カ月分が下方修正された。その上、失業率が2021年12月以来の水準へ急伸。失業者の内訳をみると解雇者が増加しており、米労働市場の減速を確認。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が3月6日の議会証言で、利下げ方向を示したのは、こうした労働市場の実体に即したものだ。
- 日銀金融政策決定会合を3月18~19日に控え、マイナス金利解除観測を強める発言と報道が相次いだ。3月1日に報じられたデフレ脱却表明については鈴木財務相が否定したものの、春闘での賃上げ動向を確認した上での3月マイナス金利解除は、その道筋に沿うものだ。
- 時事通信は3月8日、マイナス金利解除に合わせ新“量的”緩和の枠組みを導入すると一歩踏み込んで報じた。新“量的”緩和の枠組みは、マイナス金利解除後の長期金利の上昇を抑制する狙いがあり、日米金利差縮小を限定的とさせうる。足元のドル円は10年物の日米金利差との相関が強いだけに、ドル円の下値余地も限られよう。また、円高による日本株安への効能が期待できるほか、長期金利と連動する住宅ローン金利の上昇抑制が見込めるだけに、4月の衆院補選を予定する岸田政権にとって悪い話ではない。
- ドル円は前週の急落を受け、テクニカル的に三役好転が消滅し、21日移動平均線や100日移動平均線などが下向き、弱い地合いに傾きつつある。一方で、RSIが36.4と割安の分岐点となる30に接近中。米2月CPIや春闘の結果が想定の範囲内ならば、3月18~19日開催の日銀金融政策決定会合や3月19~29日予定の米連邦公開市場委員会を(FOMC)を控え、ポジション調整が入ってもおかしくない。
- 以上を踏まえ、今週のドル円の上値は一目均衡表の転換線と基準線が近い148.60円、下値は200日移動平均線、2023年11月高値と同年12月安値の半値戻し、一目均衡表の雲の上限が集中する146円ちょうどを見込む。仮にここを抜ける場合は、2023年11月高値と2023年12月安値の38.2%戻しがある144.70円が意識される。
1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、3月マイナス金利解除期待と米2月雇用統計受け147円割れ
【3月4日~8日のドル円レンジ:146.48~150.57円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は3月4日週に4.09円と、その前の週の1.64円から大幅に拡大した。週間ベースでは、2週連続で下落。変動幅としては、1月第1週以来(5.00円)の大きさとなる。3月4日に一時150.57円をつけ、5日まで150円前後で推移。しかし、6日以降、3月18~19日開催の金融政策決定会合でマイナス金利解除を行う思惑を高める要人発言や報道が相次いだほか、米経済指標の弱含みもあって、ドル円は下方向の展開に。6日は、時事通信が少なくとも1人の日銀の審議委員が3月解除で意見を表明すると報じたほか、米2月ADP全国雇用者数が市場予想以下となったため、149.09円まで下落した。パウエルFRB議長が「年内のいずれかの時点で利下げが適切となる」との発言も、売りにつながった。
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