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  • リスクオン・リスクオフ取引とは
    金 星
    この記事の著者
    DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

    中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。
    外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

    為替関連用語解説
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    リスクオン・リスクオフとは何?

    リスクオン・リスクオフとは相場の先行きの大局を示す金融用語です。

    リスクオンは「投資家のリスク選好の度合いがオンになった」という意味で、投資家がリスクを取っても良い、リスクの高い資産へ投資しようと思う状態のことを言います。よく「リスク選好」とか「リスク志向」とも言います。簡単に言うとハイリスク・ハイリターンを狙いたくなるような状況を指し、為替取引ではリスクオンの局面では、新興国通貨や豪ドル、NZドル、加ドル(CAD)など資源国通貨に買いが入りやすいです。

    リスクオフはリスクオンの反対の意味で、「リスク回避」とも言います。市場の危険度が高くなって、投資家がリスクを取りたくない状態を指します。投資家がリスクを取りたい時はリスクオン、リスクを取りたくない時はリスクオフとなります。

    どんな時にリスクオン・リスクオフに?

    リスクオンになる時は、景気が良くなりそうな時、景気をよくするための金融緩和があった時、世界的に経済成長が見込めるときや戦争や政変などの地政学リスクが低下した時で、株式や新興国通貨・資源国通貨などのハイリスクな資産に投資をしやすくなります。

    リスクオフになる時は、景気が悪くなりそうな時、過熱気味の景気を抑えるために金融引き締めがある時、株価が急落するなど経済成長の先行きが不安な時、あとはテロや戦争などの地政学的リスクがある時などであり、円・ドルやスイスフラン(CHF)といった安全資産選好されやすいです。

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    リーマン・ショックとリスクオフ

    2007年9月から顕在化したサブプライム住宅ローン危機を発端としたリーマン・ショックと、それに連鎖した一連の国際的な金融危機が発生しました。2007年の時点では不動産バブルの崩壊が問題とされていたが、バブル崩壊の影響で銀行や基金が破綻をしたため金融機関が問題とされ、さらに2008年には金融システム全体の問題に広がりました。

    この金融危機は前例のない市場の変動や中央銀行の政策を余儀なくさせました。価格の暴落や取引がストップした市場では巨額の損失を抱えた市場参加者が数多く生み出されました。最も深刻だった2008年第2四半期から2009年第1四半期には、世界の資本移動の90%が消滅し、富裕国の資本移動は17兆ドルから1.5兆ドルへと減少しました。

    リスク回避の円高が進み、ドル円は2007年6月の1ドル=123円台前後をピークに2011年3月11日に東日本大震災による影響もあり、2011年10月31日にはドル円の過去最高値となる1ドル=75.32円まで円高が進みました。

    最近はリスクオフの円買い緩む

    これまで為替相場ではリスクオフ局面では円買いが鮮明で、「リスクオフの円買い」は歴史における経験則として、投資の世界で相場格言として使われるようになりました。ただ、ロシアがウクライナへ侵攻した2022年2月24日以降、しばらくは円高方向に為替レートが振れず、逆にその後、円安方向に為替レートが動き、市場関係者を驚かせました。要因として、「安全資産」としての日本円の地位が揺らいでいることを挙げる市場関係者はすくなくありません。最近はリスクオフ局面で円買いよりドル買いに動く傾向があります。

    本記事は2023年2月4日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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