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  • 第133回 ユーロドル、2023年来のレンジ相場を下方ブレイク
    岩間 大祐
    この記事の著者
    DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

    大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。

    外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。

    国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

    為替の仕組み
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    今回解説していく通貨はユーロドルです。前回の解説(11月20日)から欧州中央銀行(ECB)は2会合連続で利下げを決定し、現在の政策金利は2.90%に。一方で、米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年12月こそ金利引き下げを決めましたが、直近(1月28-29日)会合では政策金利を据え置くなど、両中銀の間では緩和ペースに差が生じ始めています。

    今後についてもECBは一段の利下げを排除していませんが、FOMCは利下げを急がない姿勢を打ち出しており、欧米金利差は今後も拡大していく可能性が高そうです。では、チャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。



    下図のチャートはユーロドルの週足チャートになります。前回の解説(11月20日)からの経過をみていくと、11月に2023年来のレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)を下方向にブレイク。今年に入って1.0141ドルまで下押す場面も見られました。

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    レンジ相場の下方ブレイクによって、次のターゲットは2022年安値の0.9536ドル(チャート上の丸で囲った部分)に移行した格好となっています。足もとでは節目の1.0000ドルを前に下げ渋る様子を見せていますが、チャート下部に追加した「DMI」で見ると、現在は-DI>+DI(下落トレンド)になっており、トレンドの強さを示すADXも上昇傾向に。しっかりとした下落トレンドを示唆しており、依然として下値リスクを警戒すべき局面にあるようです。



    今度はより長期の月足チャートでもトレンドを確認していきましょう(下図のチャート)。月足で見ると2008年からの長期に渡る下落トレンドが続いているようです。

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    また、週足分析でも紹介した2022年安値の0.9536ドル(チャート上の丸で囲った部分)を下抜けると、その後は下値目処と思われるポイントが全くなく、2000-02年安値の0.82ドルから0.85ドルのゾーン(チャート上の四角で囲った部分)まで一段と下値余地が広がることになるので注意が必要です。

    今回はさらに「一目均衡表」も追加しましたが、現状は転換線<基準線、価格線<抵抗帯(雲)、遅行スパン<価格線が成立しており、強い売りシグナルとされる三役逆転が点灯中。さらに直近の動きからは雲の下限が相場の重しとして機能する様子も見られており、しばらくは1.0600ドル前後に位置する雲の下限が目先のレジスタンスポイントとして意識されるでしょう。



    最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は欧州中央銀行(ECB)の金融政策。市場では今回の理事会でも金利が引き下げられる見込みとなっており、注目は次回以降の金融政策方針となりそうです。また、期間内に米連邦公開市場委員会(FOMC)は予定されていませんが、次回(3月18-19日)を前にインフレ統計などをしっかりと確認しておく必要があるでしょう。

    その他のイベントは以下の通りとなります。

    今後1カ月の重要イベント

    2月12日 米国 1月消費者物価指数(CPI)

    2月28日 米国 1月PCEコア・デフレーター

    3月3日 ユーロ圏 2月消費者物価指数(HICP、速報値)

    3月6日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会

    3月7日 米国 2月米雇用統計

    3月12日 米国 2月消費者物価指数(CPI)


    本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

    ※本記事は2024年2月12日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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