今週の当Weekly Report(文責:吉岡)は、筆者都合により、テクニカル分析判断と予想レンジの掲載のみとさせて頂きました。 事前に […]
FRBも間違える
6月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で
FRBがインフレ見通しを読み間違えたことを認めました。
その前の、5月3日のFOMC後には銀行破綻について、
FRBが「間違いを犯したことは十分に認識している」と発言しています。
コロナ、ロシアのウクライナ侵攻など、これまでとは異なった状況下で
FRB議長とは言え、予想通りの結果になっていないことを素直に認めています。
ただし、これは何らサプライズではないのではないでしょうか?
現行のFRB関係者でもタカ(利上げ)派とハト(利下げ)派、据え置き派に分かれるように
専門家とはいえ、思っている通りに経済は動かないものです。
また、その人の立場により、見通しなども変わります。
例えばバー米連邦準備理事会(FRB)副議長は銀行監督の担当でもあることで
高金利による銀行破綻のリスクを警戒していることで、タカ派寄りの発言が控えられています。
このようにFRB関係者でも考えが異なりますし、間違えを素直に認めています。
一方で、黒田前日銀総裁は10年以上総裁を務め、その前は財務省の国際金融局長、財務官、
退官後も小泉政権時には内閣参謀参与など、金融界の責任ある立場に何十年もいたにもかかわらず
結局失われた数十年を回復できませんでした。
しかし、総裁を辞めるときにも「金融緩和は成功だった」「大規模緩和は適切」
と結果が付いてこなかったにもかかわらず、自画自賛して辞められています。
間違えは誰にでもあるのですから、なぜ目標に達することが出来なかったかについての言葉が欲しかったです。
植田総裁はこの後どうするか?
黒田日銀総裁の時代は大規模緩和一辺倒でした。
これは安倍総理との蜜月関係がだったからでもありますが、安倍総理が亡くなった以後は
徐々に雰囲気が変わり、植田日銀総裁の時代に入りました。
さすがに、就任して数カ月のうちに方針を急転することは避け「安全運転」で始まりましたが
このまま、大規模緩和策を継続するかは非常に判断が難しい状況にあると思われます。
6月16日の日銀政策決定会合後の会見では
「YCC、ある程度のサプライズが発生することはやむを得ない」
「物価見通しが大きく変われば政策変更につながる可能性」
「物価上振れが国民負担になっていることを強く認識」
などと、今後の方針転換が起こり得ることを匂わせています。
6月23日に発表された5月の消費者物価指数は生鮮食料品を除く
コア指数は市場予想を上回り、9カ月連続で3%を超えています。
生鮮食料品とエネルギー価格を除くコアコアにいたっては4.3%まで上昇しています。
日銀が意識している「刈り込み平均値」は加速方向に進んでいます。
更に、26日に公表された日銀金融政策決定会合における主な意見では
「(コアCPIは)年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い」と
示されていました。
それにも関わらず、先週28日のポルトガル・シントラで行われたECB中央銀行フォーラムで
植田総裁は「基調的なインフレは目標を下回っている」と述べています。
これでも、まだ「持続的・安定的な2%にはまだ達していない」のでしょうか?
個人的にも週末に食料品や日用品の買い物に行っても、外に飲みに行っても
明らかにこれまで以上に財布には厳しくなっていると実感しています。
また、6月から電力料金も15%以上値上がりするなど、インフレは高進するのではと思っています。
よって、個人的には日銀がインフレ対策として、イールドカーブコントロール(YCC)
上限引き上げなどが、行われるのではないかと予想しています。
意地になって、間違えを認めなかった黒田前総裁と違い、植田総裁は着任して間もないこともあり
方針の変更はあり得るのではないでしょうか?
もちろん、FRB要人と同様に私の見解が間違っている可能性はありますが
ある程度、日銀が金融緩和策を変更するリスクに備える必要があり
そのリスク回避の準備を怠って取引をやってはいけないのではないかと、思っている次第です。
本記事は2023年7月3日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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