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  • 今年最後の日米金融政策会合
    金 星
    この記事の著者
    DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

    中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。
    外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

    為替の仕組み
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    米連邦準備理事会(FRB)は今週17-18日開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げ4.25-4.50%にすることを決定しました。1人が利下げに反対し11対1の賛成多数での決定で、使用予想通りの結果となりました。11月会合に続いて3会合連続の利下げです。

    声明では、雇用市場の弱体化を懸念して利下げを決めたとし、バランスシートの減額についても引き続き減額する方針を確認しました。ただ、金利予測を示す「ドット・プロット」では、25年末時点の政策金利を3.75-4.00%と予想したのが約半分の10人と最も多く、平均は3.90%となりました。1回の利下げを0.25%とすると、25年に2回の利下げを予想していることになり、9月時点の4回から減少したことになります。

    FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、米国経済が力強く成長している点を確認し、インフレが目標に向けて収斂する一方、労働市場の緩やかな減速を維持しうるとの考えを維持しました。また、「利下げ、新たな段階に入った」と述べ、今後の利下げは慎重に判断していく姿勢を示しました。

    来年、初めのFOMCは1月28-29日に予定されています。12月FOMCの結果公表を受けて市場では1月のFOMCでは政策金利の据え置き観測が高まっています。FRBが再びインフレ抑制に置くスタンスになったが、トランプ次期米大統領の政策不透明感で不確実性が高まっています。ただ、どちらかと言うとトランプ次期大統領が掲げる減税や関税賦課、不法移民の大規模強制送還といった一連の政策がインフレ加速につながりかねないとの見方が強く、来年の利下げペースの鈍化ないしは利下げ見送りの可能性が出ています。



    日銀は18-19日の金融政策決定会合で3会合連続の政策金利据え置きを決定しました。一時は据え置きと利上げで思惑が交錯したが、日銀会合に近づくなかで利上げ見送り観測が高まり、予想通りの結果と言えます。

    経済・物価ともに前回10月の決定会合での判断を維持し、景気の現状について「一部に弱めの動きみられるが、緩やかに回復している」との見解を示しました。消費者物価の基調な上昇率については「徐々に高まっていく」とし、展望リポートの見通し期間後半には物価目標と「おおむね整合的な水準で推移する」との見通しを改めて示しました。

    植田日銀総裁は会見で、利上げを見送った理由の一つとして、賃金と物価の好循環の強まりの確認には来年の春闘に向けたモメンタムなど「今後の賃金の動向についてもう少し情報が必要」と指摘しました。また、米国はじめ海外経済の先行きは引き続き不透明とし、「米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性が大きく、その影響を見極める必要もある」とも述べた。

    市場では植田総裁が来年1月の会合に向けて利上げを示唆するのではないかとの見方が強かったが、追加利上げに慎重姿勢を示した同総裁の会見は市場にとって予想外のハト派寄りの内容になりました。

    来年最初の日銀会合は1月23-24日に予定されています。1月20日には第2次トランプ政権が誕生します。市場では日銀が1月会合で利上げに踏み切るとの観測が残されているが、植田総裁の発言を受けて追加利上げは3月に先送りされるとの見方が強まっています。

    今年最後の日米金融政策イベントはドル高・円安に振れました。タカ派的な姿勢を見せたFRBと日銀の違いから相対的に金利が低い円を売って高金利通貨を買うキャリートレードが復活し、為替市場では一段と円安が進む可能性が指摘されています。ドル円が再び160円台回復に向けた動きになると、日本当局の介入警戒感も強まるでしょう。


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    ※本記事は2024年12月21日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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