今回解説していく通貨はドル円です。日銀は植田総裁の下でも現在の金融緩和策を継続していく方針が明らかになった一方、米国では金融引き締めの長期化 […]
Weekly Report(9/24):「ドル円は米労働指標で一喜一憂へ、米9月雇用統計次第で140円割れも」
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弊社都合で大変恐れ入りますが、来週は5週目ということで安田佐和子のWeeklr Reportはお休みとなります。
上記都合で今週分が2週分となっております。
ご容赦くださいませ。
では今週と来週分のWeekly Reportをお楽しみください。
―Executive Summary―
- ドル円変動幅は9月16日週、4.92円と、前週の3.51円から拡大した。週足では、3週ぶりに反発。ドル円は16日のロンドン時間入り、一時139.58円と2023年7月以来の水準へ下落。18日には、FOMCの0.5%利下げを受け一時140円半ばへ下落も、経済・金利見通しで、FF金利誘導目標の見通しが市場予想ほどハト派ではなく、143円半ばへ切り返した。20日には、日銀金融政策決定会合で市場予想通り据え置きとなった一方、植田総裁の会見内容がハト派寄りで年内追加利上げ観測が後退し、ドル円の買い戻し材料に。NY時間には、一時144.50円まで週の高値を更新した。
- 9月17~18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、0.5%利下げを決定。ただし、経済・金利見通しのうち、年内の利下げ見通しが0.5%と市場予想以下にとどまったほか、パウエルFRB議長が今後の0.5%利下げを明確に示唆せず、米金利が上昇、ドル円の買い戻しにつながった。その他、一部では米8月消費者物価指数(CPI)コアの高止まりや、米Q3実質GDP成長率が前期に続き3%付近が予想されるだけに、インフレ再燃に伴うスタグフレーションの懸念も浮上しつつある。
- 日銀は19~20日に開催した金融政策決定会合で、市場予想通り据え置きを決定した。ただし、植田総裁は、年内の利上げの可能性につき「米国経済を中心とする世界経済の不透明感、それを映した金融資本市場の動きが今後の見通しに不透明感を与えている。総合すると、ただちに見通しの確度は高まった、すぐ利上げだ、ということにはならない」と明言した。加えて、「最近の為替動向を踏まえると円安に伴う輸入物価を受けた物価上振れリスクは相応に減少している」と言及。8月7日の内田副総裁以降、4人の副総裁・審議委員の講演内容と比較し、ハト派的な内容にとどまったため、年内追加利上げ期待を後退させる格好となった。
- 今週は、複数の米住宅指標を予定するほか、23日に米9月総合PMI速報値(製造業、非製造業含む)、24日に豪準備銀行の政策発表、米9月消費者信頼感指数、26日に日本8月企業向けサービス価格指数、26日に日銀・金融政策決定会合議事要旨、26日に米Q2実質GDP成長率・確報値に加え、パウエルFRB議長とラガルドECB総裁の講演、27日に米8月PCE価格指数などを予定する。
- 来週は9月30日に中国9月財新製造業・サービス業PMI、パウエルFRB議長講演、10月1日に日銀短観、ユーロ圏消費者物価指数・速報値、米9月ISM製造業景気指数、米8月雇用動態調査(JOLTS、求人件数踏む)などを予定する。続いて、10月2日も米9月ADP全国雇用者数、10月3日は米9月ISM非製造業景気指数、10月4日には米9月雇用統計を控え、重要指標が目白押しだ。
- ドル円のテクニカル的な地合いは、改善した。ボリンジャー・バンドのー2σを下回るなど弱気のバンドウォークを解消したほか、ドル円は2023年1月の安値と2024年7月の高値の半値押し(144.60円)の達成が接近した。半値押しの水準144.60円を明確に抜けてくれば、38.2%押しの148.69円が視野に入る。ただ、同水準にくると一目均衡表の雲の下限にぶつかり、50日移動平均線など抵抗線も控えるだけに、今後のドル円の動向は米経済指標次第となりうる。
- 投機筋の円のネット・ポジションの動向は9月17日週の5万6,840枚と、前週の5万5,770枚を上回り、6週連続でロングとなった。2016年10月以来の高水準となる。円ロングの最高が2016年4月19日の7万1,870枚であることを踏まえれば、円ロングの余地が狭くなってもおかしくない。
- 以上を踏まえ、今後2週間の上値は9月高値付近の147.20円、下値は9月16日の安値付近の139.50円と見込む。ただ、上値は2023年1月安値と2024年7月高値の半値押し144.60円をクリアに抜けなければ、限定的となりそうだ。
1.為替相場の振り返り=ドル円、FOMCと日銀を消化し一時144円半ばへ上昇
【9月16日~20日のドル円レンジ:139.58~144.50円】
ドル円の変動幅は9月16日週に4.92円と、前週の3.51円から拡大した。週足では、3週ぶりに反発。ドル円は16日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者、ニック・ティミラオス氏が0.5%利下げの可能性を示す記事を配信した13日の流れを受け、売りで反応した。ロンドン時間入りには、一時139.58円と2023年7月以来の水準へ下落。ただ、17日には米8月小売売上高でヘッドラインが市場予想の減少に反し増加したため、142円半ばまで買い戻された。
18日には、FOMCの0.5%利下げを受け一時140円半ばへ下落も、その後は買い戻された。経済・金利見通しで、FF金利誘導目標の見通しが市場予想ほどハト派ではなく、パウエルFRB議長も0.5%利下げを明確に示唆しなかったため、143円半ばへ切り返した。19日には、米新規失業保険申請件数の減少もあって、144円台回復に迫る動きもみられた。20日には、日銀金融政策決定会合で市場予想通り据え置きとなった一方、植田総裁の会見内容がハト派寄りで年内追加利上げ観測が後退し、ドル円の買い戻し材料に。NY時間には、一時144.50円まで週の高値を更新した。
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