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  • Weekly Report(2/26):「ドル円、米1月PCE価格指数次第で151円乗せも」
    安田 佐和子
    この記事の著者
    トレーダム為替アンバサダー/ストリート・インサイツ代表取締役

    世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て、現職。NHK「日曜討論」、テレビ東京「モーニング・サテライトなどのTV番組に出演し、日経CNBCやラジオNIKKEIではコメンテーターを務める。その他、メディアでコラムも執筆中。

    マーケット分析
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    ―Executive Summary―

    • ドル円の変動幅は2月19日週に1.09円と、その前の週の1.96円から縮小した。週間ベースでは、4週続伸。米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったショックから一転し、半導体大手エヌビディアの好決算後に米株高、日経平均最高値更新を迎えても、ドル円は高値圏でのもみ合いに終始した。Fed高官のタカ派的な発言の反応は限定的で、日本が休場だった23日のNY時間に一時150.78円まで上昇するにとどまり、前週高値の150.88円に届かなかった。
    • 今週は27日に日本1月全国消費者物価指数や米2月消費者信頼感指数、28日に米10~12月期実質GDP改定値、29日に米1月個人消費支出(PCE)やPCE価格指数、3月1日に米2月ISM製造業景況指数などを予定する。また前週同様、Fed高官の発言を数多く控える。
    • 特に、米金融政策を占う上で重要視されるのは、米1月PCE価格指数だ。クリーブランド連銀のナウキャストによれば、コアを含め鈍化トレンドをたどる見通しだ。しかし、米1月消費者物価指数(CPI)のように、市場予想から上振れすれば、151円乗せへトライしてもおかしくない。
    • 中長期的にみて、米財政の悪化はドル円の押し上げ材料となりうる。米国の超党派機関である議会予算局(CBO)によれば、米連邦債務残高は2034年度に2023年度比84%増の48.3兆ドル、国内総生産(GDP)比では2023年度の97.3%→116%への拡大が見込まれている。純利払い負担も財政圧迫要因となり、2025年度にはGDP比で3.1%と、第2次世界大戦の規模を超え1940年以降で最大に膨らむ見通しだ。しかも、バイデン陣営もトランプ陣営も、2025年末に終了する年間所得40万ドル以下の個人を対象とした所得税減税を延長する方針で、財政悪化から米金利とドル円に上昇圧力を加えかねない。
    • ドル円は、テクニカル的に三役好転を維持し、それぞれの移動平均線も上向き力強い地合いが続く。加えて、一目均衡表の転換線が強力なサポートとなっており、これも上向き強気のシグナルを点灯させている。さらに、筆者が前週指摘していたRSIが64.6と割高の節目となる70近くで推移しているとはいえ、小幅ながら上値余地が残る。
    • その一方で、ボリンジャー・バンドの2σでのバンドウォークは中断したままだ。ここから上げ幅を広げるには、日本1月全国消費者物価指数の弱含みや、米1月PCE価格指数の上振れ、さらにはFed高官からのタカ派発言が必要となりそうだ。
    • 投機筋による円のネット・ショートは2月20日週に12万778枚と、前週の11万1,536枚から拡大した。ネット・ショートは、ドル円が151.91円をつけた2023年11月半ば以来の高水準となった。日米金利差を意識した円キャリー継続、日本株高による外国人のヘッジの円売りが意識される半面、さらなるショート拡大余地は限定的になったようにも見える。
    • 以上を踏まえ、今週のドル円の上値はボリンジャー・バンドの2σの水準付近の151.60円、下値は21日移動平均線がある149.00円を見込む。

    1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、米1月CPI後に2023年11月以来の150円乗せ

    【2月12日~16日のドル円レンジ:148.93~150.89円】

    (前週の総括)

     ドル円の変動幅は2月19日週に1.09円と、その前の週の1.96円から縮小した。週間ベースでは、4週続伸。米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったショックから一転し、半導体大手エヌビディアの好決算後に米株高、日経平均最高値更新を迎えても、ドル円は高値圏でのもみ合いに終始した。FF先物市場で、利下げ開始時期が6月から7月にずれ込み、年内の利下げ予想も3回と2023年12月時点の米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想と一致するほど収斂されるなか、Fed高官のタカ派的な発言の反応は限定的。リッチモンド連銀総裁が21日に「1月のCPIや生産者物価指数は政策決定を複雑にする」と述べたほか、ボウマンFRB理事も「利下げの時期が今ではないのは確か」と述べるなか、日本が休場だった23日のNY時間に一時150.78円まで上昇するにとどまり、前週高値の150.88円に届かなかった。

     日本の要人発言も、為替市場に概ね影響せず。植田日銀総裁は22日に「デフレではなくインフレの状態にある」。鈴木財務相が20日、22日に「為替市場の動向を高い緊張を持って注視」と発言したが、ドル円の高止まりを抑えられなかった。

    チャート:ドル円の2024年以降の日足、米10年債利回りは緑線(右軸、右側)、ドル・インデックスは白線(左軸)

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    (出所:TradingView)

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