Weekly Report (08/24) 徐々に回復中の「押し目買い圧力」と根強い「戻り売り圧力」が拮抗
吉岡 豪麿
この記事の著者
トレーダム 取締役CAO

国内大手金融機関の外国為替取引部門で外国為替、外国証券等のディーラーとして20年、海外金融機関でアセットマネージャーとして15年以上の経験を有する為替のエキスパート。貿易企業の経営者を経て、企業年金基金の資産運用を担当。2021年1月よりCAOとして投資助言部門を担当。

マーケット分析

<テクニカル分析判断>

●短・中期:回復過程にあった「上昇モメンタム」を強力な「戻り売り圧力」が抑え込む展開

weeklyreport 20260824 01

■8/17週:「寄付159.27:158.04~159.78終値158.97、前週比▲0.33円の円高)」

●8/17週は「日米協調市場介入」による暴落から底打ち/自律反発に転じた流れが継続/先行したものの、節目となる160円を前に強力な戻り売り圧力が増幅し急反落の局面もあった。反落時には着実に押し目買いが観測されたが、結局、前週比▲0.33円と3週ぶりに(小幅な)陰線を形成

〇それでも、8/3週の「当面の底打ち」状態は継続。上記の通り「押し目買い」が着実に入っており、「上値/下値の切り上がり」は3週連続を維持

●一方で、上値抵抗線に転じた21週MAではキッチリ反落に転じるなど「協調介入」懸念を背景とした『強力な戻り売り圧力』も確認

◇なお、「週間変動幅は1.74円」と戻り売り圧力が目立ち始めた前8/10週の同2.04円から更に縮小し「上下両圧力が次第に拮抗し始めている」ことを示唆

<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>

◎3週前に、次の下値支持ポイントとして挙げていた『21週MA▲2.16%(156.25)』・『52週MA(156.00)』を一時的に下回ったものの、以下の通り「底打ちパターン」形成の展開

Ⅰ. 終値は底値から大幅に水準を回復し「長い下ヒゲを持つ“差し込み線”」の足型

Ⅱ. 終値は上記2つのポイントを大幅に上回っており、この両下値支持線は改めて当面のサポートとして機能する模様

〇先週も、この「底打ち/反騰」の流れが継続/先行し「上値/下値の切り上がり」は3週連続を維持するなど「一旦収束していた『上昇モメンタム』が徐々に回復」していることを確認

●一方、次の難関(強力な上値抵抗線)と考えられる21週MAを一気に超えることは出来ず、逆にこの水準では反落を余儀なくされ「協調介入」懸念を背景とした強力な戻り売り圧力も観測

⇒RSIに底打ちの兆候あるも「4週連続で『21週MA』未満」の状態が継続

⇒この状態は「下落サイクル➊,➋に類似」の懸念あり < ⇔ > 下図参照

週足チャート

(図は上掲を約4.5年分に拡大したもの)

⇒上図が示す通り、上昇トレンドが本格化していた2022年以降で『ひと月以上続いた下落サイクル』は➊~➍の4回(冒頭の➊,➋ → ❸,➍)。ざっくりしたパターンは『下落が始まった水準と底打ちした水準は21週MAを挟んで上下ほぼ同じ乖離幅』・『大きく下げた場合でも底打ちするのは“21週MA▲7.41%”が多い』

⇒今回の場合は(既述の通り)反落に向かった(ピークアウトした)水準が『21週MA+2.16%』とさほど高い水準ではないため、最大でも『21週MA▲2.16%~同▲4.32%(152.85@8/3)』が底打ちの水準だとみていた

◎実際、既述の通り8/3週に終値で『21週MA▲2.16%(156.25)』・『52週MA(156.00)』超の水準を維持した

●ただし、21週MAでキッチリ反落に転じるなど、状況的には「下落サイクル入り」の可能性を完全には排除できない

週足チャート

<チャートのポイント(日足):短期時間軸:既述週足コメントもご参照>

■<強い下値支持線と認識していた1)『21日/52日のMA』2)『昨年4月下旬から15か月続く緩やかな上昇TL』だけでなく、約1年のトレンドを示唆する3)『200日MA』をも終値でことごとく下抜けたため、逆にこれらは当面上値抵抗として機能@7/31と指摘

しかし、底打ち/反発の流れは想定より強く<RSI・ストキャスティクスなどオシレーター系は既に「当面の(短期的な)底打ち/自律反発」が明確>となっており、8/10週には5日間全て終値で上抜けていた3)は再び下値支持線に転じたと考えられる

ただし、明らかに下落に転じてきた「21日MA」と高止まり気味の「52日MA」がデッドクロス(D.C.)した上に、「先週の上値は連日159円台で非常に重くなる」など「戻り売り圧力の継続」もまた明らかになりつつある

◇短期時間軸では「当面、『200日MA(≒158.40)』 ~ 『21週MA(≒159.70)』での保合い」となる可能性が高いと見ている

以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り

〇短期時間軸主導で底打ち/反発の流れは想定より強く、RSI・ストキャスティクスなどオシレーター系は既に「当面の底打ち/自律反発」が明確

〇週足でも「底打ちパターン」形成の展開となり「ボトムアウト」の蓋然性は高い

●ただし、現在は復活の途上にあるとはいえ(7/27週の急落により)「中短期の上昇モメンタムは、一旦大きく棄損(収束)」したため、「底打ち/反発/上昇に転じている」としても今後の上昇ペースは緩慢となる見込み

◇イメージとしては、「160~165円を中心とした緩やかな上昇相場」から「当面、157~161円での保合いの展開へ移行」を想定

◇なお、超長期時間軸(後述:月足)では「USD円相場の地合いは依然として堅固」であるため、中短期での調整局面を(時間・価格の両面で)比較的軽微に凌ぐことができれば、徐々に「全ての時間軸での強調地合い」復活を展望することもできよう

◎短期的な自律調整を交えつつも「長期的な円安/USD高トレンドは依然維持されている」との大局観を引き続き堅持したい

□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目

1 160.80円=52日MA

2 160.50円=21日MA+0.69%

3 ☆ 159.75円=21週MA ☆

4 159.40円=21日MA

5 158.40円=200日MA

6 ☆ 157.75円=21週MA▲1.23% ☆

7 157.45円=21日MA▲1.23%

8 156.75円=52週MA

>>>上記3(上方)6(下方)「抜けると加速する」と思われる水準

~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/8/21のNY市場終値をベースに実施) ~

<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>

➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等 

短期(1週間~1か月)の方向性:当面の底打ちは確認も、戻り売り圧力も強力

日足チャート

上図は既掲(直近12ヶ月分)を16か月分に拡大したもの。解説コメントは既掲をご参照下さい

>>> 想定レンジ=今後1週間:157.75~160.80、今後1ヶ月:155.25~162.45=

➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等

中期(1か月~半年程度)の方向性:「押し目買い圧力」と「戻り売り圧力」が拮抗

週足チャート

上図は冒頭2枚目(4.5年)と同じ。解説コメントについては既掲をご参照下さい

□復活途上の「上昇モメンタム」と「下落サイクル入りの可能性」が拮抗

>>>今後6か月間の想定レンジ = 151.80~164.70⇒ 153.60~164.70=

➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記

長期(半年超~1年程度)の方向性:ややペースダウンも超長期上昇トレンドは着実に進展

月足チャート

◇かつて「RSIやストキャスティクスが警戒すべき高水準を長期間維持し続けることを可能にした2022年の“強固な地合い”」が徐々に復活しつつある

=>『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する蓋然性が高いと認識

□中短期にはやや翳りあるも、超長期時間軸では『着実な上昇トレンド』を堅持

>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.75~167.40 ⇒ 147.75~167.40 =

<ファンダメンタルズ分析判断>

□先週の日米金融市場の変化(下表右端):米財政赤字拡大懸念⇒長期主導で米金利上昇

◇米国:米財務省、長期債買戻し増額も効果は一時的⇒株価は最高値圏から再び急反落

◇日本:「円安是正には利上げ継続」が意識され市場金利は上昇⇒株価は再び軟調推移

◇USD指数:米財政赤字拡大懸念⇒長期主導で米金利上昇も「相対的にUSD指数は軟調」

◇USD円:上記の通り「相対的にUSD指数は軟調」も、USD円は明確な下落に至らず

<スペース>

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既述の通り、先週は「米財政赤字拡大懸念⇒長期主導で米金利上昇」。米財務省は「長期債買戻し増額」を発表も効果はごく一時的で金利は上昇。しかし、タームプレミアム主導の『悪い金利上昇』だったため「USDは主要通貨に対し全面的に軟調」でした。これに伴いUSD円も軟調となったものの、その程度は軽微に止まり「USDも円も弱い」領域から抜け出すことは出来ませんでした。

さて、前半のテクニカル分析では <<想定より早期の「ボトムアウト」の蓋然性は高いものの、(7/27週の急落によって)「中短期の上昇モメンタムは、一旦大きく棄損(収束)」した上に、(協調)介入想定の戻り売り圧力は簡単には沈静化しないと考えられるため、仮に「底打ち/反発/上昇に転じている」としても今後の上昇ペースは緩慢となる見込み

◇イメージとしては、「160~165円を中心とした緩やかな上昇相場」から「当面、157~161円での保合いの展開へ移行」を想定 >> と結論付けました。

個人的には、こうした「どっちつかず」的な見通しは極力避けたいと考えています。しかし、現状は「何方かにバイアスをかけられる」状況ではないことも確かです。従って、今は正に(いつも申し上げている)『過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視』するスタンスで金融市場の分析に臨みたいと思います。

こうした状況下、我々が「今週(以降)の注目点」として挙げたいのは以下の諸点(時系列)です。

●8/24:ベッセント財務長官による「対イラン史上最も厳しい制裁」の発表

●8/25:日銀のCPIコア指標米8月消費者信頼感指数 の発表米2年債入札

●8/26:日本7月企業向けサービス価格指数米7月個人消費支出・所得・PCE価格指数、米第2四半期実質GDP成長率・改定値 の発表、米5年債入札、エヌビディアの四半期決算発表

●8/27:米新規失業保険申請件数 の発表、☆日『氷見野副総裁の講演』米7年債入札

●8/28:日8月東京都区部CPI、外国為替平衡操作実施状況(7/30-8/26)、米8月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 の発表、☆『ウォーシュFRB議長講演 @ ジャクソン・ホール会議』

Ⅰ) 8/27~29:☆「ジャクソン・ホール会議(経済シンポジウム)」

Ⅱ) 8/31~9/1:☆「G7&G20財務相・中央銀行総裁会議 @ Asheville,North Carolina」

特に「今後のUSD円相場に影響を及ぼし得る」と考えるポイントが「☆」をつけたものです。

中でも、以下2つは特に重要視しています。

Ⅰ) 8/27~29:☆「ジャクソン・ホール会議(経済シンポジウム)」

Ⅱ) 8/31~9/1:☆「G7&G20財務相・中央銀行総裁会議 @ Asheville,North Carolina」

先月末に「日米協調介入が(米国はユーロ円で)実施された」こともあり、日米のみならず、欧州やその他の主要国を含め「自国の通貨政策」に関する情報発信が行われる可能性もあり、留意が必要だと考えているからです。

もちろん、金融市場の注目を集める「ウォーシュFRB議長による初の基調講演@ジャクソン・ホール会議」も注目ですが、この点については本稿でもよくご紹介している「TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の8/24付weekly report」に非常に詳細な解説が紹介されていましたのでご案内します。

以下、<< TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の8/24付weekly reportより一部抜粋 >>

―ウォーシュ議長初登板、ジャクソン・ホールは「第6の転換点」となるか

ジャクソン・ホール会議といえば、大自然に囲まれた風光明媚な観光地で、フライ・フィッシングを好むボルカーFRB議長を招くため、1982年から当地で開かれるようになった会議である。時のFRB議長が政策転換を示唆する会議として重要視されてきた。今年は8月27~29日に開催され、ウォーシュFRB議長が就任後初めて基調講演に臨む。今回のテーマは「金融イノベーション――決済と政策への含意」。市場の関心は9月の金融政策への示唆に集中しているが、講演の射程は金利の方向だけではない。ステーブルコイン、決済網、銀行預金、FRBのバランスシートを一体として捉え、中央銀行が金融市場にどこまで関与すべきかという新たな政策原則を示す可能性がある。

7月FOMCではFF金利誘導目標を3.5-3.75%に据え置いた。採決は9対3であり、反対した3人は利上げを主張し話題を呼んだが、クリーブランド連銀、ミネアポリス連銀、ダラス連銀の総裁にとどまり、FRB正副議長・理事ではなかったため、それほど注目されず。むしろ、米7月雇用統計が労働市場の弱含みを示し、CPIも物価圧力の鈍化を示したため、FF先物市場での9月FOMCでは据え置き織り込み度が60.1%と優勢だ。ウォーシュ氏が利上げを示唆する可能性は非常に低いと言える。

チャート:FF先物市場、9月は据え置き織り込み度が優勢

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金融政策以外では、金融イノベーションが物価と金融政策の伝達経路をどう変えるかが焦点の一つになりそうだ。FRB研究は、ステーブルコインが政策論議の中心へ移ったと指摘する。一方、カンザスシティー連銀によれば、現状では実際の決済利用はまだ小さく、相互運用性にも問題がある。NY連銀は、普及が銀行預金と融資を縮小させ、金融政策の実施を複雑にする可能性を示す。ウォーシュ氏は利便性を認めつつ、準備資産、取り付けリスク、銀行仲介への影響を重視するとみられる。

もうひとつが、FRBのバランスシートである。ウォーシュ氏が設置したタスクフォースは、潤沢な準備預金制度と資産構成を再検証している。議長はFRBの市場への関与縮小を志向するが、スタンフォード大学のダレル・ダフィー教授は、銀行の準備預金依存度が高く、バランスシート縮小には長期間を要するとみる。急激な縮小ではなく、保有資産を短期国債中心へ移し、金融政策と財政運営の境界を明確にする構想が示されるかが重要である。ゴールドマン・サックスのチーフエコノミストのヤン・ハチウス氏は、曖昧な情報発信が市場の憶測と変動をかえって強めると警告しており、初登板では新たな説明責任の形も問われる。

歴史を振り返ると、ジャクソン・ホールは5つの転換点を刻んできた。1999年から2002年にかけて、グリーンスパン氏はバブルを安全に事前抑制することの難しさを説き、崩壊後の打撃緩和を重視した。2008年から2010年には、バーナンキ氏がゼロ金利と量的緩和を主要な政策手段へ押し上げた。2020年にはパウエル氏平均インフレ目標へ転換し、2022年には痛みを容認するインフレ退治へ反転した。2024年から2025年には利下げへ転じ、平均インフレ目標を撤回した。

①1999~2002年、グリーンスパンFRB議長

1999年講演では、バブルは崩壊後にしか確実に認識できず、資産価格や家計・企業のバランスシートを金融政策分析に組み込む必要があると指摘した。

2000年講演では、技術革新とグローバル化が市場の効率性を高めるとして、政府の介入より市場メカニズムを重視する姿勢を示した。

2001年講演では、株価や住宅価格の変動が家計の資産と消費に及ぼす影響を取り上げ、資産効果の分析をさらに深めた。

2002年講演では、小幅な利上げによってバブルだけを安全に潰すことは困難であり、崩壊後の経済的打撃を緩和する政策を重視する考えを明確にした。こうした一連の政策観は、後に「グリーンスパン・プット」と呼ばれる市場の期待へ結び付いた。

②2008~10年、バーナンキFRB議長

2008年講演では、金融機関や市場を通じて危機が連鎖するシステミック・リスクへの対応を重視し、中央銀行の流動性供給に加えて、金融規制や破綻処理制度の強化が必要だと訴えた。その後のリーマン・ショックを受け、FRBは政策金利を0~0.25%へ引き下げ、住宅ローン担保証券や国債の大規模購入に踏み切った。通常の金利政策から、ゼロ金利、信用緩和、量的緩和を組み合わせる危機対応型の金融政策への歴史的転換である。

2009年講演では、リーマン破綻後の金融危機を「古典的なパニック」の性格を持つと総括し、流動性供給や長期証券の購入が市場の機能回復に寄与したと説明した。同時に、個別金融機関の健全性だけでなく、金融システム全体の連関を監視するマクロプルーデンス政策の必要性を強調した。

さらに2010年講演では、ゼロ金利下でも国債購入によって追加緩和が可能だと明言した。同年11月に始まったQE2の事実上の予告であり、量的緩和が危機時の例外措置から、ゼロ金利下における主要な金融政策手段へ変わった転換点である。

③2020年、パウエルFRB議長

2020年講演では、低インフレとゼロ金利制約を最大の脅威と位置付け、平均インフレ目標を導入。インフレ率の一時的な2%超えを容認し、予防的な利上げを急がない政策思想である。また、雇用の最大化にも「広範で包摂的な目標」と位置付け、その「不足」を重視する枠組みへ転換した。

④2022年・パウエルFRB議長

2022年講演では、2021年の「一時的インフレ」判断を事実上撤回し、家計や企業に痛みが生じても物価安定を回復するまで引き締めを続けると明言した。雇用を重視した2020年型の政策運営から、インフレ抑制を最優先する姿勢への全面転換となる。

⑤2024~25年・パウエルFRB議長

2024年講演では、「政策を調整する時が来た」と利下げ開始を明言した。2025年講演では、雇用の下振れリスクを理由に追加利下げの余地を示す一方、平均インフレ目標を撤回し、2%の物価目標を基準とする従来型の政策枠組みに戻した。2020年に導入された枠組みは、コロナ後の歴史的インフレによって前提を覆され、わずか5年で大幅な修正を迫られたことになる。

ウォーシュ氏が金利、金融・決裁のイノベーション、バランスシートを結ぶ新原則を示せば、今回の講演は第6の転換点となり得る。焦点の一つが、ベッセント氏による米長期債市場への関与と言えよう。米財務省は9月9日から、10~30年債の買い戻し規模を1回当たり最大20億ドルから最低40億ドルへ倍増する。これは量的緩和ではなく、市場流動性を支える債務管理策だ。とはいえ、取引の少ない米長期債を米財務省が買い戻せば、流動性が改善し、結果として米長期金利に低下圧力を及ぼす可能性がある。

市場による金利形成とFRBのバランスシート縮小を志向するウォーシュ氏に対し、米財務省の買い戻しは金融環境を緩和し、FRBの引き締め効果を弱めるとの指摘もある。もっとも、買い戻しの規模は米国債市場全体に比べて小さく、イールド・カーブ・コントロール(YCC)や「米財務省版QE」とみなすのは行き過ぎと言えよう。最大の注目点は9月利上げの有無だけでなく、巨額債務時代における米財務省とFRBの役割分担をどう描くか。その境界線まで示せれば、講演は量的緩和後の中央銀行像を方向付ける歴史的なものとなる。

<<< 以上 ~ TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の8/24付weekly reportより抜粋 ~ >>>

先週も指摘しましたが、一頃に比べれば「構造的な円安要因」ばかりが目立つ状況ではなくなってきたように感じます。相対的堅調を維持していると思われる米景気についても昨今「静かに(徐々に・緩慢に)鈍化」の兆候も増えてきています。その点では、全ての金融市場の現在のトレンドをもう一度ゼロベースで検証し直して「トレンド反転の兆候をより注意深く探求してゆく必要」があるのかもしれません。

結局、こんな状況だからこそ (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。

お知らせ➀:今週もご紹介しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。

TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。

お知らせ②:トレーダムでは「5月22日、ステーブルコインを活用したクロスボーダー決済サービス『トレーダム ペイメント』の提供を開始」しました。日経新聞を始め多様なメディアに取り上げられておりますので、是非ご一読ください。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB251ET0V20C26A5000000/?n_cid=dsapp_share_ios

2026/8/24

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