<テクニカル分析判断>
●短・中期:前週観測された短期時間軸での「下落の過熱」が「当面のボトムアウト」を招来

□8/3週:「寄付157.14:155.22~158.58終値157.77、前週比0.12円の円安)」
〇8/3週は「前週末2日間の日米協調市場介入」による暴落の余波から下値模索が大きく先行。しかし、一時的に52週MAを下回ったもののGW中の介入時安値を更新することなく「当面の底打ち」から反発局面へと移行した
●ただし、8/7のNY市場では、事前予想を大幅に下回る雇用統計によって一時156円台に急落するなど戻り売り圧力が再び活発化した
〇それでも、終値では157円台後半へと戻しており「根強い押し目買い圧力が回復」し始めている兆候もみられている
◇なお、「週間変動幅は3.36円」と協調介入による急落を受けた前7/27週の同6.48円から大幅に縮小(ほぼ半減)したものの、比較的高い変動幅を継続
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸:前週からの変化点のみ>
〇先週、次の下値支持ポイントとして挙げていた『21週MA▲2.16%(156.25)』・『52週MA(156.00)』両者を一時的に下回ったものの、以下の通り、「底打ちパターン」形成の展開
Ⅰ. 終値では底値から大幅に水準を回復し「長い下ヒゲを持つ“差し込み線”」の足型を形成
Ⅱ. 終値は、上記のポイントを大幅に上回っており、この両下値支持線は改めて当面のサポートとして機能
〇「上昇モメンタムの復活」までには至らないものの「ボトムアウト」の蓋然性はかなり高い
●しかし、7/27週には、非常に強い下値支持線と認識していた『21週MA』や『昨年4月下旬から15か月続く緩やかな上昇TL』を終値でことごとく下抜けた上、先週の反発局面でも後者の「TLで反落」に転じるなど、「上昇トレンド復活」は依然遠い状態

(上図は上掲を約4.3年分に拡大したもの)
⇒上図が示す通り、上昇トレンドが本格化していた2022年以降で『ひと月以上続いた下落サイクル』は➊~➍の4回。ざっくりしたパターンは『下落が始まった水準と底打ちした水準は21週MAを挟んで上下ほぼ同じ乖離幅』・『大きく下げた場合でも底打ちするのは“21週MA▲7.41%”が多い』
⇒今回の場合は(既述の通り)反落に向かった(ピークアウトした)水準が『21週MA+2.16%』とさほど高い水準ではないため、最大でも『21週MA▲2.16%~同▲4.32%(152.85@8/3)』が底打ちの水準だとみていた
〇RSI・ストキャスティクスは、現在、共に中立をやや下回った水準にあるものの、先週指摘の通り「更なる下落の加速」を経て「自律的に底打ち/反発のフェーズに移行」する兆候あり
●ただし、既述の通り(今回の急反落で)「特に中短期の上昇モメンタムは大きく棄損(終息)」したと見られ、仮に底打ち/反発/上昇に転じたとしてもその速度は緩慢となる見込み

<チャートのポイント(日足):短期時間軸:既述週足コメントもご参照>
■強い下値支持線と認識していた『21日/52日のMA』はあっさりと、また『昨年4月下旬から15か月続く緩やかな上昇TL』だけでなく、約1年のトレンドを示唆する『200日MA』をも終値でことごとく下抜けたため、日足では先週、上昇モメンタムの終息がより鮮明だった
〇しかし、<「RSIが23」を付けるなどオシレーター系は既にいつ反転してもおかしくない警戒水準に突入しており「自律反発」を警戒すべきステージ。次なる下値支持のポイントは『21週MA▲4.32%(155.05@8/3)』>と先週指摘の通り、先週初には「155.22で底入れ」の蓋然性高まる
●ただし、<①②で非常に強いサポートであった「上昇TL」&「200日MA」は既に下抜けているため、逆にこれらは当面上値抵抗として機能>と先週指摘の通り、一旦「200日MA」は上抜けできたものの「上昇TL」では頭を抑えられ反落。結局終値では双方共に上抜けできず
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
〇短期時間軸主導で上昇モメンタムの終息が目立った7/27週から一転。<「日足RSIは23」を付けるなどオシレーター系は既にいつ反転してもおかしくない警戒水準に突入しており「自律反発」を警戒すべきステージに至っている>と指摘の通り「自律的に底打ち/反発のフェーズに移行」した兆候あり
〇週足でも、終値では底値から大幅に水準を回復し「長い下ヒゲを持つ“差し込み線”」の足型を形成するなど、「底打ちパターン」形成の展開となり、「上昇モメンタムの復活」までには至らないものの「ボトムアウト」の蓋然性はかなり高いといえる
●ただし、(7/27週の急落により)「特に中短期の上昇モメンタムは大きく棄損(終息)」したと見られ、仮に「底打ち/反発/上昇に転じている」としても上昇ペースは緩慢となる見込み
◇イメージとしては、「160~165円を中心とした緩やかな上昇相場」から「当面、155~161円での強保合い展開」への移行を想定
◇なお、超長期時間軸(後述月足)では「USD円相場の地合いは依然として堅固」であるため、中短期での調整局面を比較的軽微に凌ぐことができれば、徐々に「全ての時間軸での強調地合い」復活を展望することもできよう
◎短期的な自律調整を交えつつも「長期的な円安/USD高トレンドは依然維持されている」との大局観を引き続き堅持したい
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
1 159.75円=21週MA
2 159.10円=21日MA▲1.23%
3 ☆158.85円=上昇TL☆
4 158.10円=200日MA
5 ☆157.10円=21日MA▲2.46%☆
6 156.30円=21週MA▲2.16%
7 156.00円=52週MA
8 155.80円=21週MA▲2.46%
>>>上記3(上方)と5(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/8/7のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:当面の底打ち確認、終値で上昇TLの回復なるか

〇上図は既掲(直近12ヶ月分)を16か月分に拡大したもの。解説コメントは既掲をご参照下さい
>>> 想定レンジ=今後1週間:156.00~159.75、今後1ヶ月:152.85~161.70=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:比較的早期の底打ちから「緩やかな上昇」へ

◇上図は冒頭2枚目(4年強)と同じ。解説コメントについては既掲をご参照下さい
>>>今後6か月間の想定レンジ = 150.90~162.75⇒ 150.90~162.75=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:若干のペースダウンも超長期上昇トレンドは着実に進展

◇かつて「RSIやストキャスティクスが警戒すべき高水準を長期間維持し続けることを可能にした2022年の“強固な地合い”」が徐々に復活しつつある
=>『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
□中短期にはやや翳りあるも、超長期時間軸では『着実な上昇トレンド』を堅持
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.75~167.40 ⇒ 147.75~167.40 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):米雇用統計悪化⇒利上げ観測が大きく後退
◇米国:米雇用統計の予想外の悪化で利上げ観測が後退⇒株価は再び最高値圏へ上昇
◇日本:「円安是正には利上げ継続」が意識され金利はじり高も、株価は回復基調
◇USD円:米利上げ観測が後退⇒USD指数軟化。USD円は自律的に底打ち/反発の兆し
<スペース>

前半のテクニカル分析では<<想定より早期に「底打ち」の兆候あり。ただし、(協調)介入想定の戻り売り圧力は簡単には沈静化しないため、イメージとしては、「160~165円を中心とした緩やかな上昇相場」から「当面、155~161円での強保合い展開」への移行を想定>>と結論付けました。
以下はそのポイント。
<< 〇週足でも、終値では底値から大幅に水準を回復し「長い下ヒゲを持つ“差し込み線”」の足型を形成するなど、「底打ちパターン」形成の展開となり、「上昇モメンタムの復活」までには至らないものの「ボトムアウト」の蓋然性はかなり高いといえる
●ただし、(7/27週の急落により)「特に中短期の上昇モメンタムは大きく棄損(終息)」したと見られ、仮に「底打ち/反発/上昇に転じている」としても上昇ペースは緩慢となる見込み >>
<< ◇なお、超長期時間軸では「USD円相場の地合いは依然として堅固」であるため、中短期での調整局面を比較的軽微に凌ぐことができれば、徐々に「全ての時間軸での強調地合い」復活を展望することもできよう
◎短期的な自律調整を交えつつも「長期的な円安/USD高トレンドは依然維持されている」との大局観を引き続き堅持したい >>
あえて「超長期時間軸の見解」を今週も繰り返させて頂いたのは、今回の「協調介入が想定外」であり、インパクトがある程度大きかったにもかかわらず、その余勢を駆った先週初の下押しが << GW中の介入時安値を更新することなく「当面の底打ち」から反発局面へと移行した >> との認識を改めて強くしたからです。
即ち、いかに想定外の「協調介入」だったとしても「これまでと同様に日米の相対的ファンダメンタルズ格差を埋めることは容易ではなく、(時間がかかったとしても)結局『円安トレンド』を反転させることは出来ない」ということです。
繰り返しのご案内で恐縮ですが「円安の是正」に向けた抜本的な対策やその一助に過ぎない介入の効果については、以下の考え方に著変はありません。
◎介入は本質的に「スムージングオペレーション」であり、市場の過度な変動を抑制するもの
◎介入はあくまでも行き過ぎた(?)相場状況への「対症療法」に過ぎず、介入自体で主体的に相場の方向性変えることは難しい
◎相場の方向性に最もインパクトを持つのは「基軸通貨USDの方向性」。仮に介入の方向がこれに合致している場合には企図する方向性への流れを作ることは可能
◎「円安是正」の根本的な対応は、時の経済状況に応じた「適切な金融・財政政策」がとられること
(円の最大の弱点である「マイナスの実質金利」解消に向けた金融政策や真に責任ある積極財政政策が展開され、構造的な外貨不足の緩和・解消に向けた対応が進展すること)
しかるに、先週の報道などによって明らかになったことは
●「友情の証」(トランプ氏)としての「協調介入のサプライズ効果」に大きく依存するしかなかったこと
●円の最大の弱点である「マイナスの実質金利」解消に向けた金融政策(継続的利上げ)に政府としてのコミットメントがないこと
●現在の経済状況に応じた「適切な財政政策(=真に“責任ある”積極財政政策)が展開」されそうにないこと
などが障壁となり『構造的な外貨不足の緩和・解消に向けた対応が進展しない』可能性が高まっていることです。
更には、高市首相が検討する内閣改造・自民党役員人事が、USD円相場の新たな「円安リスク要因」として浮上してきています。
今回の協調介入の日本における最大の功労者である「片山財務相の交代観測」や「萩生田氏の幹事長起用案」が再度の『円安容認への転換』と受け止められれば、7/31に実現した「異例の日米協調介入の継続性」に疑念が生じることになるでしょう。
米国は極力USDに対してネガティブなインパクトを与えないように『ユーロ売り/円買い』といった工夫をこらしてまで介入を実施しました。また、「円安のアジア通貨への波及(=アジア通貨危機の再発)抑止策」との大義名分も用意していた可能性があります。
8・9月にも予想される今回の人事が「日米の政策協調への信認」を損なうような事態となれば「円売り再燃」にとどまらず「日本売りへ波及」するリスクすらあると言えるでしょう。仮にそうなれば、我々機関投資家にとっても由々しき事態となります。
しかし、この認識は「米国のファンダメンタルズが相対的に日本より優位にあることが前提」です。
従って、現状では依然堅調さを維持し続けている米景気の減速が顕著になったり、(トランプ氏の圧力には関係なく)利下げを余儀なくされるような状況になった場合には「USD安」を通じて「円高」が進むケースも考えられます。
「米国経済はグローバルで見ても相対的に堅調を維持」しているとの現状認識に著変はないため、上記のケースを現状でそう懸念する必要はないと考えていますが(7/27週にも経験した「過度な予断は禁物」に該当?)、米景気指標を追っていると昨今「静かに(徐々に・緩慢に)鈍化」の兆候もないわけではありません。
特に注目されていた先週末の7月雇用統計でのNFPの減少はその可能性を改めて考える契機となりました。
米7月雇用統計は「W杯特需の反動」や「公立学校の夏季休暇入り」といった特殊要因を含みますが、以下の諸点を中心に『労働需要の減速』を示す材料が相次ぎました。
➀NFP(非農業部門就労者数)の6万人増加予想に反した2.2万人減少
➁過去分のNFP大幅下方修正:過去2カ月分のNFPが+10.3万人に下方修正
➂民間雇用の伸び悩み:前月比+3万人(過去5か月連続増加の中、最小の伸び)、
④平均時給の鈍化(前年比+3.2%と2021年5月以来の低い伸び)など
一方で、失業率は4.1%に改善しましたが、労働参加率の低下を伴ったものであり「労働市場の強さ」を示唆しているとは言い難い内容でした。
これを受け、先週末の金融市場では9月利上げ観測が大きく後退しました。さらに、期待インフレ率やISM仕入れ価格、CPIの予想値についても現状「鈍化(低下)方向」にあり、米7月消費者物価指数(CPI)が予想通り鈍化するなら、据え置き観測が一段と強まり、USD円の戻りを重くすることになるでしょう。
これら諸点の分析については、本稿でもよくご紹介している「TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の8/10付weekly report」に非常に詳細な解説が紹介されていましたのでご案内します。
以下、<< TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の8/10付weekly reportより一部抜粋 >>
―米7月雇用統計・NFPの減少は「特殊要因」のみに非ず、米7月CPIは据え置きの決定打となるか
米7月雇用統計は、ヘッドラインだけをみれば「特殊要因による一時的な落ち込み」と片付ける余地を残した。非農業部門就労者数(NFP)が前月比2.3万人減と5カ月ぶりのマイナスに転じた背景には、W杯特需の反動や、公立学校の夏季休暇入りといった要因があるためだ。実際、発表直後に急落したドル円も、その後は買い戻された。しかし、詳細を追うと、米労働市場の減速を特殊要因だけで説明するのは難しい。
チャート:米7月雇用統計、NFPは予想外にマイナスとなったが失業率は改善

チャート:娯楽・宿泊は2カ月連続で減少

チャート:政府は州・地方政府に含まれる地方政府の教育部門が大幅に減少

今回の雇用統計で重要なのは、NFPの落ち込みだけではない。過去2カ月分のNFPが10.3万人に下方修正された(5月分:12.9万人増→6.3万人増、6月分:5.7万人増→2.0万人増)。民間部門就労者数も前月比3.0万人増と、過去5カ月連続で増加したなかで最小の伸びにとどまり、平均時給の伸びは前年同月比3.2%と2021年5月以来の低い伸びに終わった。雇用者数の伸びに加え、平均時給の鈍化からも、労働需給の逼迫が和らぎつつあることがうかがえる。
チャート:民間就労者数の伸び、5カ月連続で増加したなかで伸びは前月に続き最小

一方、家計調査では失業率が4.2%から4.1%と、2024年12月以来の水準へ改善した。しかし、その裏では労働力人口が前月から26.4万人減少し、労働参加率は61.4%と約5年半ぶりの低水準へ低下した。就業者数も前月比8.7万人減少しており、失業率の改善をそのまま労働市場の強さと捉えるのは難しい。
労働参加率低下の背景には、少なくとも2つの可能性が考えられる。1つは、求職期間の長期化を受けた労働市場からの退出だ。27週以上の長期失業者が失業者全体に占める割合は前月の27.3%から25.5%へ低下したものの、なお2021年12月以来の高水準近くにある。失業者としてカウントされるには過去4週間に求職活動を行っている必要があるため、長期化する求職活動の末に職探しを断念し、非労働力人口へ移る人が一部に含まれている可能性がある。
もう1つが、移民を中心とする海外生まれの労働力人口の減少である。季節調整前ながら、7月の労働力人口は米国生まれが前月比39.3万人増えた一方、海外生まれは35.6万人減と4カ月連続で減少した。労働参加率も米国生まれが61.0%から61.1%へ上昇したのに対し、海外生まれは65.6%から65.5%へ低下している。トランプ政権による移民取り締まり強化を背景に、コロナ禍後に拡大した移民の労働供給が巻き戻されつつある可能性がある。
チャート:労働参加率、米国生まれは上昇も海外生まれ(移民)は低下

もっとも、こうした労働供給側の変化を理由に、米7月雇用統計の弱さを軽視するのは早計だ。季節調整前の失業率をみると、海外生まれは3.6%から3.3%へ低下した一方、米国生まれは4.6%で横ばいだった。また、米国生まれの就業率は58.3%から58.2%へ低下している。NFPの減少、過去分の大幅な下方修正、民間雇用の伸び悩み、平均時給の鈍化まで合わせれば、労働需要の減速を示すシグナルはむしろ広がっている。移民減少は労働参加率低下を説明する一因ではあっても、今回の雇用統計全体の弱さを打ち消す材料とは言い難い。
市場の反応もそれを裏付けた。米7月雇用統計を受け、9月FOMCの利上げ織り込み度は44%へ低下し、据え置き予想確率が約1カ月ぶりに逆転した。市場の基本シナリオは、雇用統計を境に「9月利上げ」から再び「据え置き」へ傾きつつある。
チャート:FF先物市場、利上げ織り込み度が低下し据え置き予想確率が逆転

こうしたなか、次の焦点は8月12日発表の米7月消費者物価指数(CPI)となる。NY連銀の7月消費者期待調査では1年先のインフレ期待が3.6%と前月から小幅に低下し、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値でも1年先は4.2%と6月の4.6%から鈍化した。米7月ISM製造業景況指数では仕入れ価格指数が71.1と2月以来の水準に低下しており、財価格から消費者物価への上昇圧力もひとまず和らぐ方向にある。
チャート:NY連銀のインフレ期待、1年先は3.6%に鈍化

クリーブランド連銀のナウキャストも、米7月CPIの前年同月比につき3.4%(前月:3.5%)、コアCPIも同2.5%(前月:2.6%)と、鈍化を見込む。市場予想もクリーブランド連銀と同じく3.4%と2.5%、それぞれ前月の3.5%、2.6%を下回る。なお、米6月CPIの結果は、クリーブランド連銀の予測である3.9%、2.9%から下振れしていた。
チャート:クリーブランド連銀のナウキャスト、前月からの鈍化を予測

期待インフレ、企業の仕入れ価格、CPI予想を合わせれば、現時点ではインフレ再加速を示す材料は乏しい。米7月CPIが予想通り鈍化すれば、弱い雇用統計を受けて後退した9月利上げ観測はさらに後退し、ドル円には下押し圧力が掛かりやすくなる見通しだ。もちろん、逆に米7月CPIが明確に上振れた場合に限り、利上げ観測の巻き戻しを視野に入れておくべきだろう。
<<< 以上 ~ TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の8/10付weekly reportより抜粋 ~ >>>
最後に、株式市場の今後についてのご質問を頂戴していますので、簡単に現在の所感をお伝えします。
7月のキツイ調整を経て、足元でようやく「サマーラリーが本格化してきた」と感じています。以前にもお伝えしましたが、7月の調整は、かなりその上昇に過熱感を伴っていた「AI・半導体関連銘柄の急反落」⇒「その他の割安・出遅れ銘柄群へのセクターローテーション」が顕現化したもので、本格的な上昇に向けての重要な(健全な)ステップと位置付けていました。
その意味では、待ちに待った「サマーラリー、ようやく」との思いがあります。ただ、例年なら9月中は上昇が見込める時期ではありますが、今年のラリーは比較的短期で終わる可能性があると考えており基金のリスク性資産については「8月中には一旦利益確定のキャッシュ化」を企図しています。
理由はいくつかありますが、最も(市場のボラティリティの高まりを)懸念しているのは、既に3か月を切った11月の米国中間選挙の接近です。
2期目の就任以来、トランプ政権によるかなりやりたい放題/目に余るほどの“唯我独尊”的な政策に対する透明性や評価はますます悪化し、(ある意味「自業自得」ともいえる)自身の支持率低迷から議会共和党が大幅に議席を減らし「民主党が多数派に」変わるのではないかと想定されます。また、そうなることでトランプ政権と議会の間にねじれが生じれば、トランプ政権の打ち出す政策もこれまでのように実行に移すことは難しくなるでしょう。
これまでにも、既に地方の首長選や予備選挙などでも兆候は顕現化していましたが、そろそろこの大きなうねりが金融市場にも織り込まれ始める時期が接近しているように感じられます。
ただし、これはあくまでも「今年度は例年以上に『リスク抑制』に主眼を置いたポートフォリオ運営」を主戦略としている当基金の事情によるものであり「年金運用は長期投資」との基本方針のもと「BUY & HOLD」戦略を貫かれるところも多いのではと推察しています。
ここ数ヶ月、「米中間選挙の接近に伴って、金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況」だと指摘してきましたが、いよいよ我々のリスク管理戦術の正邪が試されるステージが迫りつつあります。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
お知らせ➀:今週もご紹介しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
お知らせ②:トレーダムでは「5月22日、ステーブルコインを活用したクロスボーダー決済サービス『トレーダム ペイメント』の提供を開始」しました。日経新聞を始め多様なメディアに取り上げられておりますので、是非ご一読ください。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB251ET0V20C26A5000000/?n_cid=dsapp_share_ios
2026/8/10
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