<テクニカル分析判断>
●短・中期:日足・週足共に「上値/下値を切り上げる典型的な上昇サイクル」を継続

□6/15週:「寄付160.11:159.72~161.79終値161.28、前週比+1.08円の円安)」
◇「週間変動幅は2.07円」と前4週の1円前後からほぼ倍に拡大。依然「戻り売り圧力」が強く意識される中で、2024年7月の高値に迫る161.79円への上値模索がボラティリティ上昇を牽引し、ようやく「保合い/膠着」を脱した
◇終値は前週比で+1.08円と明らかなUSD高/円安となり、2022年10月中旬以来初の「6週超連続陽線」が示現。(5月中旬に日足で約2年ぶりの7日連騰を記録したことと併せ)「緩やかではあるものの着実な上昇圧力の増勢」を確認
◇また、日足・週足ともに「21MA超の水準を着実に維持」し、介入による急落で一旦急激に悪化した「USD円相場の地合いは、一段と堅固さを増幅」していることも確認
◇一方、162円急接近に伴い「戻り売り圧力の高まり」も顕現化。しかし、「地合いの一段の好転」が着実に戻り売り圧力を凌駕している模様
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
◇5/4週の「下ヒゲ長めの小“陰線”(4)が底打ちを示唆」したことはほぼ確実
◎「下ヒゲ長めの小“陰線”」ではあるものの、「(D)からの緩やかな上昇トレンドライン(サポートライン)付近での底打ち」は中期上昇トレンドの存続を示唆
◎『根強い押し目買い圧力』ならびに『昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TL』は依然として堅固であり、今後も相当強力なサポートラインとして機能する可能性が高い
⇒既述の通り、(4)で底打ち後に大きく反発。一気に21週MAを大幅に上回った5/10週以降は「下値/上値を共に切上げる典型的な上昇サイクル」の軌道を描き6週続伸
⇒「6週連続陽線」は2022年10月中旬以降では初の事象であり、2023年以降は全く観測されていなかった(下図ご参照)

⇒上図が示す通り、2022年は「9週連続陽線×2回」や「7週連続陽線」など“USD高円安が明確に加速”した年
⇒今回の「6週連騰」は前週が“僅かな陽線”であり、“明確”とは言えないまでも2022年のような「力強い上昇が再来する可能性」を示唆
◎RSI・ストキャスティクスは共に警戒水準に接近しているものの、堅固さを増幅した地合いによって「両指数が高位持続(高止まり)のフェーズに入りつつあり、共に更なる上昇の可能性を排除せず
●ただし、これ以上の水準(ほぼ40年ぶりとなる162円超)への上昇は、上記指数の警戒水準接近と相まって自律調整的な反落にも要注意の局面へ
=>足許での「上昇モメンタムの増勢は明らか」だが、約40年ぶりの水準に突入してゆくにつれ『(介入など)戻り売り圧力』もまた一段と高まる。このため、両圧力の拮抗により再び『保合い(膠着)』となる可能性もまた排除できない

<チャートのポイント(日足):短期時間軸:既述週足コメントもご参照>
<1枚目>
◇昨年4月以降の緩やかな上昇トレンドでは「連騰は最長6まで」であり、連騰が7以上に伸びるなら上昇圧力の増勢を示唆(5/18週のコメント)
⇒実際、「5/11~19の7連騰」以降は(必ずしも連騰とはなっていないが)週単位で上値/下値を切り上げる、着実な上昇サイクルが進展
◇「介入→底打ち→反発」後は『連騰』がかなり目立つようになり、連続はおろか「陰線自体がほとんど見られない」状況(先週末時点で「6連騰中」/再度7連騰超となるかが注目される)
⇒これは「一段と堅固になった“USD円相場の地合い(基調)”」を強調

<2枚目>
◇「7日連続陽線」は2024年6月以来約2年ぶりの現象
◇7日以上の連続陽線は‘22年~’24年に集中的に見られ、特に上昇トレンドの加速が鮮明だった‘22年には10連騰以上の力強い上昇が複数回見られた(図中⑤⑥)
●ただし、同期間において「長い連騰の後には(急)反落するケースも少なくない」ため、この点には相応の警戒が必要
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
◎『根強い押し目買い圧力』ならびに『昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TL』は依然として堅固であり、今後も相当強力なサポートラインとして機能する可能性が高い
◎『5/11~5/19の“日足での7連騰”』ならびに『2022年10月以来となる“週足での6連騰”』は、今後の「着実な上昇圧力の増勢」を示唆
◎RSIは中立水準で反発に転じ、ストキャスティクスも低位から反転上昇し高位持続(高止まり)のフェーズに入りつつある。共に更なる上昇を排除せず
◎RSI・ストキャスティクスは共に警戒水準に接近しているものの、堅固さを増幅した地合いによって「両指数が高位持続(高止まり)のフェーズに入りつつあり、共に更なる上昇の可能性を排除せず
●ただし、これ以上の水準(ほぼ40年ぶりとなる162円超)への上昇は、上記指数の警戒水準接近と相まって自律調整的な反落にも要注意の局面へ
=>足許での「上昇モメンタムの増勢は明らか」だが、約40年ぶりの水準に突入してゆくにつれ『(介入など)戻り売り圧力』もまた一段と高まるため、両圧力の拮抗により再び『保合い(膠着)』となる可能性も排除できない
◇それでも、超長期時間軸(後述月足)では「USD円相場の地合いは極めて堅固」であるため、今後2024年7月の161.94円を超えて「162円台トライへ移行」する可能性はかなり高まった
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しているとの認識を引き続き堅持したい
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
1 163.55円=21日MA+2.46%
2 ☆162.45円=21週MA+2.46%☆
3 161.95円=21週MA+2.16%
4 160.50円=21週MA+1.23%
5 ☆160.10円=21日MA☆
6 159.60円=21週MA+0.69%
7 159.05円=52日MA
8 158.55円=21週MA
>>>上記2(上方)と5(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/6/19のNY時間17:00のレートをベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:強力な買い圧力に支えられた地合いは一段と堅固に

〇上図は既掲(直近10ヶ月分)を直近2年分に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
◇「介入→底打ち→反発」後は『連騰』がかなり目立つようになり、連続はおろか「陰線自体がほとんど見られない」状況(先週末時点で「6連騰中」/再度7連騰超となるかが注目される)
⇒これは「一段と堅固になった“USD円相場の地合い(基調)”」を強調
●ただし、これ以上の水準(ほぼ40年ぶりとなる162円超)への上昇は、RSI/ストキャスティクスの警戒水準接近と相まって自律調整的な反落にも要注意の局面へ
=>足許での「上昇モメンタムの増勢は明らか」だが、約40年ぶりの水準に突入してゆくにつれ『(介入など)戻り売り圧力』もまた一段と高まるため、両圧力の拮抗により再び『保合い(膠着)』となる可能性も排除できない
>>> 想定レンジ=今後1週間:160.10~163.55、今後1ヶ月:156.60~165.30=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:自律調整を交えつつ、堅固な地合いから上値模索へ

◇上図は冒頭2枚目掲載分(4年強)と同じ。解説コメントについては既掲をご参照下さい
⇒上図が示す通り、2022年は「9週連続陽線×2回」や「7週連続陽線」など“USD高円安が明確に加速”した年
⇒今回の「6週連騰」は前週が“僅かな陽線”であり、“明確”とは言えないまでも2022年のような「力強い上昇が再来する可能性」を示唆
◎RSI・ストキャスティクスは共に警戒水準に接近しているものの、堅固さを増幅した地合いによって「両指数が高位持続(高止まり)のフェーズに入りつつあり、共に更なる上昇の可能性を排除せず
●ただし、これ以上の水準(ほぼ40年ぶりとなる162円超)への上昇は、上記指数の警戒水準接近と相まって自律調整的な反落にも要注意の局面へ
>>>今後6か月間の想定レンジ = 151.40~167.70⇒ 153.60~167.40=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:超長期上昇トレンドは極めて着実に進展中

◇上値抵抗線として機能していた2024年夏以降の下降トレンドライン(TL)突破が示現後、このTLは下値支持線に転化し、その後も月内での『重要な底打ち/反発水準』としての機能を継続
◇かつて「RSIやストキャスティクスが警戒すべき高水準を長期間維持し続けることを可能にした2022年の“強固な地合い”」が徐々に回復しつつある
=>『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
□超長期時間軸では『着実な上昇トレンド』を堅持
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.30~169.50 ⇒ 147.30~169.80 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):和平合意/タカ派傾斜のFRB⇒米国株/金利は強含み
◇米国:米・イランの和平合意⇒原油・金利は低下⇒株急反発もFRBのタカ派シフトが重荷に
◇日本:上記による米株価上昇のリスクオン展開が、連日の日本株最高値更新をサポート
◇USD円:前週からの原油低下も、FRBのタカ派シフトによりUSD指数・USD円は共に上昇

(毎週末行っている)前半のテクニカル分析では、今回も「USD円相場の地合いは一段と堅固さを増幅し、上方志向の展開が見込まれる」と結論づけました。テクニカルな要因は前半の分析をご参照頂きたいと思いますが、今週はファンダメンタルズ分析の観点からもほぼ同様の結論となりましたので、以下にてそのポイントをご案内します。
テクニカル分析でのタイトルとしては、既述の通り➊「USD円相場の地合いは一段と堅固に❢」を強調しましたが、ファンダメンタルズ分析による副題を追加するとすれば➋「潮流は『円安』から(2022~24年央に主流であった)『USD高』へ変化」ということになります。
先週の当欄でもご案内した通り、(先週は)<中央銀行ウィークの2週目であり、USD円相場には極めて大きなインパクトを持つ日米金融政策(日銀政策決定会合とFOMC)の行方が明らかに>なりました。
( <>内は先週6/15付weekly reportでのコメント。以下同じ。)
まずは<6/15-16の政策決定会合が珍しく米FOMC(6/16-17)に先んじることになり、特に基軸通貨であるUSD指数に大きな影響を与える米国金融政策が(中1日とはいえ)不明なまま政策決定を余儀なくされるためその判断は非常に難しい>と思われた日銀の金融政策決定会合。<病気療養のため植田総裁は欠席となっており、会合後の定例記者会見は内田副総裁が務められ>ました。
●日銀は「0.25%の利上げを決定⇒31年ぶりの1.0%に」
先週も指摘しましたが、この決定は以下の要因から「相対的な円高要因」とはなりえませんでした
➀市場ではこの決定がほぼ100%織り込み済みだった
➁この程度の利上げだと「実質(政策)金利はマイナスのまま」(円の最大の弱点克服ならず)
➂昨今の世界的インフレ高進により海外の主要中銀もタカ派に傾斜しつつあり、相対的な利上げのインパクトは希薄化
⇒一周遅れの日銀の金融正常化(利上げ)もこのペースでは円高要因にはなりづらい
●また、「国債買い入れ減額の停止」も決定(事前の観測報道通りで織り込み済み)
⇒やや金融緩和的な意味合いから円安要因かと思われたが、ほとんど反応はなし
●なお、内田副総裁の会見では「足元の金融環境は引き続き『緩和的』と説明、今後も利上げを継続していく方針」を表明。また「CPI上昇率を2%程度の水準で安定」させていく観点が必要になると強調
⇒また、利上げは「持続的な成長実現に資する」、高市政権の成長支援策とは「整合的」と発言し、利上げを継続する上で、何ら障害はないとの認識を表明
●また、声明文から「実質金利に関する『きわめて低水準』の文言が外れた点」については、政策判断では実質金利や政策金利の水準だけでなく「金融緩和の度合い全体を評価し、それを説明する方が適切だ」と述べ「説明方法を変えたに過ぎない」とした
会見を通して「少なくともハト派的トーンは封印 → 会見内容で円安に振れることはなかった」
<いずれにせよ、会合後のUSD円・長期債利回りには要注意>は杞憂に終わった格好
続いてFOMC。
こちらも事前に確実視されていた通り「今回は据え置き」となりましたが、以下の諸点から全体としては「タカ派色の強い会合」といえそうです。
◎従前の40%程度の文字数に簡素化された声明文の骨子
◇フォワード・ガイダンスは削除
◇「雇用の最大化」の文言も削除
◇締め括りの文言は「物価の安定を実現する」
◇四半期に一度公表される経済・金利見通し(SEP)では「インフレ見通しが大幅に上方修正」
◎注目のドットチャートについては、ウォーシュ新議長は不参加
◇ドットチャートを提出したFOMC参加者18人のうち9人が年内の利上げを予想(そのうち6人が複数回の利上げを見込む結果に)
◇ドットチャートが示す「FF金利予想・中央値は『年内1回の利下げ→1回の利上げ』へ180度転換」
〇他方、ウォーシュ新議長の会見内容の骨子
◇米国の経済活動は堅調なペースで拡大を継続
◇FRBの重要政策課題「インフレの抑制」については「インフレ率が高進/高止まりし米国民の大きな負担になっている」
◇もう一つの政策課題「雇用(労働市場)の最大化」については「安定的な推移を辿っている」
⇒「金融政策を正しく運営する方法とは、議会から与えられた使命、つまり物価安定の実現を果たすこと」と述べた通り、「物価安定」に14回言及した一方で「雇用の最大化」は1回しか触れず
⇒「インフレ抑制を最優先」する(タカ派的)姿勢を強調
< ⇔ >
◆ドットプロットに参加した半数はインフレ懸念からの利上げを予想しているようだが、自分を含む19人のメンバー中「今回ただちに利上げが必要」との意見は示されず
◆FRBのダブルマンデート(物価安定と雇用最大化)の間で、現在優先度において厳しい選択を迫られている状況ではない
⇒上記2点は「議長が先鋭的なタカ派ではない」ことを示唆?
□また、<ウォーシュ新議長は将来の政策に制限をかける恐れのあるSEP(FOMC委員の経済見通しサマリー)の開示に否定的な考えを示していることから、今後の取り扱いについて何らかの方針が示されるかに注目>していましたが、今回、以下の「5つのタスクフォースを立ち上げ、秋には完結させる(年内で終了)の予定」を表明
・(市場との)コミュニケーション
・保有資産(バランスシート)
・(正確な判断に資する)データソース
・生産性と雇用
・FRBのインフレ対応における枠組み
□こうした思考の多様性をベースに、<<『➀利上げを確約せず、➁インフレ期待を抑制し、➂利上げを望まないトランプ大統領の意向とも正面衝突しない』――この『三方よし』を成立させたことが、初会合におけるウォーシュ氏最大の成果と言える。 >>との見解もあるようです。
~ TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の6/22付weekly reportより、ごく一部を抜粋 ~
さて、ここまで、ウォーシュ新議長初のかじ取りとなった先週のFOMCについての注目点を振り返りました。未だに未消化な部分は多々ありますが「フォワードガイダンスの削除」や「ドットチャート廃止に向けた働きかけ」など、FOMCの改革を進めようとするベースは「データ重視の金融政策運営を行うという視点」に立脚していると考えられます。
また、<<まさに、ウォーシュ氏が重視するのは、FOMC参加者からの発信ではなく、経済指標そのものに反応する市場だ。「市場がFRBの発言を反射するだけになれば、FRBは最も重要な情報源である市場価格に目をつぶることになる」と述べ、データドリブンな政策運営を志向する姿勢を明確にした。>>と言えるでしょう。
~ TRADOM為替アンバサダー安田佐和子氏の6/22付weekly reportより、ごく一部を抜粋 ~
それでも、一言でいえば「タカ派色を強めたFOMC」を受けて、金融市場の反応はひとまず以下の通りとなりました。
・FF金利先物市場では「9月利上げ織り込み度が急上昇し、6/18には73.7%まで急伸」
・同様に、注目されたUSD円も「6/18に一時161.79円と2024/7/4の高値161.94円に肉薄」
そうした先週の展開を受けて、今週は「ほぼ40年ぶりのUSD高円安水準が示現するかどうか」が注目されています。既述のウォーシュ新議長の観点に立てば、年内利上げの是非も今後出てくる経済指標、とりわけ「インフレが本当に上昇を続けるかどうか」にかかっているといえるでしょう。
今週は重要視される経済指標はあまり多くはありませんが、上記の文脈で申し上げれば、FRBも重要視しているとされる6/25の(米)5月個人消費支出(PCEデフレーター)が注目されます。
なお、今週末も「投機筋の円売りポジションは相当膨らんでいると報じられているが、水準もかなり高いし、前回と同程度の規模(11.7兆円)での介入があれば、トレンド転換も含めた円の反発があるのではないか?」とのご質問を頂戴しました。
「介入とUSD円相場の関係」についてはこれまでも繰り返し論評してきましたので、過去のレポート等をアーカイブ(https://tradom.jp/archives/author_list/%e5%90%89%e5%b2%a1-%e8%b1%aa%e9%ba%bf)で是非チェックして頂きたいと思います。
今回は現在の「USD売り円買い介入」に対する認識を、お答えしたいと思います。
まず「為替はある通貨ペア(日米の場合はUSD円)の相対評価(交換レート)」ですので、余程極端な投機的ポジションの傾きでもない限り「(実質)金利差や潜在的経済成長力、貿易や投資などを通じた国際収支など所謂ファンダメンタルズ」が反映されたものです。例えば、日本が潤沢な貿易黒字を抱えていた20年前の為替レートと貿易赤字が常態化して久しい現在の為替レートを比較して円安に振れていたとしても、それはファンダメンタルズを反映した適正なレートと言えるでしょう。逆に2国間のファンダメンタルズの変化を無視して(かつての値憶えだけで)「今の円安は日本のファンダメンタルズを反映していない」などという意見には賛同しかねます。
そうしたことを前提に、現在の日米のファンダメンタルズを比較した場合、本号の当欄でも既述の通り、我々は「米国のファンダメンタルズは日本を大きく凌駕している」と考えています。その意味で、直上でも取り上げたように「年内1回の利下げ→1回の利上げへ180度転換」した米国は対円だけでなく、他の主要通貨に対しても上昇しており所謂「USD高」のサイクルにあると考えられます。
だからこそ、当欄の冒頭で<<➋「潮流は『円安』から(2022~24年央に主流であった)『USD高』へ変化」>>とのタイトルを付したのです。
さらにこれも当レポートで繰り返ししてきしてきましたが、介入の本質的な「成否」は、ほとんど基軸通貨であるUSDの(介入時の)トレンド(方向性)で決まると言っても過言ではありません。だとすれば、主要通貨に対して「USD高」のサイクルにある現在、「USD売り円買い」介入に巨額の資金を投入してもトレンドとしての「USD安円高への転換」は望むべくもないというのが、我々の現状認識です。
そもそも、今年のGWに過去最大規模(11.7兆円)もの介入が行われたにも拘わらず、USD円レートは僅かひと月で介入水準を回復しました。しかも、その時のUSD指数はほぼ横ばいの推移であり、現在のUSD高サイクルよりも軟弱な地合いだったといえます。したがって、投機筋のポジション云々は否定できない事実ではありますが、現時点でのUSD売り円買い介入は一時的(瞬間的)な円高効果しか望めないのではないでしょうか。
更に申し上げれば、(既述の通り)11.7兆円規模の介入効果が1ヵ月しか保てなかったこと、足元の円安は米国の利上げ転換観測を主因とするUSD高であることを通過当局も認識していると思われます。よって、今後165円程度まで急ピッチで円安が進む展開にならない限り、為替介入は見送られる可能性が高いのではないかとみています。
また、「介入はあくまでもスムージングオペであり対症療法に過ぎない」ことを通貨当局も認めています。その意味で、円安に歯止めをかけるために根本的に必要なことは、為替介入のような対症療法ではなく、少なくとも以下の2点は必須だと考えられます。
高市政権が「真に責任ある積極財政政策」に変え、現在の円安容認姿勢を明確に否定すること
日銀が「利上げの実施時期の早期化とペースの加速姿勢」を明確に打ち出して、インフレの上振れ懸念を払拭すること
早いもので、6月もあと1週ほどで終わり、夏本番を迎えます。また、11月の米中間選挙まではあと4か月強となりました。低迷が続く支持率の回復を狙う米トランプ政権。しかし、年明け以降の「力による安定」をアピールしたい政権の政策に対する透明性や評価は決して高いとは言えず、むしろ更に悪化しているように思われます。これに伴って、金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況です。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
お知らせ➀:今週はごく一部のみご案内致しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
お知らせ➁:トレーダムでは「5月22日、ステーブルコインを活用したクロスボーダー決済サービス『トレーダム ペイメント』の提供を開始」しました。日経新聞を始め多様なメディアに取り上げられておりますので、是非ご一読ください。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB251ET0V20C26A5000000/?n_cid=dsapp_share_ios
2026/6/22
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