<テクニカル分析判断>
●短・中期:3週前の7日連騰や直近5週の上値/下値の切り上げは典型的な上昇サイクルを示唆

■6/8週:「寄付160.17:159.54~160.59終値160.20、前週比▲0.03円の円高)」
◆「週間変動幅は1.05円」と前6/1週の1.04円とほぼ同水準。上下双方の圧力が拮抗しており依然として「保合い/膠着」の域を脱しきれない
◇それでも、終値は前週比で▲0.03円とごく僅かにUSD安/円高となったものの、始値がやや低めだったため当週も超小幅(僅か0.03円)ながらも陽線を形成
◇これで2022年10月中旬以来初の「5週超連続陽線」が示現。(5月中旬に日足で約2年ぶりの7日連騰を記録したことと併せ)「緩慢ではあるものの着実な上昇圧力の増勢」を確認
◇また、日足・週足ともに「21MA超の水準を着実に維持」し、介入による急落で一旦急激に悪化した「USD円相場の地合いは、再び力強く好転/維持」していることも確認
◇一方、160円台では「戻り売り圧力の高まり」も顕現化。しかし、既述の「地合いの好転」が徐々にかつ着実に戻り売り圧力を吸収しているように見える
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
◇5/4週の「下ヒゲ長めの小“陰線”(4)が底打ちを示唆」したことはほぼ確実
◎「下ヒゲ長めの小“陰線”」ではあるものの、「(D)からの緩やかな上昇トレンドライン(サポートライン)付近での底打ち」は中期上昇トレンドの存続を示唆
◎『根強い押し目買い圧力』ならびに『昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TL』は依然として堅固であり、今後も相当強力なサポートラインとして機能する可能性が高い
⇒既述の通り、(4)で底打ち後に大きく反発。一気に21週MAを大幅に上回った5/10週以降は「下値/上値を共に切上げる典型的な上昇サイクル」の軌道を描き5週続伸
⇒「5週連続陽線」は2022年10月中旬以降では初の事象であり、2023年以降は全く観測されていなかった(下図ご参照)

⇒上図が示す通り、2022年は「9週連続陽線×2回」や「7週連続陽線」など“USD高円安が明確に加速”した年
⇒今回の「5週連騰」は直近が“僅かな陽線”であり、“明確”とは言えないまでも2022年のような「力強い上昇が再来する可能性」は台頭
◎RSIは中立水準で反発に転じ、ストキャスティクスも低位から反転。共に更なる上昇の余地を残している
●ただし、これ以上の水準は5週前に『大きく顕現化した161円超への障壁』にぶつかってゆくため、自律調整的な反落にも警戒を怠れぬ局面
=>足許での「上昇モメンタムの増勢は明らか」だが、水準が上がるにつれ『161円超への障壁(戻り売り圧力)』もまた一段と高まるため、両圧力の拮抗により再び『保合い(膠着)』となる可能性も排除できない
=>実際、直近2週の変動幅は「1.04円、1.05円」に止まっており、見方によっては『強含み“保合い”』の範疇に止まっている


<チャートのポイント(日足):短期時間軸:既述週足コメントもご参照>
<1枚目:上:5/18週のコメント含む>
◇昨年4月以降の緩やかな上昇トレンドでは「連騰は4以下 or 6まで」と5で止まったことはなく、モメンタムを考慮すれば、もう1本追加され6連騰へ進展する可能性は高い
◇連騰が7以上に伸びるなら(=7連騰が示現)上昇圧力の増勢を示唆
⇒実際、先週6/10までの2週間は(連騰とはならなかったが)上値(連日)/下値(概ね連日)共に切り上がり、着実な上昇サイクルの進展を見た
<2枚目:下>
◇「7日連続陽線」は2024年6月以来約2年ぶりの現象
◇7日以上の連続陽線は‘22年~’24年に集中的に見られ、特に上昇トレンドの加速が鮮明だった‘22年には10連騰以上の力強い上昇が複数回見られた(図中⑤⑥)
◇また、4/30の急落以降に急低下し、いつ反発に転じても全くおかしくない水準に至っていた「RSI/ストキャスティクスは上記7連騰に伴い急反発」
=>根強い押し目買い圧力が強固に存続していた結果として、短期時間軸における「USD円相場の地合いの力強い好転」を確認
●ただし、同期間において「長い連騰の後には(急)反落するケースも少なくない」ため、この点には相応の警戒が必要
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
◎『根強い押し目買い圧力』ならびに『昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TL』は依然として堅固であり、今後も相当強力なサポートラインとして機能する可能性が高い
◎『5/11~5/19の“日足での7連騰”』ならびに『2022年10月以来となる“週足での5連騰”』は、今後の「着実な上昇圧力の増勢」を示唆
◎RSIは中立水準で反発に転じ、ストキャスティクスも低位から反転上昇し高位持続(高止まり)のフェーズに入りつつある。共に更なる上昇を排除せず
●ただし、これ以上の水準は4/27週に『大きく顕現化した161円超への障壁』にぶつかってゆくため、自律調整的な反落にも警戒を怠れぬ局面に
=>足許での「上昇モメンタムの増勢は明らか」だが、水準が上がるにつれ『161円超への障壁(戻り売り圧力)』も同時に高まるため、両圧力の拮抗により再び『保合い(膠着)』となる可能性も排除できず
=>実際、直近2週の変動幅は「1.04円、1.05円」に止まっており、見方によっては『強含み“保合い”』の範疇に止まっている
◇それでも、超長期時間軸(後述月足)では「USD円相場の地合いは極めて堅固」であるため、今後2024年7月の161.94円を超えて「162円台トライへ移行」する可能性は依然として存続
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しているとの認識を引き続き堅持したい
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
1 163.05円=21日MA+2.46%
2 162.10円=21週MA+2.46%
3 ☆161.60円=21週MA+2.16%☆
4 160.75円=21日MA+0.69%
5 159.60円=21日MA
6 159.25円=21週MA+0.69%
7 ☆159.00円=52日MA☆
8 158.15円=21週MA
>>>上記3(上方)と7(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/6/12のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:押し目買い圧力は堅固も、戻り売り圧力も漸増

〇上図は前掲(直近10ヶ月)分を直近2年分に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
◎『根強い押し目買い圧力』ならびに『昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TL』は依然として堅固であり、今後も相当強力なサポートラインとして機能する可能性が高い
●ただし、これ以上の水準は4/27週に『大きく顕現化した160円超への障壁』にぶつかってゆくため、自律調整的な反落にも警戒を怠れぬ局面
=>足許での「上昇モメンタムの増勢は明らか」だが、水準が上がるにつれ『161円超への障壁(戻り売り圧力)』も一段と高まるため、両圧力の拮抗により再び『保合い(膠着)』となる可能性も排除できない
>>> 想定レンジ=今後1週間:158.15~161.60、今後1ヶ月:156.30~164.10=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:自律調整を交えつつ、堅固な地合いから上値模索へ

◇上図は冒頭掲載分の期間を4年強に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
⇒「5週連続陽線」は2022年10月中旬以降では初の事象。2022年は「9週連続陽線×2回」や「7週連続陽線」など“USD高円安が明確に加速”した年
⇒今回の「5週連騰」は直近が“僅かな陽線”であり、“明確”とは言えないまでも2022年のような「力強い上昇が再来する可能性」は台頭
●現状以上の水準は4/27週に『大きく顕現化した161円超への障壁』にぶつかってゆくため、自律調整的な反落にも警戒を怠れぬ局面
◇それでも、超長期時間軸(後述月足)では「USD円相場の地合いは極めて堅固」であるため、今後2024年7月の161.94円を超えて「162円台トライへ移行」する可能性は依然として強く存続
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しているとの認識を引き続き堅持したい
>>>今後6か月間の想定レンジ = 151.20~167.70⇒ 151.40~167.70=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:超長期上昇トレンドは着実に進展している

◇上値抵抗線として機能していた2024年夏以降の下降トレンドライン(TL)突破が示現後、このTLは下値支持線に転化し、その後も月内での『重要な底打ち/反発水準』としての機能を継続
◇かつて「RSIやストキャスティクスが警戒すべき高水準を長期間維持し続けることを可能にした2022年の“強固な地合い”」が徐々に回復しつつある
=>『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
□超長期時間軸では『着実な上昇トレンド』を堅持
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.30~169.50 ⇒ 147.30~169.80 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):和平観測再浮上⇒原油・金利低下⇒株急回復
◇米国:週央より米・イランの和平観測が再浮上⇒週末にかけ原油・金利低下⇒株急反発
◇日本:上記より有事のUSD買いが収縮⇒一方で株価上昇のリスクオン展開に株・USD上昇
◇USD円:週央からの原油・金利低下を受け、週末にかけてUSD指数・USD円は共に若干弱含み

週末のテクニカル分析では、今回も「USD円相場は底堅く推移(上方志向)」的結論としました。ただし、既述の通り「先週半ばから再び浮上した『米国とイランの和平合意』観測が週末にかけて高まった」ため「原油価格・インフレの高止まりを伴う『有事のUSD買い』要因が急速に剥落」し、161円台をバックにした戻り売り圧力もファンダメンタルズ要因として軽視できないものとなっています。
更に、眠い目をこすりながらワールドカップ日蘭戦を見ていたら「米国・イランの和平合意が完了」(トランプ米大統領)のヘッドラインが…。ここ数週間で何十回と聞かされたそのコメントに辟易としていましたが、時間の経過と報道内容が明らかになるにつれて「おっ、今回はさすがに真実?」との認識が高まりました。
これを受けて、まずは原油先物市場が80ドル台に急落、インフレ懸念の沈静化期待も高まり東京株式市場は前週末比2000円超急騰して始まりました(USD円は早朝に159.75近辺へ下落)。その後も株式市場の活況(上昇)は続き「6月に入って調整局面入りか」と思われた日本の株価指数は日経平均・TOPIX共にあっという間に最高値更新という状況(日本時間11時)になっています。
「6/14はトランプ氏自身の80歳の誕生日」・「アメリカ建国250周年」・「風向きが悪くなってきた11月の中間選挙まで5か月弱」といった様々な要因から、半ば強引にこの日の和平合意を演出したのではないかとの邪推すら出てきそうですが、(自身が始めた)「戦争を終わらせた大統領」・「長く美しい平和の始まり」などと呆れるような自画自賛劇には毎度のことながら鼻白む思いです。
そうはいっても、現在までに私が入手出来た各種報道をコンパクトにまとめると以下の通りとなり、トランプ氏によるいつもの自分勝手な希望の表明とは一線を画すようです。
「米国・イラン和平合意関連の公表要旨」
【米国側】
●イランとの合意が完了(トランプ氏)
●ホルムズ海峡の“海上封鎖の解除”を承認
【仲介役:シャリフ・パキスタン首相】
〇米国とイランが和平合意に達する模様
〇6/19にはスイスで正式に相互に署名予定
【イラン側:ガリババディ外務次官】
◎米国との合意は最終段階にある
◎ホルムズ海峡の“海上封鎖は今夜から終了”
なお、この点についてはTRADOM為替アンバサダーの安田佐和子氏が今週のweekly reportで詳しく分析されておりますので該当部分を以下にてご案内します。
―イランとの「60日の賭け」、脆い平和の夜明けか、歴史の再演か
「世界の船よ、エンジンをかけろ。石油を流通させよ」――自身の誕生日である6月14日、トランプ大統領は意気揚々と米国とイランの和平合意成立をトゥルース・ソーシャルに投稿した。ホルムズ海峡の無料通航許可と米海軍封鎖の即時解除も宣言。また、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙との28分に及ぶ電話インタビューに応じたトランプ氏は、「多くの大統領がイランとの和平を試みたが、私以前は全員失敗した」と語り、自身の功績を喧伝した。
とはいえ、トランプ氏とイラン側の覚書内容を比較すると、ホルムズ海峡の即時再開という骨格では両国の認識が一致するものの、トランプ氏やイランのガリババディ外務次官、その他両国がメディアを通じ伝えた内容が示す通り、「解釈の相違」か「根本的な相違」が浮き彫りとなっている。
チャート:双方が主張する覚書の内容比較

核開発プログラムの処置こそ、最も深刻な食い違いが残る論点だ。NYT紙とのインタビューでトランプ氏は、イランが核兵器を「開発も購入もできない」と合意したと主張。ウラン濃縮停止を「20年、最低でも15年」で交渉中と示唆した上で、イランは軍事利用が不可能な低濃縮レベルに永久に制限されると述べた。しかしNYT紙は、イランが核不拡散条約を1970年に批准した時点でこれに同意しており、オバマ政権時代の合意の冒頭にも同じ確約が盛り込まれていたと指摘。つまり、トランプ氏はすでに存在していた誓約を「新たな成果」として提示している可能性があるという。
また、イラン高官がロイターに伝えた覚書草案では、米国はイランが高濃縮ウランをイラン国内で希釈することを包括的合意の下で認めると位置づける一方、米政府高官は「高濃縮ウランを破壊または撤去するプロセスが始まる」と説明。米国が主張する「破壊・撤去」と、「イラン国内での希釈」という処置をめぐる根本的な解釈の溝は埋まっておらず、核プログラム・濃縮活動・高濃縮ウランの具体的な処置はすべて60日以内の交渉に委ねられた格好だ。ガリババディ氏がタスニム通信に語った通り、覚書の全文は署名後に公開される予定で、どちらの主張が実際の文書に即しているかを確認するには、6月19日のスイス署名式まで待つ必要がある。
ホルムズ海峡の通航権限についても、トランプ氏が「永久に通航料無料」と断言した一方で、イランのアラグチ外相は覚書合意前にオマーンとの海峡管理権維持を主張しており、解釈は真っ向から対立している。
凍結資産の解除規模についても、相違点を確認できる。イラン高官が250億ドルの凍結資産解除と強調するほか、ガリババディ氏は「60日交渉期間中に全ての一次・二次制裁の終了と、国連安保理および国際原子力機関(IAEA)理事会決議の終了を議論する」と述べており、アクシオスが米国当局者から確認した「資産解放・制裁解除は最終合意後にのみ実施される」との説明とも、タイミングを含め大きく異なる。共和党の外交タカ派として知られるグラム上院議員は、すでに「米国とイラン政府の合意に対する見解が異なることを懸念する」と表明しており、制裁解除の範囲をめぐる議会内の反発は今後の交渉の大きな障壁となり得る。
両者の主張に根本的な食い違いを確認しつつも、今回の枠組みにはオバマ政権下でのイラン核合意(JCPOA)にはなかった構造的な強みが3つある。1つ目に、ホルムズ海峡の再開は原油市場と海運データが即座に検証できる履行指標であり、違反を隠しづらい。2つ目に、経済的な抑止構造だ。凍結資産と制裁の解除は最終合意後にのみ実施されるため、イランが約束を破れば経済的恩恵を失う。3つ目に、超党派シンクタンクの外交問題評議会が指摘するように、少なくとも米国側によれば核兵器を追求しない確約を盛り込む方針で、「これはJCPOAにはなかった踏み込んだ内容だ」と評価されている。
一方で、懸念材料も存在する。軍備管理協会が指摘する通り、覚書には査察・検証メカニズムが明記されていない可能性があり、国際原子力機関(IAEA)の関与も現時点では不明だ。何より、覚書合意を迎えた6月14日の午前に、ヒズボラがイスラエルへのドローン攻撃を仕掛け、イスラエルが報復した。覚書合意前にワシントン研究所が指摘したように、代理勢力の統制が依然として最大のリスク要因として残る。カーネギー財団も警告していた「ホルムズ海峡を抑止力としながら静かに核開発を継続する」シナリオの現実味は、ガリババディ外務次官が「軍の圧力が交渉を促した」と公言したことでむしろ増している。
歴史との韻も拭えない。1973年のパリ和平協定は、選挙と世論を背景に撤退を急いだニクソン政権が結んだ枠組みだったが、米軍撤退後に北ベトナムが破棄し1975年4月のサイゴン陥落を招いた。歴史家ジェフリー・キンボール氏によれば、キッシンジャーは極秘訪中時のメモに「我々は猶予期間(Decent Interval)を望む。それを保証する」と書き記していたという。キンボール氏はこれをもとに、ニクソン政権が南ベトナムの長期的存続よりも米国の体面を保つための時間稼ぎを優先したと論じた。現代に視点を移すと、自身の誕生日・建国250周年・中間選挙に向けた「戦争を終わらせた大統領」を急ぐトランプ氏の姿勢は、この構図と重なって見える。イスラエルが交渉から排除された点も、南ベトナム政府が置き去りにされたパリ協定の構図を連想させる。もっともトランプ氏はこの批判を先取りするかのように「失敗すれば軍事攻撃を再開するか、米国が中東の守護者として地域収益の20%を受け取る」と明言しており、これがニクソン政権との決定的な違いとなるかどうかが問われている。
米国とイランの合意内容が、トランプ氏が掲げたように「長く美しい平和の始まりとなり得る」のか否か。ガリババディ氏は覚書に対し「敵への信頼を意味しない。能動的な不信のもとで書かれた」と述べ、さらに「軍の脅しが交渉を前進させた」と公言している。覚書に対し、双方が正反対の文脈で国内に提示しているこの根本的な認識の乖離こそが、6月19日スイスでの署名式とその後60日間の最終交渉における最大の難所だ。核プログラムの「破壊か希釈か」、査察メカニズムの設計、制裁解除の範囲――これらが詰められる交渉の帰趨が、この覚書を真の平和への出発点とするか、壮大な時間稼ぎの幕開けとするかを決定づけられよう。
<以上、安田佐和子氏の6/15付weekly reportより抜粋>
この和平合意に関して大きく紙幅を割いてきましたが、安田さんも指摘されている通り、我々も「合意はスムーズにまとまらないリスクあり」と考えています。そのため、この要因からの不確実性が今後の金融市場に与える影響には引き続き留意が必要です。
さて、先週も言及しました通り今週は中央銀行ウィークの2週目であり、USD円相場には極めて大きなインパクトを持つ日米金融政策(日銀政策決定会合とFOMC)の行方が明らかになります。
時系列では、6/15-16の日銀政策決定会合が珍しく米FOMC(6/16-17)に先んじることになり、特に基軸通貨であるUSD指数に大きな影響を与える米国金融政策が(中1日とはいえ)不明なまま政策決定を余儀なくされるためその判断は非常に難しいと思われます。また、病気療養のため植田総裁は欠席となっており、会合後の定例記者会見は内田副総裁が務められる予定です。
先週も指摘しましたが、今会合での「0.25%の利上げ⇒1.0%に」は確実視されており
➀市場ではほぼ100%織り込み済み
➁この程度の利上げだと「実質金利はマイナスのまま」(円の最大の弱点克服ならず)
➂昨今の世界的インフレ高進により海外の主要中銀もタカ派に傾斜
⇒一周遅れの日銀の金融正常化(利上げ)も円高要因にはなりづらい
⇒むしろ予定されている「国債買い入れ減額の停止」や内田副総裁の「会見内容」がハト派と判断されれば円安に振れる可能性あり
→例:従来通り半年に1回程度の慎重な利上げ姿勢が示 唆された場合
⇒その速度によっては「当局の介入」も予想され要注意
◎現在の市場の関心は「次回の利上げ⇒1.25%」が何時になるか(早ければ円高要因)
声明文と 内田副総裁の会見から得られる示唆としては、
➊0.25%の利上げに対する評決の内訳(高市政権下で任命された浅 田委員が賛成に回るか注目)
➋政策指針における「実質金利が極めて低い」の文言が維持されるか否か
➌基調的物価の上振れリスクをどの程度強調するか など
<いずれにせよ、会合後のUSD円・長期債利回りには要注意>
次にFOMCの注目点(こちらは「今回は据え置き」が確実視)
➀メンバーによるFF金利見通し(いわゆるドットチャート)が「どのように変化するか」
⇒前回3月分の予測中央値は「2026年/2027年各1回の利下げ」が示唆されていましたが、今回は「年内利上げ」を予測する委員が増えていることは確実で、『中央値が上方修正される可能性』あり
⇒「年内据え置きなら市場は織り込み済み」で反応薄
⇒「年内利下げ示唆が維持された場合」は『株・債券市場にとってポジティブ』
⇒逆に「年内利上げ示唆」に変更となれば、株売り・債券売りの反応に
また、ウォーシュ新議長は将来の政策に制限をかける恐れのあるSEP(FOMC委員の経済見通しサマリー)の開示に否定的な考えを示していることから、今後の取り扱いについて何らかの方針が示されるかに注目です。
今週末も変動率の激しい日米株に関する質問が多かったです。特に「今の相場は半導体・AIバブルか?」というもの。
この問いに対して、かつてのバブル相場を経験したものとしては『似て非なるもの』というのが率直な感想です。かつてのバブル相場も➀物色対象に偏り、➁上昇のスピードが異常に早いなどの点は非常によく似ています。
ただ、決定的に異なるのはヴァリュエーションであり「かつてはPER100倍などがザラ」にありましたが、現在はやや高めだとは思われるものの「異常な高PER」とは言えません。
故に現在のAI/半導体関連株主導の上昇相場はバブルだとは考えていませんし、ここが天井で近い将来大幅な反動(急落)を見込んでいるわけでもありません。
しかしながら「過熱感は相応にある」とは思いますので、時期は限定できませんが調整局面は必ずあるのではないかと考えています。
また、経験から申し上げると「構造的円安」が当たり前に語られるようになっているUSD円の現状には見落としがちな変化の兆しがあるのではないかと考え始めています。
早いもので、新年度入りから2か月半が経過し11月の米中間選挙まであと4か月半となりました。低迷が続く支持率の回復を狙う米トランプ政権。しかし、年明け以降の「力による安定」をアピールしたい政権の政策に対する透明性や評価は決して高いとは言えないと思われます。これに伴って、金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況です。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
お知らせ➀:今週は一部ご案内致しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
お知らせ➁:トレーダムでは「5月22日、ステーブルコインを活用したクロスボーダー決済サービス『トレーダム ペイメント』の提供を開始」しました。日経新聞を始め多様なメディアに取り上げられておりますので、是非ご一読ください。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB251ET0V20C26A5000000/?n_cid=dsapp_share_ios
2026/6/15
ようこそ、トレーダムコミュニティへ!





