<テクニカル分析判断>
●短・中期:大きく増幅した160円超への障壁と根強い押し目買い圧力が拮抗し再び保合いへ

■4/27週:「寄付159.57:155.49~160.71終値157.05、前週比▲2.28円の円高)」
◇週央までは想定通りの「保合い上放れ」から上値模索が進み、一時2024年7月以来となる160円台後半へ上昇
◆しかし、大型連休突入直後の4/30夜に本邦金融当局が警告/勧告を発していた通り「介入」とみられる暴力的(?)ともいえる膨大なUSD売り/円買いが実施され、相場は一転して「160円台から一時155円台」へと急落
◆翌5/1にも同様の動きあるも、押し目買い圧力も根強く、終値でかろうじて157円台を回復して越週。それでも21週MAを上回ることは出来ず、12週ぶりに21週MAを下回った
◎この展開を受け「週間変動幅は5.22円」と保合いの収束が予想された前4/20週の1.29円の4倍超となる5.22円に急拡大した
■5/4週:「寄付156.72:155.04~157.92終値156.69、前週比▲0.36円の円高)」
◆前週比で▲0.36円の円高となり僅かに続落の展開。日本がGWで休場の間もほぼ連日介入が行われ、押し目買いによる自律反発は見られたものの戻り高値は158円台に届かず
◇一方、薄商いの中の円買い介入によって一時前週の安値(155.49)を下回る局面もあったが、それでも154円台に突入することはなく(155.04まで)、引き続き押し目買い圧力の根強さを確認
◆結局「戻り売り/押し目買い」の両圧力が拮抗し、週間の足形は下ヒゲが長目の「十字線」に近いものとなった
●この結果、展開は前週の反動から鎮静化に向かい「週間変動幅は2.88円」と、前4/27週の5.22円から大幅に縮小
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
◆4/27週の上値トライは160.71まで。キッチリと「21週MA+2.16%」の水準でピークアウト
◆21週MAを下回っての終値が更に継続。終値は2週連続で21週MA未満の水準となり地合いはかなり悪化
◆今後も21週MA未満の推移(特に終値)が長引くようなら、上昇圧力のモメンタムが減退し将来の「保合い上放れ」の可能性が後退。逆に「(D)からの緩やかな上昇トレンドライン(サポートライン)」を下回り52週MAへの下落の可能性も排除できない
<⇔>
◇5/4週の「下ヒゲ長めの小“陰線”」はボトムアウトのサイン?(以下ご参照)
(1)・(2):「下ヒゲの長い小“陽線”」と「(D)からの緩やかな上昇トレンドライン(サポートライン)付近での底打ち」
(3):「下ヒゲの長い小“陽線”」と「(A)⇒(C)の長期下降TL」が上抜けしたことで強力なサポートラインに転化した水準での底打ち
(4?):「下ヒゲ長めの小“陰線”」ではあるものの、「(D)からの緩やかな上昇トレンドライン(サポートライン)付近での底打ち」の可能性大いにあり
➀:「21週MA」を強力なサポートラインとした底打ち
➁:「(A)⇒(C)の長期下降TL」が上抜けしたことで強力なサポートラインに転化した水準での底打ち
➂:「(D)からの緩やかな上昇トレンドライン(サポートライン)付近での底打ち」の可能性大いにあり
=>直近2週間で以下を改めて確認
●週の終値は2週連続で21週MA未満の水準となり3週前までと比べて「地合いはかなり悪化」
●158円台から160円超にかけての戻り売り圧力は大きく増幅
●RSIは超中立ゾーンで方向性を見出しがたいが、ストキャスティクスには反発に転じるまでの下落余地が残存
◎根強い押し目買い圧力も依然として堅固
◎昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TLは依然としてかなり堅固だと思われ、今後もかなり強力なサポートラインとして機能しよう
=>直近2週間で『大きく増幅した160円超への障壁』と『根強い押し目買い圧力』が拮抗。当面は方向感が出づらく、再び『保合い』となる可能性高まる

<上掲チャートのポイント(日足):短期時間軸:既述週足コメントもご参照>
◆4/30の超長大陰線出現以降「21日MAと52日MA」を大幅に下回る水準での推移が常態化しており、USD円相場の地合いはかなり悪化した
◇それでも「21日MA▲2.16%」や「2025/4(139.89)以降の緩やかな上昇TL」でサポートされ(➁参照)、①の状況との類似性が今後反発する可能性の高まりを示唆
◇なお、4/30の急落以降の軟調推移に「RSI/ストキャスティクスは急低下し、いつ反発に転じても全くおかしくない」水準に至っている
=>中短期時間軸での「USD円相場の地合いの悪化」は明らかだが、一方で『根強い押し目買い圧力は依然として存続』していることも示唆されている
●4/30の(介入による)急落は、これまでの『円安』から『円高』へのトレンド転換を意味するものではないものの、たとえ一時的な事象に過ぎないとしても「これまでの円安進行のペースが大きく抑制された」ことだけは間違いない
◎一方で、根強い押し目買い圧力を背景に「各種サポートラインでの底打ちの可能性も台頭」
=>『160円台を背にした戻り売り圧力』と『根強い押し目買い圧力』との拮抗状態は当面継続を余儀なくされよう
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
=>4/30の急落を含む直近2週間で以下を改めて確認
●週の終値は2週連続で21週MA未満の水準となり3週前までと比べて「地合いはかなり悪化」した
●158円台から160円超にかけての戻り売り圧力は大きく増幅
◎根強い押し目買い圧力も依然として堅固
◎昨年4月から1年超続く緩やかな上昇TLは依然としてかなり堅固だと思われ、今後もかなり強力なサポートラインとして機能しよう
=>直近2週間で『大きく増幅した160円超への障壁』と『根強い押し目買い圧力』が拮抗。当面は方向感が出づらく、再び『保合い』となる可能性高まる
◇それでも、超長期時間軸では「USD円相場の地合いは依然として堅固」であるため、今後2024年7月の161.94円を超えて162円台へのトライへ移行する可能性は依然として存続
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しつつあるとの認識を継続
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
1 160.30円=21週MA+1.86%
2 159.30円=21週MA+1.23%
3 ☆158.40円=21日MA☆
4 157.40円=21週MA
5 156.30円=21週MA▲0.69%
6 ☆155.45円=21週MA▲1.23☆
7 154.95円=21日MA▲2.16%
8 154.50円=21日MA▲2.46%
>>>上記3(上方)と6(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/5/8のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:急落を経て、改めて保合いへ

〇上図は前掲(直近1年)分を直近2年分に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
●4/30の(介入による)急落は、これまでの『円安』から『円高』へのトレンド転換を意味するものではないものの、たとえ一時的な事象に過ぎないとしても「これまでの円安進行のペースが大きく抑制された」ことだけは間違いない
◎一方で、根強い押し目買い圧力を背景に「各種サポートラインでの底打ちの可能性も台頭」
=>『160円台を背にした戻り売り圧力』と『根強い押し目買い圧力』との拮抗状態は当面継続を余儀なくされよう
>>> 想定レンジ=今後1週間:155.40~159.30、今後1ヶ月:154.20~160.80=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:急落を経て、改めて保合いへ

◇上図は冒頭掲載分の期間を4年強に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
=>直近2週間で『大きく増幅した160円超への障壁』と『根強い押し目買い圧力』が拮抗。当面は方向感が出づらく、再び『保合い』となる可能性高まる
◇それでも、超長期時間軸では「USD円相場の地合いは依然として堅固」であるため、今後2024年7月の161.94円を超えて162円台へのトライへ移行する可能性は依然として存続
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しつつあるとの認識を継続
>>>今後6か月間の想定レンジ = 151.80~166.80⇒ 150.60~164.70=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:超長期上昇トレンドは着実に進展中

◇上値抵抗線として機能していた2024年夏以降の下降トレンドライン(TL)突破が示現。その後、このTLは下値支持線に転化し、直近3か月も月内での『重要な底打ち/反発水準』としての機能を継続
◇かつて「RSIやストキャスティクスが警戒すべき高水準を長期間維持し続けることを可能にした“強固な地合い”」が徐々に回復しつつある
=>『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
□超長期時間軸では『着実な上昇トレンド』を堅持
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.30~171.30 ⇒ 147.30~167.40 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):中東の緊張緩和期待からリスクオン
◇米国:中東の緊張緩和期待を背景のリスクオン展開が加速。株価は最高値を更新
◇日本:中東の緊張緩和期待から米国同様のリスクオン。日経平均は最高値を更新
◇USD円:米金利強含みも介入によりUSD指数・USD円共に弱含み

USD円相場はこの2週間で大きく変動。ボラティリティの高まりは想定した通りでしたが、その原動力は本邦金融当局による介入であり、振れ幅はわれわれの想定よりも円高方向に大きくなりました。
この2週間のレンジは「155.04~160.71円」と5.67円の振幅。3週前の4/20週の変動幅が僅か1.29円でしたので「売り買い拮抗の保合いもここに極まれり」と判断していたわけです。ただし、介入が入るのは「162円の新値を超えてから」ではないかと考えていましたので、我々の想定よりも早い段階でお出ましになられたといえます。
ただし、これまでも繰り返し指摘してきましたが「介入だけで市場のトレンドを反転させることはできない」との認識に変化はありません。「円の最大の弱点は主要国の中で突出して低い(マイナスの)実質金利」を筆頭に「構造的」と言われて久しい円安を介入だけで止めた上に円高に反転させることなど到底不可能だと考えているからです。
介入は日本が休場となっていた5/4~6にもGW期間中ほぼ毎日行われました。この一年以上、大きな押し目もなくじわじわと円安が進んでいたので外貨の手当てが中々進まない企業の方々にとっては、今回の介入は外貨購入の良い機会提供になったのではないかと思います。しかし「それなら何も日本が休場の時にやらなくても…」と考えるのは私だけでしょうか。
なお、テクニカル分析では再び明確な方向性が定まりづらい状況下『大きく増幅した160円超への障壁と根強い押し目買い圧力が拮抗し再び保合いへ』との結論としています(以下ご参照)。
●4/30の(介入による)急落は、これまでの『円安』から『円高』へのトレンド転換を意味するものではないものの、たとえ一時的な事象に過ぎないとしても「これまでの円安進行のペースが大きく抑制された」ことだけは間違いない
◎一方で、根強い押し目買い圧力を背景に「各種サポートラインでの底打ちの可能性も台頭」
=>『160円台を背にした戻り売り圧力』と『根強い押し目買い圧力』との拮抗状態は当面継続を余儀なくされよう
さて、今週予定されている内外の経済指標発表やイベントも重要なものが目白押しですが、個人的に注目しているのは、ベッセント米財務長官の来日(高市首相・片山財務相と会談予定)です。
1月の「レートチェックを主導した」との憶測や(財政だけでなく金融政策の重要性を説き)一貫して「日銀の金融政策正常化を強く求めている」とされるベッセント財務長官が今回の来日で何を語るのかは非常に注目されるところです。
この点については、TRADOM為替アンバサダーの安田佐和子氏が今週5/11付のweekly reportでGW中の介入も絡めて非常に詳しくまとめておられます。ただ、かなり量が多いので一部を抜粋してご案内致します。
2.今週のドル円見通し=GW介入を容認したベッセント財務長官、訪日で何を語るか
【今週のドル円予想レンジ:155.00~158.10円】
―政府・日銀がゴールデンウィークに介入した理由と、日米の「緊密な連絡」
1)ドル円は2つのテクニカル要因から、一段高へ「風前の灯」
ドル円は、2つのテクニカル要因から上値を試す展開が続いていた。 第一に、プラザ合意直前の高値240円と2011年10月31日の安値75.32円の半値戻しにあたる157.70円を、今年に入り再び突破。相場格言の「半値戻しは全値戻し」を踏まえれば、240円方向を試すシナリオは依然として排除できない。
チャート:プラザ合意直前の高値へ戻すかの岐路に立たされるドル円

第二に、ニクソン・ショック以降の変動相場制において観測されてきた、「ドル円は約8年周期でピークアウトする」という長期サイクル論の変調である。前回のサイクルは、2015年から2024年時点で9年目を経て、終了したかに見えた。しかし、仮に2024年7月3日の高値である161.95円を今後明確に上抜ける展開となれば、半世紀近く相場を支配してきたこの周期論は事実上、崩壊したと判断せざるを得ない。その場合、ドル円は既存のアノマリーによる制約から解き放たれ、構造的な円安基調定着リスクを孕む。
チャート:ドル円8年周期論、崩壊間近か否か

以上を踏まえれば、4月28日の日銀金融政策決定会合後の植田総裁会見を経て、ドル円が4月30日に一時160.73円と2024年7月の高値に迫った事実は、政府・日銀にとって重く圧し掛かったに違いない。同日、当局は遂に伝家の宝刀を抜きドル売り・円買い介入を実施、ドル円は一時155.56円とイラン紛争後の上昇を完全に相殺していった。
日銀が公表した5月7日の当座預金残高見通しのうち、為替介入が反映される「財政等要因」は予想ベースで9兆4,800億円の不足となり、短資会社の予想に基づけば、4兆9,800億~5兆4,800億円の実弾介入に踏み切ったとみられる。後に公表された日銀の速報値では、3兆4,400億~3兆 9,400億円程度に縮小した可能性もある。その後の値動きを踏まえれば、5月1日、4日、6日と断続的に介入を行った公算が大きく、その規模は3営業日で約4兆5,100億~5兆100億円と試算でき、GW介入の規模は全体で約8兆~9兆円と想定される。
正式な介入規模を把握するには、4月28日から5月27日までの月次ベースが発表される5月29日まで待たねばならない。ただし、日次ベースでは8月まで待つ必要がある。
チャート:4月30日から5月初旬にわたり、GW介入実施の公算

2)4月30日の介入は「いつか来た道」、2024年との類似点
片山財務相は4月30日、「断固たる措置をとるタイミングが近づいている」、「ご外出の時もお休みの時もスマホを離さずに」と発言。三村財務官も「これは最後の退避勧告」と強調していたが、予告通り介入を実施した格好だ。
足元の介入は、投機筋のネット・ショートの水準からみれば、妥当だったと言える。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した投機筋による円先物のネット・ショートは、4月28日週時点で10万2,059枚と2024年7月以来の10万枚台に乗せた。2022~24年の介入局面での平均のネット・ショートは約12万枚だが、2022年には7万~8万枚でも介入を実施していただけに、時期尚早とは言い難い。
さらに、投機筋の中でもヘッジファンドや商品投資顧問などが含まれるレバレッジ系のネット・ショートも7万5,802枚、特にショート単体は15万7,602枚と2007年10月以来の規模に膨らんでいた。投機筋のポジションを突き崩す狙いがあったのならば、的を射たタイミングと受け止められる。
チャート:投機筋のネット・ショートは、2024年7月以来の高水準

チャート:レバレッジ系のショート単体では、2007年10月以来の規模に膨らむ

投機筋のネット・ショートが2024年7月以来の水準に積み上がったように、4月30日の介入は2024年、特に4月29日と類似点が確認できる。日銀会合後の植田総裁会見を契機としたドル円の急伸局面で行われ、2024年4月29日に示された“いつか来た道”の構図が色濃く再現された。
そして、当時と同じく米国あるいは外部要因でドル売り転換を試すタイミングでなかった点も、当時と合致する。実際、2024年4月と5月に行われた介入後にドル円は再び上昇、同年7月3日に161.95円と1986年以来の高値をつけ、介入を余儀なくされた。介入規模も、当時の5兆9,185億円と匹敵する水準と試算できる。
もっとも、2022~2024年の介入時と比較すると、今回はボラティリティの急伸が確認できていない。当時介入を指揮していた神田財務官は「2週間で4%の変動」など、ボラティリティを問題視していた。しかし、2月23日週から介入直前の4月20日週までドル円の値幅は平均0.6%程度に過ぎない。しかも現状、円独歩安というよりはイラン紛争に伴う「有事のドル買い」と、その巻き戻しによる他通貨の対ドルでの買い戻しが結果的に円安を招いており、「投機的」かは疑問が残る。
3)2024年と違いFRBはタカ派シフトのリスクも、「有事のドル買い」は一服の様相も
今回のゴールデンウィーク(GW)中の介入で注目すべきは、そのタイミングと米国側による協力体制にある。片山財務相は4月15日の訪米時にスコット・ベッセント米財務長官と会談したが、その直後に米財務省が公表した声明には、「一段と緊密な連絡の維持(maintaining even-closer communications)」 という文言が新たに盛り込まれた。 この表現は、1月の声明にも、2025年10月のベッセント氏訪日時の声明にも見られなかったもので、4月15日の会談が今回の介入に向けた重要な布石となった可能性を示唆する。片山氏自身もXで「為替については、更に連絡緊密化で一致」と投稿していた。
さらに、2025年9月の日米財務相共同声明――「過度な変動を伴う、 又は無秩序な減価・増価への対応として等しく適切と考えられるとの想定の下、為替 レートの過度の変動や無秩序な動きに対処するためのものに留保されるべき」――を踏まえれば、今回の円買い介入が “無秩序な減価”への対応として米国に事実上容認されたとみるのが自然だ。
介入における日米の連携を決定づけるのが、まさにそのタイミングだ。2022~2024年は米連邦準備制度理事会(FRB)の政策転換に乗じたものだった。しかし、今回は構図が大きく異なる。イラン紛争を受けた「有事のドル買い」を受けて、ピークアウトしつつある局面で、米国側が明確に“潮目の変化”を示した直後に介入が行われたためだ。
トランプ政権は5月1日、4月7日に命じた停戦が延長された結果、イランに対する軍事行動が「終了した」と議会に正式通知した。5月4日には、「プロジェクト・フリーダム」を開始するとして、各国の船舶を誘導し航行支援すると発表。さらに、5月6日には米国とイランが終戦に向けた「1ページ覚書」への締結に近づくと報じられた。米国とイランの軍事衝突の緊張が後退すると同時に、「有事のドル買い」が収束し始めたと言えよう。
こうした地政学的な緊張緩和のタイミングで日本が介入に踏み切った点を踏まえれば、背後で日米の緊密な調整があったとしても不自然ではない。
チャート:2022~2024年の介入時と、足元の状況

5月14~15日に米中首脳会談を控えるなか、ベッセント氏が11~13日訪日し、12日に高市首相や片山財務相と会談を予定している事実も、両国が為替・金融政策面で歩調を合わせている印象を強める。ただし、当初報じられていた植田日銀総裁との会談は、国際決済銀行(BIS)が隔月開催する中央銀行総裁会議出席のため、急遽見送られた。
植田氏といえば、2024年4月の金融政策決定会合後の会見で円安が基調的物価上昇率に影響を与えていないのかとの質問に「はい」と回答、その後、ドル円が160円を突破した事実が思い出されよう。その際、同年6月に開催された欧州中央銀行(ECB)フォーラムに欠席したほか、カンザスシティ連銀主催のジャクソンホール会議にも出席しなかった。今回は、逆に急遽出張の運びとなり、様々な思惑を招いた。植田氏が日銀総裁に就任した2023年以降、ECBフォーラムとジャクソンホール会合を欠席したのは、2024年だけである。2026年については、両会合とも参加の可否は現時点で不明だ。
< 以上、安田佐和子氏の今週5/11付のweekly reportより抜粋 >
最後に、2週空き、溜まり気味になってきたご質問に簡単にお答えします。
先週も同様の質問にお答えしましたが、やはり今回も「日米の半導体関連株を中心に株式市場はすこぶる活況だがどこまで上昇するのか?」といった趣旨のご質問が圧倒的でしたのでこれについて個人的な意見をお伝えします。
前回(2週前)、以下のように回答しました。
<<ここ数週、米国とイランの恒久的停戦合意が近いとの期待の高まりから、株式市場が暴騰に近い上昇をみせています。SOX指数の17日連騰という驚異的な続伸とともにナスダック総合指数はこのところ連日の最高値を更新に沸いています。その他、主要株価指数の中では、台湾加権指数、S&P500指数、日経平均株価なども、最高値更新ラッシュの渦中にあります。
この動きの牽引役は、ご案内の通りいずれも半導体関連株です。先日発表された世界半導体市場統計(WSTS)の2月の世界半導体売上が「前年比+86.1%の驚異的な伸び」となるなど、AI投資拡大に伴う半導体需要の強さが改めて示されましたが、これによって、関連銘柄への物色に弾みが付いたものとみられます。まさに有卦に入っている状況と言えるでしょう。
ただし、中長期的なポートフォリオの一環として株式を捉えている我々としては「➊物色対象の極端な偏り」・「➋上昇速度」・「➌ヴァリュエーション」に強烈な過熱とリスクを感じており、この3つに着目すれば、当面は「更なる上昇余地」よりも「自律調整による反落」の可能性が高まっていると判断しています。
特に、5万円をつけてから半年たらずで6万円の大台に到達した日経平均株価は➊~➌の諸点もさることながら、我々機関投資家が日本株のベンチマークとして位置付けているTOPIXとの(パフォーマンス)乖離が歴史的水準にまで拡大。TOPIXは2月に記録した最高値からまだ5%超劣後(先週末時点)しており、最高値更新中の日経平均との所謂「NT倍率(日経平均/TOPIX)」はまさに歴史的水準にまで拡大しているのです。
こうした視座で考えれば、今後、TOPIXを含む株価が上値を追う展開となるためには、半導体やテクノロジー以外の業種・銘柄に物色対象が拡がることが必要となるでしょう。また、そうした状況が実現するためには(当然のことながら)ホルムズ海峡の航行正常化(実質的封鎖の解除)が焦点になると考えています。
上記のように「ホルムズ海峡の航行正常化(実質的封鎖の解除)」は日本を含むグローバル経済にとって喫緊の課題だといえますが、現在の米国とイランの主張の隔たりを考慮すれば、残念ながら早期の完全決着は望みがたいと考えます。>以上、4/27付WR>
前回から2週間が経過しているのですが状況は全く変わらないどころか、さらに『加速/過熱している』状況です。
具体的に言うと、先週の日経平均株価は初めて6万3千円台を示現しました。市場では『7万円台乗せもそう遠い話ではない』との見方も出ています。ただ前回も指摘したように、一部の値がさ半導体関連株が牽引する形となっていて『物色には極端な偏り』が見られます。
また、これも前回指摘しましたが「約1500銘柄の時価総額比重をベースに算出されるTOPIX(東証株価指数:我々がベンチマークとするインデックス)は、2月末に付けた最高値から依然として3%ほど下回る水準に止まっています。中でも原油高の悪影響を受け易い自動車関連株は、先週も年初来安値を更新する銘柄が続出するなど二極化現象が起きているのです。イラン情勢の先行きが依然不透明であるが故に、AI投資拡大で高い収益の伸びが期待できる半導体などテクノロジー関連株に投資資金が集まっているということでしょうか。
なお、今後については、以下2通りの展開が想定されます。
➊「イラン情勢が好転し」現在出遅れている業種に物色が拡大し、広範な株価上昇が続く
➋「イラン情勢が進展せず」二極化相場が続く
⇒この場合は、必然的にテクノロジー関連株の過熱感・割高感が極端に進むことになります。そうなると、遅かれ早かれ、株式市場全体が下落に転じることになる虞があります。
今まさにその状況に近づこうとしていますが『WTI原油価格が再び100ドルを明確に上回り、米10年債利回りが4.5%を上回ってゆく展開は、現在の『過熱相場が反落する引き金になりかねない』と真剣に危惧しています。
早いもので、11月の米中間選挙まで半年を切りました。低下傾向が続く支持率の回復を狙う米トランプ政権。しかし、年明け以降の「力による安定」をアピールしたい政権の政策に対する透明性や評価は決して高いとは言えないと思われます。これに伴って、金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況です。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
お知らせ:今週はごく一部をご案内しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
2026/5/11
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