<テクニカル分析判断>
●短・中期:足元の変動幅は相当な水準へ縮小。この収束が「大幅な変動」への呼び水となるか

□4/20週:「寄付158.73:158.55~159.84終値159.33、前週比+0.66円の円安)」
◇前週末比で+0.66円の円安となり、前週までの3週連続陰線という軟弱な地合いを脱却。翳りが目立ち始めていた上昇モメンタムに回復の兆しが見え、『底堅さ継続』を強く印象付ける週となった
◇先週の当レポートでも<上記3週連続の陰線は「実体部分が比較的小幅」な上に「下ヒゲが長い」ため、『下落圧力の限界』も感じられると共に『根強い押し目買い圧力が依然として継続/機能している』ことを示唆>と指摘
〇なお、週間変動幅は1.29円と、4/13週の2.27円から(下値を大きく切り上げる格好で)大幅に縮小し、「保合い」的推移の収束接近の可能性も
<上掲チャートのポイント(週足):中期時間軸>
〇①「2024年12月以来となる4週連続陽線(2/16~3/13 : 152.64→159.75/ +7.11円)」と、②「昨年4月以来の3週連続陰線(3/30~4/17 : 160.45→157.59/ ▲2.86円)」=>連続週の差は僅か1週だが、値幅(モメンタム≒勢い)の差(①>②)は歴然
〇もともと②の陰線は<「実体部分が比較的小幅」な上に「下ヒゲが長い」ため、『下落圧力の限界』も感じられると共に『根強い押し目買い圧力が依然として継続/機能している』ことを示唆>していた
⇒②以降は「21週MA~同+2.16%ゾーン内での保合い」的推移(3/2週からは2.5円未満の週間レンジ)が継続していたが、先週は前4/13週の下値を大きく切り上げる格好で週間レンジを1.29円まで縮小
⇒前週までの3週連続陰線という軟弱な地合いを脱却すると共に、翳りが目立ち始めていた上昇モメンタムに回復の兆候が鮮明に
◇なお、2024年以降「週間レンジが2円未満」の状態が連続することは極めて稀であり、仮に2週連続となった場合、その翌週には「同3円超の変動」が出来する可能性が高い
⇒3/2週からの狭い変動幅での「保合い」は着実に収束へと向かっている
⇒今後の方向性の予測には「①の堅調地合い」 vs. 「②の軟弱地合い」に対する優劣の判断が必要だが、我々はテクニカルな観点からは引き続き『①優位=円安USD高』を想定

<上掲チャートのポイント(日足):短期時間軸>
〇上掲週足コメントもご参照。前週は上値の重さから下値模索が中心だったが、先週初には21日MA超の水準を回復し、週を通じて概ね159円台での堅調な展開
〇また、前週末の大幅な下押し局面にあっても「52日MAの水準ではキッチリ底打ち/反発」に転じ、「かなり長い下ヒゲ」と共に『根強い押し目買い圧力は依然として存続』していることを示唆
●一方、RSIは中立水準にあり上昇余地を残すものの、ストキャスティクスはやや警戒を要する水準へ上昇しており、今後の急伸には抑制圧力として作用する可能性あり
=>以上の点から足元で「上昇モメンタムの復活」は感じられるものの、3月末からの4週間は「 21日MAを中心とした保合い」が継続しているとも考えられる
=>『根強い押し目買い圧力』と『160円台を背にした戻り売り圧力』は拮抗状態を続けており、<当面は「(大きく変動する前の)エネルギー充填期間」としての保合い推移となる可能性あり:先週のコメント>から依然脱していない模様
=>ただし、足元の変動幅は相当な水準へ縮小しており、この状態が収束し「大幅な変動」へと移行する可能性も高まりつつある
=>上掲の週足でも言及した通り『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
以上より<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
□日足・週足・月足(後述)の全ての時間軸において『力強い上昇トレンドが再び本格化しつつある』との大局観に大きな変化はない
◆ただし、6週前からの『160円台を背にした戻り売り圧力』も相応に強力であり「一旦上抜ければ上昇が加速する」と思われる「162.00への到達も決して容易ではない」模様。『5週続伸はならず』のアノマリーが顕現化した3/16週や直近の3週連続陰線のように、今後も一時的に上昇モメンタムが減速する可能性は否めない
◇それでも、テクニカルには「USD円相場の地合いは相当に堅固」であるため、今後2024年7月の161.94円を超えて162円台へのトライへ移行する可能性は依然として存続
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しつつあるとの認識を継続
□以上を踏まえ、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を維持した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
<スペース>
1 163.35円=21週MA+3.69%
2 162.35円=21週MA+3.09%
3 161.40円=21週MA+2.46%
4 ☆160.90円=21週MA+2.16%☆
5 158.60円=21週MA+0.69%
6 ☆157.30円=21週MA☆
7 156.45円=21週MA▲0.69%
8 155.55円=21週MA▲1.23%
>>>上記4(上方)と6(下方)が「抜けると加速する」と思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2026/4/24のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:上昇モメンタムに復活の兆しあり

〇上図は前掲(直近1年)分を直近2年分に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
=>『根強い押し目買い圧力』と『160円台を背にした戻り売り圧力』は拮抗状態を続けており、<当面は「(大きく変動する前の)エネルギー充填期間」としての保合い推移となる可能性あり:先週のコメント>から依然脱していない模様
=>ただし、日々の変動幅は昨今まれにしか見られない水準へ縮小しており、この状態が収束し「大幅な変動」へと移行する可能性も高まりつつある
=>上掲の週足でも言及した通り『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
>>> 想定レンジ=今後2週間:157.50~163.35、今後1ヶ月:155.50~164.40=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:保合いの収束から上昇サイクル復活へ

◇上図は冒頭掲載分の期間を4年強に拡大。解説コメントについては既掲をご参照下さい
〇<テクニカルには「USD円相場の地合いは相当に堅固」であるため、今後(ペースは減速してゆくかもしれないが)2024年7月の161.94円を超えて162円台へのトライへ移行する可能性は依然として存続
◎短期的な自律調整を交えつつも「中長期的な円安/USD高トレンドは着実に進展」しつつあるとの認識を継続
>>>今後6か月間の想定レンジ = 151.50~166.20⇒ 151.80~166.80=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:モメンタムに翳りなく超長期上昇トレンドは着実に進展中

◇上値抵抗線として機能していた2024年夏以降の下降トレンドライン(TL)突破が示現。その後、このTLは下値支持線に転化し、直近3か月も月内での『重要な底打ち/反発水準』としての機能を継続
◇かつて「RSIやストキャスティクスが警戒すべき高水準を長期間維持し続けることを可能にした“強固な地合い”」が徐々に回復しつつある
□超長期時間軸では『着実な上昇トレンド』を堅持
>>> 今後1年間の想定レンジ = 147.30~168.90 ⇒ 147.30~171.30 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端):中東の緊張緩和期待からリスクオン
◆米国:中東の緊張緩和期待を背景のリスクオン展開が加速。株価は最高値を更新
◆日本:中東の緊張緩和期待から米国同様のリスクオン。日経平均は最高値を更新
◆USD円:中東の緊張緩和期待も米金利低下にUSD指数・USD円共に弱含み

USD円相場は足元で「159円台で高止まり」の展開が続いています。確かに160円手前では上値が抑えられている一方、根強い押し目買い圧力に支えられる格好で下値も底堅く、方向感が定まりにくい状況にあるといえます。
このため、テクニカル分析でも今一つ方向性が定まらない中で『上昇トレンドは依然として継続している』との結論としています(以下ご参照)。
=>『根強い押し目買い圧力』と『160円台を背にした戻り売り圧力』は拮抗状態を続けており、<当面は「(大きく変動する前の)エネルギー充填期間」としての保合い推移となる可能性あり:先週のコメント>から依然脱していない模様
=>ただし、足元の変動幅は非常に稀にしか見られない水準へ縮小しており、この状態が収束し「大幅な変動」へと移行する可能性も高まりつつある
=>上掲の週足でも言及した通り『秩序ある上昇の体』は依然維持されており、最終的に『上昇サイクルは依然として存続(上方向)』を確認する可能性が高いと認識
さて、今週は「中銀ウィーク」として、複数の主要中央銀行の政策決定会合が集中します。4/28の日銀会合を皮切りに、4/29にカナダ中銀(BOC)と米FOMC、4/30には英BOEとECB、そして翌週5/5に豪RBAの政策金利発表が予定されています。
RBAは利上げの可能性が高いとされていますが、その他の中銀は中東情勢の帰趨が見通しづらい中で、軒並み政策金利の据え置きがほぼ確実視されています。したがって、今回の金融市場的な焦点は政策金利そのものよりも、各中銀が示す今後の金融政策の方向性(ガイダンス)にあると言えるでしょう。
このように、ほとんどの市場変動要因が「見通しづらい・不透明」と位置付けられる中で、先週個人的に「good news」と受け止めたのは「ケビン・ウォーシュ次期FRB議長候補の議会承認への道が開かれたこと」です。
先週、米司法省がパウエルFRB議長に対する捜査を打ち切ることを明らかにしました。これを受けて、トランプ政権の政治的圧力に反対して、トランプ氏のFRB人事案を唯一人拒否すると宣言していた上院銀行委員会のティリス議員が承認に回る意向を表明したのです。これでケビン・ウォーシュ次期FRB議長の議会承認への道が開かれることになったといえます。
ウォーシュ新議長の議会承認がパウエル現議長の任期である5月15日までに順調に進めば、当然ながらパウエル議長自身は今回が議長職として臨む最後のFOMCとなります。そうなれば、次の注目点は、理事としての任期である2028年1月末を待たずにパウエル氏が議長を辞任するか否かに移ることになるでしょう。
仮に、慣例に従って議長職と同時に理事をも辞任することになれば、トランプ政権は新たな理事をFRBに送り込むことが可能となります。となれば7名の執行部のうち過半の4名(ウォーシュ次期議長、ボウマン副議長、ウォラー理事&新理事)が利下げに前向きとされる構成になるのではないでしょうか。
ただ、FRBの独立性を訴える動機からパウエル議長が理事として留まる可能性も依然として残ります。
先週末のFF金利先物市場では、年内に0.25%の利下げが決定される確率を4割程度とみているようですが、この先、パウエル議長の去就が金融市場の利下げ観測に影響を与えることになりそうです。
こうした状況の中、4/28-29のFOMCについて、TRADOM為替アンバサダーの安田佐和子氏は今週4/27付のweekly reportで以下のようにまとめておられます。
―FOMC、ウォーシュ氏の指名承認の道が開けた後にタカ派度強めるか
今週は日銀金融政策決定会合を4月27-28日に、米連邦公開市場委員会(FOMC)を28-29日、欧州中央銀行とイングランド銀行の政策金利発表を29日に控える。足元、これらの4中銀は、政策金利を据え置く公算が大きい。
ウォーシュ氏のFRB議長就任の道筋が固まるなか、今回の経済・金利見通しを発表しないだけに、イラン紛争とホルムズ海峡封鎖の継続を受け、タカ派度合いを強めるか確認することとなりそうだ。前回の声明では、次の政策の一手は「利下げ」を示唆する文言が維持された(文言:「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」)。
しかし、足元は原油高により米3月CPIが前年比3.3%と2024年4月以来の伸びに上振れし、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値の1年先インフレ期待も4.7%と5カ月ぶりの高水準だった。ウォーシュ氏のFRB議長就任を前に、年内の据え置きを維持するうえで、同文言を削除するのか、パウエル議長率いるFOMCの姿勢が問われよう。
チャート:米3月CPI、前年比は2024年4月以来の高い伸び

チャート:米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値の1年先は5カ月ぶりの高水準

さらに安田氏は、ウォーシュ次期FRB議長の「金融政策に対する姿勢や主張」についても詳しく調査されており、ウォーシュ氏の属性について知る良い機会になると思われますので、以下ご紹介します。
―ウォーシュ氏、FRB議長による改革からの「体制転換」を主張
リーマン・ブラザーズが破綻した2008年9月以降、当時の米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたベン・バーナンキ氏は、市場との対話を強化する3つの改革を断行した。
第1弾として、2011年3月に年8回開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち経済見通しを公表する4回の会合後に定例記者会見を行う決定を下した。第2弾・第3弾は2012年1月25日に一体として実施され、SEPにFF金利見通し(ドットチャート)が加わるとともに、2%のPCE価格指数を長期目標とするインフレ目標が正式に導入された。数値目標を掲げた上でその達成に向けた政策金利の見通しを示すという、透明性強化の一体的なパッケージとして位置づけられる。ジェローム・パウエル議長はコロナ禍で2020年8月に①物価目標について単年の2%達成ではなく一定期間の平均で2%を目指す柔軟な平均インフレ目標(FAIT)の採用、②雇用の「乖離」ではなく「下振れ」への対応という広範かつ包摂的な雇用の最大化を目指す文言への改定――を率いた。2020年11月の米大統領選で民主党のジョー・バイデン候補が勝利した直後2020年12月には、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)への参加を表明。しかし、2025年1月にトランプ大統領就任に合わせてNGFSから脱退したほか、柔軟な平均インフレ目標、広範かつ包摂的な雇用の最大化については、2025年8月に撤回した。
チャート:バーナンキ氏からパウエル氏まで、FRBの変革の歴史(ゼロ金利政策、量的緩和など政策変更を除く)

トランプ大統領から次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏は、こうした3代にわたって築かれたFRBの体制から「体制転換=レジーム・チェンジ」を宣言した。上院銀行委員会が指名公聴会を開催した4月21日、ウォーシュ氏は「FRBは市場と国民からの信頼を失った」との持論を展開。同氏によれば、今必要なのは「体制転換(レジーム・チェンジ)」である。公聴会で、同氏はかつてリサーチ・アシスタントとして師事した保守派経済学者の権威、ミルトン・フリードマン氏の言葉を引用したーー「フリードマンは、政府高官が『現状維持という名の暴政(tyranny of the status quo)』に誘惑され、安住することを常に危惧していた。世界がこれほどの速さで変化している今、現状維持の慣行や政策は特に有害だ」。
ウォーシュ氏は、レジーム・チェンジの1つに物価安定を挙げた。同氏は「誰も物価のことを話題にしなくなる程度の変化」という古風な定義を掲げつつ、FRBが重視するコアPCEを「物価動向に関する大まかな推測(rough swag)」と一蹴。基調的なインフレ指標に注目すべきだとし、外れ値を除く「トリム平均」インフレは2%目標に近いと主張した。日銀は3月26日、ガソリン補助金など政策変更といった特殊要因を除くコアCPIの拡充版を発表したが、ウォーシュ氏率いるFedも、新たなトリム平均インフレなどを重視する方向へシフトしてもおかしくない。
チャート:PCE価格指数

その他、かねてから主張していた足元6.7兆ドル規模のバランスシートの縮小必要性を唱えた。ウォーシュ氏は「バランスシートはより小さくあるべきで、長期国債を保有すべきではない」と明言。FRBは「財政領域から手を引くべき」であり、「より小さなバランスシートであれば、金利はより低く推移させ、インフレは改善し、経済は強くなる」との見方を強調した。そのうえで、バランスシートの縮小には綿密な調整と熟慮、明確な説明が必要と述べた。トランプ氏には、「国債購入より金利を使う方が良いと伝えた」とも言及した。
チャート:FRBのバランスシート

バランスシートの縮小に肯定的な発言が飛び出した結果、米10年債利回りの上昇とドル高を促した。一般的にバランスシートの縮小は量的引き締め(QT)とも呼ばれ、引き締め効果につながり、金利上昇要因とされてきたためだ。しかし、コロンビア大学ビジネススクールのイーミン・マ教授は「バランスシートを縮小させれば、より低い金利を維持する『余裕』が生まれる」と説明、ウォーシュ氏の見解を支持する。そのQTが低金利をもたらす経路は以下の通りで、①FRBが保有する国債の償還→②米財務省がFRBに償還金を支払いTGAが減少→③財務省が新たに国債を発行→④銀行が国債を購入し準備金が減少→⑤市場の流動性が低下→⑥金利が上昇→⑦インフレ圧力が低下→⑧FRBが政策金利を引き下げる余地が生まれる――というもの。ただしQTに踏み切った場合、流動性低下・金利上昇局面では企業融資が厳格化され、景気減速につながる二面性も持つ。
チャート:QTを通じた低金利につながる経路

ウォーシュ氏は、FRB議長に就任すれば体制転換を目指す方針を打ち出したが、物価安定目標の変更やバランスシートの縮小を含め、ハードルが高いと言わざるを得ない。政策金利はFRB理事7名とニューヨーク連銀総裁、輪番制の地区連銀総裁4名の計12名による多数決で決定される。一方、物価安定の長期目標を定める「長期目標と金融政策戦略に関する声明」の採択・改定はFOMC参加者19名の広範な合意ないし全会一致が求められる慣行となっており、政策金利の変更以上に高いハードルが伴う。
こうした構造的な制約に加え、実際のメンバー構成もウォーシュ氏には逆風となる。具体的には、FRB正副議長と理事で構成される理事会7人のうち3名がバイデン前大統領に指名されており、パウエル氏が理事として残留した場合は2028年1月末まで任期を有する。イエレン前議長も「ウォーシュ氏はFOMCで多数派を形成するのに苦労するだろう」と指摘しており、議長就任後に思い通りの政策運営ができるとは限らない。
公聴会でのウォーシュ氏の発言で、ニュースのヘッドラインに最も多く取り上げられたのは「トランプ氏の操り人形にはならない」だ。そのうえで、FRBの独立性を遵守すると確約した。トランプ氏から「特定の利上げ・利下げ判断を約束するよう求められたことは一度もない」と強調したうえで、「もし求められたとしても、私は決して応じない」と断言した。トランプ氏は、CNBCインタビューでウォーシュ氏が就任してすぐに利下げを決定しないなら失望するだろうと発言した。しかし、ウォーシュ氏は自身がFRB議長に就任した後の金融政策について、明言を避けた。
米上院銀行委員会の指名承認をめぐり、共和党のトム・ティリス議員がパウエル氏への刑事捜査の取り下げを条件に承認阻止を表明していたが、4月26日に取り下げた。ジャニーン・ピロ連邦検事正が4月25日、FRBの監察総監に調査を委ねる形で刑事捜査の終了を発表したためだ。米上院銀行委員会での4月29日の採決、並びに5月15日のパウエル議長任期満了前の米上院本会議での承認に道が開かれた。民主党のウォーレン議員は政治的動機による幕引きだと批判するものの、米上院銀行委員会は共和党13名・民主党11名、上院でも共和党が53議席と多数派を握るだけに、ウォーシュ氏の就任が現実味を帯びてきた。金融市場の1つの不確実性が取り除かれたと言えよう。
< 以上、安田佐和子氏の今週4/27付のweekly reportより抜粋 >
最後に、溜まり気味になってきたご質問に簡単にお答えします。
やはり「日米の半導体関連株を中心に株式市場はすこぶる活況だがどこまで上昇するのか?」といった趣旨のご質問が圧倒的でしたのでこれについて個人的な意見をお伝えします。
ここ数週、米国とイランの恒久的停戦合意が近いとの期待の高まりから、株式市場が暴騰に近い上昇をみせています。SOX指数の17日連騰という驚異的な続伸とともにナスダック総合指数はこのところ連日の最高値を更新に沸いています。その他、主要株価指数の中では、台湾加権指数、S&P500指数、日経平均株価なども、最高値更新ラッシュの渦中にあります。
この動きの牽引役は、ご案内の通りいずれも半導体関連株です。先日発表された世界半導体市場統計(WSTS)の2月の世界半導体売上が「前年比+86.1%の驚異的な伸び」となるなど、AI投資拡大に伴う半導体需要の強さが改めて示されましたが、これによって、関連銘柄への物色に弾みが付いたものとみられます。まさに有卦に入っている状況と言えるでしょう。
ただし、中長期的なポートフォリオの一環として株式を捉えている我々としては「➊物色対象の極端な偏り」・「➋上昇速度」・「➌ヴァリュエーション」に強烈な過熱とリスクを感じており、この3つに着目すれば、当面は「更なる上昇余地」よりも「自律調整による反落」の可能性が高まっていると判断しています。
特に、5万円をつけてから半年たらずで6万円の大台に到達した日経平均株価は➊~➌の諸点もさることながら、我々機関投資家が日本株のベンチマークとして位置付けているTOPIXとの(パフォーマンス)乖離が歴史的水準にまで拡大。TOPIXは2月に記録した最高値からまだ5%超劣後(先週末時点)しており、最高値更新中の日経平均との所謂「NT倍率(日経平均/TOPIX)」はまさに歴史的水準にまで拡大しているのです。
こうした視座で考えれば、今後、TOPIXを含む株価が上値を追う展開となるためには、半導体やテクノロジー以外の業種・銘柄に物色対象が拡がるかことが必要となるでしょう。また、そうした状況が実現するためには(当然のことながら)ホルムズ海峡の航行正常化(実質的封鎖の解除)が焦点になると考えています。
上記のように「ホルムズ海峡の航行正常化(実質的封鎖の解除)」は日本を含むグローバル経済にとって喫緊の課題だといえますが、現在の米国とイランの主張の隔たりを考慮すれば、残念ながら早期の完全決着は望みがたいと考えます。
早いもので、半年後の11月に米中間選挙を控えて、低下傾向が続く支持率の回復を狙う米トランプ政権。しかし、年明け以降の「力による安定」をアピールしたい政権の政策に対する透明性や評価は決して高いとは言えないと思われます。これに伴って、金融市場全体のボラティリティは一段と高まりこそすれ、落ち着き・低下することは想定しづらい状況です。
こんな状況だからこそ、 (いつも申し上げているとおり)今後も「過度に予断を持たず変化の兆しを見落とさぬ姿勢」を貫き、金融資本市場全体を引き続き注視してゆかねばならないと考えています。
なお、トレーダム(株)の営業日の都合上、来週5/4は我々のweekly reportを休刊とさせて頂きますので、ご承知おき下さい。
お知らせ:今週はごく一部をご案内しましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。
TRADOMユーザーの方々はサイト内で是非ご参照下さい。
2026/4/27
ようこそ、トレーダムコミュニティへ!





