Weekly Report(4/27)「日銀とFOMCが政策発表へ、植田総裁会見が160円突破の命運握る」
安田 佐和子
この記事の著者
トレーダム為替アンバサダー/ストリート・インサイツ代表取締役

ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。

マーケット分析
トレーダムソリューション会員限定コンテンツです。

―Executive Summary―

  • ドル円の変動幅は4月20日週に1.30円と、その前の週の2.27円から縮小した。前週比では0.73円高と、4週ぶりに反発。年初来では1.7%高と上げ幅を広げ、8週連続でプラスとなった。ウォーシュ次期FRB議長候補の公聴会で、同氏がトランプ大統領の「操り人形にならない」と述べ、就任早々の利下げ期待を否定した。また、バランスシート縮小にも言及しドル高を招く展開。さらに、米国とイランの第2回協議を控え、トランプ氏が停戦の無期延長を表明した一方で、ガリバフ国会議長の辞任が報じられ、後に否定されるなど協議自体への不透明感もあり、ドル円は一時159.85円と約2週間ぶりの高値をつけた。
  • リーマン・ショック以降、当時のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は2%インフレ目標の採用を始め、金融政策の透明性を担保すべく、数々の改革を実施した。パウエル議長も、コロナ禍で平均インフレ率の導入など新たな取り組みを採用しつつ、直近では一連の対応を撤回する場面も。こうした変革を受け、ウォーシュ次期FRB議長候補は「FRBは信頼を失った」と述べ、物価安定の再定義やトリム平均インフレ重視、バランスシート縮小など「レジーム・チェンジ」を主張。ただしFOMC構成上、政策転換の実現には高いハードルが立ちはだかる。一方、指名承認に立ちはだかる壁は取り除かれ、4月29日に承認への第一歩となる米上院銀行委員会での採決が行われる予定だ。
  • 今週は日米欧の主要中銀が相次いで会合を開き、いずれも金利据え置きが見込まれる。ウォーシュ氏のFRB議長就任が現実味を帯びるなか、FOMCは経済・金利見通しを公表しないため、イラン紛争や原油高を受けてタカ派姿勢を強めるかが焦点となる。米3月消費者物価指数(CPI)や米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値の1年先インフレ期待が上振れするなか、前回声明の「利下げ」示唆文言を維持するか削除するか、Fedのタカ派度合いが試されよう。
  • 日銀は各社観測報道で4月会合の金利据え置きが一致するものの、6月以降の利上げ判断や据え置き理由の解釈は分かれる。ロイターは原油高と供給網混乱による企業収益悪化を、読売は景気後退リスクを強調。日経は政府内の慎重論や高市政権の利上げ消極姿勢を示唆する。植田総裁会見では①緩和的政策の継続と6月利上げ示唆、②成長下振れと物価上振れのどちらを重視するか、③政治的配慮ではない独立性の強調――などが焦点。会見後のドル円上昇アノマリーが再現するかは、植田総裁の会見次第となることは間違いない。今回の展望レポートでは2026年度物価見通しの上方修正が見込まれるが、今回追加される2028年度で示唆される政策道筋も、ドル円の運命を決定づけうる。
  • ドル円の日足は三役好転が消滅したままだが、週足では4週ぶりに反発した。また、21日移動平均線がサポートに転換。さらに、一目均衡表の雲の上限が切り上がっており、テクニカル的には強気寄りへシフトし始めた。RSI(14日)も中立となる50で切り替えし続け切り返し、上値を意識した動きが続く。4月28日は戦争権限法に基づく60日ルールの期限であり、さらにチャールズ国王の米議会演説を控える。トランプ政権がイラン対応でどのようなシグナルを発するかは、ドル円の方向感を占ううえで重要な試金石となる。
  • 4月27日週の主な経済指標をみると、4月28日に日本3月失業率と有効求人倍率、米4月消費者信頼感指数、29日は豪3月CPI、米3月住宅着工件数と米3月耐久財受注が控える。30日は日本3月鉱工業生産、中国4月製造業PMIとRatingDog製造業PMI、ユーロ圏と独のQ1GDP速報値、ユーロ圏4月消費者物価指数(HICP)・速報値、米新規失業保険申請件数、米Q1実質GDP速報値、米3月個人消費・所得・PCE価格指数などを予定する。5月1日は米4月製造業PMI改定値、米4月ISM製造業景況指数が発表される。
  • 5月4日週は、4日にユーロ圏や独、米の製造業PMI改定値、5日に米4月総合PMI改定値(サービス業含む)、米4月ISMサービス業景気指数、米3月雇用動態調査(JOLTS)、6日にユーロ圏と独総合PMI改定値(サービス業含む)、米4月ADP全国雇用者数を予定する。7日は米新規失業保険申請件数、米4月チャレンジャー人員削減予定数、8日は米4月雇用統計が控える。
  • その他、政治・中銀関連では4月27日に米2年債入札と米5年債入札、28日に日銀金融政策決定会合と植田総裁会見、米7年債入札、チャールズ国王による米議会演説、29日にFOMCの政策発表とパウエルFRB議長会見、30日に日銀国債買い入れ日程、欧州中央銀行とイングランド銀行の政策発表を予定する。5月5日に豪準備銀行(RBA)の政策金利発表、7日に日銀金融政策決定会合議事要旨(3月分)の公表を迎える。
  • 以上を踏まえ、今後2週間の上値は心理的節目の162.00円、下値は3月19日の安値157.50円と見込む。


【4月20日週のドル円レンジ:158.55~159.85円】

ドル円の変動幅は4月20日週に1.30円と、その前の週の2.27円から縮小した。前週比では0.73円高と、4週ぶりに反発。年初来では1.7%高と上げ幅を広げ、8週連続でプラスとなった。ウォーシュ次期FRB議長候補の公聴会で、同氏がトランプ大統領の「操り人形にならない」と述べ、就任早々の利下げ期待を否定した。また、バランスシート縮小にも言及し、ドル高を招く展開。さらに、米国とイランの第2回協議を控え、トランプ氏が停戦の無期延長を表明した一方で、ガリバフ国会議長の辞任が報じられ、後に否定されるなど協議自体への不透明感もあり、ドル円は一時159.85円と約2週間ぶりの高値をつけた。

20日のドル円は、買い戻し。前週末にイ‌ランが再び海峡を閉鎖する方針を示したほか、第2回協議を行う期待に反し、イラン側が参加を表明せず、再び「有事のドル買い」が入り、ドル円は上昇でスタートし、一時159.20円まで本日高値を更新した。ロンドン時間入りにロイターが日銀は4月会合で利上げ見送りと報じ、共同も続いたが、影響は限定的。NY時間にトランプ氏が停戦延長の可能性は低いと発言したが、パキスタン筋の話としてイランが米国との協議に参加と確信と伝わったこともあり、一時158.55円まで本日安値をつけた。

21日のドル円は、続伸。ドル円は東京時間から159円を手前に推移しつつ、ロンドン時間に日経が日銀の4月利上げ見送りと報じると、159.20円を抜ける展開。NY時間には、ウォーシュ次期FRB次期議長候補が上院銀行委員会での指名公聴会でFRBの独立性を遵守すると表明したほか、バランスシート縮小に向かう立場を強調し、ドル円を押し上げた。バンス副大統領の和平協議に向けたパキスタン訪問が見送りと報じられたこともあって、ドル円は一時159.64円まで本日高値をつけた。もっとも、トランプ氏がホルムズ海峡逆封鎖を維持しつつも期限を設定せず停戦延長を表明すると、ドル円は159.30円台へ急落した。

22日のドル円は、3日続伸。東京時間は売りで先行し、イランが米国から封鎖解除の用意あるとのシグナル受け取ったとの報道が伝わると、一時159.10円まで本日安値を更新した。しかし、ロンドン時間からは買い戻され、イランがホルムズ海峡通航中の2隻の船舶を発砲後に拿捕したとのニュースもドル買いにつながった。NY時間にトランプ大統領が早ければ24日にも和平協議再開の可能性ありと発言し、下振れしたが一時的。むしろガリバフ国会議長がホルムズ海峡逆封鎖の状況で停戦「意味なし」と発言したこともあり、買い戻しが優勢となり一時159.58円まで本日高値をつけた。

23日のドル円は4日続伸。東京時間にはイランの施設が爆撃されたと真偽不明なニュースに反応し、一時159.60円台へ上昇した。すぐにフェイクニュースと判断され、逆に一時159.30円まで本日安値を更新。しかし下値も堅く、東京時間からロンドン時間入りは一貫して買いが入り、一時159.70円台へ上昇した。NY時間入りに、片山財務相のブルームバーグ・イベントでの「為替で米国との緊密な連携」との発言が伝わると、159.30円台へゆるんだが本日安値には届かず。むしろNY時間にガリバフ国会議長がイランの革命防衛隊の介入を受け対米交渉団を辞任したとの報道で一時159.85円まで週の高値を更新した。しかし、同報道が間違いと伝わると、159.40円台へ下落するなど狭いレンジ動きの荒い展開が続いた。

24日のドル円は、5日ぶりに反落。ドル円は159円後半でのもみ合いが続いたが、ロンドン時間にイランのアラグチ外相が少数の代表団を率いてパキスタンに本日夜到着と報じられ、「有事のドル買い」の巻き戻しが入り急落した。NY時間には、米国とイランが25日に和平協議を行うと伝わり、一時159.31円まで本日安値を更新。ただ、バンス副大統領が参加しない見通しとの報道もあって、下値は堅かった。その他、当日はパウエル議長への米司法省の捜査が終了したとも報じられた。

関連記事

ようこそ、トレーダムコミュニティへ!