―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は4月13日週に2.27円と、その前の週の2.14円から小幅拡大した。前週比では0.66円安と、3週連続で下落。3週続落は、相互関税で揺れた2025年4月以来となる。年初来では1.2%高と、上げ幅を縮小しつつ7週連続でプラスとなった。トランプ大統領がホルムズ海峡の逆封鎖を発表した結果、緊張が高まったものの、週末にイランのアラグチ外相がホルムズ海峡を開放する方針を表明した結果、WTI原油先物が80ドル割れまで急落した動きにつれ、ドル円も157.59円と約1カ月ぶりの安値をつけた。
- 米・イランは4月11日に初の直接協議を行ったが決裂し、米国はホルムズ海峡の逆封鎖を開始。最大の障壁は核濃縮権、高濃縮ウラン扱い、海峡の無条件開放の3点とされる。イランは開放を表明しつつイランの革命防衛隊(IRGC)が4条件を提示するなど、実質的な管理開放に後退。一方で、トランプ大統領は4月19日、米国の代表団が次回協議に備えイスラマバードを訪問すると言及した。ただし、イランが交渉相手に望み、1回目の協議に参加したバンス副大統領は参加しない見通し。また、イラン側が代表団を派遣するか不透明で21日の停戦期限前に事態は再び流動化の様相を呈する。
- ベッセント米財務長官は、5月の米中首脳会談前に訪日する予定だ。2025年10月以来となり、原油や重要鉱物が議題とみられる。ただ、ベッセント氏は就任以来、日本に金融引き締め継続と財政規律を求める姿勢を示してきただけに、イラン紛争もあって、日本に対し金融正常化・財政政策・中東関与という“3つの転換”を迫るシナリオにも留意すべきだろう。4月27-28日の日銀金融政策決定会合を前に利上げ観測は後退し、片山財務相の発言も慎重姿勢を印象づけた。もっとも4月会合前に、アジア開発銀行(ADB)の神田総裁を始め、財務省OBから利上げ支持が相次いでいる点は特筆すべきだ。
- ドル円の日足は三役好転が消滅しただけでなく、週足では約1年ぶりの3週続落となった。また、21日移動平均線が抵抗線と化しつつある。とはいえ、下値は50日移動平均線がサポートとなっており、一目均衡表の雲の上限がこれから切り上がっており、膠着地合いが続くようにも見える。
- 4月20日週の主な経済指標をみると、4月21日に英3月失業率、ユーロ圏と独の4月ZEW景況感指数、米3月小売売上高、22日に日本3月貿易統計、英3月CPI、23日にユーロ圏、独、米、英の4月総合PMI速報値(製造業、サービス業含む)、米新規失業保険申請件数を予定する。24日は日本3月全国CPIのほか、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が控える。
- その他、政治・中銀関連では4月21日に米国とイランの停戦期限を迎えるほか、ウォラーFRB理事の発言のほか、ウォーシュ次期FRB議長指名公聴会を予定する。22日は米20年債入札、片山財務相のブルームバーグ・インタビューが控え、25日にはトランプ氏がホワイトハウス記者協会に出席する。
- 以上を踏まえ、今週の上値は心理的節目の160.00円、下値は一目均衡表の雲の下限が近い156.00円と見込む。
1.ドル円振り返り=イラン外相がホルムズ海峡の開放を宣言、ドル円は約1カ月ぶりに158円割れ
【4月13日週のドル円レンジ:157.59~158.62159.86円】
ドル円の変動幅は4月13日週に2.27円と、その前の週の2.14円から小幅拡大した。前週比では0.66円安と、3週連続で下落。3週続落は、相互関税で揺れた2025年4月以来となる。年初来では1.2%高と、上げ幅を縮小しつつ7週連続でプラスとなった。トランプ大統領がホルムズ海峡の逆封鎖を発表した結果、緊張が高まったものの、週末にイランのアラグチ外相がホルムズ海峡を開放する方針を表明した結果、WTI原油先物が80ドル割れまで急落した動きにつれ、ドル円も157.59円と約1カ月ぶりの安値をつけた。一方で、赤沢経産相の円高につながる金融政策は「一つの選択肢」発言を受け、片山財務相が高市首相と共に金融政策に関する発信を控えるよう注意したと言及したが、反応は限定的。むしろ三村財務官が日米で為替について緊密に連携と述べ、ドル円を下押しする場面がみられた。植田総裁のG20財務相・中央銀行総裁会議後の会見が注目されたが、4月会合を巡り金融政策の示唆は与えなかった。
13日のドル円は、上昇後に売りに反転。米国とイランの間で11日から21時間にわたって行われた直接協議が物別れに終わった後、トランプ氏が12日に翌13日の米東部時間午前10時からホルムズ海峡を逆封鎖すると発表した。ドル円はこれを受けて窓を開けてスタートし、東京時間に一時159.86円まで週の高値を更新した。植田総裁の代読で氷見野副総裁が挨拶を行ったが、目新しい材料に乏しく為替は反応薄。ロンドン時間に上げ渋ったが、NY時間入りにかけ買いが再燃し、再び東京時間の高値に並ぶ場面がみられた。ただし、その後にイランがウラン濃縮終了を検討との未確認情報に反応し、下落。米政府高官は米・イラン間の協議が継続しており、合意に向け進展中と明かしたとの報道も手伝い、一時159.29円まで本日安値をつけた。
14日のドル円は、売り優勢。東京時間入りに米国とイランが停戦協議の再開に向け第2回会合の開催を検討と報じられ、売りが先行した。米国がイラン次第で対面協議の第2ラウンド開催の可能性と報じられたことも、材料視。ただし、片山財務相が閣議後に赤沢経財相が12日放送のNHK番組で円高につながり得る日銀の金融政策は「一つの選択肢としてあり得ると思う」との発言に対し、「首相と私から(発信を)控えていただきたいと言った」と言及したため、買い戻しがみられたが、限定的。この日、赤沢経産相からも金融政策は日銀に委ねられるとの発言も聞かれた。それでも、米国とイランの間での次回協議への期待は根強く売りの流れが続き、ベッセント財務長官がFRBに対し従来の利下げすべきとの姿勢から様子見可能とシフトしたことにも、反応薄。日銀が物価見通しの大幅引き上げ検討へとの報道は売りを後押しし、NY時間にIMF見通しとして日銀の利上げペースは半年前の前回予想より若干加速するとの予想も、売りにつながった。トランプ大統領、米・イラン次回協議について「2日以内にイスラマバードで開催の可能性」と言及すると一段安となり、一時158.60円まで本日安値を更新。市場予想以下の米3月PPI結果について市場は反応しなかった。
15日のドル円は、買い戻し。東京時間入りから買いが先行した。トランプ大統領のFOXビジネスインタビューの先出映像で、イラン戦争は終わりに近いとの発言を受け、158円前半へゆるむ場面もあったが、むしろIMFエコノミスト、日銀など主要中銀に利上げの緊急性を認めないとの発言に反応し、159円前後での推移を続けた。トランプ氏が停戦延長について「考えていない」と言及したことも、意識された。ロンドン時間にベッセント氏が5月のトランプ氏訪中に合わせ訪日する予定が報じられると、一時158.64円まで本日安値を更新。しかし下値は堅く、NY時間には一時159.15円まで本日高値をつけた。
16日のドル円は、売り先行後に買い戻し。ドル円は、三村財務官がワシントンで為替について日米で緊密に連携と発言したため、一時158.27円まで本日安値を更新した。ただし、片山財務相がG7会合で利上げ悪影響の懸念で金融政策について様子見の声が優勢と発言したこともあり、下値は限定的。むしろ、NY時間に米海軍中央軍がホルムズ海峡航行阻止の対象を大幅拡大したとの報道もあって、一時159.31円まで本日高値をつけた。トランプ大統領がレバノンとイスラエルの停戦合意を発表したほか、「イランが濃縮ウランの備蓄を引き渡すことに同意した」と発言したが、市場は反応薄だった。
17日のドル円は、急落。ドル円は東京時間の序盤に植田総裁が4月27-28日の日銀金融政策決定会合で、「中東情勢のショック持続踏まえ対応」と述べ、利上げを示唆せず、一時159.53円まで本日高値を更新した。もっとも、NY時間入りにイランのアラグチ外相が全ての商業船の通航「完全に開放」するとXで投稿したため、WTI原油先物の急落につれドル円も売りへ傾いた。19日にもイスラマバードで米国・イランの次回協議が開催されるとの報道もあって、158円台を割り込み一時157.59円と約1カ月ぶりの安値をつけた。ただ、その後は50日移動平均線に支えられ、トランプ氏がイランと核開発計画の無期限停止で合意と発言したものの、ガリバフ国会議長がホルムズ海峡通航についてイランの許可を得る必要があるなどとXにて表明したこともあり、158円半ばへ切り返して引けた。
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