―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は4月6日週に2.14円と、その前の週の2.19円から小幅縮小した。前週比では0.36円安と、2週連続で下落。年初来では1.7%高と、前週から上げ幅を縮小しつつ6週連続でプラスとなった。トランプ大統領がイランと2週間の停戦で合意したと発表した結果、ドル円は約1週間半ぶりに158円割り込み、一時157.89円まで下落。もっとも、イラン側の10項目和平案に盛り込んだレバノンへの攻撃停止がイスラエルにより果たされず、11日の米国・イランの協議へ向けた進展を様子見する姿勢に転じた。米3月消費者物価指数(CPI)など、経済指標への反応は限定的だった。
- 米・イラン協議は21時間の末に決裂し、トランプ大統領は4月12日にホルムズ海峡の海上封鎖を宣言した。次回協議に向けた予定が白紙状態のところ、米国は強硬措置で応じた形だ。核開発の放棄とホルムズ海峡の主権という双方のレッドラインは依然平行線をたどっており、交渉の短期的な進展は見込みづらい環境下、新たなカードを切った格好だ。今後は①膠着継続、②軍事的エスカレーション、③封鎖圧力を受けた交渉再開――の3シナリオが想定され、焦点はイランの出方に移った。
- 日銀の4月27~28日の決定会合をめぐり、貝塚前理事が「かなりの確率」で利上げを予想するとの発言が飛び出した。元日銀関係者からも、4月利上げについて「五分五分」との見方が流れるなか、赤沢経済産業相は円高につながる金融政策を「選択肢の一つ」と、異例の言及に踏み切った。一方、中東情勢の緊迫化による原油高と景気の下振れリスクが重なる。植田総裁は4月16日のG20財務相・中央銀行総裁会議で発言を予定する見通しで、そこが試金石となりそうだ。
- ドル円の日足は三役好転を維持し、4月10日は21日移動平均線と一目均衡表の転換線を辛うじて上回って引けた。しかし、この2つの線が再び抵抗線に転じる可能性も捨てがたい。ただ、4月8日の安値が50日平滑移動平均線(EMA)で止められたように、下値の堅さも確認。イラン紛争をめぐる不透明感から、動きづらい状況を示唆する。
- 4月13日週の主な経済指標をみると、4月14日に中国3月貿易収支、日本2月鉱工業生産、米3月生産者物価指数(PPI)、15日に日本2月機械受注、米3月輸入物価指数と米4月NY連銀製造業景気指数、16日に中国Q1GDP、米新規失業保険申請件数と米4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数を予定する。
- その他、政治・中銀関連では4月13日に植田総裁による信託大会でのあいさつ、ミランFRB理事発言、14日に日本20年利付国債入札、バーFRB理事やシカゴ連銀総裁、バンス副大統領の演説、IMF世界経済見通しの発表、15日にバーFRB理事とボウマンFRB理事の発言を予定する。16日にミランFRB理事やNY連銀総裁の発言、G20財務相中央銀行総裁会議、17日にはウォラーFRB理事とリッチモンド連銀総裁の発言が控える。
- 以上を踏まえ、今週の上値は心理的節目の161.00円、下値は3月19日安値付近の157.50円と見込む。
1.ドル円振り返り=米国・イランの2週間停戦合意で、約1週間半ぶりの158円割れ
【4月6日週のドル円レンジ:157.89~160.03円】
ドル円の変動幅は4月6日週に2.14円と、その前の週の2.19円から小幅縮小した。前週比では0.36円安と、2週連続で下落。年初来では1.7%高と、前週から上げ幅を縮小しつつ6週連続でプラスとなった。トランプ大統領がイランと2週間の停戦で合意したと発表した結果、ドル円は約1週間半ぶりに158円割り込み、一時157.89円まで下落。もっとも、イラン側の10項目和平案に盛り込んだレバノンへの攻撃停止がイスラエルにより果たされず、11日の米国・イランの協議へ向けた進展を様子見する姿勢に転じた。米3月消費者物価指数(CPI)など、経済指標への反応は限定的だった。
6日のドル円は、売り買い交錯。東京時間は日銀の支店長会議で景気下押しの報告が確認され、3月会合の「主な意見」より慎重な内容だった。米国やイラン、そして仲介国の一団が45日間の停戦案について協議中との報道を確認したものの、反応薄で159円後半での推移を継続。ただ、ロンドン時間に入りアクシオスがイランと米国、停戦・最終合意の2段階紛争終結案を受領したとのニュースが飛び出すと急落し、一時159.30円まで本日安値を更新した。ただし、その後は買い戻され、NY時間でイランがホルムズ海峡再開+45日間の一時停戦案に拒否したと報じられると、一時159.83円まで本日高値をつけた。トランプ大統領の会見では、イランに対し「一夜にして壊滅」と述べたほか、日本など同盟国を名指しして失望を示す場面がみられたが、影響は限定的だった。
7日のドル円は、上昇。東京時間の序盤は片山財務相が「必要なら行動するとの認識」をG7で共有と述べたが、序盤から160円狙いの動きが見られた。トランプ氏、4月7日午後8時の対イラン攻撃期限を前にイランとの交渉のために再び期限を延ばす可能性が報じられながらも、グッドフライデーから戻ってきた海外勢はドル買いが優勢だったもよう。ヘグセス国防長官と米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長、7日午前8時(日本時間午後9時)からの会見を中止との報道が流れるなか、駐イランのパキスタン大使が、米・イラン間での停戦へ向けた仲介努力が「極めて重大で繊細な段階」に差しかかったとの報道が飛び出すと、一時159.51円まで本日安値を更新。しかし、NY時間に入るとトランプ氏がイラン攻撃の警告として「今夜、ひとつの文明が滅び去り、二度と戻らないかもしれない」と投稿すると、イラン側がこれを受けてすべての外交ルートを遮断したと報じられ、停戦への期待がしぼみ、ドル円は買いが再燃。トランプ氏がFOXニュースに対し、攻撃を予定通り午後8時から開始する予定と発言すると、約1週間ぶりに160円に乗せ、一時160.03円まで週の高値をつけたが、上値は重かった。
8日のドル円は、急落を経て下げ幅縮小。トランプ大統領が前日NY引け直後、東京時間の早朝にイランと2週間の停戦合意を発表した結果、ドル円は急落し159円を割り込んだ。日本2月実質賃金が2カ月連続でプラスだったことも、4月利上げを連想させドル円の下落を後押し。ロンドン時間では158円割れで下げ渋りを見せたが、NY時間に売りが再燃すると158円も割り込み、NY時間には一時157.89円と3月20日以来の安値をつけた。ガリバフ国会議長「米国は交渉前から停戦条項に違反」とXで投稿すると、停戦継続への不安からドル円は下げ幅を縮小。アラグチ外相はイラン側が提示した和平10項目に含まれるレバノンへの攻撃停止をイスラエルが順守していないとの批判したこともあって、158.70円台まで切り返した。
9日のドル円は、買い戻し継続。ドル円は買いが優勢で、貝塚前日銀理事が4月利上げの確率がかなり高いと発言した際にゆるむ場面もみられたが、トランプ氏が停戦合意を守らなければかつてない攻撃に出ると警告し、停戦継続への懸念が高まった。植田総裁が「実質金利はっきりとしたマイナス」と利上げ余地を示したものの、影響は限定的。NY時間には一時159.30円まで本日高値を更新。米Q4実質GDP成長率・確報値が下方修正されたほか、米2月PCE価格指数が市場予想と一致するなかでも反応薄だった。
10日のドル円は、もみ合い。東京時間から、NY時間に発表を予定する米3月CPIや11日に米国とイランの直接協議を控え、動意に乏しかった。ロンドン時間入りにかけ一時159.38円まで本日高値をつけるも、21日移動平均線と一目均衡表の転換線に上値を阻まれた。NY時間に米3月CPIが発表され、そろって市場予想以下となったため一時158.89円まで本日安値を更新するも、売りは限定的。イランのガリバフ国会議長がレバノン攻撃停止やイランの凍結資産の解除を求めるなか、トランプ大統領がイランに交渉カードはないと警告したことも、市場の様子見姿勢を強めさせた。
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