―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は、9月28日週に2.08円と、その前の週の2.46円から縮小した。前週比では0.58円と3週続伸となる。年初来では前週の0.4%高→0.8%高となった。週初は日米首脳会談後の日米当局者による円安是正が意識されたが、10月1日に9月日銀金融政策決定会合の主な意見で、城内経財相とみられる内閣府の見解で、利上げに際し「説明責任」を求める文言などを確認。高市政権の利上げに慎重な姿勢は不変との印象を抱かせるとともに今後の利上げ期待を後退させ、ドル円は一時158.46円と約1週間ぶりの高値をつけた。米9月雇用統計が市場予想を下回ったものの、下値は限定的だった。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)は物価の安定と雇用の最大化の二大統治目標を掲げるが、ウォーシュ議長は物価重視の姿勢を鮮明にしている。そのFRBが重視する米8月PCE価格指数は、算出方法の見直しで前年同月比3.4%上昇へ押し下げられ、過去分も下方修正された。PCEの下振れに、ジェファーソンFRB副議長とウィリアムズNY連銀総裁の慎重姿勢が重なり、10月の追加利上げ期待と据え置き期待が逆転する格好に。米9月雇用統計でNFPが予想を下回り、失業率も4.2%に上昇し、据え置きが大勢となった。もっとも、2027年末までの利上げ織り込みは3回と小幅な修正にとどまり、巻き戻しが進めばドル円は下落余地を残す。
- 高市政権は「脱リフレ」の発信を急ぐが、説明は矛盾を抱える。片山財務相は首相が「リフレ論者ではない」と強調するが、定義は示さず、城内経財相の定義では、終結したのは日銀がすでに撤廃した政策手段にとどまる。インフレを認めながらデフレ脱却を宣言しない首相の姿勢も、一貫性を欠く。金融政策では、日銀の主な意見でタカ派的な見解が目立つなか、内閣府は中立金利も踏まえた検討を求め、ドル円は158円台に上昇した。財政面でも、所信表明の原案は「機動的」な対応で補正予算の余地を残し、新規国債の目安とされる40兆円も別枠のつなぎ国債を含まない。市場は脱リフレを言葉だけと受け止めかねない。
- ドル円のテクニカルは、中立寄りを維持。10月1日に一時158.46円まで上昇し200日移動平均線(158.50円)に迫ったが抜けられなかった。とはいえ、7月23日高値と9月8日安値の38.2%戻し(157.16円)を抜けてもヒゲにとどまり実体部ではサポートされている。21日移動平均線に続き、50日移動平均線が200日移動平均線を割り込んでいるが、気迷い感は禁じ得ない。一方で、200日移動平均線を超えてくると、9月25日のように日米当局から口先介入、あるいはレートチェックなどが入るリスクには留意しておきたい。
- 10月5日週の主な経済指標をみると、5日にユーロ圏、英、米サービス業PMI改定値、米9月ISM非製造業景気指数、7日に日本8月実質賃金、8日に日本8月国際収支、米新規失業保険申請件数、9日に米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値を予定する。
- その他、政治・中銀関連では、5日に高市首相の所信表明演説、6日に植田総裁の挨拶、ボウマンFRB副議長とNY連銀総裁の発言、7日にダラス連銀総裁、8日に日銀支店長会議・さくらレポート公表、ECB議事要旨公表、米30年債入札、セントルイス連銀総裁の講演が控える。
- 以上を踏まえ、今週の上値は一目均衡表の雲の下限が近い159.50円、下値は21日移動平均線が近い156.20円と見込む。
1.ドル円振り返り=日銀「主な意見」での高市政権の利上げ慎重姿勢を確認し、一時158円台へ戻す
【9月28日週のドル円レンジ:156.38~158.46円】
ドル円の変動幅は、9月28日週に2.08円と、その前の週の2.46円から縮小した。前週比では0.58円と3週続伸となる。年初来では前週の0.4%高→0.8%高となった。週初は日米首脳会談後の日米当局者による円安是正が意識されたが、10月1日に9月日銀金融政策決定会合の主な意見で、城内経財相とみられる内閣府の見解で、利上げに際し「説明責任」を求める文言などを確認。高市政権の利上げに慎重な姿勢は不変との印象を抱かせるとともに今後の利上げ期待を後退させ、ドル円は一時158.46円と約1週間ぶりの高値をつけた。米9月雇用統計が市場予想を下回ったものの、下値は限定的だった。
28日のドル円は、売り先行後に買い戻し。ドル円は前週末の高市政権からベッセント財務長官による円安是正に絡む発言を受けた流れから一変し、東京時間から買い戻しが入った。7月の日銀金融政策決定会合・議事要旨で、基調物価上昇率を2%で定着させる方向でシフトと明記され、半年に1回の利上げペースから速まる方向が示唆されたが、9月に既に利上げ済みとあって反応は限定的で、一時157.86円と本日高値を更新。25日の電話会談で、片山財務相はベッセント氏と「円の過小評価は問題」と再確認したと発言も、ドル円は動意薄だった。しかし、ロンドン時間に入り、三村財務官が日米首脳・財務相間の議論踏まえ「しっかり対応」との発言が伝わると、157円半ばから急落し、一時156.51円まで本日安値を更新。ただし、NY時間には157円半ばへ戻し、いってこいとなった。
29日のドル円は、買い先行後に上げ幅縮小。東京時間に片山氏が再び一般論として円の過小評価は問題だと指摘、25日に行ったベッセント財務長官との電話会談でもその点を再確認したと語ったが、反応薄だった。ロンドン時間には、一時157.72円まで本日高値を更新。しかし、NY時間に入ると、米国とイランの和平交渉が報じられるなか、WTI原油先物や米10年債利回りの失速につれ157.10円へ上げ幅を狭めた。米8月求人件数や米9月消費者信頼感指数が市場予想以下だったが反応薄だったものの、NY連銀総裁が「追加利上げに性急な対応不要」との見解を寄せたこともあり、以降は伸び悩んだ。
30日のドル円は、続落。ドル円は東京時間から月末・四半期末を受け売りが優勢となり、一時156.38円と9月18日以来の安値をつけた。その後は買い戻され、高市首相の所信表明演説をめぐり「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には影響を分析して対応を機動的に講じる」との文言が入る見通しと報じられたが、影響は限定的。城内経財相の「日銀と経済・物価で大きな認識の齟齬あると考えていない」との発言も報じられたが、こちらにも反応は乏しい。NY時間には、米8月PCE価格指数が市場予想を下回り、10月利上げ期待が巻き戻されるなか、売りが優勢となった。ただし、156.70円台までにとどまり、そこからはむしろ買い戻し。米9月ADP全国雇用者数や米Q2実質GDP成長率・確定値の堅調な結果もあって、引け際に一時157.54円まで本日高値をつけた。
1日のドル円は、急伸。東京時間の序盤に発表された日銀短観の大企業製造業の業況判断が改善したものの市場予想を下回ったほか、9月日銀金融政策決定会合の主な意見で、城内経財相とみられる内閣府からの見解で利上げを受け「説明責任」を求める文言を確認し、高市政権は引き続き利上げに慎重との思惑を招き、買いが広がった。ロンドン時間まで右肩上がりを続け、158円台を回復し一時158.46円まで週の高値を更新。もっとも、200日移動平均線に迫ると、当局からの口先介入やレートチェックが意識され頭打ちとなり、NY時間には堅調な米9月ADP全国雇用者数や米9月ISM製造業景気指数の仕入れ価格の上振れにも反応薄。特に材料を確認しないなかで一時157.23円まで本日安値へ急落する場面をみせつつ、トランプ政権が中東に3隻目の空母を派遣する方針との報道が伝わると、WTI原油先物につれドル円も買い戻された。
2日のドル円は、売り先行後に買い戻し。東京時間は9月東京都区部CPIが市場予想を上回る加速をみせ、ドル円は売りが先行した。仲値にかけ一時158.22円まで本日高値をつけたが、すぐに売りへ旋回。ロンドン時間に入っても断続的な売りが入り、NY時間に米9月雇用統計が市場予想を下回ると157円を割り込み、一時156.95円まで本日安値を更新した。しかし、売りの流れは続かず。トランプ氏が欧州のディーゼル放出合意について投稿した後、G7議長国のマクロン仏大統領が本件についてXで発表し、WTI原油先物の売りを誘ったが、ドル円は逆に買い戻しが入った。米雇用統計後の下落を完全に打ち消し、157円後半で引けを迎えた。
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