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  • Weekly Report(9/17):「ドル円は週初に140円割れ、FOMCと日銀会合を挟み乱高下継続へ」
    マーケット分析
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    ―Executive Summary―

    • ドル円の変動幅は9月9日週に3.51円と、前週の5.44円から縮小した。週足では、続落。ドル円は11日の東京時間には中川日銀審議員の「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」とのタカ派的な発言に加え、米大統領候補TV討論会で民主党のハリス氏が優勢との評価からリスクオフ相場を迎え、8月5日の安値141.69円を抜け、141円割れ。戻りを試す場面もあったが143円ちょうど付近にとどまり、13日にはWSJ紙や英FT紙が9月FOMCで0.5%利下げの可能性を報じたほか、ダドリー前NY連銀総裁がシンガポールでの講演にて0.5%利下げの根拠ありと述べたため、ドル円を押し下げた。NY時間には、一時140.28円まで下値を広げ、141円割れで週を終えた。
    • 9月17~18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者、ニック・ティミラオス記者や英フィナンシャル・タイムズ紙が0.5%利下げの可能性につき前週末にかけ相次いで報じ、ダドリー前NY連銀総裁も13日に0.5%利下げをめぐり「根拠がある」と明言した。米8月雇用統計や米8月消費者物価指数(CPI)は0.5%利下げの利下げを正当化するものとは言えなかった。しかし、米労働市場の一段の冷え込みを抑制すべく、米大統領選を控え、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米8月小売売上高次第では0.5%利下げを決定しうる。
    • 日銀はFOMC明け、9月19~20日に金融政策決定会合を予定する。会合を控え、日本株急落後に行った内田副総裁の講演に続き、相次いで氷見野副総裁や3人の審議委員が金融経済懇談会に出席。経済・物価が見通し通りに進展するなら、追加利上げの余地ありとのメッセージを送った。特に田村審議委員は、2026年度の後半にかけ、中立金利1%程度までの利上げを示唆するなど、踏み込んだ発言も行った。自民党総裁選後は衆議院の解散総選挙が視野に入るが、その前後、年内の追加利上げの可能性がゼロと言えそうもない。
    • 今週は、9月16日に米9月NY連銀製造業景況指数、17日に米8月小売売上高と鉱工業生産、18日にFOMCの政策発表とパウエルFRB議長の記者会見、19日にイングランド銀行の政策発表、20日に8月全国CPI、並びに日銀の政策発表と植田総裁の会見を予定する。日米の金融政策の発表を予定するだけに、既に16日に2023年7月以来の140円を割り込んだ通り、市場のボラティリティが高まりそうだ。
    • ドル円のテクニカル的な地合いは、一段と弱まった。一目均衡表の「三役逆転」や下向きの移動平均線に加え、ボリンジャー・バンドのー2σを下回るなど弱気のバンドウォークを維持。しかも、前週にドル円は年初来安値を更新しただけでなく、2023年1月安値と2024年7月高値の半値押しの水準、144.60円にも届かず。週足ベースでは一目均衡表の雲の下限を抜けてしまい、弱気材料が増えてしまった。
    • 投機筋の円のネット・ポジションの動向は9月10日週の5万5,770枚と、前週の4万1,116枚を上回り、5週連続でロングとなった。2016年10月以来の高水準となる。今後、さらにロングが積み増すか否かは、FOMCと日銀の金融政策決定次第だが、FOMCが0.5%利下げを決断するなら、さらなる積み増しもあり得よう
    • 以上を踏まえ、今週の上値は21日移動平均線が近い144.20円、下値は7月28日安値付近の138円と見込む。

    1.為替相場の振り返り=ドル円、日銀追加利上げや米9月0.5%利下げ観測受け年初来安値を更新

    【9月9日~13日のドル円レンジ:140.28~143.80円】

    ドル円の変動幅は9月9日週に3.51円と、前週の5.44円から縮小した。週足では、続落。ドル円は米8月雇用統計が9月FOMCで0.5%利下げの決定打とならないなかで、米8月CPIを控え週初に一時143.80円まで買い戻されつつ、141~143円のレンジながら1日で2円も急変動する展開を迎えた。しかし、11日の東京時間には中川日銀審議員の「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」とのタカ派的な発言に加え、米大統領候補TV討論会で民主党のハリス氏が優勢との評価からリスクオフ相場を迎え、ドル円は8月5日の安値141.69円を抜け、141円割れ。NY時間では米8月CPIのスーパーコアが前月比ベースにて2カ月連続で加速したため142円台を回復したものの、戻りは鈍かった。

    12日は田村審議員が「見通し期間後半には少なくとも1%程度まで利上げが必要」と、踏み込んだタカ派発言を行ったものの、11日の中川審議委員コメントほど反応せず、むしろロンドン時間で一時143円台を回復した。それでも、米新規失業保険申請件数や米8月生産者物価指数(PPI)はドル円の買い戻しを後押しせず。13日には、むしろWSJ紙や英FT紙が9月FOMCで0.5%利下げの可能性を報じたほか、ダドリー前NY連銀総裁がシンガポールでの講演にて0.5%利下げの根拠ありと述べ、ドル円を押し下げた。NY時間には、一時140.28円まで下値を広げ、年初来安値を更新。2023年12月28日の安値140.25円に接近しつつ、141円割れで週を終えた。

    チャート:ドル円の7月以降の日足、米10年債利回りは緑線(左軸)

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    (出所:TradingView)

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