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  • Weekly Report(10/15):「ドル円は米小売売上高や本邦筋の発言に翻弄されつつ、150円超えは限定的か」
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    ―Executive Summary―

    • ドル円の変動幅は10月7~11日週に2.26円と、その前の週の7.36円から縮小した。週足では、続伸。ドル円は全方位で良好だった米9月雇用統計明けの7日、三村淳財務官や加藤財務相の円安けん制を受けながら、上昇した。10日には、神田内閣官房参与からも口先介入が入り、氷見野副総裁も追加緩和の方向性を示唆するも、限定的。米新規失業保険申請件数が急増しドル円は下落する場面もあったが、米9月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったため、一時149.61円まで8月初め以来の高値を更新。米9月生産者物価指数(PPI)も前年同月比が市場予想超えとなり、149円台を保って週を終えた。
    • ドル円で150円乗せが迫るなか、本邦当局筋の円安けん制が続く公算が大きい。10月16日には、ハト派寄りの安達審議委員が講演を、17日に会見を予定するなか、前回5月の講演のように、為替に配慮しつつ、追加利上げ姿勢を強調する可能性がありそうだ。18日に9月全国消費者物価指数では、前月からの伸び鈍化が意識されるだけに、安達審議委員は追加利上げ観測の後退を招かぬよう、利上げに前向き姿勢を示すのではないか。日銀金融政策決定会合を10月30~31日に控え、観測記事が出てくる場合も想定しておきたい。
    • 米9月小売売上高を10月17日に予定し、シカゴ連銀の予測では自動車を除く場合で前月比0.4%増と、前月の0.1%増を上回る見通し。2005年の「カトリーナ」や「ウィルマ」、2017年の「イルマ」のような大型ハリケーン上陸時、自動車を除く小売売上高は同1%超えだっただけに、強含みそうだ。ただし、同じく大型ハリケーンの影響で、米新規失業保険申請件数は高止まりする公算。なお、大型ハリケーンから米新規失業保険申請件数が正常化するまで約1カ月半要していた。
    • 今週は、10月15日に8月鉱工業生産・確報値、米10月ニューヨーク連銀製造業景気指数、クルーガーFRB理事の講演、16日に安達審議委員の講演や8月機械受注、米9月輸入物価指数を予定する。17日には安達審議委員の会見の他、欧州中央銀行(ECB)の政策発表、米9月小売売上高や米新規失業保険申請件数が控える。18日に日本9月全国消費者物価指数(CPI)、中国Q2実質GDP成長率や9月鉱工業生産、同小売売上高、米9月住宅着工件数、ウォラーFRB理事の講演などを予定する。 ECBは0.25%の利下げ、2025年3月まで0.25%ずつ毎回の利下げの見通しに傾く。ラガルドECB総裁がハト派寄りの会見を行うか否かで、ドルの地合いに変化を加えよう。
    • ドル円のテクニカル的な地合いは、堅調。米9月雇用統計以降、7月高値と9月安値を結んだ短期のフィボナッチでも38.2%戻しがある148.12円がローソクの実体部を含めサポートとして機能している。21日移動平均線に加え、50日移動平均線が上向き始めているのも、好材料だ。ただ、150円を突破しても、7月高値と9月安値の半値戻し150.77円、さらに200日移動平均線の151.20円が走り、抵抗線が相次ぐ。また、RSIは10月11日に63.4と、割高を示す70に近い水準を維持。年初に入り、70超えでは調整が入る局面があり、このまま上値トライに突入するとは想定しづらい。
    • 投機筋の円のネット・ポジションの動向は10月8日週に3万6,528枚と、9週連続のロングながら、前週から縮小。今後はハリケーンの影響で米景気の動向が見極めづらくなるほか、日銀が追加利上げ姿勢を確保するだけに、円ロングの一段の縮小に動くかは不透明と言える。
    • 以上を踏まえ、今週の上値は引き続き7月高値と9月安値の半値戻しが近い150.80円、下値は21日移動平均線と50日移動平均線、一目均衡表の下限が近い145円ちょうどと見込む。

    1.為替相場の振り返り=ドル円、米9月CPIを受けて149.61円まで上値を拡大

    【10月7日~11日のドル円レンジ: 147.35~149.61円】

     ドル円の変動幅は10月7~11日週に2.26円と、その前の週の7.36円から縮小した。週足では、続伸。ドル円は全方位で良好だった米9月雇用統計明けの7日、三村淳財務官による「投機的な動きも含めて、為替市場の動向は緊張感を持って注視する」、加藤財務相による「為替の急激な変動、企業活動や国民生活にマイナス」との発言が聞かれたものの、堅調に推移。8日は材料に乏しく小動きだったが、9日は149円をしっかり超えていった。中国が財政政策で12日に会見を行うとの報道が支えとなり、株高・米金利上昇につれ、上値を拡大。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で0.5%利下げをめぐり、大多数の支持を得た反面、一部は0.25%利下げを選好したとの内容を受けながらも、NY時間引けにかけ一時149.36円へ上昇した。

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