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Weekly Report(3/4):「今週は重要イベント目白押し、結果次第では150円前後からのレンジブレークも」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は2月26日週に1.64円と、その前の週の1.09円から拡大した。週間ベースでは、5週ぶりに反落。週初は150円台での小動きを続けたが、一転して2月29日は150円割れの展開に。日銀の高田審議委員のタカ派発言を受け3月のマイナス金利解除期待が高まり、一時149.60円台まで下落した。NY時間では、注目された米1月個人消費支出(PCE)価格指数がコアそろって市場予想と一致した一方で、米新規失業保険申請件数が前週比で増加すると、売りが被さり一時149.21円まで週の安値をつけた。その後は買い戻されたが、米2月ISM製造業景況指数の弱含みを受け150円ちょうど付近で週を終えた。
- 今週は3月6日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言や米1月雇用動態調査(求人件数含む)の発表を予定するほか、8日には米2月雇用統計などが控えるなど、重要イベントが目白押しだ。一連の結果次第では、150円付近の足元のレンジから離れる場合もありそうだ。
- パウエルFRB議長の議会証言は、足元で米経済指標の弱含みを確認するなか、年内の利下げ方向に沿う内容となりそうだ。FF先物市場が利下げ開始を6月と織り込み、年内の利下げ回数も2023年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想中央値と同じく年内3回に傾くなか、攪乱させるような発言を控える見通し。米商業不動産問題もあり、米金利上昇を促すとは想定しづらい。
- 日銀の高田審議委員の発言を受け、3月18~19日開催の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除の観測が浮上するが、仮に実現すれば岸田政権が一段の円安を容認しない姿勢を反映したものと想定されよう。岸田政権はデフレ脱却へ向け検討を開始したとの報道が飛び出したが、条件の一つである需給ギャップは、円安での購買力低下によりマイナスへ戻した。また、円安は個人消費を押し下げ、2023年10~12月期のマイナス成長につながった。これ以上の円安はデフレ脱却への足枷となるだけに、政府・日銀アコードが維持される状況で、日銀が行動に出る場合もありうる。
- ドル円は、テクニカル的に三役好転を維持し、それぞれの移動平均線も上向き力強い地合いが続く。一方で、2023年12月と2024年2月のそれぞれの安値を結んだ支持線を割り込んだほか、2月29日には一時的ながら強力な支持線だった一目均衡表の転換線や21日移動平均線も割り込み、テクニカル的には強弱ミックスの様相となっており、上下どちらに動いても不思議ではない。ただ、投機筋の円のネット・ショートは2月27日週に13万2,705枚と、2014年以来の高水準となった。さらなるショート拡大余地が残っているかは不透明と言えよう。
- 以上を踏まえ、今週のドル円の上値はボリンジャー・バンドの2σの水準付近151.50円、下値は一目均衡表の基準線が控える148.40円を見込む。
1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、高田日銀審議委員発言で一時150円割れ
【2月26日~3月1日のドル円レンジ:149.21~150.84円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は2月26日週に1.64円と、その前の週の1.09円から拡大した。週間ベースでは、5週ぶりに反落。2月27日に日本1月全国消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったほか、米1月耐久財受注や米2月消費者信頼感指数が市場予想を下回り、一時150.07円まで下落したものの、週初は150円台を維持して推移した。
そこから一転し、2月29日は150円割れの展開を迎えた。日銀の高田審議委員が2%の物価目標の「実現が漸く見通せる状況になってきた」、「極めて強い金融緩和からのギアシフト、例えばマイナス金利解除など出口への対応も含めた検討も必要」などと発言。タカ派寄りな見解を受け、3月のマイナス金利解除期待が高まり、一時149.60円台まで下落した。NY時間では、注目された米1月個人消費支出(PCE)価格指数がコアそろって市場予想と一致した一方で、米新規失業保険申請件数が前週比で増加すると、売りが被さり一時149.21円まで週の安値をつけた。翌3月1日は、高田審議委員発言後の下落を打ち消し150.70円台まで切り返したものの、再びNY時間で下落。米2月ISM製造業景況指数が雇用や新規受注などを含めそろって市場予想以下となったため、150円ちょうど付近で週を終えた。
チャート:ドル円の2024年以降の日足、米10年債利回りは緑線(右軸)、ドル・インデックスは白線(左軸)
(出所:TradingView)
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