こちらでご紹介した輸出企業の6か月先物予約の例をもとにスワップ取引から生ずるドルと円の金利差が、どのように取引レートに反映していくのか説明し […]
本記事では、トレーダムのキャラクター「カワセ博士」とカワセミの「カワセアイ」が日常のやり取りから為替について理解を深めていきます。
登場人物
基本的に日本円で資金を取り扱うが、
定期的にドルを受け取っている
ドルも円も潤沢に持つ銀行のような存在
とある日の会話
カワセアイ「今すぐに100ドルを日本円に両替したいの」
カワセ博士「今のドル円レートが120円だからそのレートなら両替してもいいよ」
カワセアイ「ありがとう!よろしくね。」
通常私たちが良く目にするドル円レートはスポットレートといい、このような即時の両替の際に利用されます。
別のとある日の会話
カワセアイ「今度も100ドルを両替したいんだけど、半年後なの。また同じ今のスポットレート125円でいいわよね?」
カワセ博士「半年後ならちょっと話が違うよ。以下の考え方を確認してみてね。」
カワセ博士「両替までに期間がある場合、その間の金利発生分(=スワップとも呼ぶ)を考慮しないとフェアじゃなくなってしまうんだ。
なのでこの場合、1.015$を125円と両替するのが正解。1$あたりに直すと、1$=125/1.015≒123.153、となるね。
ほら、今のスポットレート125円とちょっとずれてくるでしょ。この123.153円のレートのことを、半年後の「フォワードレート」って呼ぶんだよ。」
カワセアイ「なるほど、良くわかったわ。じゃー半年後に123.153円のフォワードレートで100ドル分両替してね!」
カワセ博士「うん、OKだよ」
カワセアイ「ちなみになんだけどね、半年間にスポットレートが大きく変わるかもしれないじゃない?それでも123.153円で大丈夫なのよね?」
カワセ博士「心配してくれてありがとう。でもちゃんと自分でリスクヘッジするから心配ないよ。以下を確認してね」
カワセ博士「低い場合は、カワセアイさんは両替の約束をしていて良かった!となるね。約束が無かったら、100ドルx110円しか受け取れないから。
高い場合は、カワセアイさんは両替の約束をしなきゃ良かった!となるね。約束が無かったら、100ドルx140円も受け取れるから。
そして、私の立場はカワセアイさんとは逆になるよ。
カワセアイさんの得は私の損、カワセアイさんの損は私の得になってしまうんだ。
私はカワセアイさんとの両替で損も得もしたくないから、為替変動リスクをヘッジすることにするよ。
ドル円が低くなった時の私の損失を補填したいから、、、ドル円が低くなった時に利益を得られるように、ドルを売る取引を行えばいいよね。
この場合、ドル円が上がった場合に損を抱えてしまうけど、カワセアイさんと両替を行えば、カワセアイさんの損が私の利益になるのでヘッジ取引と相殺されるのさ。」
カワセアイ「ちょっと複雑ね。でも、Bさんが半年後のスポットレートが上がろうが下がろうが関係が無くなるようなリスクヘッジをすることはわかったわ。」
カワセ博士「実はね、一番気になるリスクがあるんだけど何だかわかる?」
カワセアイ「何?全然わからない」
カワセ博士「カワセアイさんが両替当日に逃げちゃうことなんだ。逃げちゃったらヘッジ取引の損失をぶつける相手がいなくなっちゃうから、ドル円が上がったときにとても困るんだ。逃げないでね」
カワセアイ「自己破産でもしない限り約束は守るわ」
これがおおまかな、スポットレートとフォワードレート、そして両替に応じる先が行うリスクヘッジの概要です。実際のフォワードレートは、さらに「両替に応じる先の手数料」や、「両替依頼者の貸し倒れリスク」がレートに織り込まれて決定されます。
現在の日米金利差から、理論上のフォワードレートは皆さん簡単に計算可能です。
その理論レートと、提示されたレートを見れば。。。手数料や自分の貸し倒れがどの程度見られているのかの感覚が掴めるかも知れません。
なお、最後に余談なのですが通常両替には2日間程度の日数がかかります。
よって、我々が目にするスポットレートは、実は2日分程度の金利が加味されています。
ただし2日間程度の金利はとても小さいため、ほとんど意識されることが無いのです。
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