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  • 日銀のマイナス金利が解除されたらどんな影響が出るか?銀行株が注目を集める理由を解説
    藤崎 竜也
    この記事の著者
    独立系ファイナンシャルプランナー

    「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

    マーケット分析
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    日銀のマイナス金利が解除されるかが注目を集めています。ニュースを聞いている人のなかには「マイナス金利ってそもそも何?」「解除されるとどんな影響があるの?」など疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。

    本記事ではマイナス金利導入の背景や解除されたときの影響を解説します。さらに、今注目を集める銀行株を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

    日銀のマイナス金利政策とは?導入経緯を解説

    マイナス金利とは、民間銀行が預けているお金に対して日銀が利息を払わず、反対に金融機関に手数料を支払わせる政策のことです。マイナス金利を導入すると預金者である民間銀行が利息を支払う必要があり、日銀にお金を預けにくくなります。

    そこで民間銀行の手元資金を融資・有価証券の購入などへ使うよう誘導して、市場にお金を循環させて経済を活発化させようという狙いがあります。

    日本のマイナス金利政策は2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入してから約8年以上も継続してきました。

    当時の安倍政権下はバブル崩壊後に長く続いたデフレと経済成長が伸び悩み、わたしたち一般消費者の賃金の停滞に苦しめられています。そこで、企業や家計の投資を促し経済の活性化とデフレ脱却を目標にかかげ、マイナス金利の導入が決まりました。

    日銀植田総裁の発言で注目されるマイナス金利解除の時期

    日銀がデフレ脱却に向けて掲げていた「2%の物価安定」は、2022年から続くインフレにより達成されている状況ともいえます。

    2022年当初は円安の影響による輸入品の高騰を背景に、企業が生産コスト増加分を商品価格へ転嫁したことで引き起こされていました。いわゆる賃金上昇をともなわない「悪いインフレ」です。

    しかし、2023年末には生産コスト上昇による急激なインフレは若干ですが緩和され、大手企業を中心に賃上げへ踏み切るニュースが流れています。そこでマイナス金利が解除される可能性が高まり、日銀の動向に注目が集まっています。

    2024年1月23日の金融政策決定会合では、緩和継続の方針が決まりました。そこで植田総裁は「物価目標達成の確度は引き続き少しずつ高まっている」と展望レポートに文言を入れています。

    今後の物価や賃金上昇などのデータを見て、マイナス金利解除に踏み切る可能性が高まりました。

    マイナス金利解除による影響は?

    将来的にマイナス金利が解除されると市場や私たちの生活に大きな影響を与えます。そこで今回は2つの影響について紹介するので、参考にしてみてください。

    為替相場は円高で反応する

    2022~2023年における米国金利の急激な引き上げによる円安は記憶に新しいと思います。一方で、マイナス金利が解除されると為替相場は円高で反応します。投資家は金利の高い通貨を所持していたほうが利息収入は増えるため、低金利の通貨は売られるからです。

    2024年1月時点における米ドルと円の金利は以下のとおりです。

    ・日本:-0.10%

    ・アメリカ:5.25~5.50%

    また以下はドル円の直近1年のレートですが、今回の植田総裁の発言を受けて円高で反応しています。

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    参照:TradingView

    実際にマイナス金利が解除されれば、さらに円高へ動くと予想されます。

    日本株に下落圧力がかかる

    日本株には複数の要因で下落圧力がかかります。マイナス金利が解除されると、民間銀行の融資金利も上昇するため、銀行からお金を借りたい企業の負担は増えます。

    企業にとっては設備・広告・採用など事業拡大に必要な資金を集めるためのコストが今までより高くなり、財政が苦しくなる会社も出てくるでしょう。

    業績悪化が進むと倒産する会社が増えていき、経済全体へも悪影響を与えるため景気には逆風です。また、企業の業績悪化から株価の下落につながる可能性が高くなります。

    また政策金利が上昇すると、利息の増加から国債を購入する投資家が増えてきます。配当はもらえるけど価格変動リスクのある株式を所持しておくより、金利が多少低くても価格の安定する国債を保有したいと考える人が出てくるからです。

    そこで複合的に日本株への下落圧力がかかり、値下がりが予想されます。

    マイナス金利解除による影響はほかにも、債券価格の下落と利子の増加が予想されます。

    日銀のマイナス金利解除で注目を集める銀行株

    マイナス金利が解除されると日本株には下落圧力がかかりますが、反対に業績アップが期待できる銀行株に注目が集まります。

    業績アップが期待できる要因として、政策金利がプラスになると日本銀行へ預金したときに利息を受け取れる点にあります。ほかにもマイナス金利が解除されると、政策金利より企業への貸出金利を高く設定できるため、収益性の増加が期待できるからです。

    以下に主要銀行株における5年間のチャートをみていきます。

    <三菱UFJフィナンシャルグループ>

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    <三井住友フィナンシャルグループ >

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    <みずほフィナンシャルグループ>

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    2023年はイールドカーブ・コントロールの修正やマイナス金利解除の期待が高まった影響もあり株価は上昇しました。イールドカーブ・コントロールとは短期金利であるマイナス金利政策とあわせて、長期金利を0%に誘導する施策のことです。

    2023年7月末に長期金利の上限を1.0%まで引き上げていて、株価へも大きく影響を与えました。今後も日銀の政策金利と銀行株の動向を比べてみると面白いかもしれません。

    ※本記事は2024年2月9日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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