―2023年Q4の純金利収入はJPMが好調、2024年の増加も見込む 2023年10~12月(Q4)の決算発表シーズンが、今回も米銀で幕開 […]
為替ヘッジとは?
為替ヘッジとは、外国株式や外国債券など外貨を用いて取引をする際、為替変動の影響を低減させる手法です。
例えば、A社の米国株を100ドルで購入し、1年後に110ドルで売却した場合、ドルベースで10$の利益が発生します。しかし、購入時点の米ドル/円のレートが150円で、売却時に130円となっていれば、円ベースの価値で15000円→14300円(110×130円)と700円の損失です。株価は上がったにも関わらず、為替が不利に動くと総合的に損失が出る場合があります。この様な時に為替ヘッジを行っていれば、損失が回避できます。
2023年は2年連続の大幅な円安ドル高局面が進行しており、為替ヘッジ無しのドルベース資産を保有する投資家にとっては大幅に資産価値向上を後押しした年です。2022年末の131.101円から2023年10月末の151.663円と年初来15.6%の円安で推移しました。しかし、米国の米連邦準備委員会(FRB)は2023年7月以降利上げを停止し来年度の利下げが予想されています。日銀も10月にYCC(イールドカーブコントロール)の修正が実行され、来年にはマイナス金利政策の撤廃が予想されています。その場合、2022年および2023年と異なり円高ドル安の可能性を市場は予期しています。これからの外貨建て資産に「為替ヘッジ」は必要なのかについて例を挙げながらまとめます。
為替ヘッジのコストとメリット
将来の為替変動の影響を受けたくない場合、一般的に為替予約を用います。為替予約は、あらかじめ為替レートを決めて取引を行いますが、将来のリスクを低減させるためにコストが掛かります。実際のコストを計算して体感してみましょう。
例えば、2023年11月1日の為替レートと金利を基準に100$を2年間運用したと仮定します。為替レートはドル/円:151円、2年金利は国債利回りで計算します。日本は0.157%、米国は4.949%です。
2年後も同一レートで交換できれば839円の利益となりますが、為替ヘッジでは差損を排除します。現在の金利に合わせて予想される価値の差で決定され、その分がコストとして計上されます。この場合は、4.5%がコストに相当します。今回は2年で計算しましたが、一般的なヘッジコストは1カ月や3カ月といったより短期で変更されるケースが多いでしょう。また、2023年11月のドル円ヘッジコストは5%を超えており、外貨調達コストなどの手数料が上乗せされる事も忘れてはいけません。
※ヘッジコスト=日米通貨金利差+調達コストなど
この様に、円金利よりも高金利通貨に為替ヘッジを掛ける場合はコストが高くなる傾向があります。5%を超えるコストは高いですが、金利や条件次第でヘッジの恩恵を受ける事もできます。2022年初めから2023年10月末までの22カ月間でドル/円は30.6%円安に傾いています。日米の金利差は今後縮小傾向になる事が予想されており、円高への大幅な回帰も考えられます。仮に円高となれば、「為替ヘッジ無し」を選択し、ドルベースで保有すると為替差損が起こります。金利差が縮小するとヘッジコストも低下し、過去2年間の為替変動率を考えると現状5%のヘッジは必ずしも高いとは言えないでしょう。外貨建てのポジションを保有し続ける方は、来年のポジションとして「為替ヘッジ有り」の選択を検討する価値があるでしょう。
為替ヘッジの注意点
外貨建てのポジションには為替変動が常に関係しますが、為替ヘッジが必要とは限りません。2022年の様に日本と海外の通貨金利差拡大が予想され、大幅な円安になる予測が立つ場合やヘッジコストに対して外貨建て資産の変動率が小さく利益の幅が狭い場合は不要です。将来の金利展望や投資先の変動率に応じて検討してみましょう。
まとめ
為替ヘッジは、外貨建てのポジションを構築する際にコストを支払い、為替変動を除く手法です。ヘッジコストは、2カ国の短期金利差や外貨調達コストなどによって日々変動します。日本は歴史的に低金利国のため、為替ヘッジ有りの商品を選ぶ際にはヘッジコストの支払額に注意しながら選択していく必要があります。為替ヘッジは円安局面に大きく恩恵を受けるので、円安期待が高い時に使用する事が良いでしょう。2024年は日銀のマイナス金利解除やインフレ縮小が為された外国の利下げが期待できるため、円高傾向に回帰する可能性が高いと市場は予想しています。各国の金融政策や短期金利動向に注目しながら、投資先の変動率を見極めて為替ヘッジの有無を検討してみてはいかがでしょうか。
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