「臨機応変に対応できるように半身の姿勢」
中村 知博
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。
外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

為替の仕組み
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今週のドル円は底堅く推移しました。ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は29日の講演で「年内にあと1回の利上げが適切になる可能性がある」としたうえで、「米連邦準備理事会(FRB)は9月に利上げを決定したため、現在は性急に行動する必要はない」と述べたほか、ジェファーソンFRB副議長も「FRBは次の行動決定までもっと時間が必要になる可能性」と発言。また、30日の8月米個人消費支出(PCE)物価指数や食品とエネルギーを除くコア指数が予想を下回ったこと、週末の9月米雇用統計が予想を下振れたことで米早期利上げ観測が後退しドル売りを誘いました。

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*Trading Viewより

半面、1日公表された9月開催分の日銀金融政策決定会合における主な意見では「日銀の利上げ加速を示唆する内容ではなかった」との見方から、全般円売りが優勢となりました。さらには、米長期金利の指標とされる米10年債利回りが今週1日に5.3402%前後と2002年以来24年ぶりの高水準を記録するなど、米金利の上昇がドルをサポート。結局、ドル円は底堅い推移となりました。



シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、10月27-28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを予想する確率は1週間前の64.2%から22.7%に低下した一方、据え置きを予想する確率は35.8%から77.3%に上昇しました。

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*CME FedWatch Toolより

低調な米経済指標や米要人のハト派的な発言で米早期利上げ観測は後退していますが、米長期金利の上昇傾向が継続していることでドル円は底堅い推移となっています。週末の米10年債利回りが米雇用統計の結果を受けて一時5.15%台まで低下したあと、すぐに切り返し5.29%台まで上昇した背景には来週予定されている3年・10年・30年債入札を前に、需給悪化への警戒感が高まったことがあります。市場では「米長期金利が急速に上昇したことを受けて投資家の買いが手控えられると見込む。需給が悪化し金利上昇圧力となりそうだ」との声が聞かれています。



米商品先物取引委員会(CFTC)が2日(日本時間3日早朝)に発表した9月29日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は5万5440枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から1万6542枚減少しました。

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*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成



ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(157.85円)で雲の上限159.61円や雲下限159.35円を下回っています。一方、転換線157.71円や基準線156.64円は上回っています。

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*Trading Viewより

また、重要なポイントである200日移動平均線158.50円も下回っています。200日移動平均線は重要な中期線として、機関投資家など多くの市場参加者が注目するポイント。テクニカル的なサポートやレジスタンスとしてだけではなく、ここを中心に投資家心理も大きく変わってくると言われています。

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*IG証券より

なお、自身のポジションは引き続き「円高・ドル安」方向。8月10日に「158.414円」、11日に「159.070円」、18日に「159.692円」、9月4日に「156.202円」でショートしており、平均コストは「158.344円」となっています。含み益は前週の4万円程度から2万円程度まで減少しています。テクニカル的にも伝統的な投資格言「FRBに逆らうな(Don’t fight the Fed)」になぞらえて「米財務省に逆らうな(Don’t fight the Treasury)」という格言的にもドル円のショートはもうしばらく維持。ただ、米長期金利の上昇がいつまで続くのかが懸念事項。臨機応変に対応できるように半身の姿勢でマーケットに臨みたいところです。


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2026年10月3日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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