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  • あの時あの動き、過去から学ぶ『2024年米国大統領選挙のジンクス』
    山下 政比呂
    この記事の著者
    DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

    証券会社で株式・債券の営業、米系銀行で為替ディーラー業務(スポット、スワップ、オプション)に従事。プライベートバンクでは、為替のアドバイサーとして円資産からドル建て資産への分散投資を推奨してきたドル高・円安論者。「酒田罫線法」「エリオット波動分析」「ギャン理論」などのテクニカル分析をベースに、ファンダメンタルズ分析との整合性を図り、相場観を構築。2016年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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    「It’s the economy stupid!」(1992年米大統領選でのクリントン陣営発言)

    クリントン第42代米大統領とオバマ第44代米大統領は、下院で多数派だった共和党と債務上限引き上げで揉めた後、2期目の再選を果たしました。

    このジンクスからは、バイデン第46代米大統領は、今年、下院で多数派だった共和党と債務上限引き上げで揉めたことで、2024年の大統領選挙で再選される可能性が高いことになります。

    しかし、米国経済が大統領選挙の年にリセッション(景気後退)に陥っていた場合、当然のことながら、現職の大統領は再選を果たせませんでした。

    このジンクスからは、バイデン第46代米大統領は2024年の大統領選挙で再選される可能性が低いことになります。

    1.2024年のリセッション(景気後退)の可能性

    2022年春に、リセッションの先行指標として注目されている米国2年債と10年債の利回り差による「長短金利逆転(逆イールド)」が発生したことで、米国大統領選挙の年である2024年のリセッションの可能性が高まっています。2-10年債の「逆イールド」は、1978年以降の6回のリセッションを全て予告してきています。さらに、2023年春には、逆イールドの乖離が1%となり、リセッション入りをほぼ確実なものにしています。1%の逆イールドは、8カ月以内のリセッション入りを警告してきました。

    米国の大統領選挙での再選に向けた選挙期間中にリセッションに陥った例は3回ありますが、いずれも現職が敗北しています。

    ・1980年カーター第39代大統領:イラン革命による原油価格の高騰

    ・1992年ブッシュ第41代大統領(父):湾岸戦争による景気減速

    ・2020年トランプ第45代米大統領:新型コロナのパンデミック不況

    2.債務上限引き上げ協議

    ■クリントン第42代米大統領

    1995年、民主党クリントン政権と下院議長ニュート・ギングリッチ率いる共和党による予算を巡る党派対立の高まりと債務上限引き上げ問題が同時に発生しました。議会両院の多数党を占めていた共和党は歳出法案と債務上限引き上げ法案を阻止することでクリントン政権から妥協を引き出そうとしたものの、クリントン政権が容易に屈しなかったことで、政府機関が閉鎖されました。

    クリントン第42代米大統領は、1996年の大統領選挙で再選を果たしました。

    債務上限はクリントン政権の下で、1993年4月に4兆3700億ドルに引き上げられ、1997年8月には5兆9500億ドルまで引き上げられました。

    ■オバマ第44代米大統領

    2011年5月、債務残高が上限(14兆2900億ドル)に到達したことで、米財務省は8月2日までの「異例の措置」を採用しました。オバマケア(公的医療保険)の見直しや歳出の削減を求める共和党議会とオバマ大統領との交渉が難航したものの、7月31日に米議会は債務上限引き上げを承認したことで、米国のデフォルトは回避されました。

    オバマ第44代米大統領は、2012年の大統領選挙で再選を果たしました。

    債務上限はオバマ政権の下で、2009年2月に11兆3150億ドルから12兆1040億ドルに引き上げられ、2015年3月には18兆1000億ドルまで引き上げられました。

    ■バイデン第46代米大統領

    2023年1月、債務残高が上限(31兆4000億ドル)に到達したことで、イエレン米財務長官は、米国がデフォルトに陥るXデイを6月1日(後に6月5日へ延長)と警告しました。

    6月3日に、バイデン米大統領が、2024年11月の米国大統領選挙が終わった2025年1月まで「債務上限」の適用を停止する「財政責任法案(Fiscal Responsibility Act of 2023)」に署名しました。

    本記事は2023年7月11日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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