こちらでご紹介した輸出企業の6か月先物予約の例をもとにスワップ取引から生ずるドルと円の金利差が、どのように取引レートに反映していくのか説明し […]
ここでは為替予約に関する会計処理について説明していきますが、その前に、為替予約を行う前提となる外貨建取引に関する会計処理についてまず説明したいと思います。
外貨建取引に関する会計処理について
外貨建取引は、原則として、取引発生時の為替相場による円換算額をもって記録することとされています。
例えば、輸出企業がドル建てで製品を輸出した場合、製品輸出時の為替相場で円換算され「売上」計上されます。一方で、その売上債権の回収が2ヶ月後になる場合、2ヶ月後にドル建てて資金回収されすぐに円転されると、この2ヶ月間で為替相場が変動していた場合、「売上」計上された円貨額とは異なる金額が円貨で回収されることになります。
その差額が「為替差損益」として処理され、円安になった場合は「為替差益」が、円高になった場合は「為替差損」が生じます。
輸出企業にとっては、円安になった場合は良いですが、円高になった場合は為替に関して損失が発生してしまうことになります。
これを避けるために行うのが「為替予約」であり、その時の会計処理について次に説明していきたいと思います。
為替予約に関する会計処理について
上述の例で、輸出企業は製品輸出時から資金回収時までの為替相場の変動リスクを回避したいと考えた場合、製品輸出と同時に為替予約を行うことで、円貨での資金回収額を確定させることができます。
この為替予約はデリバティブ取引と呼ばれるものの一種で、金融商品会計基準に従って、原則として期末に時価評価を行い、評価差額は「為替差損益」として会計処理されます。
為替予約の時価は、為替相場と金利に基づいて決まり、為替相場とある程度連動しています。
そのため、仮に円高となり外貨建取引から「為替差損」が発生した場合、為替予約からはある程度連動した水準で「為替差益」が発生するため、会計上も「為替差損」と「為替差益」が相殺され為替変動リスクを回避する効果が現れることになります。
これが、為替予約に関する原則的な会計処理方法です。
予定された取引に対する為替予約について
これまでは、すでに発生した取引に対する為替予約について説明してきました。
それでは、将来の外貨建取引を見込んで、予め「為替予約」を実施しておきたい場合はどうなるでしょうか?
例えば、次年度にドル建てで毎月支払いがあることが分かっている予定された取引があるとします。それを、当年度内に決まった為替相場で固定して、相場変動リスクを回避したいと思うこともあるでしょう。
この場合、外貨建取引自体がまだ発生していない一方で、当年度ですでに「為替予約」は実施され、決算時には時価評価されてしまうため、上述したような相殺効果が起こりません。
ここで登場するのがヘッジ会計ですが、これは次の機会に説明したいと思います。
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