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為替のノックアウトオプションの仕組み
ノックアウトオプションとは、事前に決めた条件の成立によりオプション取引の権利を消滅させることで、コスト(レート)を下げる商品です。相場状況によっては、リスクヘッジしていた為替予約が消滅し、リスクが無限大に戻るなど、大きな損失が発生する可能性があるため取引には注意が必要です。
ノックアウト(NO)オプション付き取引の例(輸入企業)
取引日: 9月28日(水)
決済日: 3月31日(金)
スポットレート: 145.00円
ドルコールの買い(ドルを買う権利の購入)
受渡(両替)レート: 143.00円
ノックアウトレート: 160.00円
9月28日(水)に6ヶ月先の、ノックアウトオプション付きドルコールを購入します。
通常の為替予約であれば、決済日に144.50円で受渡しを行いますが、ノックアウトオプションを付けることで、143.00円(1.50円有利な価格)で受渡しが可能になります。
決済日のスポット価格により、受渡しレート以下になります。(単位円)
決済日のドル円スポット価格 | 140.0 | 142.5 | 145.0 | 147.5 | 150.0 | 152.5 | 155.0 (NO) | 157.5 | 160.0 | 162.5 |
NO付き | 143.0 | 143.0 | 143.0 | 143.0 | 143.0 | 143.0 | 155.0 | 157.5 | 160.0 | 162.5 |
NO無し | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 | 144.5 |
価格差 | +1.5 | +1.5 | +1.5 | +1.5 | +1.5 | +1.5 | -10.5 | -13.0 | -15.5 | -18.0 |
決済日までの期間に、ノックアウト(NO)価格(155.0円)に到達しない場合は、+1.5円有利な価格(143.0円)で受渡しができますが、ノックアウト価格に到達すると、為替予約の権利が消失します。
ノックアウトオプションのご利用は慎重に
為替予約の本来の目的は、事前に決済日の受渡しレートを決めることで、決済までの期間に相場が不利な(輸入企業の場合は円安)方向に動く場合の損失を防ぐものです。ノックアウトオプションを付けると、相場が不利な方向に大きく動く場合に為替予約契約が解除され、相場の変動による大きな損失が発生します。
ノックアウトオプションは、取引のコストを下げるメリットと、為替リスクヘッジの機能が失われるデメリットがあり、利用には慎重な検討が必要です。また、相場変動のリスクに対して十分に理解した上で判断できればよいですが、為替リスクヘッジを目的とする場合は、その仕組み上目的と相反することになります。
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