相次ぐ円安けん制も口先揃えただけのセリフのよう 本邦金融当局者による円安進行への警戒感を示す発言が相次いでいます。今週初め6月26日、財務省 […]
小麦の国際価格、急伸
今週、小麦の国際価格は買い戻しが強まる展開となりました。指標の米シカゴ小麦先物は足もとで約1カ月ぶりの高値を更新。ロシアのウクライナ穀物輸出協定からの離脱や、ロシアが「黒海を運行する船舶は軍事目的とみなし攻撃対象になる」と警告したことなどが材料視されました。また、ウクライナの穀物輸出港が攻撃を受けたことや、米穀倉地帯で遅れてきたホット・アンド・ドライの脅威などが理由に挙げられます。
NY小麦先物の1時間足チャート
出所:Trading View
国際指標である米シカゴ商品取引所の小麦先物(期近)は昨日20日、1ブッシェル=7.5ドル台まで急伸し、6月26日以来となる高値を付けました。5月末には5.7ドル台まで下落し、約2年半ぶりの安値を付けていましたが足もとでは反発傾向が強まっています。
NY小麦先物の週足チャート
出所:Trading View
ウクライナ産穀物の輸出合意失効、ロシアが延長拒否
ウクライナ産の農産物の輸出を巡るロシアとウクライナの合意について、ロシア大統領府は今週17日、「合意の履行を停止した」と発表しました。国連とトルコの仲介によって、去年7月から続いてきた輸出の枠組みが停止された格好で、世界的な食料危機への懸念が一層高まるとみられます。
ウクライナ産の農産物の輸出を巡っては、去年7月にトルコと国連の仲介で合意し、その後、合意期限は3度にわたって延長されました。しかしながら、ロシアは「同国産の農産物などの輸出が欧米側の制裁措置によって滞っている」と主張し、合意期限が17日に迫る中、期限の延長に応じない構えを示していました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、「合意の履行を停止した。残念ながらロシアの輸出に関する部分が、これまで履行されていない」と述べ、ロシア側が合意の履行を停止したと発表しました。
ロシア、黒海航行船「軍事運搬」と見なす
ロシア国防省は19日、声明で「モスクワ時間の20日午前0時以降、黒海でウクライナの港に向かうすべての船舶は、軍事物資を輸送している可能性があるとみなす」と発表。その船舶が所属する国は、ウクライナ政府の支援に関与しているとみなすと警告しています。
ロシア政府は、今月17日に発表したウクライナ産の農産物輸出をめぐる合意の履行停止を受けて、黒海での航行の安全の保証を撤回するとしていて、今回、国防省はウクライナに向かう船舶を強く威嚇した形です。
ロシア、ウクライナ港湾都市を攻撃、穀物6万トンが被害
ウクライナ当局は19日、南部の港湾都市オデッサでロシア軍のミサイル攻撃があり、貯蔵インフラが被害を受け、約6万トンの穀物が失われたと発表しました。
ウクライナのソルスキー農業政策・食料相は「黒海沿岸にある南部オデッサ州のチョルノモルスク港が夜間にロシアの攻撃を受け、穀物輸出施設が大きな被害を受けたほか、貯蔵されていた大量の穀物が失われた」と発表。夜間の空爆で失われた穀物の量は6万トンにのぼり、黒海穀物輸出合意の下、60日前に出荷されるべき穀物だったとしています。
また、「被害を受けた施設の完全な修復には少なくとも1年かかる」とし、「穀物輸出施設に対するロシアの攻撃はウクライナに対するものではなく、全世界に対するテロ行為だ。世界の食料安全保障が再び危険にさらされている」と非難しています。
外国為替市場でドル円相場が再び140円台まで上昇する中、足もとで円安が進み、さらに小麦の国際価格が上昇すれば、私たちの生活にも大きく影響を与える可能性も。円安やコモディティ価格の上昇による物価高は景気を冷やす懸念もあるだけに、ロシア・ウクライナ関連のニュースには今後も注目していきたいところです。
本記事は2023年7月21日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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