<テクニカル分析判断>
●短・中期:地合いは依然強く「上昇トレンド」を維持も、騰勢には若干ながら翳りが台頭
□1/6週は「寄付157.23:156.24~158.88:終値157.74前週比+0.45円の円安)」の推移
◇上記の通り、先週は5週ぶりとなった前週の陰線から再び陽線に転じた
◇また、前週比で「下値・上値」を着実に切り上げており、一時昨年7月中旬以来の159円台を窺う局面もあり、極めて強靭な地合いに支えられた「上昇トレンドの維持・継続」が認められる
◇RSIは60台へ上昇したものの、依然「上昇余地が残存」。ストキャスティクスも3週前から「再度の上方トライに転じ」ている
◇また、上図中➊・➋で強力なサポートラインとなっていた21週MAは「3週前から急上昇に転じた」ため、「(テクニカルな)上昇余地は更に拡大」していると見られる
>>>なお、年末年始特有の薄商いから大きく縮小していた週間変動幅は先週2.64円にやや拡大した
<<=>>他方、先週(以下の懸念点を挙げ)「4連続陽線終息後の推移には注意が必要」としていた
◆2023年以降の陽線は「3連続で終息=ほぼ一旦“小休止”」・「4連続で終息=一旦“休止”が大半」
=>>>しかし、4連続で終息した場合は『昨年7/8週からの2か月超に及ぶ急落』の起点となった例あり
=>>>今回の一旦“休止”が軽微なものに止まるのかどうか今週の推移(展開)は要注目
<<=>>これに対し「RSIやストキャスティクスの水準/形状からは昨年7月のような『上昇の過熱』は感じられない(むしろ上昇余地あり)」
「また、ここ5週ほどの21週移動平均線(MA)の急反発傾向から、52週MAとのゴールデン・クロスも着実に接近しつつある」としていた
=>>>実際、上図「B」の通り先週は陽線を形成し「A」とは異なる推移となって既述の『懸念』は後退
=>>>今回『4連続陽線⇒陰線』の翌週に「陽線を形成」した意味は大きく、少なくとも「A」のような急落を予感させるような兆候(RSIの水準や移動平均線からの乖離状況など)は今のところ全くない
=>>>当面は『21週MA+4.32%』のラインに沿った展開が見込まれる
■一方、「上昇トレンド」を否定するほどではないものの、短期時間軸では「上昇ペース鈍化」の兆しが台頭し始めている
=>>>先週後半の推移は「下値切り下げ」に転じている上、週末に上値トライ(上値切り上げ)がみられたものの、上昇力の疲弊を示唆する「長い上ヒゲを伴った陰線」を形成した
□ただし、(チャート下部のRSI/ストキャスティクス部分ご参照)ここ3週の自律調整的保合いによって、(10月にも見られたように)高水準を維持し続ける可能性が高い。現在の2指数の水準だけで考えても、少なくとも短期的な(上昇の)過熱感が高まっている(≒ピークアウトが近い)とは言い難い
=>>>また、直近3週の保合いは上記の「上昇の過熱」状態を緩和する『自律的な速度調整』に該当するとも考えられ、今回の上昇サイクルは依然『秩序だった変化(上昇)の範疇にある』と考えられる
□なお、日足では「急上昇に転じていた21日MAが昨年末に52日MAとのゴールデン・クロスを示現」。これにより『21MA>52MA>200MA』の上昇トレンドパターンが形成された
以上から導き出された<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
◆直近3週の保合いによって「上昇モメンタム(勢い)に陰りが見え始めた」懸念点はある
◎しかし、テクニカルな地合いは大きく強調へ反転しており「上昇トレンド」の継続を改めて確認
=>>>折に触れて見られるように、秩序だった上昇サイクルの中で自律的な速度調整を交える可能性はあろうが、中長期的なUSD円相場の方向感は基本的に上方だと考えられる
=>>>なお、市場参加者の拡大が見込まれるため、週間変動幅は再び拡大して行くことが見込まれる
□引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
② 159.30円=21週MA +5.55%
③ 158.85円=21週MA +5.28%
⑥ 155.55円=21週MA +3.09%
⑦ 154.65円=21週MA +2.46%
>>>上記③(上方)と⑤(下方)が抜けると加速すると思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2025/1/10のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:テクニカル地合いは強調なるも若干の懸念が台頭
〇上図は直上の期間を1年に拡大。コメントについては既掲のものをご参照下さい
□秩序だった上昇サイクルの中で自律的な速度調整を交える可能性はあるものの、中長期的方向感は基本的に上方を維持していると考えられる
>>> 想定レンジ=今週:155.55~159.30、今後1ヶ月:153.60~162.00=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:騰勢鈍化の懸念あるも強い地合いの上昇トレンド継続
〇上図は冒頭の期間を2.5年に拡大。コメントについては既掲のものをご参照下さい
□上図はUSD高円安が急加速した2022年3月以降を表示。以降、2022年4Qと2024年3Qに急激な「USD高修正局面(≒中期下落トレンド)」を交えてはいるものの、52週(≒1年間)移動平均線(太い青線)は右肩上がりの形状を維持しており、現在も長期上昇トレンドは継続
=>>>ただ、その傾き(上昇ペース)は「次第に緩慢」になってきている点には要注意
◎しかし、テクニカルな地合いは大きく強調へ反転しており「上昇トレンド」の継続は確認できる
>>>今後6か月間の想定レンジ = 149.25~165.15⇒149.85~165.75=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:中短期の地合いも好転し、長期上昇トレンドは更に堅固に
□想定通り、大幅な陽線を形成して12月を終了し『超長期上昇トレンドの継続』を確認(ストキャスティクスにも底打ち/上昇サイン点灯中)
◇既述の中短期時間軸の地合い好転も手伝い、長期上昇トレンドは今のところ極めて堅固だと考えられる
>>> 今後1年間の想定レンジ = 149.25~168.90 ⇒149.85~167.70 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
◆米国:良好な経済指標と利下げ期待の大幅後退で金利は大きく上昇、これを嫌気し株式は大幅に反落
◆日本:米金利上昇・USD高の影響から金利上昇・株式続落
◆USD円:米長短金利が急上昇し、USD指数も2022年11月以来の高水準へ
◇米債利回り:米雇用統計が市場予想を大幅に上回った上、失業率も低下。これを受け、市場は現在『FRBは政策金利の引き下げを少なくとも6月まで行わない(見送る/待つ)との見方に傾く
> 2年債利回り:1/3 4.283% ⇒ 1/10 4.383%(2週前比 + 0.100%上昇)
>10年債利回り:1/3 4.602% ⇒ 1/10 4.763%(2週前比 + 0.161%上昇)
=>10年-2年の利回り差は「+0.380%と前週(+0.319%)比で5週連続拡大」(下図)
前半のテクニカル分析の結論は<地合いは依然強く「上昇トレンド」は維持されるものの、騰勢には若干ながら翳りが台頭>としました。
ただし、「“想定以上に堅調な経済指標”から長期主導で金利が急上昇」し、先週想定していたように「堅調な景気よりも“株式の割高感”に焦点が当たり米株市場は急落」する『波乱の本格スタート』となってしまいました。
これを主因に、USD指数は急上昇したものの「(リスク回避の動きから)USD円の上昇はかなり軽微」なものに止まっています。
久しぶりに『テクニカル VS ファンダメンタルズ』のコントラストがかなり鮮明になってきましたが、今週は筆者の都合により詳述することが出来ません。
この点は、次回以降の当欄でフォローして行きたいと考えています。
お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム(※)為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。
<(※):ジーフィット株式会社は10/1より「トレーダム株式会社/TRADOM Inc.」に社名を変更しました。>
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