トレーダム為替ソリューション 【AI為替リスク管理システム】

  • Weekly Report(12/9):売買双方の圧力が次第に拮抗し、方向感が出にくい展開
    吉岡 豪麿
    この記事の著者
    トレーダム 取締役CAO

    国内大手金融機関の外国為替取引部門で外国為替、外国証券等のディーラーとして20年、海外金融機関でアセットマネージャーとして15年以上の経験を有する為替のエキスパート。貿易企業の経営者を経て、企業年金基金の資産運用を担当。2021年1月よりCAOとして投資助言部門を担当。

    マーケット分析

    <テクニカル分析判断>   

    短・中期:テクニカルな地合いは軟化も、下落トレンドへの転換までは確認できず

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    □12/2週は「寄付149.64:148.65~151.23:終値150.00前週比+0.30円の円安)」の推移

    ◇前週比+0.30円と小幅ながらも2週ぶりの陽線を形成

    ただし、(まだ3週ながら)「上値/下値の切下がり」が観測され、テクニカルな地合いの悪化は継続

    ◆また、先週も指摘した「150.75-151.95の下値支持帯、52週MA(150.54)」は回復できておらず、「(4週前の156.75でピークアウトし)「トレンドは上昇⇒下落へ転換」との可能性が依然存続

    <⇔>

    一方、(下降中とは言え)「21週MAという重要な下値支持ライン」の水準超を終値ベースで依然維持(図中:ピンクの太い〇部分。本年2月にもこの水準で反転上昇へ)

    前半で挙げた(かつての)下値支持水準を終値で回復できれば、後述の短期時間軸に台頭した「反発の兆候」と相まって再度上昇サイクル復帰の可能性も残存

    なお、上掲チャートでの「追加ポイント」は以下

    7週以上の下落トレンドを経て底打ち/反発したパターンでは「約8週の上昇で一旦ピークアウト」するものの、数週の調整を経て「再び上昇サイクル(上昇トレンド)へ復帰」するケースが多い

    特に今年1・2月(上図➊)後の調整ではRSI/ストキャスティクスの反落は軽微に収まって次の上昇サイクルに移行。また、21週MA+7.41%ラインでピークアウトした➊’も同様の推移

    上記2点との類似性をもつ今回の➋は『21週MAという重要な下値支持準超を終値ベースで依然維持』と併せ、2週前の急落による失地を挽回してゆく可能性がある

    因みに、横ばいが続くとすれば「21週MAは2週後には底打ち/反発に転じテクニカルな上昇余地拡大に伴う上昇へと向かう可能性も高まる

    >>>なお、先週は「下落圧力継続の一方、押し目買い圧力の台頭も見られ双方が次第に拮抗した」ため、前週5.25円と急激に拡大していた週間変動幅は先週2.58円と(予想外に)一転して半減

    =>>このため、中期的な(テクニカル)メインシナリオの再構築のために有用なデータは得られなかった

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    他方、「変化は短期から」という我々の基本コンセプトに則れば「短期時間軸では、地合いの悪化は否定できないものの、反発(押し目買い圧力の台頭)の兆候」は見逃せない

    先週指摘の通り、11/15のピークアウト後の大幅下落を経て「ストキャスティクスは『(例外なく)反発必至』の水準にまで低下」

    ⇒「少なくとも、短期的自律反発はほぼ確実な状況に到った」(=先週のコメント)

    =>>実際、「反発の兆候」とした動きが上図右下でも確認できる

    以上から導き出された<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り

    想定を大幅に上回る2週前の急落により(中短期的な)テクニカルな地合いは急速に悪化」

    =>>>中期的な(テクニカル)メインシナリオの再検証が必要な状況だった

    しかし、先週は「下落圧力継続の一方、押し目買い圧力の台頭も見られ双方が次第に拮抗した」ため、予想外に週間変動幅が前週比で急縮小

    =>>このため、中期的な(テクニカル)メインシナリオの再構築のための有用なデータは得られず

    一方、11/15のピークアウト後の大幅下落を経て「ストキャスティクスは『(例外なく)反発必至』の水準にまで低下」

    ⇒「少なくとも、短期的自律反発はほぼ確実な状況に到った」(=先週のコメント)

    =>>実際、「反発の兆候」とした動きを確認

    □中短期的テクニカルな地合いの悪化は否めないものの、短期的な反発の兆候もあり「トレンドが上昇から下落へ転換した」とまでは言い切れない

    =>>売り買い双方の圧力が拮抗し方向感を見出し難い展開継続。ただし、「上下何れかの注目レベルを抜ければ、振幅は急速に拡大」することとなろう

    引き続き過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目

    ① 153.00=21週MA +3.09%

    ② 152.10=21週MA +2.46%

    ③ 151.20=21週MA +1.86%

    150.60円=21日MA +0.61%

    148.50円=21週MA

    148.05円=21週MA▲0.30%

    ⑦ 147.45円=21週MA▲0.69%

    >>>上記③(上方)⑤(下方)抜けると加速すると思われる水準

    ~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2024/12/06のNY市場終値をベースに実施) ~

    以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数

    日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等  

    短期(1週間~1か月)の方向性:上値は重いものの、一部に反発の兆候が台頭

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    上図は直上のものを再掲。コメントについても既掲のものをご参照下さい

    □先週の短期的自律反発は限定的だったものの、足許で反発の兆候あり

    =>>まずは、「52日MA(151.29@12/09)の終値での回復」なるかが注目点

    >>> 想定レンジ=今週:148.50~153.00今後1ヶ月:145.80~153.90

    週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等 

    中期(1か月~半年程度)の方向性:地合いは悪化も、下落トレンド転換は未確認

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    上図は冒頭の期間を短縮/拡大したもの。コメントは既掲をご参照下さい

    □約8週上昇後のピークアウトと「その3週後の底打ち@21週MA近辺」の類似性に注目

    =>>まずは、終値での「21週MA(148.50@12/09)超の維持」&「52週MA(同:150.75)の終値での回復」なるかが注目点

    >>>今後6か月間の想定レンジ = 147.00~162.30⇒145.80~159.45

    月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記  

    長期(半年超~1年程度)の方向性:11月も20ヶ月MA超を維持し、上昇トレンド継続

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    □20ヶ月MA(148.17)超の水準を維持して11月を終了し『超長期上昇トレンドの継続』を確認(ストキャスティクスにも底打ち/上昇サイン点灯中)

    ◇「150円割れの終値・上ヒゲの長い陰線」が懸念されるが、2022年8月(➊)との相似性を考慮すれば「12月は上昇」との可能性は存続

    >>> 今後1年間の想定レンジ = 147.00~160.80 ⇒145.80~162.30 =

    <ファンダメンタルズ分析判断>

    先週の日米金融市場の変化(下表右端)

    米国:短期金利は大幅に低下、SP500最高値更新など株式は続伸

    日本:利上げ観測に長短金利は強含み、株式は4週ぶりに反発

    ◆USD円:米金利低下に伴いUSD指数も弱含みで続落

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    米債利回り:強弱混在の経済指標・タカ派寄りのFRB高官発言にも拘らず、前週の流れを引き継ぎ金利低下材料に強く反応。金利先物市場が織り込む「12月FOMCでの0.25%利下げ確率」は約87%(前週末約54%)まで高まった。これを受け、短期主導で債券利回りは低下基調を継続。

    ただし、堅調を維持する米景気・インフレの高止まり等はほぼ意に介さぬ動きに、これまでも幾度か繰り返されてきた「過度な期待と織り込み」が懸念される。

    > 2年債利回り:11/29  4.163% ⇒ 12/6  4.098%(前週比 ▲0.065%低下)

    >10年債利回り:11/29  4.178% ⇒ 12/6  4.149%(前週比 ▲0.029%低下)

    =>10年-2年の利回り差は「+0.051%と前週(+0.015%)比で拡大」(下図)

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    前半のテクニカル分析でも言及しましたが、先週は「下落圧力継続の一方、押し目買い圧力の台頭も見られ双方が次第に拮抗した」ため、予想外に週間変動幅が前週比で急縮小しました。このため、中期的な(テクニカル)メインシナリオを再構築するための有用なデータは結果的に得られませんでした。

    <(ある程度の)確信を持てぬまま「今後の見通し」を読者の皆様にご案内する>ことは、我々の本意ではございません。従って、誠に恐縮ではございますが、今週も短期的視座での見通しをご案内した次第です。

    同時並行的に行っております「ファンダメンタルズ分析における来年を見据えた再検証」につきましても、既述の「過度な織り込み」が懸念される中、来週のFOMCでの決定を受けて最終的な検証・分析を本格的に実施する予定です。

    それでは今週も週末に頂戴したご質問に関する回答から参ります。

    因みに、先週のご質問は「NYダウが最高値を更新するなど米国株が非常に堅調な一方、日本株は軟弱な地合いを脱しきれない模様。日本株はもうダメなんでしょうか?」というものでした。

    これに対して、「現在のような『米国独り勝ち相場』が長く続く可能性は決して高くはない」というのが、現在の我々の見通しとなっています。なお、日本を含む他国とのパフォーマンスギャップが縮小して行く場合は、米国株以外の上昇率が高まる場合だけでなく(現在とは逆に)「米国が軟調に転じる一方、他国が持ち直す」パターンも交えながらの展開になるのではないかと考えています。と回答しました。

    実際、先週のグローバル株式市場では、米株市場とその他主要国とのこれまでのパフォーマンス乖離が縮小するパターンが見られました。以下、米国・日本・新興国の前週末比実績。

    米国市場NYダウ=▲0.6%下落、S&P500=+0.9%上昇 <S&P500は史上最高値を更新し3週続伸

    東京市場:日経平均=2.3%上昇、TOPIX=+1.7%上昇 <それぞれ4週ぶりの急反発

    新興国市場:MSCIエマージング=+2.6%上昇 <現地通貨建て、2週ぶりの急反発

    このように、大きく逆行したわけではありませんが「米株市場vsその他主要国とのパフォーマンス乖離は修正/縮小」の調整的動きが見られています。

    では次に先週末頂戴した分へ参りましょう。実はご質問は3つほどあったのですが、今週はそのうち我々がある程度分析を進めている「日米欧の金融政策」についてお答えします。

    2024年もあと3週余りとなり、主要国の重要経済指標発表もさることながら、残る重要イベントとして主要国の金融政策(決定会合)に市場の注目が集まります。まさに、今週から来週にかけては以下の通り主要国の金融政策発表が目白押しとなっています(時系列)。

    12/10:オーストラリア準備銀行の金融政策決定会合

    12/11:カナダ銀行の金融政策決定会合

    12/12:スイス国立銀行の金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会

    12/17-18米FOMC

    12/19日銀政策決定会合

    ご質問ではこの全てに対して見通し(見解)を求められましたが、我々が日頃からフォローしているわけではない中銀も含まれているため、今回は日・米・欧(ECB)に絞って現在の見解をご案内したいと思います(時系列)。

    12/12欧州中央銀行(ECB)の定例理事会

    ●7-9月期の域内協約賃金が前年比+5.4%と上振れるなどインフレ高止まりの懸念が残るものの、総合PMIが再び50を割り込み「景気の停滞感が強まっている」ことは明らかです

    >>>従って『3会合連続となる0.25%の利下げが決定される』と予想しています

    12/17-18:米FOMC

    ●既述の通り、金利先物市場が織り込む「12月FOMCでの0.25%利下げ確率」は約87%(前週末約54%)まで高まっており、現時点では我々もそうなる確率の方が高いとみています

    ⇒ただし、米国では来週のFOMCを前に最後の重要判断(意思決定)材料となるのが12/11発表の11月コアCPIだと考えられます

    ⇒現在の市場予想では「前月比+0.3%、前年比+3.3%と前月から横ばい」に止まると見られており、昨今のCPIコアは「下げ渋り状態が続く」見通しとなっています

    ⇒一方、上記の通り「金利先物市場での織り込み」はかなり進んでおり、パウエル議長を始め直近のFRB高官の米景気/インフレ認識とは相当のギャップが生じ始めていると感じています

    =>>>この状況で、仮に『利下げ見送り』となった場合は大きなサプライズ(波乱)となるでしょう

    既述のように、我々も今週12/11の「コアCPIが余程大きく上振れしない限り、利下げ決定は変わらない」と考えています。しかしながら、昨今の状況を考慮すれば『利下げに反対するFOMCメンバーが出てくる可能性』は少なからずあると思われます。

    =>>>『ドットチャートでFF金利見通しの上方シフトにつながる』可能性も少なからずあると予想されるため、この点には充分注意すべきだと考えます

    12/19:日銀政策決定会合

    ◎『0.25%の追加利上げ』の可能性がやや高いと考えています

    ⇒日銀の金融政策決定会合前に発表される重要経済指標としては、今週12/13発表予定の「短観12月調査」が注目されます

    ⇒主要調査項目である大企業製造業況判断DIは13(前回9月も13)、非製造業は33(同34)が現在の予想コンセンサスのようです ⇒予想通りであれば『国内景気は日銀の見通しにオントラック(想定通り)で推移していることを裏付ける内容となるわけで、日銀の早期利上げ観測をサポートすることが想定されると見ています

    かくして、今週(から来週にかけて)も<「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢>が肝要になりそうだと考えています。

    お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム(※)為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。

    <(※):ジーフィット株式会社は10/1より「トレーダム株式会社/TRADOM Inc.」に社名を変更しました。>

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