目次Executive Summary1.先週の為替相場の振り返り=ドル円、138.75円まで年初来高値を更新2.主な要人発言3.主な経済指 […]
<テクニカル分析判断>
●短・中期:適度な自律調整を交えつつ上昇余地を確保。上昇トレンドは着実に進展
□11/18週は「寄付154.32:153.27~155.88:終値154.74前週比+0.42円の円安)」の推移
◇前週比0.42円と小幅に円安が進展し、3週連続での陽線を形成
◇上値の切上りは9週連続で潰えたが下値切上りが併存する上昇(上図カプセル)は依然維持され。「堅固な上昇トレンドは継続」を示唆
◆ただし、2週前のローソク足が実体に比べて上ヒゲがかなり長い上に、21週移動平均+4.32%の水準で一旦頭を押さえられた(ピークアウトした)格好
⇒上昇トレンド継続にあっても、ここ数週は自律的速度調整(上昇圧力に若干の翳り)が折に触れて見られる
<⇔>
◇ただし、こうした自律的速度調整によって「短期的な上昇の阻害要因」は概ね解消しており、その後の上昇余地も着実に確保
◇また、上昇/下落の双方の圧力が均衡し始めた状況を反映し、先週の週間変動幅は2.61円と前週の4.14円から大きく縮小した
◇なお、上掲チャートの「強調ポイント」は以下3点
・上値の切上りは9週連続で潰えたが下値切上りが併存する上昇サイクル(上図カプセル)は依然維持され、堅固な上昇トレンド継続を示唆
・21週移動平均+4.32%の水準で一旦頭を押さえられた(ピークアウトした)格好とはなったが「RSIは、更なる上昇に向け“上昇余地を蓄積中”」
・21週MAの低下によって、2週前に52週MAとのデッドクロス(以下D.C.)を示現
⇒但し、今回のD.C.は『下落圧力の高まり』を意味せず<むしろ「その後の上昇加速」の契機となる可能性すらある>との指摘が顕現化
⇒仮に、横ばいが続いたとしても「21週MAは3週後には底打ち/反発に転じ、実績値との乖離も急速に縮小(≒テクニカルな上昇余地の拡大)に向かう可能性が高い」
◇また、既述の<ここ数週は自律的速度調整(上昇圧力に若干の翳り)が折に触れて見られる>状況は、短期時間軸(上掲チャート)でも確認できる。 以下そのポイント
◆9/16からの右肩上がりの上昇カプセルから、ここ3週ほどは強含みながらも概して横ばいとなり、上昇ペースの鈍化が鮮明になりつつある
◇2週前には21日MAと200日MAのG.C.が示現。ストキャスティクスと同時に「上昇再開サイン」が点灯(その後、RSIの70接近に伴い一旦ピークアウト)
◇しかし、上昇ペースの鈍化が明らかとなっても「終値ベースで21日MA超の水準は維持」
◇また、実績値と21日MAとの乖離がほぼ無くなったことで、RSIやストキャスティクスが低下して今後の上昇余地を拡大している
◎「21日・52日・200日の移動平均線が全て“上昇”」に転じ、全ての時間軸でMAが上昇。更に実績値は全MAより高い水準を維持し続けている。(足許での上昇ペース鈍化は否めないものの)テクニカルな地合いが強固であることに著変はない
以上から導き出された<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
■ここ数週、折に触れて見られる自律的速度調整により「短期的な上昇ペースは鈍化」
=>>>ただし、これによって「RSIやストキャスティクスでは今後の上昇余地が着実に拡大」
□上昇トレンドが継続している状況に著変はなく、上昇のペースは(適度な自律調整を交えつつも)今後徐々に加速してゆく可能性あり
□引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目
② 156.90円=21週MA +4.95%
③ 155.85円=21週MA +4.32%
>>>上昇/下落の双方の圧力が拮抗し始めた状況を考慮し「比較的落ち着いた市場変動幅が継続」と予想
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2024/11/22のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:ペースの鈍化を交えつつも上昇サイクルは漸進
〇上図は既掲を1年に延長。コメントは既掲のものをご参照下さい
■ここ数週、折に触れて見られる自律的速度調整により「短期的な上昇ペースは鈍化」
=>>>ただし、これによって「RSIやストキャスティクスでは今後の上昇余地が着実に拡大」
□上昇トレンドが継続している状況に著変はなく、上昇のペースは(適度な自律調整を交えつつも)今後徐々に加速してゆく可能性あり
>>> 想定レンジ=今週:153.15~156.90、今後1ヶ月:151.35~158.70=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:速度調整を交えつつも、上昇トレンドは着実に進展
◇上図は冒頭掲載の15ヶ月分を2.5年分に延長したもの。コメントは既掲もご参照下さい
■ここ数週、折に触れて見られる自律的速度調整により「短期的な上昇ペースは鈍化」
=>>>しかしながら、RSIでは今後の上昇加速余地が依然残存の状況
◆一方、ストキャスティクスの高位張り付きはその後の急落に直結した事例もあり要注意。ただし、その場合はRSIの70超への上昇がセットになっているため、今後のRSIの上昇ペースに留意したい
◆なお、注目していた52週MAと21週MAは11/4週にデッドクロスを示現
⇔但し、図中にもある通り週足(中期時間軸)でのデッドクロスは「底打ち⇒上昇への転換」の契機となる場合が多く「下落圧力の高まり」を意味するとは言えない
⇒図中デッドクロスの「2023/3/20週」は、<130円割れで当時の底打ち後、11月にかけて“150円台への大上昇相場”の起点>に位置しており、2週前のデッドクロスは<むしろ「その後の上昇加速」の契機となる可能性>を指摘していた
>>>今後6か月間の想定レンジ = 151.50~162.00⇒151.35~162.30=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:下落トレンドへの反転を回避。上昇再開が本格化へ
□2022年の「3カ月連続陰線後の長大陽線」と同様に「10月は長大陽線を形成 ⇒『20ヶ月MAを大幅に超過する水準を回復』」(ストキャスティクスにも底打ち/上昇サイン点灯)
=>>>(過去35年間終値ベースでは僅か3ヶ月しか上回ったことが無い)152円超の水準を維持して11月を迎えたため『超長期上昇トレンドの継続』が確認されたといえる
>>> 今後1年間の想定レンジ = 151.50~164.55 ⇒151.35~164.70 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
◆米国:短期金利は直近2ヶ月の上昇傾向維持も、株式は大幅に反発
◆日本:日銀のタカ派姿勢 ⇒金利は上昇、米株高も株式は続落
◇USD円:米短期金利に連動のUSD指数上昇に伴い、USD円も強含み
◇米債利回り:強弱混在の経済指標・「トランプ次期政権の政策」による『インフレ高進懸念』等を背景に利下げ期待(ペース)が後退する中、短期金利は上昇継続。一方、地政学的リスクの高まりもあり、長期金利は反落。
> 2年債利回り:11/15 4.308% ⇒ 11/22 4.381%(前週比 +0.073%上昇)
>10年債利回り:11/15 4.445% ⇒ 11/22 4.412%(前週比 ▲0.033%低下)
=>10年-2年の利回り差は「+0.031%と前週(+0.137%)比で大幅に縮小」(下図)
先週の米国株式市場は、前週の急反落から一転。主要株式指標はNYダウが再び最高値を更新するなど大きく反発する展開となりました。(各指数の上昇幅:NYダウ=2.0%、S&P500・ナスダック=共に1.7%)
先週の当欄では、ご質問にお答えする形で以下のように指摘しました。
●所謂「トランプトレード(①米金利上昇、②USD高、③米株高)が本格化するとの期待」がかなり先行していた反動から「③には(週初の高値更新の後)早くも材料出尽くし的な調整売り(反落)が顕現化」が見られた =>背景となっていたのは「トランプ氏の選挙公約が実現しやすい環境」をかなり先取りし、既に選挙前から「過度な期待と織り込み」が先行していたため
しかし、あれから僅か一週間しか経過していませんが「過度な期待と織り込み」の巻き戻しは早くも収束したかのような反騰が見られました。前週「トリプルレッド」が確定した上に、トランプ2.0政権における閣僚人事も次々に発表されてきたことなどが市場では好感されているのでしょうか。
さて、今週も「エヌヴィディアの四半期決算をうけた印象と今後の展望」をとの質問を受けています。 ただ、私は株式アナリストのように個別銘柄を深く掘り下げる分析を行っておりませんので、あくまでも高収益をもたらす資産運用対象である『米国株式市場』の主要銘柄としての所感をご案内します。
『AI半導体最大手のエヌヴィディアの決算』については、米国のみならず世界中が注目していたと申し上げても過言ではありませんでした。その結果は、市場予想を上回る『大幅な増収・増益』となったことは周知の通りです。しかしながら、同社株は、決算発表後の2日間通算で2.7%下落した後、週間でも小幅続落で終わりました。既述の通り、NYダウが最高値を更新するなど市場全体が堅調に推移する中での動きだっただけに、エヌヴィディア株の値動きの鈍さはかなり目立つものとなりました。
正直申し上げて『あの好決算を受けても下落…、一体どれだけ期待水準が高いのか?』とただただ呆れてしまいます。
先述の通り、私は個別銘柄としてのエヌヴィディア株を深く掘り下げて分析したことはありません。
ただし、同株を含む代表的半導体関連株30銘柄で構成される半導体SOX指数については、我々の市場分析には欠かせないものとして、日々のモニタリング対象としています。
実は半導体SOX指数についてもこのところの値動きは非常に鈍く、現在は7/10に記録した史上最高値を15%程度下回る水準で推移しています。
我々が半導体SOX指数の動向に注目している理由は「この指数がグローバル景気の先行きを見通す上で重要な手掛かりとなる」と考えているからです。半導体産業は裾野が非常に広く、製造業全体の動きを左右するといっても過言ではありません。更に、半導体産業の業況を反映する半導体SOX指数は、製造業全体の業況を表すグローバル製造業PMIとの連動性が極めて高いという傾向があるのです。
今回の四半期決算でも明らかなように、エヌヴィディア株の短期的な騰落を予想することは我々には出来ません。しかしながら、AIを中心とした半導体需要は今後折に触れて急増することこそあれ、急速に減退する未来は想像することすら困難です。そんな大局観を持ちながらではありますが、半導体SOX指数が再び騰勢を強め、どのタイミングで最高値を更新してゆくのか、世界経済の先行指標の一つとして引き続き大いに注目したいと考えています。
さて、今週も順番が前後しましたが、(先週も指摘の通り)トランプトレード「①米金利上昇、②USD高」については概ね我々の想定に沿う格好で進展しています。特に②については、指数構成の中心的な対象となる欧州通貨(EUR・GBPなど)との「ファンダメンタルな彼我の格差」が大きく拡大し始めており<今回のUSD指数上昇には欧州経済の低迷を反映したEUR安要因も加わっており、上昇に勢いあり>とした先週の動きが一段と加速しています。
② 主要通貨に対するUSD指数は①に伴ってこの2か月で順調に上昇
=>>>主要通貨に対するUSD指数の推移:
○11/11週の約1.65%上昇に続き、11/18週も週間ベースでは0.77%上昇
⇒11/22の終値107.50に上昇(9月末:100.71 >> 10月末:103.86⇒月間で+3.1% >> 11/22 107.50 ⇒ 月間で既に+3.5%)
なお、今週は本件に関連し、先週ご案内した以下の点につき質問を受けています。
<進むUSD高(円安)に対しては市場介入を懸念して円高へのトレンド転換予想もあるようですが、これまでも繰り返し主張してきた通り、我々は「日本単独の市場介入だけではトレンド転換は困難」だと考えています。(日銀の追加利上げ要因は米利下げ観測の後退によってほぼ相殺)>
<<USD円についていえば「日米の実質金利差が最大の決定要因であり、USD指数に沿ってトレンドは決まる」との認識に全く変化はありません。従って、今後も市場介入(円買い)があったとしても、USD指数が下落トレンドに変わらない限り円安トレンドの反転は望めないでしょう。
当然のことですが、USD指数が反落に転じるとすれば、上述の米金利低下がより顕現化し始めてからということになると考えています。(以上、Weekly Report:5/6分より抜粋)>>
ご質問は『これまでも繰り返し主張してきた』TRADOMのロジックが過去のどのweekly reportに記載されているのか教えて下さいというもの。以下をご参照ください。
この他にも、本件に言及しているものは多数ありますが、調べたところ比較的まとまって取り上げたのが4月から5月にかけてでした。具体的には『weekly report:(時系列に)4/1分、4/8分、4/22分、5/6分(全て後半部分にて説明)』となります。(アーカイブのリンクはこちら)
本日は、このうち『4/1分のポイントとなる該当箇所』を抜粋します。
<<< さて、高値警戒感も相応に喧伝される中、日経平均株価は本年初来3ヶ月で21%弱上昇しました。2024年3月期1年間の同上昇率が約44%ですから、1-3月期だけで年度上昇率の約47%を稼ぎ出したことになります。景気の鏡と言われる株価がこうして有卦に入っている一方で、身の回りでは「景気が良くなったという実感は極めて乏しい」との声も多く、日本の国内景気には漠然とした閉塞感が漂っています。
我々は「日本では輸入インフレを主因に実質賃金の目減りが続いており、家計が圧迫されている」ことがその根源だと分析しています。特に円安局面においては、総じて輸出物価より輸入物価の方が上昇しやすく、交易条件(=輸出物価指数÷輸入物価指数)が悪化するからです。
原油など資源価格の騰勢が和らいだ結果、2022年より縮小したとはいえ、それでも「2023年の交易損失は約11.1兆円と過去最大規模を継続」しました。この交易損失は、その分だけGDI(実質国内総所得)を下押しすることになります。このGDIに約34兆円にも上る海外で得た所得を加えるとGNI(国民総所得)となりますが、この海外所得の大半は企業がほぼその受け皿となっています。かてて加えて、日本の家計の金融資産に占める株式や投資信託の比率は僅か1割台に過ぎず、欧米に比べて極端に低水準であるため、株式などのリスク性資産の上昇に伴う(いわゆる)「資産効果」も働きにくいのです。
以上を踏まえると、株高が象徴する通り「円安は企業にとっては追い風」となりやすいのでしょうが、物価高を上回る賃上げがなければ「円安は家計にとっては強い逆風」となることは自明だと思われます。
もっとも、既述の交易損失や輸入インフレなどを考慮すれば、USD円が一段高となるにつれ、その対抗措置の一つとして為替介入の可能性は高まるでしょう。前段では意図的に触れませんでしたが、今まさに、市場では「為替介入が唯一の円高要因」として取り上げられている観すらあります。
ただし、我々の分析では「現時点での市場介入(USD売り円買い)における円安抑制効果は、ほとんど期待できない(≒非常に疑わしい)」との結論に到ります。
なぜなら、ドル高局面で実施された2022年9月の最初のUSD売り円買い介入の後、一時的にUSDは円に対して下落しましたが、ほどなくして他の通貨ペアよりもUSD円の上昇率の方が高くなったからです。さらに、主要通貨に対するUSD指数が反落局面に転じていた翌10月の介入の後も、比較的早期に他通貨ペアとUSD円の下落率に大差がみられなくなっていました。
つまり、2022年秋に行われた「USD売り円買い介入が奏功した」ように見えたのは、米FRBによる未曽有の政策金利引上げペースによって急上昇していた(対主要通貨での)USD指数がピークアウト(反落)し始めたからであり、決して交易や資本取引など実需の(USD円の)需給構造に根本的な変化が生じたからではないと考えられます。
もちろん、為替介入がなかった場合との比較は不可能であり、その効果を否定するものではありませんが、それでも本当に円安を止めることが出来るのは為替介入ではなく「円(=日本)の弱点を克服すること」だと考えます。それは、為替介入が実施された2022年当時よりも、(USD指数は下落しているのに)現在の方が円安であることからも明らかです。
ならば、具体的に円の弱点とは何でしょうか。これまでも折に触れて当レポートでも言及してきましたが、我々が考える円の弱点とは(具体的には)「大幅なマイナス圏に位置する日本の実質金利」であり、「対主要国通貨との間に存在する“大幅な実質金利差”」です。そこが変わらなければ対USDを筆頭に円売りのキャリートレードは沈静化せず「円は相当長い期間にわたって下落圧力を受け続ける」と考えられます。
それでは、我々のテクニカル分析で示唆された通り、直近1年半の間に2度天井となった152円という水準を今回は突破することができるでしょうか。結論から申し上げれば、ファンダメンタルズ面からのアプローチにおいてもその可能性は極めて高いと考えています。なぜなら、市場における米国の金融政策に対する見方が、過去2回の局面と明らかに異なるからです。
もう一度過去2回の局面を具体的に振り返りますと。。。 例えば、2022年10月の場合は、翌11月の米FOMCにおいて利上げペースの調整や減速が議論されるとの観測報道に、おりからのUSDに対する高値警戒感も加わり(既述の通り)USD高がピークアウトしてUSD円も反落しました。
昨年2023年の場合も11月のFOMC後の記者会見において、パウエル議長が「長期金利の上昇によって追加利上げの必要性が低下する可能性」に言及し、これがハト派的と市場に受け止められたことがUSD下落加速のきっかけとなりました。これに続いて、12月に発表された雇用統計や消費者物価指数(CPI)も予想を下回り、米景気の減速感が強く意識されました。更にはそこに、タカ派と目されていたウォラー理事から利下げ容認とも取れる発言がなされた結果、やはりUSDが反落したのです。
このように、いずれのケースもUSD円が152円台を目前に失速したのは、米国の金融政策に対する見方がハト派方向へとシフトしてUSD指数が下落した結果だと考えられます。
ところが、足元の状況は全く逆と言っても過言ではない状況です。本年初来の強めの経済指標により、昨年終盤にUSDを下押しした利下げ期待が大きく後退してきています。何かをきっかけに、USD高が再起動しても不思議ではない状況と言えますし、その際は、USD円も素直につれ高となる公算が大きいと思われます。
しかも、USD高による新興国経済への悪影響が危惧された2022年の秋に比べ、現在のUSD指数は当時より10%近く下落しています。従ってここから多少ドル高が進んだところで、それが直ちに国際問題へと発展する状況にもないのです。
こうして具体的に振り返ってみますと、これまで152円の手前で跳ね返されたのは、そこに市場参加者の言う「分厚い(心理的)天井」が存在しているからではなく、USDの反落に助けられた面が強いと考えざるを得ません。従って為替介入の可能性は排除できませんが、その効果はスムージングオペレーションの範疇に止まるものとみられ、決して円安を止める決定打とはならないでしょう。
今後、①日米ともに最高値を更新している主要株価指数の調整リスク、②米国を中心とする商業用不動産市況の低迷とそれに起因する中小金融機関への不安、③長引く中国の景気低迷、様々な地政学リスクなどに細心の注意を払いつつも、USD円のリスクが上方に大きく傾いているとの認識を念頭におくことが肝要だと考えています。 >>>
お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム(※)為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。
<(※):ジーフィット株式会社は10/1より「トレーダム株式会社/TRADOM Inc.」に社名を変更しました。>
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