テクニカル分析判断 先週の週間推移は「寄付135.99:130.56~137.49:引値132.81」と前週比3.90円もの大幅なUSD安/ […]
誠に恐縮ですが、来週7月22日(月曜)の当Weekly Report(文責:吉岡)は筆者都合により休載とさせて頂く予定です。次回配信日は、7月29日(月曜)の簡略版となります。
(このため、今週のWeekly Reportは「7/15~7/26の期間」を対象に作成致しました)
<テクニカル分析判断>
●短期:急速に顕現化したピークアウトの進展により、強力な下値支持線での反発の可能性も
●中期:短期での自律調整圧力の波及はほぼ確実も、強力な下値支持線での反発の可能性は残存
7/8週は「寄付160.77:157.35~161.82:終値157.86(前週比▲2.94円の大幅な円高)」となり、4/29週以来の長大陰線を形成して(少なくとも短期的には)明確なピークアウトを示唆した(上図週足参照)。
なお、週間レンジは4.47円と前週の1.62円から急激に拡大している。
●(短期的)ピークアウトの判断要因:(上図2点参照)
1)(日足では既に前週から指摘していたように)上昇トレンドの特徴の一つともいえる「上値/下値の切上り」が4週で潰えた一方、先週はその切上りトレンドラインを大幅に下抜けた
>>>日足では、週後半に下落が加速し21MA(赤い太線)を大幅に下抜けた上「非常に強力な下値支持線」である52MA(紺の太線)突破に向け一気に水準を切り下げている
2)「21MA+4.32%に絡む上値トライ」の後、前週のローソク足は“相対的に上ヒゲが長めで、上値の重さが意識される足型”(週足右上の「上値重い!」の部分)だった。これに類似する状況は「2023年10月末」にも観測され(週足中央の「上値重い!」の部分)、その後12月末にかけて2カ月弱の下落トレンドを形成した
=>=> 短期時間軸からの自律調整(下落:ピークアウト)圧力が中長期に波及/示現した可能性高まる
◎足許の下落圧力が短期的なものに止まる可能性を示唆する要因:(上図2点参照)
A)日足では、上記の通り明確なピークアウトを観測したものの、その反落の進展速度が急激すぎたため直近3ヶ月間に「52日MA(紺の太線)近辺で反発に転じた」状況(日足の➊➋紫枠部分)に急接近
>>>RSIは既に➊➋の底打ち水準に到達している上、ストキャスティクスも7/15には➊➋の底打ち水準に低下している可能性が高い(上図日足右下部分)
B)既述2)で指摘したように、仮に今回のピークアウトが「2023年11月中旬~12月末」のような中期反落展開へと発展するようなら、週足のRSIやストキャスティクスには下落余地あり(週足右下部分)。
しかし、「極めて強力な下値支持線であり、7/15には150.30程度に上昇する『52週MA』」へ到達するためには「7/15には155.05程度に上昇する『21週MA』」・「かつて長期間“強力な上値抵抗線”となっており、上抜けてからは“強力な下値支持線”に転化したはずの『151.95円』」を下抜けねばならず、極めて根強い押し目買い圧力を払拭するほどの強烈なエネルギーを要すると思われる
>>>時間の経過と共に上昇して行くMAの推移と併せ、これらを下抜くほどの下落圧力の高まりがあるかどうかに注目
=>=> 日足の52日MA、週足の21週MA、「151.95近辺の下値支持帯」を『終値で明確に下抜けるかどうか?』が極めて注目される(見極めが必要)
以上の現状分析により、今週のテクニカル分析の結論は次の通りとしたい。
●短期時間軸からの自律調整(下落:ピークアウト)圧力が中長期に波及/示現した可能性高まる
>>>少なくとも「今回の急落によって従前より上値が重くなった」ことは間違いない
○一方、短期での進展速度が急激であったがゆえに、逆に「早期反発」の可能性も台頭
>>>従前の「強力な下値支持線(≒押し目買い圧力)」がその機能を有効に維持できるか
□今週も「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、以下の水準以上が終値ベースで維持されるのかどうかに注目
日足:『157.65~90円』で推移する予定の52日移動平均線
週足:仮に上記水準を下抜けたとして、『155.05円程度』で推移する予定の21週移動平均線
>>>今週以降も上昇/下落圧力の熾烈な攻防に伴う、高めの変動率を想定
~以下ではいつものように『短期・中期・長期の方向性』について各時間軸チャートによるテクニカルな視点をご案内します。(今号の分析は既述部分を含めて2024/07/12のNY市場終値をベースに実施)~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド」、「52MA & 200MA」、RSIを付記
短期(1週間~1か月弱)の方向性:ピークアウトの急速な進展により、反発の可能性も台頭
◎上のチャートはレポート冒頭のものを期間1年に延長したもの。その他異なる点は(【A】の過熱状態を除き)「➊~➊”の上昇トレンド帯が依然として継続」を加えていること
>>>(2週前のピークアウト⇒反落は明確ではあるものの)この観点からは「昨年末からの上昇トレンドが終了し下落へ反転した」とは言い切れない
〇また、既述のように先週の反落の進展速度が急激すぎたため直近3ヶ月間に「52日MA(紺の太線)近辺で反発に転じた」状況(上図【b】【c】部分)に急接近
>>>RSIは既に【b】【c】の底打ち水準に到達している上、ストキャスティクスも7/15には【b】【c】の底打ち水準に低下している可能性が高い(上図右下部分)
>>>即ち『この水準から反発する可能性も充分ある』ことを示唆している
>>> 想定レンジ=今後2週間:155.10~159.90 、今後1ヶ月:153.15~162.15 =
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSIを付記
中期(1か月~半年程度)の方向性:短期の自律調整圧力が波及するもトレンド反転までは不透明
◆上図は過去3週ご案内したもののアップデート版。この約2年半の間に『本格的なピークアウト(その後に21MA未満の水準を3週以上継続した反落局面を伴うもの)』を付随した中期上昇トレンドは2回観測されており(上図➊・➋)、その期間と上昇幅は図中に示した通り(現在は3回目の上昇の途中)
■2週前からピークアウト顕現化の可能性が高まっていたが、先週の急落によって少なくとも短期的なピークアウトは確認された模様。ただし、上図からも判る通り、現状では『下落トレンドへ反転』のサインまでは未確認の状態(≠『上昇トレンドは継続』)
◆仮に「上昇トレンドの継続」を前提に、➊・➋との比較による「上昇余地」を挙げると以下の通り
・時間的な観点:過去2回と同程度なら『あと4週程度は残存の可能性あり』
・上昇幅の観点:“超過熱”を含む➊は困難だが『あと3円程度は残存の可能性あり』
(上記はあくまでも直近2.5年を参考にした一つの考察)
◇今後も当分の期間は毎週0.3-4円のペースでの上昇が見込まれる21週MA以上の水準を維持できるかどうかに注目が集まることとなろう
>>> 今後6か月間の想定レンジ = 153.75~165.75 ⇒ 151.80~162.75 =
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:長期上昇トレンドの加速に伴い、過熱への警戒も徐々に高まる
◇6月は再び陽線に転化し38年ぶりの高値を示現した上で60MA+30%に再接近。状況としては上図➊の過熱域に差し掛かりつつあり、そろそろ自律的調整(反落)にも要警戒のステージだったが、直後に急落。
短期時間軸で示現した「ピークアウト(⇒反落)」が長期にも波及してきた格好
◇ただし、上図➊では上昇の過熱状態にあったものの「上昇のペースを落としつつも、更に9カ月にわたり過熱状態が継続」していた例あり
>>>現在は「20ヶ月MAが今月以降に毎月約1.0円上昇する」など「上昇余地の拡大」も見込まれるが、既述の通り、上値の重い展開への移行には引き続き要警戒
>>> 今後1年間の想定レンジ = 153.90~168.00 ⇒ 148.35~162.75 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場の変化(下表右端)
◇米国:弱い経済指標で金利は低下⇒S&P500とNYダウは先週も最高値更新
◇日本:「長短金利はマチマチ」も、日経平均・TOPIX共に2週連続の最高値更新
◇USD円:弱い経済指標/米金利低下によりUSD指数下落。USD円は急落(介入も一因?)
◇米経済指標:経済指標は先週も『総じて軟調』
(下表およびインフレ統計に関する分析等につきましては、GFIT社為替アンバサダーでもある安田佐和子氏が作成された今週のweekly reportより引用させて頂いております)
― 潜在的デフレリスクをも示唆した(?)米6月CPI
米6月雇用統計で失業率が2ヵ月連続で上昇し、これまでFedが「力強い」と判断していた労働市場は明らかに冷え込み始めた。加えて、米6月CPIはスーパ―コア(住宅を除くコアサービス)が2ヵ月連続で前月比マイナスに。航空運賃や宿泊などのインフレが下向き需要低迷が顕著となる通り、米国ではディスインフレではなくデフレが進行中のリスクを高める。従って、バイデン政権がFedの利下げを望んでもおかしくはない。企業からは米国内の需要低迷を危惧し輸出競争力を高めるべく、ドル高警戒論が浮上する場合もある。インフレ圧力が後退しているならば、対円での下落を通じドル高を緩和できるのは、渡りに船だろう。
チャート:米6月CPIのスーパ―コア、前月比は2ヵ月連続でマイナス
チャート:米6月CPI、コアCPI、スーパーコア含め前年同月比で鈍化を確認
チャート:需要の低迷を表すように、航空運賃や宿泊などは下方向が続く
<以上、安田佐和子氏の「今週のweekly report」より引用させて頂きました>
こうした米国のファンダメンタルズの推移を受けて。。。
◇米債利回り:長短共に2週連続で大きく低下
> 2年債利回り:7/5 4.608% ⇒ 7/12 4.456%(前週比▲0.152%低下)
>10年債利回り:7/5 4.282% ⇒ 7/12 4.187%(前週比▲0.095%低下)
=>10年-2年の逆イールドは「▲0.269%と前週(▲0.326%)比縮小」(下図)
今週も引用させて頂いた安田佐和子氏のweekly reportの素晴らしい分析でもご案内の通り、昨今の米国経済指標は予想比軟調なものが明らかに大半を占める流れとなってきています。
当然ながら、この流れは市場に「9月以降の利下げ(年内2回)織り込みを促す」こととなり、FF金利先物市場では「9月・12月共に0.25%の利下げ実施」の確率が前週比でさらに大幅に上昇しました。
これに伴い債券利回りも長短共に大幅に低下し、これを好感する形で米国株式市場も再び上昇の加速が目立ってきています。
既述の米6月CPIが予想以上の落ち着きを示したことで、米金利先物市場が織り込むFRBの年内利下げ回数は足元で2.7回まで上昇してきています。より具体的には「週末7/12に、米金利先物市場では年内に0.25%の利下げが2回実施される確率が(前週末の73%から)94%へ急上昇」しました。
かねてより主張しているように、USD円相場が明確に反転するためには「米国の連続利下げが本格的に織り込まれ、主要通貨に対するUSD指数が下落し始める(USD安トレンドに変化する)必要」があります。その意味では、ここ数週の米国経済指標が示唆した通り『米景気の鈍化は徐々に明らかになってきており、FRBの9月利下げ開始の期待が高まっている』現状はUSD円の反転に向けたファンダメンタルズの環境が整いつつあることを明示したと言えるでしょう。
こうした流れを受けて、円安見通しが支配的だったUSD円相場にも漸く『潮目の変化』が目立ち始めたようです。既述の通り、FRBの連続利下げが本格的に織り込まれ始めたことで「ドル円相場が反転する環境は整いつつある」との声も先週末にかけて急速に増えたように感じます。
ただし「日米の短期金利差が縮小し始めるのは、実際に利下げが開始された後となる」ため、先週も言及した「キャリートレードの“本格的な巻き戻し”はまだ先のことになる」と思われます。また、この点も先週指摘しましたが、「先週末の金利先物市場で年内に0.25%の利下げが2回実施される確率が(前週末の73%から)94%へ急上昇」するなど「利下げの織込みペースが想定よりもかなり速い点はやや気掛かり」と言え、確率が既に100%に接近した状態は今後の良好な景気や根強いインフレ圧力を示す経済指標一つで(短期的な)反転に結び付きやすいとも言えるでしょう。この点は、テクニカル分析でも“反発の可能性”を指摘した通りです。
しかし、先週の展開には我々が想定していなかった「USD円の下落を加速させる要因」が加わっていました。それは、各種報道でも取り上げられている通り、先週の米CPI発表直後に行われた「為替介入とみられるUSD売り円買い」です。これは、我々だけでなく市場参加者の不意を突いた形となりました。かねてより主張してきたように「USD円相場が明確に反転するためには<米国の連続利下げが本格的に織り込まれ、主要通貨に対するUSD指数が下落し始める(USD安トレンドに変化する)必要>」があります。このため「USD指数が上昇トレンドにある際に、円買い介入をしても効果は限定的」としてきたわけですが、先週の介入は正に「利下げ期待の高まり⇒USD指数の軟化」の過程で実施されており、その他諸々の要因が無かったとしても、かなり効果的な介入だったのではないかと推測しています。
(タイミングとしては、米景気の悪化懸念から金利・USD指数が急低下した2022年10月中旬~11月の介入と類似しているといえます)
ともあれ、先週の変動率の急上昇によって「先行き不透明感」はかなり強まったと思われます。ボラティリティの上昇を嫌うキャリートレードは、当然ながら「更なるポジションの積み上げに慎重になる」ことはほぼ確実です(⇔いかに潤沢な日米短期金利差があるとしても)。先週の介入前のデータでは「投機筋の円売りポジションが過去最高に匹敵するほどに積み上がっていた」ようですが、こうした点を考慮すれば『円安が進行する余地が徐々に限定的になってきた』と言えるかもしれません。
こうした状況変化を確認するという意味では、今週も以下の通りグローバルに注目される経済指標発表を含むイベントが控えていますので、それらに対する注視と、冷静かつ精緻な分析が必要なことは昨今繰り返しお伝えしている通りです(太字は特に注目のイベント)。
>>>「7/15:米共和党全国大会、7月 NY連銀製造業景気指数」
>>>「7/16:米6月 小売売上高」
>>>「7/17:米6月住宅着工件数、米6月鉱工業生産、米7月地区連銀経済報告、米6月設備稼働率」
>>>「7/18:ECB理事会、7月フィラデルフィア連銀景況指数、米6月景気先行指数」
なお『テクニカルにはピークアウトの可能性をほぼ織り込んだ上で、一気に“下落トレンドへの反転”までは見通せない(≒短期的な反発もありうる)』が我々のメインシナリオに変化し、漸くファンダメンタルズ分析とのミスマッチが(完全ではないものの)解消しつつあるといえます。
ただし、こうした状況に油断せず(テクニカル/ファンダメンタルズの両面において)「過度に予断を持つことなく、冷静な分析を心掛けること」がこれからもますます重要だと考えています。
お知らせ:今週の当レポートでも一部引用させて頂きましたが、米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、ジーフィット為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。
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