トレーダム為替ソリューション 【AI為替リスク管理システム】

  • Weekly Report(12/25):想定通りの調整的反発が出来も「下落トレンド本格化」の進展は揺るがず
    吉岡 豪麿
    この記事の著者
    トレーダム 取締役CAO

    国内大手金融機関の外国為替取引部門で外国為替、外国証券等のディーラーとして20年、海外金融機関でアセットマネージャーとして15年以上の経験を有する為替のエキスパート。貿易企業の経営者を経て、企業年金基金の資産運用を担当。2021年1月よりCAOとして投資助言部門を担当。

    マーケット分析

    <テクニカル分析判断>   

    ●短期:調整的反発を経て短期的過熱感は緩和。下落トレンド本格化進展へ環境整う

    ●中期:『中長期的Wトップ』の確認を経て「中長期下落トレンド」は本格化進展中

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    先週は「寄付142.11:141.85~144.95:終値142.47(前週比+0.36円の円安)となり、

    週足(上掲及び➋をご参照)では、小幅ではあったものの 実に6週ぶりの陽線を形成した

    先週は「5週連続陰線となるのは『極めて稀な事象』」と過去の具体的な事例をご案内した上で<過去20年ではいずれも「6週目には小幅ながらも陽線が出来」。このため、ここ数週の速過ぎた下落速度を調整する意味で「今週は(小幅になるかもしれないが)反発し、一旦下落の勢いが緩和される」可能性がある>としていた。実際、先週の展開はこの想定に沿う格好での推移となり、11月半ばのピークアウトから急速に進んだ下落は「一旦その勢いを緩和」させたと言えよう。

    ただし、もう一度上掲チャートをご覧頂きたい。チャートには、この1年半に出来した「下落局面」を(右下がりの)カプセルで表示しているが、黒と金色のカプセルは値幅も

    期間も大きく異なっていることが見て取れる(我々は「黒は『短期調整局面』、金色は『中期下落局面』」と認識)。ご覧頂ければお解かりの通り、今次下落局面が本格的なものであり、少なくとも「短期的な調整局面ではない」ことを示唆していると考えられる。ほぼひと月前に『21週MAは強力な上値抵抗線に転化する』と指摘して以降、「中期下落トレンドがいよいよ本格化し始めた」との認識は着実に顕現化している。

    また、後述する通り短・中・長の全ての時間軸において『下降トレンドへの転換』は明確に示唆されている上に、トレンドが転換してからの経過時間の短さを考慮すれば、今回の「中長期下落トレンド」はまだまだ継続することとなろう。

    なお、6週前から順に2.72円⇒2.85円⇒3.02円と再び拡大基調へと転じていた週間レンジは、3週前に5.90円(週間では本年最大)と爆発的に拡大後も2週前に5.64円と超高水準を

    維持していたが、さすがに調整局面を迎えた先週は3.10円と縮小。それでも1週間としては大きめの変動幅といえ、「来年にかけても比較的高めの市場変動率の継続」を想定したい。

    以下では『短期・中期・長期の方向性』について各時間軸チャートによるテクニカルな

    視点を中心にご案内。(今号の分析は2023/12/22NY市場終値をベースに実施)

    <以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>

    ➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド」、「52MA & 200MA」、RSIを付記

    短期(1週間~1か月弱)の方向性調整的反発⇒過熱感の緩和あり。下落トレンドは

    本格化へ

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    ◆我々は「上昇トレンドの終息・下落トレンドへの転換」は確認されたものと認識

    ⇒21MAと52MAのデッドクロス完成に加え、本年3月下旬からの上昇トレンドラインを

    3週前に明確に下回った(21MA・52MAと同様に上値抵抗線へ転化:図右上部のグレーの〇部分)

    <本年1/16(127.22)から11/13(151.92)までの上昇相場は5波動で形成・終了>と捉え、3週前に「[200MA]が持つ意味合い(長期的かつ強力な上値抵抗/下値支持線として

    機能)」と先行き1カ月程度「少なくとも200MAに向け下落」する可能性を指摘。これを12/14には終値で下回った後、一旦反発を見るも12/21以降は[200MA]より低位の水準で推移している(薄いグレーの〇部分)

    前週までは「下落ペースは急過ぎると捉えられる上に、RSIやストキャスティクスの状況(水準)

    からも反発の可能性は充分ある」としたが、先週調整的反発が示現したことで再び下落

    圧力が強まる可能性が増幅してきた(RSIやストキャスティクスにも下落余地が再台頭)

    当面の新たな下値メドとしては、本年1月~3月にかけての緩やかな上昇トレンドライン(138円台半ば)や、急速に下落し今週145円を下回ってくる[21MA]を受けた

    [21MA-4.32%](138.75~137.25程度)などがあげられる

    =>今後は速度を緩めつつも(開始からの経過時間が短い)中長期下落トレンドの更なる

    進展を想定

    >>>想定レンジ=12/25~1/5:137.25~144.15 、今後1ヶ月:136.35~147.00 =

    ➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSIを付記

    中期(1か月~半年程度)の方向性調整を交えつつも中長期下落トレンドの本格化は

    揺るがず

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    チャートからは『2022/10/17週と2023/11/13週で長期的Wトップ形成』が明確に窺え『(中期的)下落トレンドは既に開始していた』ことが確認できる

    >>>➊と同様に注目すべきは『①1/16週から11/13週までの上昇相場は[5波動で

    形成]』・『②[週足21MA]が[日足200MA]と同様に重要な役割を担っているという点

    ①エリオット波動理論に則れば、既述の長期的Wトップ形成により上昇相場は既に終息

    =>『1/16(127.22)~11/13(151.92):上昇幅24.70円』と捉えた下値メド設定が妥当

    =>『 31.8%下落:142.48(達成)、 50%下落:139.57、 61.8%下落:136.65 』など

    ②最初の調整局面では[21MAが上値を抑え]、次では[21MAが下値をしっかりと支持]

    ②3週前から、21MAより低位での推移となり『21MAは強力な上値抵抗線に転化』した

    >>>短期とは異なり現在41.4程度の中立的水準を維持する『RSIには依然低下余地が

    残存』

    ただし、本格的下落トレンドの象徴ともいえる「上値/下値の切下がり」を伴う5週連続の陰線を形成したが故に6週目となる先週には過去数週の速過ぎた下落速度を調整する意味で「一旦反発して陽線を挟む」可能性があり、実際それが示現

    >>>2週前に安値となった水準は「[21MA-4.32%]・[52MA]・[本年1月からの上昇トレンドライン]」など重要な下値支持線が集中(図中の紫の〇部分)していたため下落の勢いが限定的となったもの

    ⇔しかしながら、

    1)先週の小幅な陽線は、上ヒゲが非常に長く「上昇抑止力(戻り売り圧力)の強さ」を

    示唆

    2)6週目に下落が小休止した過去の事例においてもその後はいずれもが再び下落

    トレンドに回帰

    3)2022/10/21(151.95)>>>2023/1/16(127.22)の中期下落局面と比較しても「RSIや

    ストキャスティクスには更なる低下余地が残存」していると考えられる

    =>トレンド転換後の経過時間(の短さ)を考慮すれば、今後は速度を緩めながらも中長期下落トレンドの本格化が進展する基調に著変はないと判断

    >>> 今後6か月間の想定レンジ 135.30~147.00 ⇒ 134.55~147.00 =

    ➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記

    長期(半年超~1年程度)の方向性超長期上昇トレンドは現下落トレンドの終了後に再開か

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    ◎今回も期間を過去5年半程度に通常よりも短縮し、重要なポイントを拡大表示。

    過去1年超のWトップ形成やRSI・ストキャスティクスの水準、強調点などを拡大して表示

    想定通り11月は本年3月以来の大幅な陰線を形成し、既述のWトップ形成を確認。

    現状では今月も下落基調にあり、このまま陰線となれば『2022年11月~2023年1月』

    を除き、2021年1月以降で初めての2カ月連続陰線(下落)を形成することとなる

    >>>これまでも主張してきた通り、我々は「(数年単位の)超長期上昇トレンドが本格化する前に『中長期的下落トレンドに入る』可能性が高い」をメインシナリオとして維持

    繰り返しとなるが、その根拠は主に以下の3点(チャートは2018年7月からの推移)

    <=2022年10月は「20MA+18%と60MA+30%を同時に上回る」という過去35年以上経験したことのない「異常な(上昇の)過熱状態」にあった(金色の太枠部分)

    <=一時85超まで過熱したRSIは70.1まで再上昇したが直近57.8近辺まで低下中

    =>超異常状態からの反落だけに20MA突破から60MAに向けた軟化/下落を見込む

    ◆2週前につけた安値(140.94円@12/14)と20ヶ月MA(139.86円@12/22)との乖離幅は1.08円にまで縮小。これは2021年5月以来の最小値であり、約3年ぶりの[20MA]割れの

    現実味が俄かに増幅しており、実現すれば「中長期下落トレンド(加速)本格化の確認」となる

    <現在139.86近辺の[20MA]は仮にUSD円がこのまま横ばいでも来月も約0.7円上昇の予定>

    =>今後2カ月の間に[20MA]を一気に突破する可能性も急速に高まりつつある

    =>RSI・ストキャスティクスは共に充分な低下余地を残存している(チャート下段右の黒の太枠部分)

    ただ、その動きも2024年中のどこかで底打ちし(超長期トレンドである)「USD高円安」方向へと反転上昇してゆく可能性が高いのではないかと想定している

    >>> 今後1年間の想定レンジ = 132.60~151.50 ⇒ 132.60~150.00 =

    <ファンダメンタルズ分析判断>

    市場の事前予想に対して強弱混在(マチマチ)となるものが多く、前週に続いて先週の米国経済指標は全体的に足許から今後にかけての景気の方向性を示唆するには到らなかった印象が強かった。しかし、個人消費支出(PCE)価格指数など週末の注目経済指標に予想比

    下振れするものが多かったこともあり、米債券利回りは週間では低下している。

    ■米10年債利回りは週間で0.02%の僅かな低下となったが、前週と同様に12/20には一時3.8%台半ばをつけるなど「FRBの早期(来年3月)利下げ開始かつ年間1%超の大幅利下げ」に対する期待は依然として根強いことを印象付けた

    ◆こうした期待の背景にあるのは、先週も言及した「12/12-13開催のFOMC」。その声明文・(四半期に一度公表される)経済・金利見通し(=2024年末までに計3回の利下げを

    示唆)・パウエルFRB議長の会見での発言と、全てがそろって『ハト派的色彩』を鮮明にしたこと

    特に、12/1には「利下げの協議は時期尚早」と発言した「慎重なタカ派」だったはずの

    パウエル議長が、一転して「次の一手は利下げ」とのメッセージを送ったことが主因だった

    ◇しかし、「現在の市場の利下げ織り込みは、我々の想定よりもかなり早くかつ大幅すぎて困惑している」(シカゴ連銀総裁)など、先週は一転して利下げを織り込む市場に対する牽制発言が複数のFRB高官から発出されていた。これを素直に受け止めれば、「FRBの政策変更ヴィジョンは一枚岩ではない」と考えそうなものだが、「リスク選好度合い」を

    高め続ける株式市場の反応は全く違っていた

    ◆先週もNYダウが史上最高値を更新したことなどに伴い、米S&P500は高値更新まであと28ポイント(0.6%)に迫った。上記の複数のFOMC高官から「過大な利下げ期待を牽制する発言」が相次ぎ、米債利回りがやや上昇したにもかかわらず「株式相場へのインパクトを限定的にし、逆に米国株上昇に弾みをつけた」のは、これも既述のパウエル議長の

    “利下げ議論開始”発言であったことは疑いようがない。やはり「議長発言の(相対的な)

    重要度」と市場の「インフレの減速⇒早期利下げ期待」の高まりに抗うことはできないということだろうか。

    ◆【短期~中期的視座】「USD/円相場の上昇」に対するサポート要因(⇒足許でほぼ終息)

    当初想定よりはるかに強い米国の「インフレ高止まり」観測(⇒この観測もほぼ消滅)

    ⇒「Higher & Longer」=米金利がより長期間かつ高水準にとどまるという観測

    >>『タカ派なFRB VSハト派な日銀の明白なコントラスト』の再強調

    ⇔ 秋口から「欧米のタカ派色希薄化の一方、日銀はハト派色後退」が漸進してきた

    >>前週の日銀関連のニュースとここひと月ほどの金融市場の展開がそれを強調

    依然として高水準を維持する「日米実質金利差ならびに日米短期金利差」の更なる?

    拡大観測とそれに伴う円キャリートレード復活/活発化に対する期待

    ⇔「欧米の利上げ打ち止め」並びに「日銀の金融政策正常化への漸進」というかつての

    「逆行する(金融政策の)方向性」の反転が視野に入り、このロジックもそろそろ終息

    >>但し、長期的には折に触れて注目される要因(特に、市場の変動率が低い場合は)

    ■【中期~長期的視座】先行きの「USD/円相場の下落」を示唆する要因

    米銀行セクター不安から顕現化した“信用逼迫”への懸念は燻り続ける公算大

    >>>過去1年半超にわたる利上げの累積効果による景気鈍化は今後本格化

    >>>2023年通年での米企業倒産件数はリーマンショック後で最高に達する可能性の高まり

    コロナ禍の期間中に発生した家計の過剰貯蓄(銀行預金)が現在急減している事象

    >>>個人の消費性向が高いとされる米国でも、足元における大幅な預金減少は極めて稀

    ⇒現在のペースで取り崩されていけば、近々にも底をつき、家計の消費ペースはその後大幅にスローダウンする可能性が高い(=その急減・枯渇は来年に向けた一大リスク要因)

    ●米債券市場において『逆イールド』が示唆する景気後退リスクは依然として払拭されず

    >>>米債券市場での将来の景気後退を示唆する『逆イールド』は依然として残存

    >>>『逆イールド』幅は今年3月の最大値(▲1.08%)を7月に僅かに更新(=▲1.09%)

    >>>その後、一旦縮小のトレンドに入ったと思われたが、拡大と縮小を交互

       に繰り返す展開が続き、解消に向かう明確な気配は未確認だった

    ⇒既述の「Higher & Longer」認識の浸透に伴い、9月下旬以降縮小が加速

    ⇒3月には「年後半には利下げ」観測から『2年急低下⇔10年緩やかな低下』の

    解消経路(パス)だったが、9月下旬以降は『2年横ばい⇔10年急上昇』のパスが機能

    ⇒この長短金利の跛行的な動きが加速したことによって逆イールドは急速に縮小し、

    10月第4週にはその幅を▲0.27%と3月下旬の縮小時(▲0.39%)を更新した

    ⇒ただし、11月以降は「10年債利回りの急低下(⇔2年債利回りの高止まり)」から

    「逆イールドは再度拡大傾向」へ状況が悪化する局面も見られた

    ⇒足許は我々の想定に近い形で米国のファンダメンタルズが進展し始めており、昨今の

    国際情勢の悪化も加わり米景気後退が視野に入るため、再び今年3月のパスに回帰する

    というルートが復活する可能性も高まりつつある

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    ●【日本】現在の『異次元の金融緩和』に追加的(=深堀りの)余地は皆無

    >>>今後の日本の金利の変化としては「長期的に上昇」の可能性が非常に高い

      (生保など機関投資家が長期投資対象として充分魅力的な水準に上昇するまで)

    >>>欧米の利上げは既に終了 ⇒ 自ずと内外金利差は縮小へ向かう (円の買戻しへ)

    □【数年単位の超長期的視座】超長期的に「USD/円相場の上昇」をサポートする要因

    ①日本の貿易(国際)収支構造の反転(≒貿易赤字の常態化)

    >>>TRADOM内コンテンツ「為替の歴史」&「月足チャート」もご参照ください

    ②2005~2007年当時の円キャリートレードが復活する可能性(環境)の高まり

    >>>潤沢で安定した内外金利差(日銀の「金融政策正常化」VS「米国の金融緩和」が

    今後仮に進んだとしても日本の潜在成長率の低さを考慮すれば政策金利差は必ず存続)

    >>>今後増加が見込まれる対外直接投資や「個人や機関投資家による海外証券投資」

    ⇒「(超)低成長・低金利環境にある日本」から「圧倒的な比較優位を持つ海外」へと

    本邦の企業や(個人・機関)投資家の資金がシフトするのは自明の理(≒必定)

    ←特に今後国策として『“貯蓄”から“投資”へ』を本格化させるのならなおのこと

    上記①・②から明らかになるのは「本邦の『外貨不足』という需給動向」

    さて、企業年金基金の運用執行理事という視点で現在のグローバル金融市場を見た時に我々のロジックでは腑に落ちない点が幾つかあります。<ファンダメンタルズ分析判断>前半でもすこし触れましたが、

    まずは、「株式市場が市場最高値を視野に入れるほどの『リスク選好』機運の盛り上がりにもかかわらず、USD円相場が上昇しない」のはなぜか

    >>「USDと米債利回りとの相関が高まっている」ことは確かですが、実は先週日米欧

    3極で最も金利が低下したのは日本でした。これは2週前の「年末から来年にかけて金融

    政策は一段とチャレンジングになる」との植田日銀総裁の発言を契機に、日銀金融政策

    決定会合におけるマイナス金利解除期待が急速に高まったためでしたが、先週にはそれをほぼ打ち消すような超ハト派発言が植田総裁から相次いで発出されたことに他なりません。この結果、先週は日米10年債利回りの差は拡大しています。つい先月半ばまで『日米金利差に着目したUSD買い』を進めてきたロジックは雲散霧消してしまった格好です。

    >>かねてより『日米金融政策の方向性(の相違は秋から)は逆転』と指摘してきましたが、先週の現象はそれが次第に顕現化しつつあるということだと考えます。

    >>すなわち、株式市場が好感・期待している『米金利の低下』は「インフレの減速・

    鈍化」によってのみもたらされているものではなく、既述の逆イールド現象などが示唆する「将来の米景気後退」をも織込むかたちで出来している可能性があるということ。

    <⇔>もちろん、これは今も株式市場を席巻する「ソフトランディング(後退は免れるほど景気は底堅い)期待」とは相容れないものですが、我々の分析ではその可能性が高いのではないかと見ています。

    次に挙げたいのは「FRBの政策変更に関するフォワードガイダンスの不確実性」です。

    >>ちょうど5年前にもこんな事象がありました。2018年12月のFOMCでパウエル議長は“バランスシートの正常化は自動操縦(automatic pilot)”とコメントし、当時金融市場が期待していた資産圧縮ペースを見直す可能性を否定しました。

    ⇒これを受けて米国株は急落し、クリスマスイブに向けて直近高値から約2割も急落するという本格的な調整に繋がりました。ところが、翌2019年1月4日の講演では“必要に応じてバランスシートの縮小方針を見直す可能性がある”旨の発言をし、ひと月も経たないうちに真逆の方針を表明しました。

    >>これを受けて株価は急反発に転じ、S&P500指数は1月月間で5.6%もの大幅上昇となったのです。

    >>(当レポートでも何度かご紹介してきましたが)このように、以前から「パウエル

    議長の市場とのコミュニケーション」を疑問視すべき事例は結構あります。

    >>そこで、「今回は上記の事例とは真逆の市場リアクションになりはしないか」と気になっているのが「パウエル議長が“利下げ議論は時期尚早”などと、前言を覆すような

    コメントをしないか」ということ。

    ⇒ただし、現時点では「1月31日のFOMCまでパウエル議長が発言する機会は予定されていない」ようですが、今後、新たに予定が入らないかには相応の注意が必要だと考えています。

    数週前にご案内した通り、私が運用執行理事を務める企業年金基金の資産は先週12月20日までで、今年度の運用収益を全て確定させましたが、やはり年金運用に携わるものとして、既述の疑念は杞憂に終わることを心より祈ります。

    今年1年、拙いレポートをご笑覧いただき誠にありがとうございました。

    『年金資産運用担当者の視点で他では読めないレポートを❢』という読者の方々からの

    ご希望に沿えたかどうか分かりませんが、特にここ半年ぐらいはこのポイントを意識して作成してきたつもりです。

    来年もジーフィット社をご愛顧のほど何卒宜しくお願い申し上げます。   

    良いお年をお迎えください。

    なお、当Weekly Report(文責:吉岡)の掲載に関しましてご案内申し上げます。

    来週1月1日(月曜)は筆者都合により休載とさせて頂く予定です。

    次回配信日は、1月8日(月曜:祝日)となりますので何卒よろしくお願い申し上げます。

    お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに

    短期を中心とした見通しについては、GFIT為替アンバサダーでもある安田佐和子氏の

    レポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。 

    TRADOMサイト内で、是非ご参照下さい

    ようこそ、トレーダムコミュニティへ!