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  • Weekly Report(8/19):当面の「底打ち⇒戻り高値」を一旦確認。中期下落トレンドの存続を見極めへ
    吉岡 豪麿
    この記事の著者
    ジーフィット 取締役CAO

    国内大手金融機関の外国為替取引部門で外国為替、外国証券等のディーラーとして20年、海外金融機関でアセットマネージャーとして15年以上の経験を有する為替のエキスパート。貿易企業の経営者を経て、企業年金基金の資産運用を担当。2021年1月よりCAOとして投資助言部門を担当。

    マーケット分析

    <テクニカル分析判断>   

    ●短・中期:当面の「底打ち⇒戻り高値」を共に一旦確認。中短期下落サイクルの存続を見極めへ

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    8/12週は「寄付146.70146.07~149.40:終値147.60(前週比+1.05円円安)の展開となり、2週連続の陽線を記録した。ただし、先週のローソク足は長めの上ヒゲを蓄えていた上に、注目していた<148.20(=21週MA▲4.32%)>を終値で上回ることができず「底打ち/反発ステージの一旦収束」(≒中短期下落トレンドの存続)も示唆されている。

    なお、2週前から8.79円⇒6.21円と超高水準ながらも縮小傾向を辿っていた週間レンジは(想定通り)先週3.33円と一段と縮小ただし、依然として比較的高めの水準は維持している。

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    前号までの直近2週は、異例とも言える「下落の過熱」とそれを主因とした「自律反発」に焦点を当てて予測を組み立てていた。ただし、主として以下の要因によりその反発にも収束感が出て来た

    ●冒頭の週足チャートより(現在➎は➊に類似の中期下落サイクル内にあるとの前提)

    =>>>相対的に長い上ヒゲを持つ先週の足型(図中緑の〇)は「上昇圧力の疲弊」を示唆

    =>>>➊との相対比較において下落(≒上昇ではない)サイクルの持続期間に未充足感あり

    =>>>RSIやストキャスティクスの反発に力強さを欠く

    ●直上の日足チャートより(過去2週は異常な「下落の過熱」からの反発局面だったとの前提)

    =>>>丸坊主(始値/終値がほぼ高値/安値)に近い大陰線となった週末の足型は「上昇圧力の疲弊」を示唆

    =>>>52MA・200MAとのデッドクロスで強力な下落圧力の存続を示唆する21MAは今後も急低下を続け、今週から150円を割れて現在値に急接近してくる

    =>>>ストキャスティクスがかなり高水準まで戻したのに反し、RSIは超売られ過ぎ水準から反発はしたものの「かつての支持線であった44.0の水準で反落」の憂き目に遭遇

    >>>現在は「依然として中期的な下落サイクルの中にある」ことを示唆

    <今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り

    ●上記の通り、7/3~8/5の急落は「中期時間軸において、下値模索中心で上値の重い“下落トレンド”への移行を顕現化させた」ことを改めて示唆

    また、下落進展速度が急激過ぎたことに対する自律的な「急反発」は一旦収束の可能性高まる

    前週も指摘した通り「7/29~8/5の暴落のダメージ払拭には相応の時間を要する」と考えられ、現在は「中期的な下落サイクルの中にある」

    ⇒依然として、この「中期的下落サイクル存続の可能性」を改めて見極めるべきステージが続く

    ただし、引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、以下の水準以上を終値で突破できるか 及び 維持できるかどうかに注目しています。

    <週足:21週MAから ① ▲4.32%の水準=148.02円、②▲7.41%の水準=143.20円

    >>> 7/30-8/5の反動から、先週に続き今週も「市場変動率は徐々に落ち着きを取り戻す」と想定

    ~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は既述部分を含めて2024/08/16のNY市場終値をベースに実施) ~

    以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数

    ➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等  

    短期(1週間~1か月)の方向性:「底打ち⇒戻り高値」を共に確認。下落トレンドの存続を見極め

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    上は過去1年間の日足チャート。7/3~8/5(特に7/30~8/5)の下落の“異例”ぶりを確認

    1)7/3-8/5の5週弱で20.25円の急落(うち7/30-8/5だけで13.53円の暴落)

    2) 7/30-8/5には、終値ベースでは極めて稀な「21週MA▲4.32%未満」を記録。異常とも言える“下落の過熱(=売られ過ぎ)”が際立つ状況を観測

    3)「8/5にはRSIが終値で15.0を割れる」などオシレータ系指標には更なる下落余地が枯渇

    □この状況下、底打ち/自律的急反発が直近2週にわたり見られるも、既述の通り「自律反発にも収束感が台頭」。当面の「底打ち⇒戻り高値」を共に一旦確認。今後は下落サイクルの圧力の強さとその存続度合いを見極めるステージへ

    >>> 想定レンジ=今週:144.45~149.55 、今後1ヶ月:142.80~150.60 =

    ➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等 

    中期(1か月~半年程度)の方向性:「底打ち⇒戻り高値」を共に確認。下落トレンドの存続を見極めへ

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    上図は冒頭チャートの再掲

    ◆7/30~8/5に13.53円もの暴落を経たこと・52週MAを大きく下回ったことにより、水準的には➊に匹敵する下落を示現。冒頭の“異例の売られ過ぎ”から「当面の底打ち」は確認されたものの、勢いは続かず。また、注目していた<148.20(=21週MA▲4.32%)>を終値で上回ることができなかったため「底打ち/反発ステージの一旦収束」(≒中短期下落トレンドの存続)が改めて示唆された

    ■また、「7/30~8/5:13.53円もの暴落」が市場に与えたダメージは甚大であり簡単には収束しない可能性は依然残る。現在はようやく6週を経過したばかりであり、ダメージの払拭までには相応の時間が必要

    ■また、反発が加速し首尾よく52週MAを突破できたとしても、➋に見られるように21週MAが上値抵抗線として機能する可能性もある。相場が依然として中期下落トレンドにあるとすれば「上値の重い」展開を何度か経なければ「上昇トレンドへの回帰」は覚束ない模様

    ◎<週足:21週MAから ① ▲4.32%の水準=148.02円近辺、②▲7.41%の水準=143.20円近辺

    ⇒「①の水準を終値で突破できるか」及び「②以上の水準を終値で維持できるか」に注目

    >>> 今後6か月間の想定レンジ = 139.65~155.10 ⇒ 139.65~153.60 =

    ➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記  

    長期(半年超~1年程度)の方向性:中短期の下落圧力が波及しトレンドは一旦下落へ反転の可能性

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    ■38年ぶりの高値を示現した上で60MA+30%に再接近した反動が露わとなり、7月は6月の陽線を包み込むような長大陰線となった

    ⇒中短期時間軸で示現した「ピークアウト(⇒反落)」が長期にも波及した格好であり、8/5には20ヶ月MA(145.90円)を一時下抜け( ⇔ 8/7には146円超を回復 )

    ◇とりあえず8月は上値の重い展開に引き続き警戒しつつ、(上記の)145.90円以上の水準を終値ベースで維持できるかどうかに注目している

    >>> 今後1年間の想定レンジ = 139.65~160.50 ⇒ 139.65~160.50 =

    <ファンダメンタルズ分析判断>

    □先週の日米金融市場の変化(下表右端)

    ◇米国:米景気後退懸念は緩和も利下げ期待は根強く「金利は僅かに低下」⇒株式は続伸

    ◇日本:予想比堅調だった経済指標/円続落⇒金利は前週比反発も、株式は大幅な回復を継続

    ◇USD円:米景気後退懸念が緩和も利下げ期待は根強く、USD円は大幅反発後に再度弱含む

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    ◇米債利回り:米景気後退懸念は緩和も利下げ期待は根強く、長短共に僅かに低下

    > 2年債利回り:8/9  4.057% ⇒ 8/16  4.054%(前週比▲0.003%低下

    >10年債利回り:8/9  3.940% ⇒ 8/16  3.883%(前週比▲0.057%低下

    =>10年-2年の逆イールドは「▲0.171%と前週(▲0.117%)比小幅に拡大(下図)

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    <<<日本株の下げ幅は我々の想定を大幅に超えていましたが、『暴落=極端な下落の過熱 ⇒底打ち ⇒反発』と展開としては概ね想定通りとなりました。そして、今週はまだ<上記の「一定の反発(戻り)」を模索するステージにある>と考えています。

    この想定は、大半が前半のテクニカル分析から導かれています。

    一方、ファンダメンタルズに目を向けると、ここ数か月指摘しているように「(経済指標や主要イベントの)データ次第」で景気や金融市場動向に対する認識や想定が変化してくるため『過度に予断を持つことなく、冷静な分析を心掛けることが肝要』だとの考え方に変化はありません。>>>

    以上が「先週のweekly reportの結論」でしたが、展開としては概ねその予測に沿ったものとなりました。ただ「一定の反発(戻り)」を模索するステージは想定より早期に顕現化した観があります。

    これは、前半のテクニカル分析で指摘したように、<<7/3~8/5の急落は「中期時間軸において、下値模索中心で上値の重い“下落トレンド”への移行を顕現化させた」ことを改めて示唆

    ■とりわけ「7/29~8/5の暴落のダメージ払拭には相応の時間を要する」と考えられ、現在は依然として「中期的な下落トレンドの中にある」>>からだと思われます。したがって、今週は明確な方向性は見出しづらいものの「中期的な下落サイクルの中における『下落圧力の強さ』を見極めるステージとなる可能性がやや優勢ではないか」と見ています。

    やはり、ここ数か月指摘してきたように(テクニカル/ファンダメンタルズの両面において)「過度に予断を持つことなく、冷静な分析を心掛けること」が今後もますます重要であることを改めて認識させられたような気がしています。

    その点では、今週は以下の通り日米共に重要経済指標の発表は希薄な一方で、注目すべき金融市場関連イベントが幾つか予定されています。これらは引き続き「要刮目」だと考えています。

    8/19:日)6月機械受注

    8/21:日)7月貿易統計

    米)雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の年次基準改定の暫定値

      :米)FOMC議事要旨の公表 (7/30-31開催分)

    8/22:欧米)8月S&Pグローバル総合、製造業、非製造業PMI速報値

    :米)7月中古住宅販売件数

      :米)「ジャクソンホール会議」(~8/24)
    8/23:日)7月消費者物価指数(CPI)

    日)植田日銀総裁「国会閉会中審査に出席」

    :米)7月新築住宅販売件数

      :米)パウエルFRB議長講演(@ジャクソンホール会議) 

    今週も読者の方から「<パウエルFRB議長の講演@ジャクソンホール会議>の注目点と株式市場の展開」についてご質問を頂戴しておりますので、これにお答えする形式で以下にまとめます。

    先ずはザックリと先週の日米株式市場をおさらいしておきましょう。東京市場はTOPIXが前週末比+7.9%・日経平均株価は+8.7%と5週ぶりに大幅反発し、7月高値から8/5安値までの下落幅の半値戻し超の水準を回復しました。一方米国でも、先週はNYダウが4日続伸、S&P500とナスダック総合は7日続伸となり、この大幅高によって7月末以降の下落を概ね解消しています。なお、週間でNYダウは2.9%高と約9カ月ぶりの上昇率となりました。また、S&P500は同3.9%高、ナスダック総合も同5.3%高となっていて、ともに2023年10月下旬以来で最大の週間上昇率を記録しています(USDベース)。

    既述の通り、今週は8/23のジャクソンホール会議(シンポジウム)でのパウエル議長講演に注目が集まるでしょう。このイベントは市場の関心が非常に高いことが多いため、FRBも市場へのメッセージ発信の良い機会として同イベントを利用することがままあります。

    いくつか例をあげますと、2010年に「量的金融緩和第2弾(QEⅡ)を事実上予告」した当時のバーナンキ議長講演(同日のS&P500指数は+1.7%、その後も株価は回復/上昇基調に)や、2022年にわずか9分間という異例の短いスピーチで「インフレ退治を最優先するタカ派路線を宣言」したパウエル議長講演(同日のS&P500指数は▲3.3%、その後も同年10月末の年初来安値まで下落基調が継続)、などがあげられます。

    しかしながら、一方で「新味のない講演内容によって、市場も殆ど反応することなく通過した」ことも少なからずあった(むしろその方がかなり多かった)事実も忘れてはならないと思います。

    さて今年はどうでしょうか?以下は(決して過度な予断を前提にはしていないはずの)我々の分析/予想のサマリーとなります。

    ■『9月FOMCでの利下げ開始』(に向けた地ならし)を示唆する可能性は高い

    =>それは7月FOMCで概ね済んでおり、新たなメッセージとはなりづらい=>市場の関心は『(昨今の)米雇用市場の軟化に対するFRBの判断と政策対応』にある

    =>>>ただし、米労働市場の現状と今後の見通しを判断するには、既報のデータだけでは十分ではない

    =>このため、次回9月FOMCまでに発表される8月分雇用統計等を精査した上で、FRBは今後の政策方針を固めることになる(9月FOMCではドットチャートも更新されるため好都合)

    =>>>FF金利先物市場では『年内3回のFOMCで合計1.0%の利下げ、向こう1年では合計2.0%近い利下げ』が織り込まれている

    <⇔>しかし、今回のパウエル議長の講演ではこうした市場の織り込みを更に後押し(追認)するようなコメントが発せられる可能性は低いと考えられる
    =>なぜなら、依然としてFOMCの政策変更は『データ次第』の姿勢を堅持していると思われるから

      (8/21の「FOMC議事要旨の公表 (7/30-31開催分)」でも明らかになる予定)

    先週のまとめでも言及しましたが、既述の通り「金融市場参加者の注目の焦点は、着実に『米国景気の行方』に移ってゆくでしょう」。当面、各金融市場は今後発表される米経済指標に一喜一憂し引き続き高水準の市場変動率が維持される展開が予想されます。

    <<ここ数か月指摘しているように「(経済指標や主要イベントの)データ次第」で米国景気や金融市場動向に対する認識や想定が変化してくるため『過度に予断を持つことなく、冷静な分析を心掛けることが肝要』だとの考え方に変化はありません。>> 

    申し訳ありませんが、やはり、今週もこの結論に収斂することになってしまいました。

    お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、ジーフィット為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。





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