―Executive Summary― 目次1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、日銀総裁発言で一時141.60円へ急落後に買い戻し【12/ […]
Weekly Report(7/1):「ドル円は上値目線も、米雇用指標で利下げ回数を見極めへ」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は6月24日週に2.54円と、前週の2.69円から縮小した。週間ベースでは、3週続伸。ドル円は週初こそ小動きだったが、6月26日には、ロンドン時間に4月29日以来の160円台を回復。カナダに続き豪の5月消費者物価指数(CPI)が上振れし、7月にも豪が利上げを再開するのではとの見方が強まった。28日には、神田財務官の退任が発表されると、一時161.29円と1986年12月以来の高値を記録した。米大統領候補TV討論会で、トランプ氏が優勢と判断された結果、関税強化による物価高や減税を通じた財政悪化懸念から米金利が上昇したことも、ドル円を押し上げた。
- 今週は、7月1日に日銀短観と中国6月財新製造業PMI、米6月ISM製造業景況指数、2日にパウエルFRB議長講演、米5月雇用動態調査(JOLTS)、3日に中国6月財新サービス業PMIを始め米6月ADP全国雇用者数や米6月ISM非製造業景況指数、6月FOMC議事要旨、5日に米6月雇用統計を予定する。特に米雇用関連で、重要な指標が目白押しだ。また、7月4日は米国が独立記念日を受けて休場だが、英総選挙を控える。
- 米新規失業保険申請件数やオンラインのリアルタイム求人広告動向指数をみると、米労働市場の調整は継続中だ。年内2回の利下げ予想が優勢な状況で、9月利下げ開始の見通しを強めるか、見極めとなるだろう。
- 米労働市場の調整が米金利低下をもたらしそうだが、米大統領候補TV討論会でトランプ氏が「勝者」との声が大きいなか、トランプ氏の再選の可能性が強まれば、物価高と米金利上昇への懸念が強まる場合もありそうだ。同氏が①関税強化、②移民の強制送還――などを掲げるだけに、ムーディーズ・アナリティクスやノーベル経済学賞16名などは、インフレ再燃に警鐘を鳴らす。
- 神田財務官の退任が決定し、ドル円の161円乗せを招いた。もっとも、7月末の退任まで介入がないとは言い切れず、神田財務官による「置き土産」に留意すべきだろう。
- テクニカル的な地合いは非常に強いが、RSIが割高を示す70を超えてきた。また、円のネット・ショートも過去最大の18万枚超えを再び意識する段階に入っており、1週間で2円超のペースで上昇するかは不透明だ。
- 以上を踏まえ、今週のドル円の上値は3月8日と4月29日の上げ幅から見たN値の半分にあたる162.50円、下値は21日移動平均線が控える157.90円と見込む。
1.為替相場の振り返り=神田財務官退任と米大統領候補TV討論会を経て161円を突破
【6月24日~28日のドル円レンジ:158.74~161.29円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は6月24日週に2.54円と、前週の2.69円から縮小した。週間ベースでは、3週続伸。ドル円は週初こそ、神田財務官による「為替相場について過度な変動あれば適切に行動する」などの発言を受け、160円を手前に慎重に推移した。しかし、6月25日にボウマンFRB理事が米物価上振れリスク警告、利下げはまだ不適切との見解が伝わると、ドル円を下支えした。
6月26日になると、前日の加5月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り7月利下げ観測が後退しただけでなく、豪5月CPIがインフレ加速を示唆し7月利上げ観測が40%に高まったため、クロス円の押し上げがドル円に波及した。ロンドン時間に入り、ドル円は160円を突破すると、4月29日の高値160.23円も突破し、米5月新築住宅販売件数が弱い数字だったものの、反応薄で160.83円まで上値を拡大。27日は米新規失業保険申請件数などの弱含みを受け一旦は上げ渋りをみせたが、28日に財務省人事で神田財務官の退任が発表されると、一時161.29円と1986年12月以来の高値を記録した。米大統領候補TV討論会で、トランプ氏が優勢と判断された結果、輸入関税強化による物価高や減税を通じた財政悪化懸念から米金利が上昇したことも、ドル円を押し上げた。その後は、米5月PCE価格指数がインフレ鈍化を示したため上げ幅を縮小も、160円後半で週を終えた。
チャート:ドル円の4月以降の日足、米10年債利回りは緑線(左軸)
(出所:TradingView)
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