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  • Weekly Report(12/9):「米CPIや日本GDP、加欧の政策決定会合挟みドル円は上値重く」
    安田 佐和子
    この記事の著者
    トレーダム為替アンバサダー/ストリート・インサイツ代表取締役

    世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て、現職。NHK「日曜討論」、テレビ東京「モーニング・サテライトなどのTV番組に出演し、日経CNBCやラジオNIKKEIではコメンテーターを務める。その他、メディアでコラムも執筆中。

    マーケット分析
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    ―Executive Summary―

    • ドル円の変動幅は12月2日週に2.59円と、前週の5.26円から縮小した。週足では、反発。3日は韓国の尹大統領が戒厳令を布告した結果、リスクオフの展開を迎えドル円は一148.64円と10月中旬以来の149円割れ水準へ下落。4日には時事通信が日銀は米国の経済政策の不透明性を受け1月以降に追加利上げと報じ、マーケット・ニュース・インターナショナルも政治要因から日銀は追加利上げに慎重になる見通しが報じられ、151.23円まで週の高値をつけた。ただ、6日は米11月雇用統計が市場予想を上回ったものの失業率が前月比で上昇したため、売りで反応し、一時149.36円まで下落した。
    • 時事通信は12月4日、トランプ2.0での経済政策を見極めるべく、日銀の追加利上げは「1月以降」の可能性があると報じた。敢えて「1月以降」と明記したため、1月ではない可能性が取り沙汰され、ドル円の上昇につながった。マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)も、政治的不透明性を理由に、日銀は追加利上げに慎重と指摘。12月追加利上げ観測の後退を招いたが、実質賃金は前年比でマイナス圏を脱却、所定内給与は1993年以来の強い伸びだった。ハト派の中村審議委員は年内の追加利上げの可能性を排除していない示唆を与えており、12月追加利上げのシナリオは完全に消えたとは言い難い。
    • 韓国の尹大統領が戒厳令を宣布した12月3日夜、NY時間でドル円は一時148.64円と10月中旬以来の149円割れを迎えた。対ドルの主要通貨パフォーマンスでも、円は対ドルで一時0.6%高と最も上昇。足元、シリアでアサド政権が崩壊したが、政治的・地政学的リスクが浮上する局面で、「有事の円買い」が復活の兆しを確認したと言えよう。
    • 米11月雇用統計は非農業部門就労者数(NFP)が市場予想を上回ったが、失業率は上昇した。女性の失業率や非白人の失業率も弱含み、12月18ー19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、追加利下げを行う見通しが強まっている。12月12日発表の米11月消費者物価指数(CPI)が市場予想と一致すれば、年内もう一度利下げを行い、2025年の利下げ回数については9月の時点の4回から2-3回へ修正するのだろう。
    • 今週は12月9日に日本7-9月期実質GDP成長率改定値や10月国際収支、中国11月消費者物価指数と生産者物価指数、10日は中国11月貿易収支、米7-9月期非農業部門労働生産性と単位労働コスト改定値、11日に米11月CPI、12日に米11月生産者物価指数と米新規失業保険申請件数、13日に日銀短観、米11月輸入物価指数を予定する。
    • また、10日に豪準備銀行の金融政策決定会合、11日にカナダ銀行の金融政策決定会合、12日にスイス国立銀行の金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会を予定し、金融政策発表が目白押しとなる。なお、FRBは12月18-19日のFOMCを控え、ブラックアウト期間に入り要人発言を予定しない。
    • ドル円は、テクニカル的に弱含みを維持。21日移動平均線や200日移動平均線、50日移動平均線などを下回って推移し、戻り局面では50日移動平均線で上値を阻まれた。それだけでなく前週のローソク足は、7月高値と9月安値の半値戻し(150.77円)を上抜けられなかった。一方で、下値は一目均衡表の雲の上限に支えられているが、ここは上向きつつあり、下値を模索する過程でサポートの耐性に疑問が残る。
    • 投機筋による円のネット・ポジション動向は、12月3日週時点で2,334枚のロング、前週の2万2,633枚のショートから6週ぶりにロングへ転換した。
    • 以上を踏まえ、今週の上値は200日移動平均線が近い152.00円、下値は引き続き90日移動平均線が近い148.30円と見込む。


    ドル円の変動幅は12月2日週に2.59円と、前週の5.26円から縮小した。週足では、反発。2日は、ウォラーFRB理事が12月の追加利下げを支持すると発言したため、売りが入った。3日は韓国の尹大統領が戒厳令を布告した結果、リスクオフの展開を迎えドル円は一時148.64円と10月中旬以来の149円割れ水準へ下落。米10月雇用動態調査(JOLTS)が市場予想を上回ったため買い戻され、4日には時事通信が日銀は米国の経済政策の不透明性を受け1月以降に追加利上げと報じ、マーケット・ニュース・インターナショナルも政治要因から日銀は追加利上げに慎重になる見通しが報じられ、151.23円まで週の高値をつけた。ただ、米11月ADP全国雇用者数や米11月ISM非製造業景況指数が市場予想より弱く、50日移動平均線で弾かれた。

    5日には、米新規失業保険申請件数が増加したこともあって軟調、6日は米11月雇用統計が市場予想を上回ったものの失業率が前月比で上昇したため、売りで反応し、一時149.36円まで下落した。ただし、引け前には買い戻され150円台でNY時間を終えた。

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