「対中関税」引き上げが象徴する米中対立が世界経済の歯車を狂わせそうです。インフレ再加速の懸念から米利下げペースが弱まり、一方で日銀が利上げし […]
Weekly Report(11/11):「ドル円は米10月CPIで上振れリスクも、レンジ相場を維持か」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は11月4日週に3.43円と、前週の2.10円から拡大した。週足では、小幅に6週ぶり反落。米大統領選で、共和党のトランプ候補の勝利が確実視されるなか、11月6日の東京時間にドル円は急伸し、154円を突破した。NY時間には、一時154.70円と7月下旬以来の高値をつけた。しかし、11月米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見がインフレに楽観的で、市場はハト派寄りと受け止めドル円は下落し、152円後半で週を終えた。
- 米大統領選でトランプ氏が勝利しただけでなく、米上下院も共和党が多数派を獲得し、トランプ1期目と同じく「レッドウェーブ」となる公算が大きい。しかし、ドル円は米大統領選直後に154円に乗せた程度。これは、トランプ・トレードの一旦の巻き戻しに加え、政策を見極めに入ったための動きと捉えられよう。また、ポンペオ元国務長官とヘイリー元国連大使の閣僚入りにつき、自身のソーシャルネットワーク(SNS)、トゥルース・ソーシャルで表明したように、SNSを活用する見通し。トランプ氏は4月と7月にドル高・円安是正に言及していただけに、1期目と同様にSNSを駆使して利下げ圧力、そしてドル安圧力を掛ける可能性がある。
- 今週は11月11日に9月国際収支、13日に日本9月国内企業物価指数、米10月CPI、14日に米10月生産者物価指数と米新規失業保険申請件数、パウエルFRB議長やベイリー英中銀総裁の発言、15日に日本Q3実質GDP成長率・速報値、中国10月鉱工業生産や小売売上高、米10月小売売上高や鉱工業生産、輸入物価、米11月NY連銀製造業景況指数を予定する。
- 11月13日に米10月消費者物価指数(CPI)、15日に米10月小売売上高を予定する。ハリケーンの影響やWTI原油先物の切り返しもあって、CPIは鈍化トレンドが一服する見通し。ただ、米10月小売売上高はシカゴ連銀の予測やレッドブック週間小売売上高に基づけば、前月から鈍化すると見込まれ、予想通りとなれば米10月CPIでドル円が上昇しても、米小売売上高で上げ幅を相殺しそうだ。
- ドル円はテクニカル的に、強い地合いを維持。21日移動平均線が200日移動平均線を突破しつつあり、ゴールデン・クロスの形成が近い。また、ローソク足は200日移動平均線を上回って推移し、一目均衡表の三役好転を保つ。一方で、7月高値と9月安値の半値戻しがある153.41円を完全に抜けて引けたのは、米大統領選直後の6日のみ。8日には、同日の高値が153.37円にとどまり、半値戻しを再び下回った。ドル円が154円を突破する流れで、RSIが低下し、14日移動平均線を下抜けデッドクロスが形成された点も気掛かりだ。
- 投機筋の円のネット・ポジションの動向は11月5日週に4万4,167枚のショートと、前週の2万4,817枚を上回り、2週連続でショートとなった。
- 以上を踏まえ、今週の上値は11月6日の高値がある154.70円、下値は21日移動平均線と200日移動平均線が近い151.70円と見込む。
1.為替相場の振り返り=ドル円、米大統領選でのトランプ勝利で急伸後に上げ幅縮小
【11月4日~8日のドル円レンジ: 152.14~154.70円】
ドル円の変動幅は11月4日週に3.43円と、前週の2.10円から拡大した。週足では、小幅に6週ぶり反落。週初は米大統領選と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、前週に一時153.88円まで上昇していた反動もあり、米10月ISM非製造業景況指数が市場予想を上回っても、伸び悩んだ。しかし、11月5日に投票日を迎えた米大統領選で、共和党のトランプ候補の勝利が確実視されるなか、11月6日の東京時間にドル円は急伸し、154円を突破した。一旦は153円半ばへ下落しつつも、激戦州で最重要のペンシルベニア州を始め、その他のスウィング・ステートでの勝利が報じられると、上値を広げる展開。NY時間には、一時154.70円と7月下旬以来の高値をつけた。
11月FOMCでは市場予想通り0.25%の利下げを決定、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレに楽観的な姿勢を寄せると、ハト派寄りと認識されドル円は売りで反応。8日もトランプ勝利後の上げ幅を削る動きが続き、一時152.14円まで週の安値をつけた。
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