<テクニカル分析判断> ●短期:依然上振れの可能性を残すも、年初来の急速な反発力には息切れの兆候が増加 ●中期:短期から波及の反発にも […]
Weekly Report(2/19):「ドル円、上値余地試すもFedの利下げ方向をにらむ展開か」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は2月12日週に1.96円と、その前の週と変わらなかった。週間ベースでは、3週続伸。2月13日発表の米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るなか、ドル円は一時150.89円と約3カ月ぶりの水準に上振れした。翌14日、神田財務官が「最近の為替の動きはかなり急速」と発言したほか、鈴木財務相や林官房長官からも口先介入を放つも、ドル円への影響は限定的。むしろ、15日の米1月小売売上高が予想以上に弱含むと149円半ばへ調整しつつ、16日に米1月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ると150円台へ戻して週を終えた。
- 米1月CPIを受けて利下げ開始予想が5月から6月へ後ずれし、年内の利下げ回数も従来の5回から4回へ下方修正された。2023年12月米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ予想に、ほぼ収斂したと言えよう。従って、ドル円の上昇スピードは、米1月小売売上高の弱さや米商業用不動産の影響などを踏まえたFedの利下げ方向をにらみ、ゆるむのではないか。
- ドル円をめぐり、2022年10月、2023年11月に続き152円トライが意識されるなか、実弾介入が再び視野に入るが、介入の有無については2022年9~10月と2023年11月における、①ドル・インデックス、②日経平均――の違いに注目したい。2022年9~10月の介入時、DXYはFOMCの積極的な利上げにより2002年以来の高値をつけていたほか、日経平均も下落しており、為替介入の正当性を確保できた。しかし、2023年と足元のDXYは103~104程度と高値水準になく、ドル円の上昇、即ち円安は日本独自の要因と言える。加えて日経平均は1989年につけた最高値に接近中で、仮に為替介入を行えば、海外から自国通貨安誘導による株高を演出したとの印象を持たれかねない。
- 今週は米住宅指標が相次ぐが、2月21日に1月FOMC議事要旨、2月22日に米2月総合PMI・速報値などを予定する程度だ。その他、Fed高官の発言を控える。
- ドル円は、テクニカル的に三役好転を維持し、それぞれの移動平均線も上向き力強い地合いが続く。一方で、前回のレポートで指摘したようにRSIにも留意すべきだろう。2022年以降、RSIが割高の節目となる70付近で、ドル円は調整入りする傾向が強い。
- 投機筋による円のネット・ショートは2月13日週に11万1,536枚と、前週の8万4,230枚から大幅に拡大した。2023年7月以来の水準までネット・ショートが積み上がっており、スピード調整が入ってもおかしくない。
- 以上を踏まえ、今週のドル円の上値は151.50円、下値は21日移動平均線がある148.30円を見込む。
目次
1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、米1月CPI後に2023年11月以来の150円乗せ
【2月12日~16日のドル円レンジ:148.93~150.89円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は2月12日週に1.96円と、その前の週と変わらなかった。週間ベースでは、3週続伸。2月13日発表の米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るなか、ドル円は米10年債利回りが2023年11月下旬以来の4.3%超えへ上昇するにつれ、一時150.89円と約3カ月ぶりの水準に上振れした。翌14日、神田財務官が「最近の為替の動きはかなり急速、災害対応と同じく24時間365日対応できる準備を整えている」と発言したほか、鈴木財務相も「為替の急激な変動は望ましくない」、林官房長官も「為替市場の動向を高い緊張感をもって注視したい」と、岸田政権から3人も口先介入を実施。日本の2023年10~12月期実質GDP成長率・速報値が予想外に2期連続のマイナスとなり、テクニカル・リセッション入りを確認するなか、為替市場はほぼ反応せず。
米1月小売売上高が市場予想より落ち込むと、149円半ばへ下落したが、米新規失業保険申請件数が減少したほか、市場予想を上回る米1月輸入物価指数や米2月NY連銀製造業景況指数や米2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が下値を支えた。16日には、米1月生産者物価指数(PPI)も加速したため、ドル円は150円台を維持して週を終えた。
チャート:ドル円の2023年11月以降の日足、米10年債利回りは緑線(左軸)
(出所:TradingView)
2.為替見通し=ドル円、上値余地試すもFedの利下げ方向をにらむ展開か
【2月19日~2月23日の為替予想レンジ:148.30~151.50円】
―1月の米物価動向は全て市場予想超え、早期の米利下げ期待が後退
米1月消費者物価指数(CPI)を始め、1月の物価動向はほとんど市場予想を上回った。
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