
今回解説していく通貨はポンド円です。金融市場は前週にトランプ米政権が発表した相互関税によって混乱に見舞われており、日経平均株価なども急落・急伸と連日波乱の動き。ポンド円もこうした混乱を嫌気して前週の高値から一時は10円近く下落する場面も見られました。
注目の相互関税率は日本が24%、英国が10%。英国は一律に課される基本関税の10%のみと相対的には低関税率となりましたが、世界的な貿易摩擦の激化懸念なども意識されるなか、今後も投資家のリスクセンチメントに振らされることになるでしょう。
では、チャート上でもポンド円の状況を確認していきましょう。
ポンド円の週足分析
下図のチャートはポンド円の週足チャートになります。前回の分析(1月22日)からの推移を確認すると、2月上旬にダブルトップのネックラインとなる昨年12月3日安値の188.09円(チャート上の青色実線)を下抜けたものの、そこから売りが加速する展開とはなりませんでした。ただ、足もとでは再び売り圧力が強まっており、186円台まで下押ししています。

前述したようにダブルトップの完成後も売り圧力が一気に強まることはありませんでしたが、チャート的には徐々に上値を切り下げており(チャート上の赤丸で囲った部分)、上値の重さが意識されている状況となっています。
チャート下部に追加した「MACD」でみても、現状は下降トレンドであることを示唆。今後は昨年8月5日につけた直近安値180.11円(チャート上の青丸で囲った部分)を試しにいく可能性も否定できないところです。
さらに徐々にではありますが、2020年3月安値を始点する上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)も近づきつつあり、今後の展開次第では2020年来の上昇トレンドの維持も危うくなるかもしれません。
ポンド円の日足分析
では、今度は日足のトレンドも確認しておきましょう(下図のチャート、8日執筆時点)。チャート上の黄色実線は週足分析で紹介したものと同じものです。

今回追加した「一目均衡表」によると、前週までは強い買いシグナルとされる三役好転(転換線>基準線、遅行スパン>価格線、価格線>抵抗帯(雲))が点灯していましたが、状況はあっという間に暗転。現状は遅行スパン<価格線、価格線<抵抗帯(雲)となっており、本日時点では転換線と基準線が同値ですが、転換線は明日以降も切り下がる可能性が濃厚であるため、強い売りシグナルとされる三役逆転の点灯は避けられないでしょう。
日足ベースでもやはり下値リスクを意識する必要がありそうですが、目先は4月7日安値の186.15円、昨年9月11日安値の183.72円、昨年8月5日安値の180.11円などがサポート水準として機能するか注目しておきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・英の金融政策。日銀は次回会合での追加利上げ観測がくすぶっている一方、英中銀は前回の会合(3月19日、発表は翌20日)で利下げ支持派が予想より少なかったことから追加利下げ観測はやや後退しつつあります。もっとも、日英ともに来月の次回会合までにまだ時間の余裕があることから、今後の米関税政策の影響で金融政策に変化が生じる可能性もあるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
4月16日 英国 3月消費者物価指数(CPI)
4月18日 日本 3月全国CPI
4月30日-5月1日 日本 日銀、金融政策決定会合
5月8日 英国 英中銀、政策金利発表
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本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。
※本記事は2024年4月9日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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