【ドル円】波に乗れないときもある
川畑 琢也
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

為替の仕組み

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。

今回は、ドル円が大きく下げたものの、その流れに対応できなかった理由を振り返る話です

皆様の参考になれば幸いです。



2月のドル円は、今のところ軟調な推移となっています。

月初に156円での上値の重さを確認すると、7日に151円割れまで下落。

その後の戻りも155円手前に留まると、20日に昨年12月以来となる149円台に下押ししています。

材料面では、日銀の早期利上げ期待を背景とする円買いが目立ったほか、弱い米指標を背景とするドル売りもありました。

テクニカル面でも、

・線の傾きが緩やかながらも下降している200日移動平均線を下抜けた

・日足・一目均衡表ので三役逆転が点灯

など、複数の指標が下落を示唆していたことも挙げられます。

今回の局面では、材料・テクニカルが一致したということで、力強い下げとなっています。

左:日足・移動平均線(5日・200日)右:日足・一目均衡表

※Trading Viewより



そうした中ですが、私は今回、この流れに乗ることができませんでした。

それは、「いまから、7月と目される日銀の追加利上げ期待を織り込みに行くのか?」という思いがずっとあったからです。

せめて「次回3月の会合での連続利上げ期待ならどんなにわかりやすかったか」とは思わずにいられません。

とはいっても、本邦の10年債利回りは追加利上げ期待を背景に上昇を続け、20日には1.440%まで上昇して2009年11月以来となる高水準となっています。

利上げ期待もありますが、それ以上に長期金利の上昇が円買いにより作用しているように感じます。

20日に植田日銀総裁は石破首相と会談しましたが、総裁は会談後に長期金利上昇について問われ「そういう話はしていない」と語ったと伝えられています。

市場では「政府・日銀共に金利上昇は容認」と受け止められていることもあり、当面は金利が上昇しやすい地合いにある点を踏まえて動く必要がありそうです。



「売りがだめなら買いで・・・」と思うかもしれませんが、少なくとも日足チャートは下方向を指しています。

主な材料でも、

・わずかに線の傾きが下向きとなっている200日線を下抜けた

・日足の一目均衡表では三役逆転が点灯中

・ローソク足は5日や6日といった短期線の下に沈んでいる

これだけありますので、現状は値ごろ感の買いは大けがとなる恐れがある局面といえます。

少なくとも買いで入るなら、ローソク足が短期線の上に位置し、短期線の傾きも横ばい、できればわずかに上向きになるのを待ちたいところです。

今回については予想外の動きでしたので、途中で買い出動しなかっただけ良しとしたいと思います。

しいて言えば、18日に売った151.80円をその日のクローズ間際に152.03円で損切りしたのが悔やまれる程度でしょうか。

とはいえ大損にはならなかったので、一旦落ち着いてから改めてエントリーポイントを探したいと思います。



以下は長期保有目的

トルコリラ円 4.38円買い


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2024年2月21日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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