目次Executive Summary米国以外の要因も、円買い戻しを誘発へテクニカルでは、ドル円の上昇トレンド終了を示唆世界の重要イベント予 […]
ドル円、半年ぶりの安値146.42円
今週は株式市場も為替市場も大変大きく動きました。ドル円は昨日2日に一時146.42円と2月2日以来半年ぶりの安値を更新しています。日銀が政策金利を0.25%に引き上げた7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁が今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませると、市場は「植田総裁の発言をタカ派」と受け止め、円高と日本株の下落を誘いました。
植田総裁は「2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、実質金利は非常に深いマイナスにある」と何度も強調。「低い実質金利を続けることで急激な調整を強いられる先行きリスクに早めに手を打った対応」との見解も示しました。市場関係者からは「これまでの円安が物価に与える影響の強まりを含めて、物価の上振れリスクを警戒し、タカ派的な発信を強めている可能性がある」との声が聞かれました。
週末の米雇用統計でドル売りに拍車
米労働省が発表した7月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比11.4万人増と予想の17.5万人増を下回り、失業率が4.3%と予想の4.1%よりも弱い結果となりました。米景気の先行き不安が高まる中、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時3.7847%前後と昨年12月以来の低水準を記録。米長期金利の低下とともに全般ドル売りが優勢となりました。
なお、今週30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では米労働市場は調和がとれているとの現状認識のもと政策金利が据え置かれましたが、米株式市場では米連邦準備理事会(FRB)が「後手に回っている」との見方が浮上。ダウ平均は一時1000ドル近く下落し、ナスダック総合は3%超急落しています。米株安を受けてリスク・オフの円買いも目立ちました。
日経平均の下げ幅、ブラックマンデーに次ぐ大きさ
なお、昨日2日の東京株式市場で日経平均株価は急落。終値は前日比2216.63円安の35909.70円となしました。植田総裁が突如タカ派路線に切り替えたことが引き続き売りを誘ったほか、1日発表の米景気指標の下振れで、米景気後退の可能性が意識されはじめたことが投資家心理を冷やしました。終値ベースでの日経平均の下げ幅(2216円安)は1987年のブラックマンデー翌日である10月20日の3836円安に次ぐ2番目の大きさになります。
また、2日のナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1570円安の3万4350円まで急落する場面があり、引け値は1120円安の3万4800円となっています。週明け5日の取引にも警戒する必要がありそうです。
投機筋の円売りポジションが急減
ヘッジファンドによる円売りポジションは先月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。
ただ、昨日8月2日(日本時間3日早朝)に発表された7月30日時点の建玉報告によると、投機筋の円売りポジションは7万3460枚と2日時点の18万4223枚からは11万0763枚減少しています。
この「7万3460枚」は日銀金融政策決定会合やFOMC、米雇用統計前の数字ですので、実際には投機筋の円売りポジションの調整はさらに進んでいることが予想されます。
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※本記事は2024年8月3日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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