目次「はじめに」「日本の為替市場の特徴」「輸出企業が取るべき対策」「経営戦略の再構築」「まとめ」「トレーダムとは?」 「はじめに」 日本は高 […]
「為替予約」は、あらかじめ両替の数量と価格、実行日を決めて実行日に両替する契約です。例えば、1カ月後に1万ドルを142.50円で予約するなど、将来の両替の契約をします。ここでは、為替予約の目的・メリット、デメリットや、将来の両替価格(予約価格)の決め方、銀行の為替予約の種類などについて説明します。
目的・メリット
為替予約の目的・メリットは、輸入業者であれば仕入れ価格の、輸出業者であれば売上げの、価格変動によるリスクを抑えてビジネスを安定化させることです。例として、輸入業者が1万ドルの製品を仕入れ、価格を20%上乗せして販売する場合について考えてみます。
現在の1ドルの価格が145円だとします。3か月後もドルの価格が変わらない(145円)場合、利益は見込み通りで14.5万円、10円の円高(135円)の場合、利益は増加し24.5万円(+10万円、+68.9%)、10円の円安(155円)の場合、利益は減少し4.5万円(-10万円、-68.9%)となります。
輸入企業の場合、仕入れ時のドル価格(1万ドル、145円)で仕入れの円価格(145万円)を算出し、コスト(14.5万円)と利益(14.5万円)を加えて商品価格(売上げ)が決まります。しかし、実際の支払いまでにドルの価格が変化するため、利益が予定より増減します。為替予約を利用すると、仕入れのドル価格(145円)を固定することで、その後のドル円の相場変動によらず、事前に決めた利益(+14.5万円)を得ることが可能です。
為替予約を行わずに、仕入れ価格の変動リスクをそのままにすることもは、ある意味では為替予約と同じように、リスクを取った外国為替の資金運用と考えると、よりリスクが高い運用を行っていることになります。
為替予約にはコストがかかりますが、これを商品のコストの一部と考えたうえで、売上げを決めることにより、為替の変動リスク負わず、安定した収益を上げることができます。
為替予約の目的・メリット
こちらはトレーダムのキャラクター「カワセ博士」とカワセミの「カワセアイ」の対話形式で解説します。
カワセアイ:博士、「為替予約」について教えて
カワセ博士:例えば、ハワイの帽子を日本で売っているお店について考えてみよう。
ハワイで20ドルで売っている帽子を日本で売る場合は、日本の円で売ることになるから、ドルの価格によって帽子の値段が変わる。
カワセアイ:帽子の値段はいくらになるの?
カワセ博士:今は1ドル約145円だから、お店の仕入れは20ドルで2,900円になる。これにお店の手数料(10%)と利益(10%)を乗せると、帽子の値段は日本円で3,480円になる。
カワセアイ:3,480円で帽子が買えるんだね。
カワセ博士:そう、3,480円で帽子が買える。ただ、お店は帽子を受け取ってから20ドルを払うので、1ドルが145円から変わることがある。
例えば、帽子が届くまでに1ドルが155円になると、帽子の仕入れの値段は3,100円になる。お店は290円の利益を見込んでいたけど、円安になって1ドルが155円になると、実際の利益は大きく減って90円になる。
カワセアイ:お店は290円儲かるとおもったのに、90円だけになるんだ。それは困るね。
カワセ博士:逆に円高になって、1ドルが135円になると、お店の利益は増えて490円になる。このように海外から輸入したものを日本で売るときは、為替の動きによって仕入れの値段が上がったり下がったりする。
カワセアイ:仕入れの値段が上がったり、下がったりするとお店は困るね。仕入れの値段が変わらないようにできないの?
カワセ博士:為替予約をすることで、仕入れの値段を固定することができる。円安になっても、円高になっても、予定された利益を得ることができる。
カワセアイ:なるほど、それはいい仕組みね。
デメリット
為替予約はあらかじめ両替の数量と価格、実行日を決めて両替する契約で、途中で契約をキャンセルすることが出来ません。予定の変更などにより為替予約が不要になった場合でも、実行日に不要となった両替を実行するか、または費用を支払ってキャンセルする必要があります。
為替の変動リスクを回避するために、為替予約ではなく、FX(スポット取引)を使うことが出来ます。FX取引は原則として期間を定めない取引なので、予定した期間の変更やキャンセルを柔軟に行うことができます。注意点として、FX取引は為替の価格の価格変動リスクをヘッジできますが、金利の変動リスクをヘッジするものではないので、中長期間(例えば6か月を超えるもの)のリスクヘッジには適さないと考えられています。
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