―Executive Summary― 目次1.為替相場の振り返り=ドル円、日銀買いオペ据え置きと米5月総合PMIの強含みで一時157円乗せ […]
景気って何?
景気は私達の暮らしと緊密に関りがありますが、そもそも景気とは何でしょう。辞書には「企業活動の程度、経済活動の状態」と解釈しています。
企業がモノを沢山作って売れ行きも良く、経済活動が活発になっていることを「景気が良い(好景気)」といい、その反対を「景気が悪い(不景気)」と言います。
景気は基本的に悪い状態(谷)から良い状態(山)へ、また山から谷へと、山谷の周期を繰り返し、これを「景気循環」と言います。どこの国の経済も「景気循環」を繰り返しますが、国や時期によって「不景気が長い」あるいは「好景気が続く」とその差が出てきます。
景気と為替
基本的に景気が良い国、あるいは国の景気が良い時に、その国も通貨は買われやすくなります。景気が良ければ企業の業績が上がり、その国の株も世界各国から見れば魅力が増し、外国人からの投資も増え、ビジネスチャンスも拡大します。つまり、景気が良くなると、その国に投資するために通貨が買われ、その通貨価値が上がるのが一般的です。
逆に景気が悪いと企業の業績が悪化し、その国の株式市場やビジネスに魅力が低下してしまい、外国からも敬遠され、資本は海外に流出されます。その国の通貨は売られやすくなり、価値は低下します。
景気動向の把握
その国の景気や経済の動向は、各種の経済指標によってうかがい知ることができます。経済指標には、国内総生産(GDP)や経済成長率、景気動向指数などがあります。
・GDPとは一定期間に国内で新たにつくられた商品・サービスの付加価値の合計額のことで、GDPが増えれば増える程、その国の経済規模が大きくなったことを意味し、その国の通貨は買われやしいです。GDPには、「名目GDP」と「実質GDP」の2つがあり、名目GDPから物価変動の影響を除いたものが実質GDPです。
・GDP成長率はGDPが前年より増えたか減ったかで判断することができる指標で、好景気の年はGDP成長率が高くなり、逆に不景気の年は低くなります。
・景気動向指数とは景気全体の動向を知みるために産業、金融、労働など経済のあらゆる側面を網羅した30項目の景気指標を統合して1つの指標にしたものです。景気動向指数には、景気を先取りして動く「先行指数」、景気と並行して動く「一致指数」、景気に遅れて動く「遅行指数」があります。
日本では好景気が円安に働くことも
例えば日本の景気が他国より良くなったとしたら、普通に考えると海外企業の日本進出が増え、外国人による日本株の投資も拡大し、円の需要が増えることで円高になるはずです。
ただ、日本の場合、製品の原材料を輸入している企業が多いです。景気が良くなると、企業の原材料の輸入が増え、輸入代金を支払うために円を外貨に換える必要があり、円が下落することもあります。
また、かつては人々が米国の経常収支赤字の大きさを大いに懸念していた時代があり、その時代は米国の景気拡大が米国の輸入増加を通じた経常収支赤字の拡大要因であると意識され、ドル安・円安の要因ともなりましたが、今は米国の経常赤字への懸念が高まっておらず、米景気拡大はドル高要因と受け止められています。
本記事は2023年4月1日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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