ドル円の短期的なテクニカル分析は、依然としてドル高・円安を指向しています。 上値目標値は、144円処として、142円のドル買いポジションを堅 […]
ドルは通貨の主役
ドルは世界で流通しているマネーの約6割を占めており、FX取引でも取引量は圧倒的に大きく、FXをやるならドルの特徴をよく覚え、よく把握しないといけません。
現在の国際通貨体制はドル本位制です。ドルはその信頼性からしばしば米国の国外でも使われ、特に輸出入など国際的な商取引の決済に多く使用されている基軸通貨であります。
国際取引(貿易、資本取引)の決済通貨、各国の外貨準備での準備通貨、外為市場での取引通貨として、どの分野でもドルが最も多く使われています。ドルが最初に発効されたのは1785年であり、ドル記号は$、ドルコードはUSDです。
ドルの歴史
1783年にアメリカ独立戦争が終わり、アメリカ合衆国が成立すると、13植民地でばらばらだった貨幣を統一する動きが強まりました。1792年にはアメリカ合衆国造幣局が設立され、新たな通貨の単位はドルとなりました。1913年には連邦準備制度が成立して、合衆国に近代的な中央銀行が成立することになります。
1939-45年の第二次世界大戦に巻きもまれていないアメリカが経済力を著しく向上させ、ドルの地位が大きく上昇します。1944年7月のブレトン・ウッズ協定によって金1オンスを35アメリカ・ドルと定めて、各国がドルに対し固定相場制を取ることとなりました。この制度は金・ドル本位制とも呼ばれ、これによってアメリカ合衆国ドルは、名実ともに唯一の基軸通貨となったのです。
このブレトン・ウッズ体制の下で、世界経済は安定を取り戻し、急速な復興を遂げることとなりますが、ヨーロッパや日本の復興は、アメリカ合衆国の経済的優位を揺るがし、1971年8月15日にアメリカ合衆国ドルと金との兌換停止を電撃的に発表し、アメリカ合衆国ドルは金本位制を放棄します。
1971年12月18日には、ドルと各国通貨との交換レート改定を柱とするスミソニアン協定を結び、固定相場制の維持を図ったが、1973年にはスミソニアン体制は完全に崩壊し、各国は相次いで変動相場制に移行します。ただ、その後もドルの基軸通貨としての地位は変わらず、世界で最も流通する基軸通貨の地位を保っています。
有事のドル買い
為替相場では「有事のドル買い」と呼ばれ、有事(戦争や紛争)が起こった場合「国際通貨であるドルを買っておけば安心」というのがあります。ただ、2011年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件では、「アメリカも安全ではない」ということでドルは下落しました。
また、それ以降に有事はアメリカの対テロ戦争に繋がっていることが多いため、戦費支出による財政悪化が嫌気され、逆に「有事のドル売り」も見られるようになっています。
ドルの基軸体制は終わるのか
米経済の力が相対的に低下していることや、国際商業取引、外貨準備、外為市場取引でのドルのシェア低下などでしばしばドル基軸体制の終わりについて議論が出てきましたが、今も続いています。
その大きな理由となるのはドルに代わるべき通貨が出ていないことです。ユーロと円はドルと合わせて3極通貨体制を築くのではないかと言われましたが、ユーロはユーロ危機などで欧州通貨の域を超えられず、円は長期の不況の中で沈み込み、アジアの中でも相対的な力の低下を余儀なくされました。
もう一つの大きな理由はドルの需要が不動であることです。外貨準備に占めるドルの割合はやや低下傾向でありますが、今でも絶対的な増加額ではドルが最多となっています。ドル以外の通貨を利用する割合が増えていますが、ドルの基軸通貨体制は今後もしばらく続くと考えられます。
本記事は2022年11月6日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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